2023年2月25日土曜日

2023 PHILADELPHIA PHILLIES TOP 20 PROSPECTS

2023 PHILADELPHIA PHILLIES

TOP 20 PROSPECTS

Andrew Painter

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は23年6月30日見込みのもの。

FV60

(A/A+/2A)1.56ERA 103.2IP BB/9=2.2 K/9=13.5
◎速球 / ◯変化球 コマンド 体格 
22年は「ベースボールアメリカ」のマイナー最優秀投手に輝くなど大ブレーク。高卒2年目、19歳のシーズンで2Aに到達してみせ、23年中のMLB昇格も射程圏内だ
。6-7/215の規格外の体格から平均96.7/最速101マイル・スピンレート2408rpmの速球を主体に、平均から平均以上のスライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜる。また、大柄ながら運動能力も素晴らしく、コマンドもプラス評価。球威、変化球、コマンド、体格全てを兼ね備えたエースポテンシャルだ。
Andrew Painter

FV55

2.ミック・エイブル(RHP)/Mick Abel:21歳
(A+/2A)3.90ERA 108.1IP BB/9=4.2 K/9=10.8
◯速球 3球種 体格 / △コマンド
21年は肩の故障で健康面に不安を示したが、22年はシーズンを通して結果を出した。BB/9=4.2とコマンドは依然として要改善だが、球威、変化球、体格と素質は十分。自慢の速球は21年にStatcastで平均95.4/最速99.2マイル、平均スピンレート2488rmpとMLBトップクラスの数値を記録している。フォームの再現性を高めてコマンド難を脱却できるか。
Mick Abel


FV50

(A+/2A/3A)3.71ERA 87.1IP BB/9=5.5 K/9=13.4
◎速球 / 〇変化球 / ✖コントロール
21年ドラフト5巡目。大学4シーズンで防御率4.84・BB/9=8.8と今一つだったが、プロに入ると覚醒。21年にAで平均95.8マイル/スピンレート2651rmpを記録したライジングファストを主体に、カッター、スライダー、チェンジアップと多彩な球種で打者を圧倒する。球威は申し分ないが、マイナー2年でBB/9=5.4と制球難。ここ10シーズンにおいて、BB/9が4を超えている投手でfWARが3.0(ローテーション3番手級の目安)を超えたのは21年のランス・マカラースだけであり、制球難が改善できなければローテーション下位止まりになる可能性が高い。
Griff McGarry


(R/A)16G 0HR 7BB 15K .241/.609
◎走力 / ◯コンタクト 守備 / △パワー 素材型
球宴4度の名選手カール・クロフォードの息子であり、22年ドラフト全体17位指名でプロ入りを果たした。父譲りの俊足がベストツールで、コンタクト能力を併せて父と同じくリードオフマン適性あり。LF専門だった父に対して、ジャスティンはプラスのCFディフェンダーになれるとの評価。23年はAでフルシーズンデビューの予定だ。

5.
ヨハン・ロハス(OF)/Johan Rojas:22歳
(A+/2A)130G 7HR 42BB 99K .244/.663
〇走力 守備 /△打撃 ゴロ多い
運動能力が高く、走力とCF守備の2つがプラスツール。Baseball prospectusの出す守備範囲指標RDAは22年に+8.0、21年には12.3と大きなプラスを叩き出している。しかし低弾道でゴロ性の打球が多いためヒットツールを疑問視されており、MLBプレーヤーとしてやっていくには打撃面の改善が求められる。それでも昨季のラスト25試合は2AでwRC+136、四球率10.2%/三振率17.6%と改善の兆しを見せた。フィリーズ幹部はロハスのメークアップを買っている。
Johan Rojas


6.ハオイー・リー(2B)/Hao Yu Lee:20歳
(R/A/A+)79G 9HR 43BB 67K .284/.824
◯打撃 / △パワー 肩 2B向き
台湾出身。ヒットツールが武器で、22年はAでwRC+131とよく打ち、リーグの監督が投票する「Best Batting Prospect」に選出された。一方でAでの68試合で平均打球速度86.5マイル&ランチアングル10.5度はいずれもMLB平均以下であり、現時点でのパワー評は平均以下。また走守のツールも平均的な「攻撃型二塁手タイプ」であり、MLBでレギュラーを張るにはゴロを減らしてライナー/フライ性の打球を増やすなどして、パワーナンバーを伸ばしていく必要があるだろう。

FV40

(A)9.00ERA 8.0IP BB/9=3.4 K/9=13.5
◯球威 回転数 / △リリーフ向き? / ✖コントロール
22年ドラフト4巡目。球威は申し分ないが大学3年間でBB/9=4.4とコントロールに課題があるため、プロではリリーフ向きと見られている。平均95/MAX99マイルでスピンレート2600超の4シームに高強度のスライダー&チェンジアップで打者を制圧できる。Aでは3試合共に先発も3回→2回→3回と短いイニングでの起用だった。

8.シモン・ムジオッティ(OF)/Simon Muzziotti:24歳
(R/A/2A/3A)46G 5HR 22BB 38K .249/.744
(MLB)9G 0HR 0BB 2K .143/.393
◯走力 守備 即戦力 / △出場数 パワー
20年はコロナ休止、21年はビザの問題、22年は故障により、ここ3シーズンで75試合の出場にとどまっているが、すでにMLB即戦力である点が強み。平均以上の走守に加えて、打撃はコンタクト寄りだが、平均打球速度89.2マイルとブレークの兆しあり。昨季第四の外野手としてリーグ優勝にも貢献し、オフのトレードでDETへ放出されたマット・ビューリングの枠を狙いたいところだ。

◯パワー / ✖走力 守備
22年ドラフト3巡目。6-4/225の恵まれた体格にパワーポテンシャルを備える。四球率14.6%/三振率17.7%とゾーン管理も良い。一方で平均を大きく下回る走力、平均以下の守備力、大きすぎる体格から将来は1B転向のリスクが高い。走守での貢献は見込めないため、打ちまくることが求められる。
(A+/2A)130G 8HR 33BB 114K .235/.626
◯パワー / △両翼向き アプローチ 
21年ドラフト2巡目。パワーと選球眼を兼ね備えたスラッガー候補として入団したが、プロではアプローチを乱してボール球を打たされ、112試合をプレーしたA+でwRC+73(100が平均)と不振に苦しんだ。また守備位置が外野両翼に限られるため、打てるかどうかに全てがかかっている。アプローチを修正して打撃ポテンシャルを開花できるかが、レギュラー選手に成長できるかを左右するだろう。

11.
ウィリアム・ベルゴラ(SS)/William Bergolla:18歳
(DSL)24G 0HR 11BB 3K .380/.892
◯攻守オールラウンド / △素材型 パワー
22年1月に契約金205万ドルで入団した原石。MLB公式の国際アマチュアFAリストでは4位にランクインしていた。5-11/165と現時点では線が細いが、走攻守にオールラウンドな点を高く評価されている。DSLではwRC+150と順調なデビューを飾っており、今後の成長に期待したい。

FV40-

(R/A)52G 2HR 19BB 49K .236/.638
◯パワー / △素材型 守備 走力
21年ドラフト3巡目の高卒選手で、
完成型はフレディ・フリーマン(LAD)。6フィート4と立派な体格の持ち主であり、現在は二塁打中心だが30本塁打級のパワーポテンシャルを期待されている。平均以下の走力から守備はコーナー向きとされる。まだ来季19歳と若く、フルシーズンデビューする今季次第で評価が大きく変わりそうだ。

13.リカルド・ぺレス(C)/Rickardo Perez:19歳
(R)30G 1HR 7BB 13K .349/.785
◯コンタクト / △素材型 走力
21年に契約金100万ドルで入団した原石。攻守を両立したオールラウンド捕手になり得る可能性を秘めており、RでwRC+121と成績も残した。スムーズなスイングで、小柄ながらバットスピードは素早い。守備では捕球面を磨く必要がある。10位以降の他選手と同様に、Aでのパフォーマンスを見ないと評価は難しい。

14.ニコ・プアカ=グレゴ(2B/3B)/Nikau Pouaka-Grego:18歳
(R)35G 3HR 16BB 16K .301/.890
◯コンタクト / △パワー 守備 素材型
ニュージーランド出身。スムーズなスイングでライナーを量産するヒットマシーンで、22年はRでwRC+152と好デビューを飾った。守備は2Bと3Bをほぼ半分ずつ守った。平均的なパワーと守備評価、Rでの実績しかない点から現時点ではこの位置づけとした。Aでのパフォーマンスを見てから判断したい。
(R/A)11G 0HR 5BB 5K .361/.866
◎走力 /△パワー 素材型
22年ドラフト11巡目ながらオーバースロットとなる契約金で入団した原石タイプの高校生。20-80スケールで70評価の走力が武器で、守備走塁での貢献が見込める。打撃はコンパクトなスイングでゴロ/ライナー中心。現時点ではパワー不足であり、MLBまでの道のりは長く険しい。

(A+/2A)102G 17HR 27BB 120K .271/.815
◯パワー / △コンタクト 守備
身長6フィート8と規格外の体格を備えたパワーヒッター。フリースインガーで荒さが目立つが、22歳のシーズンにして、2AでwRC+119を記録したことを考えればオルティズ(19位)よりも高い評価を与えて良いだろう。守備は外野両翼と一塁を中心にCFでも8試合に出場している。

(A+/2A)3.98ERA 54.1IP BB/9=4.8 K/9=11.9
◯速球 カーブ / ✖コントロール
MAX101マイルの4シームとダブルプラスのカーブのコンビネーションで打者を圧倒するパワーリリーバー。BB/9=4.8とコントロールに課題があるが、セットアップ以上が担える球威は魅力だ。2A昇格後に10.2回/1失点を記録するなど、シーズンが進むにつれて調子を上げており、23年のブレークに期待したい。

18.ハンス・クラウス(RHP)/Hans Crouse:24歳
(3A)13.14ERA 12.1IP BB/9=4.4 K/9=9.5
◯速球 スライダー / △健康面 コントロール
19年のTEXリストで1位にランクインしていた元トッププロスペクトだが、度重なる故障に泣かされている。昨季も上腕二頭筋腱炎で5登板に終わるなど、キャリア6年で100イニング以上を投げたシーズン無し。現実的に考えれば先発は諦めてリリーフとして復活を狙うことになるだろう。

19.フランシスコ・モラレス(RHP)/Francisco Morales:23歳
(2A/3A)4.76ERA 51.0IP BB/9=7.9 K/9=12.4
(MLB)7.20ERA 5.0IP BB/9=10.8 K/9=5.4
◯速球 スライダー / ✖コントロール
速球&スライダーがプラスピッチであり、球威はエース級。しかし制球難が深刻で、22年はリリーフ転向を余儀なくされた。2Aでは30.1回で防御率1.48・FIP1.63・K/9=16.0と支配的な投球を見せたが、3Aでは20.2回で防御率9.58・BB>Kと酷い内容だった。それでも来季23歳とまだ若く、セットアップ以上が狙える選手だ。

(R)2.01ERA 31.1IP BB/9=4.6 K/9=10.1
◯速球 体格 / △素材型 コントロール
キュラソー出身。契約金わずか1万ドルで入団したが、DSL、Rで2年続けて好投を見せている。変化球の精度や制球力など投手としての改善点は多いが、6-3/180の体格から95-98マイルを投げ込むポテンシャルは要注目。

Sleeper Prospects

(2A/3A)4.36ERA 119.2IP BB/9=3.1 K/9=10.0
〇緩急 / △球威
速球の球速帯は90マイル前半と打者を圧倒するような球威は無いが、速球&カーブのコンビネーションを武器に22年は3Aまで到達するなどブレーク。今季の投球次第ではMLBデビューも狙える。

(R/A)4.67ERA 54.0IP BB/9=5.0 K/9=12.2
〇体格 カーブ / △素材型 コントロール
6フィート6/190の恵まれた体格に運動能力も持ち合わせるポテンシャルの高い右腕。90-94マイルで高スピンの速球と高空振り率のカーブ&チェンジアップのコンビネーション。マイナー3年でBB/9=5.6と荒削りで全体的に磨かれる必要がある。

バロン・ラドクリフ(OF)/Baron Radcliff:24歳
(A+)104G 17HR 60BB 163K .237/.790
◎パワー / △守備 走力 / ✖コンタクト
パワーだけならMLBでもトップクラス。昨季は打球速度117マイルの二塁打を放ったが、昨季のMLBで117マイル以上の打球を記録したのは9人だけだった。一方で三振率40.0%とコンタクト難が深刻。それでも7月1日以降はOPS.912、wRC+143と覚醒の兆し。(三振率は36.5%と相変わらず悪かったが…)

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