2020年12月30日水曜日

2021 PHILADELPHIA PHILLIES TOP 20 PROSPECTS

2021 PHILADELPHIA PHILLIES

TOP 20 PROSPECTS

Spencer Howard

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。MLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。
選手の年齢は21年6月30日見込みのもの。なお2020年はマイナーリーグの公式戦が中止となったため、メジャーでのパフォーマンスを基に再評価を行った。昨年の順位と大きな変化はないが、再度情報を収集し、更新している。またマイナーの成績は19年のもの、MLBの成績は20年のものを掲載している。

1.スペンサー・ハワード(RHP)/Spencer Howard:24歳
(R/A+/2A)2.03ERA 71.0IP BB/9=2.0 K/9=11.9 K/BB=5.88
(MLB)5.92ERA 24.1IP BB/9=3.7 K/9=8.5 K/BB=2.30
◎速球 / ◯奪三振 4球種 / △肩のコンディション
次期エース候補筆頭。20年はメジャーデビューしたが肩の違和感により6先発でシャットアウトとなった。93-99マイルの速球でゾーンを突く制球力も持ち併せ、スライダー&チェンジアップは打者の手元で鋭く切れてピッチトンネルを通すことができる。特にスライダーは空振り率40.7%とよく切れた。フォームも滑らかで、コマンドを磨くことができればローテーション2番手クラスになれるだろう。
Spencer Howard

2.
ブリソン・ストット(SS)/Bryson Stott:23歳
(R/A-)48G 166AB 6HR 24BB 39K 5SB .295/.391/.494/.885
◯コンタクト 肩 守備 / △2B/3B向き?
19年ドラフト1巡目。目立ったツールはないが欠点も少ない完成度の高い内野手。その中でもヒットツールが1番評価されており、コンタクト&アプローチを両立している。守備面でもハードワークに取り組んでおり向上が著しい。SSとしては6-3/200と大柄なため、2Bや3Bにコンバートされる可能性は高いが、どのポジションでも平均以上のディフェンダーになれるだろう。20年は代替キャンプで経験を積んだ。
Bryson Stott

3.ミック・エイベル(RHP)/Mick Abel:19歳
◯速球 3球種 コントロール 体格 / △素材型 スタミナ
20年ドラフト1巡目。MLB公式、BAともにドラフト前のランキングでは高校生投手No.1評価だった。20年はパンデミックにより実戦経験を積むことができなかったが、ブルペン投球で最速99マイルを計測。スライダーもプラスピッチで、チェンジアップ&コマンドも平均以上と評判。体格と運動能力にも恵まれており、エースポテンシャル。課題のスタミナを磨いていきたい。

4.フランシスコ・モラレス(RHP)/Francisco Morales:21歳
(A+)3.82ERA 96.2IP BB/9=4.3 K/9=12.0 K/BB=2.80
◯奪三振 速球 スライダー 体格 / △コントロール チェンジアップ
最速98マイルの速球と19年に空振り率30%を記録したスライダーの2球種がプラスピッチ。チェンジアップも落差があり、第3球種として確立しつつある。しかしリリースが不安定でコントロールを見失う場面が見られ、チェンジアップの向上と共に先発投手に残るための課題となるだろう。

5.
ラファエル・マーチャン(C)/Rafael Marchan:22歳
(A/A+)85G 314AB 0HR 30BB 39K .261/.333/.325/.658
(MLB)3G 8AB 1HR 1BB 2K .500/.556/.875/1.431
◎守備 / ◯肩 / ✖パワー 
素晴らしい守備力を有した司令塔候補。アジリティ、ブロッキング、ブレ―ミング、スローイングどれも素晴らしく捕手としての欠点は少ない。打撃はコンタクト能力に優れているが、マイナー通算5年で210試合プレーして0本塁打とパワーレスがネック。しかし、メジャーでは初ホームランを放ち、限られたサンプルながら平均打球速度92マイルを計測。
Rafael Marchan
(2A)4.94ERA 105.2IP BB/9=3.5 K/9=7.0 K/BB=2.00
(MLB)4.50ERA 4.0IP BB/9=6.8 K/9=9.0 K/BB=1.33
◯速球 3球種 スタミナ / △コマンド
91-96マイルのムーブの利いた速球&スライダー&チェンジアップと優秀な3ピッチを兼ね備える。ローテーション3番手クラスのスペックの高さも、パフォーマンスが付いてこない。細かいコマンドに欠けるため、19年は四球が増えてしまった。また、ツーシーム多用の投球を本人が好んでいるため、球威の割に三振数も伸びない。20年はメジャーデビューを経験。

7.
ルイス・ガルシア(SS)/Luis Garcia:20歳
(A)127G 467AB 4HR 44BB 132K 9SB .186/.261/.255/.516
◯SS守備 肩 コンタクト / △素材型 / ✖パワー
レギュラーSSに十分なポテンシャルを秘めるが、19年は5-11/170フィジカルが未完成でパワーレスから打撃不振に苦しんだ。しかし、SS守備は平均以上であり、リーグ平均よりも3.5歳を若かった点を考慮すればまだ見込みはある。20年はビルドアップに励み、20ポンドの増量に成功。教育リーグではMAX107マイルの打球を放った。
◎スピード / ◯パワー / △コンタクト 
20年ドラフト3巡目。20年ドラフト組ではNo.1のアスリートと評されていた。「25-25」を狙えるパワー&スピードの持ち主だが、攻守に荒さが目立つ。打撃は大振りのため大学通算148試合/165Kとコンタクトに不安があり、プロに適応できるかは疑問が残る。ハイリスクハイリターン。

9.ジョジョ・ロメロ(LHP)/JoJo Romero:24歳
(2A/3A)5.82ERA 111.1IP BB/9=3.8 K/9=7.4 K/BB=1.96
(MLB)7.59ERA 10.2IP BB/9=1.7 K/9=8.4 K/BB=5.00
◯5球種 / △リリーフ起用?
5球種を織り交ぜるワークホース。19年は速球が90マイルを割るなどコンディションが不安定で2A降格も経験した。しかし終盤に3A復帰後は91-93マイルにまで回復し、オフのAFLでリリーフ登板時には最速96マイルも計測した。20年はリリーフとしてメジャーデビューを果たし、4シームは平均95.3マイルを計測とパワフルな内容。スライダー&チェンジアップはいずれも空振り率30%以上とよく切れた。

10.エニネル・デロスサントス(RHP)/Enyel De Los Santos:24歳
(3A)4.40ERA 94.0IP BB/9=3.4 K/9=7.9 K/BB=2.37
(MLB)7.36ERA 11.0IP BB/9=4.1 K/9=7.4 K/BB=1.80
◯速球 3球種 / △コマンド 
92-98マイルの速球が武器のパワーアーム。18年は3Aでリーグ2位となる防御率2.63と好投したが、19年は大きく数字を落としてしまった。コントロールは悪くないが細かいコマンドが平均以下で、シュート方向に切れる速球が真ん中に甘く入ったところを痛打された。20年はメジャーでのプレーがなかった。

11.
ヨハン・ロハス(OF)/Johan Rojas:20歳
(R/A-)60G 238AB 2HR 14BB 41K 14SB .265/.313/.429/.741
◯スピード CF守備 /△コンタクト
運動能力が高く、スピードとCF守備の2つがプラスツール。しかしヒットツールが疑問視されており、パワーポテンシャルを発揮するためには辛抱強いアプローチを覚えていく必要がある。メジャー到達にはまだ時間がかかるだろうが、フィリーズ幹部はロハスのメークアップを買っている。20年は筋力トレーニングに励んだ。

12.
エリック・ミラー(LHP)/Erik Miller:23歳
(R/A-/A)1.50ERA 36.0IP BB/9=3.8 K/9=13.0 K/BB=3.47
◯スライダー 奪三振 / △コントロール リリーフ向き? 
19年ドラフト4巡目ながらプロデビューで支配的なパフォーマンス。90-92マイルの速球とプラスのスライダーのコンビネーションで多くの空振りを奪える。第3球種のチェンジアップも効果的に扱うことができる。しかし平均以下のコントロールとコマンドからブルペンに回るだろうと見られている。

13.イーサン・リンドウ(LHP)/Ethan Lindow:22歳
(A/A+)2.52ERA 110.2IP BB/9=1.8 K/9=9.7 K/BB=5.41
◎コマンド / △球威
4球種でストライクが取れるローテーション下位ポテンシャル。速球は最速でも92マイル止まりだが、コマンド&スピンレートが優秀で。高めの速球とチェンジアップを自在に組み合わせて空振りが奪える。ブレーキングボールは磨いている段階だが、カーブとカッター気味のスライダーを扱うことができる。(A+/2A/3A)2.91ERA 114.1IP BB/9=4.6 K/9=12.0 K/BB=2.58
◯速球 カーブ 奪三振 / △チェンジアップ コマンド
6フィート5の長身でエクステンションを生み出し、リリースの見にくいフォームも生かして多くの空振りを生み出せる。最速96マイルの速球とカーブの2球種がプラスピッチで、チェンジアップの向上にも取り組んでいる。平均以下のコマンドを磨いていけるかが将来を左右するだろう。(2A)119G 465AB 11HR 33BB 111K 15SB .252/.303/.439/.741
(MLB)8G 14AB 0HR 4BB 6K .214/.389/.214/.603
◯メークアップ / △パワー 
16年ドラフト全体1位指名。走攻守と欠点が少ないがプラスのツールもない。19年はキャリアハイとなる11本塁打・長打率.439とパワー向上が見られたが、マイナー4年でOPS.692ではメジャーでレギュラーを張るのは厳しいと言わざるを得ない。第四の外野手止まりと見るスカウトも多い。20年はメジャーデビューを経験。

16.
ニック・マトン(SS)/Nick Maton:24歳
(A+/2A)114G 399AB 7HR 50BB 85K 12SB .266/.349/.376/.725
◯アプローチ 守備 / △パワー
フィル・マトン(インディアンス)の弟。攻守に確実性が高く、少なくともユーティリティーにはなれるだろう。パワーを磨く必要はあるが四球率12.5%とゾーン理解に優れる。メークアップに優れ、守備も平均程度から平均以上に向上した。20年は代替キャンプで年上選手との対戦経験を積んだ。


17.
サイモン・ムジオティ(OF)/Simon Muzziotti:22歳
(A+)110G 425AB 3HR 32BB 60K 21SB .287/.337/.372/.709
◯コンタクト CF守備 / △パワー
19年は投手有利なリーグで健闘し、20年はパンデミックで中止になるまで春季トレーニングに参加していた。細身でパワーレスだが、平均以上のコンタクト力を生かしたギャップヒッター。フライボール率の向上に取り組んでいる。CF守備では広大なカバー範囲を示し、傘下No.1の守備力を誇っている。最低でも守備が計算できるため、第四の外野手にはなれるだろう。

18.ジャマリ・ベイラー(SS)/Jamari Baylor:20歳
(R)4G 11AB 0HR 1BB 2K .273/.333/.455/.788
◯スピード パワー 肩 /△コンタクト 素材型
19年ドラフト3巡目の高卒選手。プラスのスピードを有し、平均以上の打者になれるポテンシャルを秘める。打撃ではヒットツールに不安があるもののバットスピードが速くパワフル。守備では打球反応、肩の強さいずれも平均以上だが、動きや握り替えがやや鈍く、2Bや外野に回るリスクもある。

19.
ベイリー・フォルター(LHP)/Bailey Falter:24歳
(2A)3.84ERA 77.1IP BB/9=1.7 K/9=7.2 K/BB=4.13
◯コマンド / △チェンジアップ
滑らかな投球フォームと6-4/175の体格からポテンシャルを高く評価されている。それでいてマイナー5年でK/BB=4.75とコマンドに優れている。89-93マイルの速球とカーブ主体にゾーンを攻める投球で、チェンジアップは発展途上。

20.
マウリシオ・ルロベラ(RHP)/Mauricio Llovera:25歳
(2A)4.55ERA 65.1IP BB/9=3.9 K/9=9.9 K/BB=2.57
(MLB)36.00ERA 1.0IP BB/9=9.0 K/9=9.0 K/BB=1.00
◯速球 奪三振 / △コンディション不良 球速低下
5-11/200と上背はないが、最速97マイルの速球はパワフル。第2球種のチェンジアップも19年に空振り率26%と効果的。第3球種のスライダーはキレを磨いていく必要がある。19年は前腕の故障により球速低下に悩まされ、後半戦を離脱した。健康にプレーできるかがポイント。20年はメジャーデビューを経験。

Plus One Prospect
ケンドール・シモンズ(2B/3B)/Kendall Simmons:21歳
(A-)51G 171AB 12HR 20BB 54K .234/.333/.520/.854
◯パワー / △守備 コンタクト
空振りの多いプルヒッターでヒットツールに疑問も、ダブルプラス相当のパワーポテンシャルを秘める。フライボール率47.1%のフライボールヒッターぶりからコンタクトが安定するようになれば攻撃型ユーティリティーとして面白いだろう。守備は打撃以上に発展途上で、すでに本職のSSを離れている。フットワーク&ハンドリングいずれも要改善。仮に改善されても平均以下止まりと見られている。

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