2023年2月23日木曜日

2023 NEW YORK METS TOP 20 PROSPECTS

2023  NEW YORK METS 

TOP 20 PROSPECTS

Francisco Alvarez

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は23年6月30日見込みのもの。

FV60

1.フランシスコ・アルバレス(C)/Francisco Alvarez:21歳
(2A/3A)112G 27HR 70BB 123K .260/.885
(MLB)5G 1HR 2BB 4K .167/.786
◎パワー / △守備 アプローチ / ✖走力
打撃の荒さは気になるが、捕手で30本塁打以上が狙えるパワーが魅力。22年は2A/3Aで自己最多の27本塁打、純粋な長打力を示すISOは.254と申し分なし。あとは打席での辛抱強さを身に着けてMLBレベルの投手に対応していきたい。捕手としての守備力は発展途上だが、肩の強さは及第点であり、捕手に残れれば打撃面でかなりのアドバンテージを得られるだろう。将来像の比較対象はゲーリー・サンチェス(MIN)か。
Francisco Alvarez


FV55

2.
千賀 滉大(RHP)/Kodai Senga:30歳
(NPB)1.94ERA 144.0IP BB/9=3.1 K/9=9.8
◯速球 スプリット 即戦力 / △コマンド
ポスティング制度により5年$75MでNYM入り。平均96マイルの速球と落差抜群のスプリットのコンビネーションで三振の山を築く。一方でNPB通算与四球率9.3%とコマンド面にやや不安要素あり。先発ローテーション3番手クラスの活躍が見込まれており、FanGraphsの成績予測システムZiPSでは、140イニングを投げて防御率3.46・WAR2.5となっている。
(2A/3A)95G 19HR 49BB 104K .315/.943
(MLB)11G 2HR 2BB 8K .184/.586
◯打撃 肩 パワーポテンシャル / △ゴロ多い 3B守備
19年ドラフト全体12位指名。洗練されたピュアヒッターで、バレル性の打球を量産できる。平均打球速度91マイルとパワーポテンシャルを秘めており、課題だったゴロ率も前年の55%から43%に改善させるなど実戦でもパワーを発揮できるようになりつつある。ポップアップの打球割合は昨季2Aで1.3%、21年も1%台とミスショットが非常に少ないのが特徴。フライボールの比率を増やして長打の供給量を増やせるかがポイントだろう。
Brett Baty


FV50

4.
ケビン・パラダ(C)/Kevin Parada:21歳
(R/A)13G 1HR 12BB 13K .275/.880
◯打撃 パワー / △守備
22年ドラフト全体11位指名の攻撃型捕手。22年は大学での60試合で打率.361・26本塁打・三振率10.5%・四球率9.8%と圧倒的な打棒を見せつけた。広角にフライボールを量産できるヒットツールがプラス評価で、パワーも平均以上の評価。一方で捕手としての守備力に疑問を持たれており、守備力は平均以下の評価にとどまっている。

(A/A+)121G 11HR 44BB 122K .281/.782
◯パワー 肩 / △素材型 アプローチ 
19年に契約金205万ドルで入団の大型ドミニカン。ダイナミックな5ツールCFで、中でもパワーツールが高評価。19歳のシーズンながらAでwRC+129、A+で106と健闘を見せた。トラッキングシステムが搭載されているAにおいて全体のスイング率51.5%(MLB平均48%)、ボール球スイング率39.9%(同31.6%)とフリースインガー傾向があり、特に高めのボール球を振ることが多い。選球眼やアプローチ面を磨いていけば、よりパワーナンバーを供給できるようになるだろう。走守のツールは平均以上だが、Baseball Prospectusの総合的な守備指標DRPは-10.3とCFに残るには特訓が必要か。

(R)10G 1HR 4BB 6K .250/.803
◯コンタクト 走力 / △パワー 2B向き? 素材型
22年ドラフト全体14位指名の高卒野手。身長5フィート8と小柄ながらコンタクト&走力がプラス候補のリードオフポテンシャルで、ダスティン・ペドロイア(元BOS)と比較されている。パワーもピーク時には15-20本塁打を狙えると見るスカウトも。守備はペドロイア同様にMLBではSSよりも2Bが適任と見られている。

FV45

(R/A)1.93ERA 9.1IP BB/9=6.8 K/9=10.6
◯速球 スライダー / △耐久面 コマンド
22年ドラフト2巡目。Statcastが搭載されているAでは、速球が平均95.9マイル/縦変化10.85インチ(平均9.1)、スライダーが横変化4.97/縦変化2.76インチ(平均は3.1/1.1)を記録するなど凄まじいボールのポテンシャルを披露した。ライジングファストボールと真横に大きく滑るスイーパーのコンビネーションは現代野球のトレンドであり、加えてカッター、カーブ、チェンジアップもバランスよく扱う。あとはコマンドを安定させられるか。
Blade Tidwell

8.ロニー・マウリシオ(SS)/Ronny Mauricio:22歳
(2A)123G 26HR 24BB 125K .259/.767
◎パワー / 〇肩 / △走力 3B向き? / ✖アプローチ
22年は2Aで「20-20」を達成。フリースインガーで四球率4.4%とヒットツールは黄色信号だが、ISO.212とSSとしては破格のパワーポテンシャルを秘める。しかし26本塁打を放ちながらも、総合的な打撃の貢献度を示すwRC+は104と平均をわずかに上回る程度にとどまっており、選球眼を磨いて出塁率を上げられないと打者としての価値は頭打ちだろう。SS守備ではBaseball Prospectusの出す守備範囲指標RDAが前年の13.0から-7.8に大幅ダウン。強肩を生かせる3Bが適性との見方も。
Ronny Mauricio


(3A)101G 24HR 44BB 122K .280/.877
◯パワー 肩 / △走力 3B守備
広角に長打を打てるパワーが武器で、MLBでは24打球という限られたサンプルではあるが、平均打球速度93.3マイル/ハードヒット率45.8%とパワーポテンシャルを披露した。大振りで三振が多く、高打率は望めないだろうが、MLBでも30ホーマーを狙えるポテンシャルだ。3B守備では、RDAが3年続けてマイナスとなっており、1B転向が目されている。理想の完成型はライアン・マウントキャッスル(BAL)、現実的なラインはJ.D.デービス(SF)か。

10.マイク・バシル(RHP)/Mike Vasil:23歳
(A/A+)3.53ERA 71.1IP BB/9=3.3 K/9=10.7
◯回転数 4球種 / △実績
21年ドラフト8巡目。速球、カッター、カーブはいずれも高スピンで高い空振り率を記録しており、また左打者にはチェンジアップも交えるなど4球種をコマンド良く扱えるハイスペックな右腕。速球は平均94.2マイル/2429rpm、カッターは回転による変化方向と実際の変化方向の差が28度とSSWが大きく、カーブは2682rpm/縦変化-7.26と落差が大きい点が特長で、きっかけをつかめばローテーション半ばクラスの投手に成長し得るポテンシャルだ。

(A)4.44ERA 46.2IP BB/9=6.8 K/9=13.5
〇速球 変化量 / △素材型 コントロール チェンジアップ
21年ドラフト2巡目の高校生。シュート方向に鋭く伸び上がるライジングファストボールと縦に大きく曲がるカーブのコンビネーションでゾーンの上下を攻め、K/9=13.5をマーク。4シームが11.28インチ(平均9.1)、カーブが-8.8インチ(平均4.5)と平均を大きく上回る縦変化量を記録した。また第3球種としてスプリットを全投球の14.0%を織り交ぜた。先発に残るにはフォームを固めてコントロールを改善していきたい。

12.ドミニック・ハメル(RHP)/Dominic Hamel:24歳
(A+/2A)3.25ERA 119.0IP BB/9=4.1 K/9=11.0
◯回転数 / △コントロール 球速
21年ドラフト3巡目。平均92.5マイルながらスピンレート2459rpm/縦変化10.66インチのライジングファストボールで空振りを量産する。第2球種のスライダーも2814rpmと高スピンで、チェンジアップやカーブも織り交ぜる。左打者も苦にしないが、先発に残るには与四球の多さを改善する必要がある。平均以下の球速も含めてローテーション半ばというよりは、スイングマン~ミドルリリーフ向きか。

FV40

(A)5.86ERA 55.1IP BB/9=4.1 K/9=8.3
◯速球 / △素材型 コントロール
21年1月に契約すると、DSLで防御率0.54と好デビュー。22年はRをすっ飛ばしてAでプレーした。防御率は5.86と振るわなかったが、BABIPが.340と高すぎたこともあり、FIPは4.79といくらかマシだった。リーグ平均よりも4.0歳若かった点を考慮すれば、そこまで悲観する必要はないだろう。平均93.7マイルの速球を軸にキレの良いカーブ&横に大きくフェードするチェンジアップのコンビネーション。全投球の58%を速球が占めており、変化球の制球を安定させられると投球の幅が広がるだろう。

14.ヘズス・バイエズ(SS)/Jesus Baez:18歳
(DSL)54G 7HR 26BB 46K .242/.744
〇パワー 肩 / △素材型 アプローチ
22年1月にプロ入りし、DSLでは早速7ホーマーを放つなど自慢のパワーを披露した。プルヒッター傾向が強く、上位レベルの投手に対応するためにはアプローチの荒さを取り除いていく必要があるだろう。守備ではプラスの強肩を有するが、体格の成熟にともない、いずれは3Bへの転向が既定路線だ。

15.
ルイス・ロドリゲス(LHP)/Luis Rodriguez:20歳
◯速球 スライダー / △素材型 TJ手術明け
22年はTJ手術で全休したが、高いポテンシャルを秘めており、23年シーズンのブレークに期待したい左腕。21年にAで平均94.4/最速97マイルを計測した速球&スピンレート2865rpm/横変化-6.56インチ(左投手平均-2.8)と変化量大のスライダー。まずは健康に復帰できるか。
(R/A)4.15ERA 8.2IP BB/9=2.1 K/9=13.5
◯速球 3球種 / △素材型 TJ手術明け
TJ手術のリハビリにより4登板にとどまったが、速球は平均93.9マイル/スピンレート2407rpmを計測するなど術前よりも成長して帰ってきた。第2球種にはブレーキの利いたチェンジアップを投じ、少ないサンプルながら空振り率47.6%(10空振り/21スイング)をマーク。第3球種のカーブも2610rpmと高スピンでよく曲がる。ボールは良いだけに23年のブレークに期待したい。

17.ホセ・ブットー(RHP)/Jose Butto:25歳
(2A/3A)3.56ERA 129.0IP BB/9=3.1 K/9=9.6
◯チェンジアップ / △カーブ リリーフ向き?
22年は3Aでの8登板(7先発)で36.2回を投げて防御率2.45と結果を出し、MLBデビューも経験した。93-95マイルの4シームと傘下ベストとも評されるチェンジアップのコンビネーションでゾーンを積極的に攻める。ブレーキングボールの質が平凡なため、先発よりもマルチイニングリリーバーの方が輝けるか?

(A+)4.47ERA 116.2IP BB/9=3.4 K/9=8.1
◯シンカー / △コマンド チェンジアップ
93-95マイルのシンカーが武器で、22年はグラウンドボール率58.7%を記録した。ゴロを打たせるのが上手いため、HR/9=0.31と被本塁打が少なく、FIP3.49は防御率と比べてかなり良かった。リーグ平均よりも3歳若かった点も考慮すれば、健闘したと言えるだろう。第2球種のスライダーは真横に小さく曲がる特殊な軌道で空振りを奪える平均以上のボール。コマンド&チェンジアップの質向上が先発残留の鍵となるだろう。

19.レヨネル・オバレス(RHP)/Layonel Ovalles:20歳
(R/A)4.05ERA 46.2IP BB/9=3.3 K/9=12.7
◯回転数 チェンジアップ / △素材型
Rで29.1回を投げて防御率2.76・K/BB=8.80・FIP1.44と好投。Aでは年上選手を相手に打ち込まれたが、K/9=11.4と空振りは取れていた。オーバースローから平均93.6マイル/2531rpmの4シームを軸に、キレの良いチェンジアップ&カーブで仕留める。特にチェンジアップは4シームよりも横に4.8インチ(19-21年のMLB平均は3.2インチ)滑る特殊な軌道を描き、Aで空振り率41.4%を記録した。

(A/A+)122G 13HR 44BB 139K .245/.725
〇パワー 肩 / △コンタクト
21年ドラフト4巡目。荒っぽいが、パワーと強肩を兼ね備えたダイナミックな外野手。Aでは平均打球速度89.8/MAX113.3マイル、ハードヒット率40.4%と実戦でもパワーを発揮。一方で極度のアッパースイングであるため、低めには強いが高めの速球に苦戦している。守備ではCF相応の走力を有し、自慢のレーザービームで18個の補殺を記録した。守備範囲指標のRDAは-0.9だったが、OFA(補殺による失点阻止評価)は+9.4と大きくプラスを叩き出した。現中日のアリスティデス・アキーノが完成型か。

Sleeper Prospects

タイラー・スチュアート(RHP)/Tyler Stuart:23歳
(R/A)9.82ERA 3.2IP BB/9=7.4 K/9=17.2
◯シンカー スライダー / △先発経験
22年ドラフト6巡目。6-9/250の巨漢と、大学ではリリーフも先発適性を見せている点からタイラー・メジルと比較されている。シンカー&スライダーをコントロールよくゾーンに集める投球スタイル。Statcastが搭載されているAでは、シンカーが平均94.3マイル/横変化量-10.23インチ(右投手の平均は-8.8)を記録した。またスライダー
は、実際の変化軸と回転数による変化軸の差が67度を記録するなどSSWが大きいボールと見られる。

ルイス・モレノ(RHP)/Luis Moreno:24歳
(A/A+)2.84ERA 117.1IP BB/9=3.3 K/9=8.2
◯シンカー カーブ / △第3球種
90イニング以上投げた投手の中では傘下トップとなる防御率2.84とブレーク。沈みの大きい平均93.9マイルのシンカー&平均スピンレート3004rpmで変化量の大きいカーブのコンビネーションで、AでGB%=61.1%、A+で55.2%とゴロの山を築いた。第3球種のチェンジアップは1%未満の投球割合にとどまっており、リリーフ転向が濃厚か。

(A/A+)112G 14HR 50BB 117K .263/.779  
〇パワー / △コンタクト
パワーと選球眼を兼ね備えており、A/A+でwRC+121と平均以上の成績を収めた。Statcastが搭載されているAでは平均打球速度88.5マイル/ハードヒット率41.5%を記録するなど、実戦でパワーを発揮。スイング率は50.9%と平均以上ながら、ボール球スイング率を30.9%(MLB平均は32%)に抑えるなど見極めも悪くない。しかし、高めの速球の対応に苦戦しており、そこが治ればもう少し三振を減らせるだろう。

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