2023年4月6日木曜日

2023 MILWAUKEE BREWERS TOP 20 PROSPECTS

2023 MILWAUKEE BREWERS

TOP 20 PROSPECTS

Jackson Chourio

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は23年6月30日見込みのもの。

FV60

1.ジャクソン・チョーリオ(OF)/Jackson Chourio:19歳
(A/A+/2A)99G 20HR 32BB 118K .288/.879
 ◎パワー 走力 / △コンタクト
昨季大ブレークを飾り、トッププロスペクトに成長。18歳にして2Aに登りつめた。パワー&スピードを兼ね備えた5ツールCFで、将来像をロナルド・アクーニャやバイロン・バクストン、フリオ・ロドリゲスと比較されている。一方でFanGraphsによると、チョーリオの昨季のコンタクト率は67%とMLBなら最低レベルであり、ポテンシャルを開花させられるかはコンタクト能力の向上が鍵を握るだろう。CF守備ではBaseball Prospectusの出す守備範囲指標RDAで+9.4をマークした。
Jackson Chourio


FV55

2.サル・フレリック(OF)/Sal Frelick:23歳
(A+/2A/3A)119G 11HR 52BB 63K .331/.883
◎スピード コンタクト / △パワー 肩
卓越したコンタクト能力を有するヒットマシーンで、特に3A昇格後は46試合で打率.365・三振率7.4%と素晴らしいパフォーマンス。また、走力の評価も20-80スケールで70と高評価で、昨季は24盗塁を決めた。CF守備は平均からやや平均を上回る程度の評価で、RDAはCFとして+0.8だった。昨季新人王得票3位に食い込んだスティーブン・クワン(CLE)が成功例か。
Sal Frelick


FV50

(2A/3A)127G 21HR 55BB 147K .256/.801
◎肩 / ◯パワー 走力 / ✖コンタクト 
MAX打球速度115マイルを計測したパワー、一塁到達4.2秒の走力、95マイル以上を投げる肩力の3ツールはMLBでもトップクラスで、昨季は21本塁打・31盗塁をマークした。一方で2Aで三振率30.2%とコンタクト能力が赤信号レベル。しかし、3Aでは43試合で三振率19.5%とかなり改善されていたので、この改善が本物であれば大化けする可能性あり。なお、昨季rWARが3.0を超えていた選手で、マイナーでの通算三振率が30%を超えていた選手は一人もいない。
Joey Wiemer

(3A)131G 13HR 65BB 118K .286/.772
◯アプローチ 走力 SS守備 即戦力 / △パワー 
昨季34盗塁(2失敗)の走力&マイナー通算四球率12.9%/三振率18.1%のゾーンコントロールが武器のチャンスメーカー。SS守備も少なくとも平均レベルとの評価で、SSでのRDAは2年続けてプラス(21年4.3、22年1.6)を記録している。昨季は自己ベストの13本塁打・ISO.126をマークしたが、パワーレスは否めない。J.P.クロフォード(一桁HR、四球率10%前後、SS守備プラス、WAR2.0前後)が理想の完成型か。なお、トゥラングの昨季wRC+108に対して、クロフォードは昇格年の17年が3Aで114、15~16年は2Aで2年続けて120以上を記録するなど、マイナーでの打撃成績はクロフォードの方が上である。
Brice Turang


(A/A+)95G 10HR 30BB 76K .286/.780
◯肩 守備 打撃 / △素材型 走力 アプローチ
攻守を両立した捕手への成長が期待されている。アスレチックで機敏な守備動作、柔らかいキャッチング、プラスの強肩から平均以上の捕手になれると評判。ポップタイムは1.9秒を切り、昨季は盗塁阻止率31%を記録した。打撃ではwRC+がAで111、A+で134を記録するなど10代の捕手離れした打撃力を有する。しかしFanGraphsのレポートによると、スイング率57%とフリースインガー傾向が強く、アプローチをトーンダウンしていく必要あり。なお、昨季のMLBで300打席以上立った選手の中でスイング率が57%を超えていたのは13人だけで、全員が四球率6.0%未満だった。

FV45

6.
ギャレット・ミッチェル(OF)/Garrett Mitchell:24歳
(R/2A/3A)68G 5HR 30BB 74K .287/.804
(MLB)28G 2HR 6BB 28K .312/.832
◎走力 / ◯肩 / △ゲームパワー 糖尿病 ゴロ多い
20-80スケールで80評価の走力が最大の武器で、プラスの強肩と合わせて最低でもプラスのCFディフェンダーになれると評判。一方で打撃の評価は分かれる。20ホーマー級のパワーを秘めていると見るスカウトもいるが、極端なダウンスイング&スラップヒットを多用するため、2Aでゴロ率60%、3Aでも57%と実戦でパワーを発揮できていない。また、ホームランバッターでもないのにマイナー通算三振率26.0%と三振の多さも黄色信号。なお、昨季のMLBで300打席以上立ってゴロ率60%以上はギルバート・セレスティーノだけ。打撃能力への不安を払拭できるか。
(A)5.40ERA 1.2IP BB/9=37.8 K/9=16.2
◎速球 体格 / ✖コントロール
22年ドラフト2巡目。6-7/190の長身細身からMAX101マイルを投げ込むポテンシャルの塊。しかし、短大でのシーズンで76イニングを投げて45四球&11死球を許すなどノーコンが致命的。フルエフォートな投げっぷりでリリースポイントが定まらないのが原因とみられる。制球難を克服できればエース級の逸材だが、リリーフ転向のリスクが高い。

8.
ロバート・ギャサー(LHP)/Robert Gasser:24歳
(A+/2A/3A)3.94ERA 137.0IP BB/9=3.4 K/9=11.3
◯スライダー 即戦力 / △球速
ローテーション下位タイプだが、今季中の昇格が狙える技巧派左腕。サイドハンドから平均92マイルの速球と大きく横に滑るスイーパーのコンビネーション。速球とスイーパーが全投球の9割近くを占める。右打者対策として投じるチェンジアップは、平均よりも横に2.4インチ、縦に2.6インチ変化する特殊なボールで、有効に使えるようになれば被OPS.750の右打者も苦にしなくなるだろう。

(A+)64G 4HR 45BB 44K .281/.831
◯打撃 アプローチ / △守備 肩 パワー
21年ドラフト1巡目指名。我慢強さと選球眼を兼ね備える完成度の高い打者。昨季は怪我で64試合の出場にとどまったが、四球率15.9%/三振率15.5%と素晴らしいゾーンコントロールを見せた。一方で平均以下のパワーと守備力から総合的な評価は今一つ。昨季は俊足を生かしてCFとしても経験を積むなどユーティリティー性を高めている。しかし、RDAは2B/CFいずれもマイナスだった。
(R/A27G 3HR 15BB 21K .268/.838
◯コンタクト / △2B向き? 
22年ドラフト全体27位指名。5ツールのバランスがよいオールラウンダーで、一部スカウトはユーティリティー向きとの見立て。打撃ではコンタクト能力に優れ、守備はSSとしては肩力不足も、2Bに専念すればプラスディフェンダーになり得るとの評価。SSから移るのであればパワーナンバーを伸ばさないとレギュラーを張るのは厳しいだろう。

11.
ロバート・ムーア(2B/SS)/Robert Moore:21歳
(R/A)31G 3HR 15BB 30K .248/.735
◯野球IQ / △パワー 2B向き?
22年ドラフト2巡目。元ロイヤルズGMデイトン・ムーアの息子で、身長5フィート9と小柄ながら高い野球IQを備えるソリッドプレーヤー。打撃ではコンタクト能力に加えて、体格に似合わぬパンチ力も秘める。オフに参加したオーストラリアリーグでは40試合で8本塁打・OPS.894をマークした。守備は肩の強さ的にSSよりも2B向きとの見立てだが、守備範囲や運動能力は優秀なため、2Bなら平均以上になれるとの評価。

12.
ルイス・ララ(OF)/Luis Lara:18歳
(DSL)58G 2HR 21BB 28K .260/.726
◯走力 / △素材型 パワー
21年に契約金$1.1Mで入団した原石。身長5フィート9とパワーポテンシャルは期待できないが、コンパクトなスイングでヒットツールが高評価。DSLでは三振率12.2%を記録している。20-80スケールで70評価の走力を有し、CF適性あり。

FV40

13.
アブナー・ウリベ(RHP)/Abner Uribe:23歳
(2A)0.00ERA 3.0IP BB/9=12.0 K/9=12.0
◎速球 スライダー / ✖コントロール
制球が改善されればクローザーポテンシャル。MAX103マイルの4シームと80マイル後半のスライダーはいずれも強烈。レギュラーシーズンは2試合の登板にとどまったが、オフのAFLでは10回1失点14K、今年の春季トレーニングでも5回無失点6Kと好投を見せている。開幕は2Aで迎えるが、今年の出来次第では早期昇格もあるだろう。

14.カルロス・ロドリゲス(RHP)/Carlos Rodriguez:21歳
(A/A+)3.01ERA 107.2IP BB/9=3.3 K/9=10.8
◯球種 コントロール / △球威
速球は92-94マイル程度だが、多彩な球種をコントロールよく投げ分ける技巧派。中でもシュート方向に大きく曲がるチェンジアップがベストピッチ。打者を圧倒するタイプではなく、ローテーション下位かミドルリリーフが適性との見立て。比較対象はユスメイロ・ぺティート(元SF他)やエラスモ・ラミレス(WSH)あたりだろう。今春のWBCではニカラグア代表としてプエルトリコ戦に先発して4回2安打1失点の好投。
(R/A)3.95ERA 13.2IP BB/9=4.0 K/9=15.1
◯チェンジアップ / △耐久面 体格 
21年ドラフト4巡目。短大のワールドシリーズでは2勝を挙げる活躍でMVPを獲得した。低いリリースポイントから90マイル前半のライジングファストボールと落差大のチェンジアップでゾーンの高低を揺さぶる。22年は肘の手術により13.2回のプレーにとどまった。23年のブレーク候補にも挙げられる右腕だが、まずは健康に1シーズン投げられることを証明したい。

16.
パトリシオ・アキーノ(RHP)/Patricio Aquino:20歳
(R)4.72ERA 34.1IP BB/9=4.2 K/9=12.8
〇スライダー / △体格 素材型 コントロール
身長6フィート0とアンダーサイズだが、低リリースからMAX96マイルのライジングファストと大きく曲がるスイーパーのコンビネーションは要注目。左打者には外に逃げるチェンジアップも扱える。現段階では素材型にすぎないが、投げるボールの質は目を見張るものがあり、数年後の成長に期待したい。

17.
ユジャンヤー・ヘレーラ(RHP)/Yujanyer Herrera:19歳
(R/A)6.48ERA 58.1IP BB/9=3.5 K/9=8.5
◯速球 スライダー / △素材型 コントロール
6-3/175のガッシリ体型からMAX96マイルの速球とパワフルで切れの良いスライダーのコンビネーション。A昇格後は14.2回で13四球を許すなどコントロールに不安があり、さらに上下動の大きいフォームも含めてリリーフ向きか。まだ若く、今後どれだけ磨かれるかで評価は変わってくるだろう。
(A)105G 5HR 62BB 70K .244/.675
◯コンタクト / △素材型 両翼向き パワー ゴロ多い
21年1月に80万ドルで契約の原石。18歳ながらAで四球率13.9%/三振率15.7%をマークした優秀なゾーンコントロールを有し、6-3/175と体格的な伸びしろも見込める。しかし、グラウンドボール率62%、平均ランチアングル-4度とゴロヒッターぶりが顕著で、ゲームパワーを発揮できていない。ダウンスイングを改善してパワーナンバーを伸ばせるかが評価を分けるだろう。守備は強肩でRF向き。

FV40-

19.
ジャドハー・アレイナーモ(SS)/Jadher Areinamo:19歳
(R/A/A+)69G 1HR 28BB 41K .288/.744
◯コンタクト / △素材型 / ✖パワー 
バットを大きく揺らす癖の強い打撃フォームをしているが、コンタクト能力の高さが武器。Aでは打率.299・三振率12%と強みを発揮した。5-8/160と小柄でパワーはからっきしだが、軽快に内野3ポジションをこなせる守備力も併せてユーティリティー向きか。

20.ジェイス・アビーナ(OF)/Jace Avina:20歳
(R/A)64G 15HR 27BB 93K .272/.948
◯パワー / ✖コンタクト
Rでは10本塁打・OPS1.067の大活躍でリーグのMVPを獲得。豪快なアッパースイングで長打を量産するパワーが最大の武器で、走力&肩力も平均以上。しかし、Rで三振率34.2%、Aでも35.3%というコンタクト難が致命的。三振率が30%を超えている選手で大成した選手はほとんどおらず、現実的には厳しいだろうが、高卒でまだ若く、今後の改善に期待したい。

Sleeper Prospects

(A)3.39ERA 116.2IP BB/9=4.2 K/9=11.0
◎スライダー / △球速 コントロール 体格
今オフにジャスティン・トーパとのトレードでSEAから獲得した右腕。昨季Aでリーグトップの防御率3.39・143奪三振・被打率.193をマークする活躍でリーグの最優秀投手に選ばれた。サイドハンドから繰り出すスイーパーがダブルプラスのマネーピッチ。5フィート11と小柄な体格、90マイル前半止まりの球速、マイナー4年でBB/9=4.6の制球面が先発投手としてはハードルか。

スティーブン・クルース(RHP)/Stiven Cruz:21歳
(A/A+)
3.74ERA 91.1IP BB/9=2.4 K/9=10.7
◯カーブ 伸びしろ / △素材型
昨季20歳ながらAでK/BB=4.94、A+昇格後は4先発で防御率0.47をマーク。さらに6-2/165の長身細身な体格からアップサイドも期待できる先発候補。90マイル前半の速球とキレの良いカーブのコンビネーション。ビルドアップを経て球速が数マイル伸びれば面白いだろう。

(R)11G 1HR 7BB 8K .375/ 1.075
◯パワー / △素材型 / ✖守備走塁
当時高校生ながら、大学生向けのサマーリーグに参加し16試合で打率.404・4本塁打・OPS1.214をマークする活躍でスカウトの評価を上げ、ドラフト12巡目でプロ入り。6-4/210のガッシリとした体型の選手で、パワーとアベレージを両立した打撃面の評価が高い。一方で、平均を大きく下回る走力から三塁に残るには難しいだろうとの見立て。一塁や外野両翼への転向が既定路線か。

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