2024年12月30日月曜日

2025 LOS ANGELES DODGERS TOP 15 PROSPECTS

2025 LOS ANGELES DODGERS

TOP 15 PROSPECTS

2025 ロサンゼルス・ドジャース プロスペクトランキング
Dalton Rushing

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV55

1.
ダルトン・ラッシング(C/OF)/Dalton Rushing:24歳
22年ドラフト2巡目指名。30ホーマー級のパワーと優秀な選球眼を有する攻撃型捕手で、24年は2A/3Aで打率.271・26本塁打・OPS.896をマーク。四球率12.7%/三振率20.5%とゾーン管理の巧さが光る。statcastデータが得られる3Aでの成績に着目すると、上位10%打球速度105.6マイル、バレル率10.4%はいずれも平均以上。また、ゾーン中心部のスイング率は80.5%と平均を大きく上回りながら、チェイス率19%は平均よりも低かった。長打力と判断力を兼ね備えていることが良く分かる。捕手守備も盗塁阻止率30%を記録するなど平均レベルに育ちつつあるが、ウィル・スミスにポジションを阻まれているため、3A昇格後は主にLFを守った。平均レベルの走力を持っており、無難にこなせるだろうとの評価。
Dalton Rushing


FV50

2.
リーバー・ライアン(RHP)/River Ryan:26歳
大学では内野手兼リリーフの二刀流プレーヤーだったアスリート右腕。スムーズなメカニクスから平均96マイルのライジングファストとプラスのスライダーを投球の軸に、カッター&カーブ&チェンジアップ&シンカーいずれも平均以上のポテンシャルを秘めるスペックの塊だ。24年はMLBデビューし4先発で防御率1.33と好投も、8月下旬にTJ手術。25年は全休の見込みだ。スペックはエース級だが、27歳シーズンまで実績ゼロ&耐久面に不安という点がキャリアにどう響くか。ジェーコブ・デグロムのような遅咲きキャリアもあり得る。

走攻守揃ったオールラウンダータイプ。打撃は辛抱強いアプローチと全方向にラインドライブを打ち分けるバットコントロールが武器。24年はA+/2A/3Aで出塁率.387/18HRをマーク。足も速く、マイナーで4人しかいない30二塁打&30盗塁を達成した。守備はSSに定着できるだけのツールと技術があるが、2Bや3Bとしても経験を積んでおり、ユーティリティー性も期待できる。
Alex Freeland


4.ヨシュア・デパウラ(OF)/Josue De Paula:20歳
22年1月に39万ドルで入団のパワーヒッター候補。
パワーと打撃技術を両立しており、LF/DH向きの守備能力と合わせて理想の完成型はヨーダン・アルバレス(HOU)か。24年は19歳ながらAでwRC+125、A+で136と年上選手を相手に健闘。四球率17.5%/三振率19.8%と10代とは思えないほど成熟したアプローチを見せており、打球角度が安定してくればプラスのパワーをより発揮できるようになるだろう。27盗塁(成功率90%)を決めたが、走力は平均以下で、長期的には守備走塁での貢献は見込めないだろう。


5.ジャクソン・フェリス(LHP)/Jackson Ferris:21歳 
22年ドラフト2巡目の高卒左腕。マイケル・ブッシュとのトレードでCHCから23年オフに加入した。93-95マイルの伸びのある4シームと80マイル台中盤の鋭いスライダーを軸に、70マイル台のカーブにチェンジアップ&カッターと第3球種以降も豊富だ。24年は20歳ながらA+で20先発して奪三振率29.2%/FIP2.98をマークし、2Aでも7登板した。腕のストロークに癖があり、コントロールの改善が課題。

ブッシュのトレードでフェリスと共に加入した原石。10代離れしたパワーと選球眼を兼ね備えており、肋骨骨折により約3か月の離脱があったものの、Aでは上位10%打球速度108マイル/四球率14.9%と強みを発揮。wRC+は144をマークした。スプリント速度は平均以上だが、トップスピードに乗るまでの時間が長く、守備や盗塁に活かされていない。シーズンはLFをメインに守ったが、オフのAFLは全試合CFで出場した。

23年に契約金207万ドルで入団の原石。パワー、スピード、守備力すべてを兼ね備えた大型SS候補。23年はDSLでwRC+149、24年はRで129と順調に成長しており、来季満を持してAでフルシーズンデビューの予定。パワフルな打撃が最大の魅力だが、荒い部分が多く、上級の投手への対応を学ぶ必要があるだろう。SSに必要な資質を有するとされるが、6フィート4の大柄な体格から将来的には3B等へ転向される可能性もある。


FV45

元々捕手として契約したが、俊足と運動能力を生かすためプロでは外野に転向。24年はRでの56試合で打率.330/四球率17.6%/wRC+142と素晴らしい成績を収めた。コンタクト&アプローチに優れ、打球速度も優秀なため、将来的にはパワー面も期待が持てるだろう。31盗塁を決めるなど盗塁も稼げる。CF守備では、俊足を生かした広大な守備範囲と通算95試合で13補殺を記録した強肩を持ち合わせ、プラスディフェンダー候補。

9.エミル・モラレス(SS)/Emil Morales:18歳
24年1月に190万ドルで契約したスペイン生まれの原石。成熟したアプローチとパワーポテンシャルを兼ね備え、DSLでは打率.342/14本塁打/wRC+192の活躍でMVPを獲得した。現在はSSを守っているが、ドッシリとした体型と平均以下の走力から3B転向が目されている。野球IQや勤勉性も高く買われている。

10.ケロン・リンジー(SS)/Kellon Lindsey:19歳
24年ドラフト1巡目の高卒SS。20-80スケールで80評価のスピードが最大の武器で、コンパクトなスイングやSSとしての守備力にやや疑問を持たれている点をも含めて、若き日のトレイ・ターナーと比較されている。高校ではアメフトのクオーターバックとの二刀流だったため、野球に専念した環境でどれだけ伸びるか。プロ入り後は10ポンドの増量に成功し、打撃スイングや守備動作のメカニクス調整を行った。

11.エドガルド・エンリケス(RHP)/Edgardo Henriquez:23歳
彗星のごとく現れた剛腕リリーバー。TJ手術から復帰すると最速103.5マイルを計測するなどマイナーで100マイル超えの速球を武器に活躍。一躍MLBデビューを飾った。平均99マイルの速球に95マイルのカッター、90マイルの縦スライダーのコンビネーションで打者をねじ伏せる。クローザーポテンシャルだ。

ドラフト後にメキメキと力をつけ、24年はついに大台である100マイルに到達。MLBデビューし36.1イニングを投げた。平均95マイルの4シームとカッター/スライダーがMLBレベルの球種で、少なくともリリーフの駒にはなれそうだ。昨季16被弾のうち15本が対右打者だったので、先発ローテーションに定着するには右打者対策が課題か。

13.チャン・ヒュンソク(RHP)/Hyun-Seok Jang:21歳
韓国ドラフトで1位指名が予想されていたが、米球界挑戦を決意。23年夏に90万ドルでLAD入りを果たした。荒削りではあるが、6-4/200の恵まれた体格から90マイル後半の4シームを軸に、スライダー、カーブ、チェンジアップとどの球種でも空振りが奪える潜在能力の高さが魅力。まずはコントロールを磨いていくことが求められる。


FV40

14.コ・チンシェン(OF)/Ching-Hsien Ko:19歳
台湾出身の大型原石。台湾人の父と南アフリカ人の母のハーフで、6-3/215の強靭なフィジカルに5ツールを併せ持つ。23年夏のU-18杯では打率.550の活躍でチームを準優勝に導き、24年6月に契約金65万ドルでLAD入りした。25ホーマー相当のパワーポテンシャルにCF/RF向きの守備プロフィール。DSLでは9試合のみの出場だったが、プロ1号を放ち、OPS.898をマークした。

15.サミュエル・サンチェス(RHP)/ Samuel Sanchez:19歳
23年1月にわずか契約金1万7500ドルで契約したが、そこから急成長。80マイル台半ばだった球速がMAX97マイルまで伸びた。キャリー成分の強い4シームとプラスピッチ候補のチェンジアップを軸に、まだ精度は低いがスライダー&カーブも投じる。24年はRでFIP4.06/奪三振率29.5%/与四球率5.0%と好投し、チームの優勝に貢献。Aデビューも果たした。5-11/150という小柄な体格から先発としての耐久性に疑問。

Notable Prospects

23年は高卒1年目にしてAで防御率2.04/奪三振率30.2%と好投。しかし、24年はコマンドに苦しみ、A/A+の19先発で防御率3.75/奪三振率17.1%と後退。90マイル中盤のライジングファストと80マイル後半のスライダーのコンボはパワフルであり、コマンドを改善できればローテーション半ば級のポテンシャルだ。

チェイス・ハーラン(3B)/Chase Harlan:18歳
24年ドラフト3巡目。クレムゾン大学への進学を蹴り、オーバースロットとなる契約金約175万ドルで入団。6-3/205とガッシリ体型のスラッガーで、パワーがプラス評価。現BAL有望株コビー・メイヨを彷彿とさせる。コンタクト能力と3B守備が欠点。

ロマン枠。23年ドラフト4巡目の右腕で、6フィート6の巨体からMAX101マイルを投じる。スライダー、カッター、チェンジアップと変化球も切れるが、制球難が致命的。オフのAFLでは8.2回で14K/1BBと印象的なパフォーマンスを披露した。

ロマン枠②。大学3年間で防御率6.30と結果を出せなかったが、ポテンシャルを買われて23年ドラフト7巡目でプロ入りした。6-6/220の迫力ある体格から90マイル中盤の速球を投げ下ろす。4シーム、カッター、スライダーのパワフルなレパートリー。上下動の激しい投球フォームをしており、コントロールが不安定。


2024年12月28日土曜日

2025 COLORADO ROCKIES TOP 15 PROSPECTS

2025 COLORADO ROCKIES

TOP 20 PROSPECTS

2025 コロラド・ロッキーズ プロスペクトランキング
Chase Dollander

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV60

1.
チェイス・ドーランダー(RHP)/Chase Dollander:23歳
23年ドラフト全体9位指名。ドラフトイヤーの不調で評価を落としたが、24年は完全復活。A+/2Aで計23先発して防御率2.59/FIP2.92/奪三振率33.9%/与四球率9.4%をマークした。低リリースから繰り出される平均96/最速100マイルのライジングファストと80マイル後半の高速スライダーで打者を制圧する。カーブ&チェンジアップも効果的に織り交ぜることができる。球威、球種、制球力、耐久性とエースにふさわしい資質を兼ね備えている。
Chase Dollander


FV55

24年ドラフト全体3位指名。トライアウトを受けて大学の野球部に入部し、1年時は公式戦未出場だったが、そこから大学屈指のスラッガーに成長。24年は全米トップとなる打率.433・37本塁打・OPS1.565をマークし、大学MVPに当たるゴールデンスパイク賞を受賞した。プロ(A+)では25試合という小サンプルではあるが、打率.180/三振率31%とコンタクト面で苦戦。また守備も3Bとしては機敏さに欠けるとの評価で、LFや1Bに回る可能性が高い。

 

FV50

平均以上のコンタクト能力とスピードで得点貢献できる攻撃型二塁手。24年は不調で評価を落としたが、それでも6月以降は2Aで出塁率.353/ISO.183と持ち前の出塁能力の高さとパンチ力を発揮。wRC+は130をマークした。前半戦の不調はBABIPによる不運(5月まではBABIP.200、6月以降は.302)も要因にあったと考えられる。守備力は平均以下との評価で、昨季まではSSメインだったが、24年は2Bに本格転向。2Aでの94試合で16失策を喫したが、Baseball Prospectusの出す守備指標DRPは+2.0と優秀だったので、守備範囲自体はまずまずといったところか。
Adael Amador

FV45

4.コール・キャリグ(UTL)/Cole Carrigg:23歳
23年ドラフト2巡目。プロ入り後に打撃覚醒の片鱗を見せている身体能力お化け。プラスのスピード&ダブルプラスの強肩を武器にC、SS、CFをハイレベルでこなせるユーティリティー性が最大の武器。大学通算133試合で7本塁打と打力はそこまでではなかったが、24年はA+で16本塁打/wRC+132と覚醒の兆し。打撃技術に未熟さはあるが、スラリとした長身でパワー向上の余地あり。

キューバ出身で、同じくキューバ出身の怪物打者であるヨーダン・アルバレス(HOU)と重なる雰囲気があるスラッガー候補。23年にA+でwRC+148、24年は2AでwRC+120と結果を出し、21歳シーズンで3Aまで昇格した。一方で何でも振りに行くアプローチは要改善。選球眼を磨けば30本塁打以上も狙えるだろう。守備走塁の能力は平均以下で、打撃の出来がすべてを左右する。

6.ロベルト・カラス(OF)/Robert Calaz:19歳
23年1月に170万ドルで契約したドミニカ共和国出身の原石。ダブルプラスのパワーポテンシャルとCFに残り得る守備力(最終的にはコーナーが適任か)を併せ持つ。23年にDSLでRC+155と順調なデビューを飾ると、24年はRで打率.349・10本塁打・45打点・wRC+173の活躍で三冠王&リーグのMVPを受賞。Aでも13試合でwRC+145とよく打った。アグレッシブすぎるアプローチを改善していきたい。
22年ドラフト4巡目。22年ドラフト組の大学生ではNo.1ディフェンダーとの呼び声高い守備職人で、俊足と強肩を生かした広大な守備範囲が魅力。打撃はプルヒッティングを得意としており、2Aでの91試合で7本塁打/wRC+126をマーク。しかしフリースインガー傾向のアプローチが欠点。不動のレギュラーというよりも下位チームのレギュラーor守備型ユーティリティー向きか。

8.ドリュー・ロモ(C)/Drew Romo:23歳
20年ドラフト全体35位指名。ゴールドグラブ級の守備力が最大の武器で、リーダーシップや野球IQも◎。24年は送球精度の向上に努め、盗塁阻止率が前年の19%から29%に大幅アップ。課題とされてきた打撃も3AでwRC+104をマークし、3年連続でwRC+100超え。コンタクト能力の高さが強みだが、パワーレス&フリースインガーな点がネック。MLBでは53打席で打率.176・0本塁打・三振率34%と苦しんだ。ボールの見極めを磨いてMLBの投手に対応したい。
20年ドラフト全体9位指名の高卒選手。ドラフト時にカイル・タッカー(HOU)と比較された大器も、プロでは度重なる故障で評価を落としている。24年は2Aで36試合/wRC+135をマークしたが、約3か月の欠場があり、リハビリ含め65試合の出場にとどまった。打者としては選球眼の良さが強み。24年はアッパースイング気味のスイングに変更し、ゴロ率が減少し、長打数を増やした。しかし依然として平均以下の打球速度から将来的なパワーポテンシャルには疑問が持たれている。走力は平均的だが盗塁技術に長けており、通算343試合で134盗塁(162試合換算で63盗塁)を決めている。守備力は平均的で、24年は外野3ポジションをこなしたが、最も多く守ったのはLFだった。

10.
ブロディ・ブレクト(RHP)/Brody Brecht:22歳
24年ドラフト全体38位。MAX101マイルの速球と80マイル後半の高速スライダーで打者を制圧するパワーアーム。24年は大学で15先発して防御率3.33/奪三振率37%/与四球率14%をマーク。投球の9割が速球&スライダーという2ピッチタイプであること、コントロールに不安があることからリリーフ向きか。

FV40

11.
カーソン・パルムクイスト(LHP)/Carson Palmquist:23歳
22年ドラフト3巡目の技巧派左腕。球速は90マイル前半止まりだが、サイドハンドから高めに浮き上がる軌道のため多くの空振りを奪える。速球と70マイル台のスラーブを投球の軸としており、第3球種にチェンジアップを扱う。24年は2Aで18先発して防御率3.17/FIP3.16/奪三振率34.2%/与四球率10.0%をマークした。ローテーション中軸クラスの球威は無く、ローテーション下位のイニングイーターからミドルリリーフ向きだろう。

12.ショーン・サリバン(LHP)/Sean Sullivan:22歳
23年ドラフト2巡目のカレッジ左腕。速球は平均で87-88マイルほどだが、サイド気味の低リリースにより浮き上がるような軌道を描くため、空振りを量産できる。この速球が全投球の約70%を占め、残り20%にチェンジアップ、10%にスライダーを扱う。24年はA+/2Aで計21先発して防御率2.11/FIP2.83/奪三振率28.2%/与四球率3.4%と好投。速球頼り&幻惑系の投球スタイルが上位でも通用するかどうか。

13.
カイル・キャロス(3B)/Kyle Karros:22歳
ドジャースなどで活躍したエリック・キャロスの息子。名門UCLAで3年間プレーした後、23年ドラフト5巡目でCOLから指名されプロ入りした。広角に打ち分けるラインドライブヒッターで、24年はA+で打率.311/15本塁打/wRC+145をマークした。守備ではプラスの強肩を武器に平均的な3Bディフェンダーになれるとの評価。DRPは+2.1を記録した。

24年ドラフト2巡目。コンタクト能力と運動能力に優れた珍しい一塁手。プラスの一塁守備に加え、CFも平均レベルでこなせる。打者としてはアプローチにやや荒さはあるが、ドラフトイヤーの24年に本塁打数を前年の4本から16本に増やすなどパワーが向上中。まだ線が細く、さらなるパワー向上の余地を残している。

元MLBリリーバー、ヨーキス・ぺレスの息子。6-3/153の長身細身の体格から伸びしろが期待できる。93-95マイルの速球と70マイル台の大きく割れる縦カーブ。23年はAで60イニング以上投げた19歳以下の投手としては3位となるFIP4.07・奪三振率26.1%と健闘も、TJ手術により24年は全休。25年のカムバックに期待がかかる。

Notable Prospects

22年に国際アマチュアFAで契約したハイシーリング左腕。95マイル前後の速球はMAX100マイルに届き、80マイル台のカーブ&チェンジアップを交える。24年は米国デビューを果たし、Rでの36イニングで防御率7.00/FIP4.67/奪三振率32.9%/与四球率16.2%をマーク。壊滅的なコントロールを改善できるか。
大学ではリリーフだったが、プロでは先発として結果を出している。90マイル前半の伸びのある4シームがベストピッチで多くの空振りを奪える。速球中心の配球だが、スライダー、カーブ、チェンジアップとレパートリー自体は豊富。24年はR/A/A+で計48.2回を投げて防御率4.44/FIP3.12/奪三振率36.1%/与四球率9.7%をマーク。コントロールや耐久性を磨いていけば先発ローテーションに定着できるポテンシャルを持っている。

6-4/190と体格に恵まれたハイシーリング右腕。MAX97マイルでアームサイドに大きく動く速球と80マイル台のスライダーのコンボ。細身の体格から増量を経てさらなる球速アップに期待がもてる。DSLでは33.1回を投げて防御率5.40/FIP4.43/奪三振率25.0%/与四球率11.3%をマーク。腕のストロークが大きく、コントロールに苦しんでいる。

2024年12月24日火曜日

2025 ARIZONA DIAMONDBACKS TOP 15 PROSPECTS

2025 ARIZONA DIAMONDBACKS

TOP 20 PROSPECTS

2025年 アリゾナ・ダイアモンドバックス プロスペクトランキング

Jordan Lawlar


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV60

1.ジョーダン・ローラー(SS)/Jordan Lawlar:22歳
21年ドラフト全体6位指名の大型SS。攻守のポテンシャルをザンダー・ボガーツ(SD)と比較したい。23年はMLBデビューを果たしたが、24年は親指とハムストリングの故障によりマイナーでの23試合の出場に終わった。健康であれば、ベストツールはダブルプラスのスピード。22-23年の2シーズンで合計75盗塁(成功率87%)を決めている。打撃はMLBで中軸を打てるポテンシャルを秘めており、広角にバレル性の打球を量産できる。守備でも成長が著しく、SSからのコンバート論を払拭。プラスのスピード&肩を土台に、平均以上のSSディフェンダーになれる可能性を見せている。
Jordan Lawlar


FV45

2.
スレイド・コールドウェル(OF)/Slade Caldwell:19歳
24年ドラフト1巡目の高卒選手。アダム・イートンと比較されるオールラウンダー。身長5フィート9と小柄ながら筋肉質なマッチョ体型で、素早いスイングで広角にラインドライブを打ち分け、出塁能力も高い。守備ではダブルプラスのスピードでCFをこなせる。15本塁打程度打てるようになるとの評価だが、すでに出来上がっている体型から、パワー面の伸びしろを疑問視されている。

24年にブレイクを果たした攻撃型二塁手。24年は高打率を売りに、Rで29試合/wRC+141、Aで63試合/wRC+145をマークした。シンプルなスイングでラインドライブを量産する。上位10%の打球速度102.5マイル(MLB平均104)と年齢に比してパワーもあり、本塁打を増やせればさらに評価を上げるだろう。守備走塁でプラスを稼げるタイプではないため、打ち続けるしかない。


攻撃型捕手。24年はコンタクト能力が大きく向上し、3Aで打率.312・26本塁打・wRC+144とブレイク。MLBでも25試合で打率.313・4本塁打・wRC+146と打ち続けた。3Aでは上位10%打球速度105マイル、ハードヒット率46%、バレル率10%と優れた打球指標を記録している。一方で守備面はかなり後退している。捕球能力は及第点だが、肩が弱く、MLBでのポップタイム2.04秒は球界下位4%だった。3A/MLBでの75試合で99盗塁を許し、阻止率は17.5%にとどまった。現時点ではDH/1B向きのプロフィールであり、捕手に定着できるように守備力を磨いていく必要がある。

小柄なパワーアームで、リリーフ転向が目されていたが、24年は先発としての評価を上げた。2A/3Aで104回を投げてFIP3.46/奪三振率32.1%をマーク。平均96マイルの4シームと縦方向に落ちるスライダー&カーブのコンビネーション。コントロールの改善がMLB定着に向けた課題だろう。カーブが時折アームサイドに曲がる独特な軌道で、チェンジアップのような役割を果たしているため、左打者も苦にしない。カッターを覚えて横方向へのバリエーションを増やしても面白いだろう。

6.ヤンセル・ルイス(SS)/Jansel Luis:20歳
攻守に順調に成長を続けるオールラウンダー候補。打撃は両打席からスムーズなスイングでギャップを破る。AではwRC+101/7本塁打だったが、二塁打/三塁打を量産し、長打数46本はリーグ7位だった。体格もまだ細身で、増量すればパワーも開眼の可能性あり。フリースインガー気味なアプローチが弱点。守備では未熟な面も多いが、SSにふさわしい守備範囲を有し、勤勉な性格から今後の成長に期待。24年はSS中心に2B/3Bでもバランスよくプレーし経験を積んだ。

24年ドラフト全体31位。大学2年シーズンに左膝の前十字靭帯断裂も、翌春は完治し打率.333・14本塁打・OPS1.079とブレイク。強靭なパワーと辛抱強いアプローチを兼ね備えた右打者で、コンタクト能力も優秀。アッパースイングでプルサイドにフライ打球を量産する。走力も平均以上だが、平均以下のLF守備がネック。LFに見合うだけの打撃成績を残していく必要がある。

23年ドラフト2巡目。コンタクト力〇、パワー△のコーナープレーヤー。無駄の少ないスイングでコンタクトを量産する。A+では開幕直後に手首を骨折。7月に復帰するとそこから打ちまくり、A+での40試合でwRC+129、2Aでの13試合でwRC+173をマーク。ラスト17試合で7本塁打を放つラッシュを見せたが、上位10%打球速度は101マイル程度と平均以下なため、長期的にはコーナー選手としてはパワーレスである点が課題となるだろう。また、3B守備も平均以下で、1Bや外野に回される可能性も。

9.トミー・トロイ(SS)/Tommy Troy:23歳
23年ドラフト全体12位指名。小柄ながらパワー&スピードを両立。大学では通算162試合で打率.339・34本塁打・OPS1.014と圧倒的な成績を残したが、プロ1年目はハムストリングの負傷もあり、A+でwRC+91と期待外れのパフォーマンス。変化球を苦手にしており、特にスライダーに対して空振り率47%(MLBの平均は33%ほど)とかなり酷かった。また、SS守備でも49試合で16失策と苦戦し、オフのAFLでは2Bへコンバートされた。2Bレギュラーとしてバリューを出すには攻守にレベルアップが必要だろう。

10.JD ディックス(SS)/JD Dix:19歳
24年ドラフト全体35位指名の高卒選手。6-2/180の伸びしろある体格と優れたアスリート性を兼ね備える両打ちSS。打撃はコンタクト能力が高く、体格的にパワーも向上が期待できる。守備は昨夏に肩を複数回故障しているため、未知数な部分が多いが、SSに定着できるだけの運動能力とハンドリングを有している。リーダーシップや勤勉性も高評価を得ている。
JD Dix


FV40

11.ヤッセル・ソレアー(3B)/Yassel Soler:19歳
23年に42.5万ドルで契約したドミニカ共和国出身の原石。高いコンタクト能力とプラスの3B守備が評価されている。24年はRでの53試合で打率.303・6本塁打・wRC+105をマーク。フリースインガーでチェイスが多い点とマイナーで2年続けてゴロ率が50%を超えている点が難点。

12.
ダニエル・イーガン(RHP)/Daniel Eagen:22歳
24年ドラフト3巡目。大学最初の2年間で防御率8.44止まりだったが、3年シーズンで覚醒。球速が5マイル上昇し、14先発で防御率2.67/奪三振率37.8%と好投。93-94マイルのキャリー成分が強い4シームとキレの良いカーブ&スライダーで空振りを誘う。6-4/205の体格は増量の余地を残しており、さらに球速を伸ばせれば、先発候補として評価を上げられるだろう。

ゴールドグラブ10度の名選手、アンドリュー・ジョーンズ(元楽天他)の息子。22年ドラフト全体2位指名でプロ入りを果たした。5ツールポテンシャルとして期待されていたが、プロ入り後は打撃面で伸び悩んでいる。24年はAで四球率18%と辛抱強いアプローチを示したが、スイングの長さを問題視されており、コンタクト率64%/三振率28%/ゴロ率57.2%はいずれも球界最低レベル。CF守備はダブルプラス評価だが、現時点ではマイケル・テイラー(KC他)のような下位打線~4番手外野手タイプだろう。

プラスのSS守備、コンタクト力の高さ、マイナー3年で57盗塁の俊足が強みの二遊間プロスペクト。24年はAで四球率15.8%/三振率16.4%と成熟したアプローチを示しwRC+105をマークしたが、ISO.088とパワーレスがネック。打撃でインパクトを残せるかは疑問であり、レギュラーよりもユーティリティー向きか。Baseball Prospectusの出す守備指標DRPは+3.2と優秀だった。

15.リン・ユーミン(LHP)/Yu-Min Lin:21歳
台湾出身。打者を圧倒する球種は無いが、速球、カーブ、スライダー、チェンジアップ、カッターのコンビネーションで打ち取る。24年は2AでxFIP3.94をマークし、20歳にして3Aのマウンドに立った。速球平均90マイルの低球威、身長5フィート11のサイズ面からMLBで通用するのは難しいと見ている。大幅な球威アップは望めないため、コントロールを磨いてMLB打者に対応したい。

Notable Prospects

24年ドラフト5巡目。6-5/235の迫力ある体格からMAX99マイルを投げ込む剛腕。23年にリリーフで成功すると、ドラフト対象となる24年に先発転向。14先発で防御率4.71/奪三振率29%/与四球率17%をマークした。先発時93-94マイルの4シーム、ジャイロ系の縦スライダー、大きくフェードしベストピッチと評されるチェンジアップのコンボ。先発経験は浅いが、ワークホース向きの体格の持ち主だ。

23年に契約金20万ドルで契約したパナマ出身の原石。23年にDSLでの48試合で打率.288・4本塁打・wRC+113をマークし評価を上げたが、24年は怪我で公式戦でのプレーがなかった。パワーが伸びれば5ツール揃ったCFになれると評判。ベストツールのスピードはプラス評価。

アスレチックなメキシコ出身捕手。小柄ながら優れた運動能力と強肩、高いリーダーシップで捕手にふさわしい資質を有する。24年はR/Aで40試合マスクをかぶって盗塁阻止率40%を記録した。打撃はパワーレスながらソリッドなアプローチでRでの46試合で出塁率.362をマークした。ホセ・トレビーノ(NYY)が完成型か。

2024年12月12日木曜日

2025 ST. LOUIS CARDINALS TOP 15 PROSPECTS

2025 ST. LOUIS CARDINALS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 セントルイス・カーディナルス プロスペクトランキング

Quinn Mathews


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。


FV55

1.JJ ウェザーホルト(SS)/JJ Wetherholt:22歳
24年ドラフト全体7位指名。2年時に全米1部トップの打率.449をマークし、USA代表でも活躍。しかし3年時はハムストリングの負傷により36試合の出場にとどまり評価を落とした。対応力の高いラインドライブヒッターで、SS中心に2B/3Bの経験もある。プロではAでの29試合でwRC+137と好デビュー。ライナー中心のアプローチのためISOは.105にとどまったが、ハードヒット率54.9%/上位10%打球速度105.3マイルと平均以上のパワーを秘める。万全なら走力も平均以上で、2年時には55試合で36盗塁を決めている。


FV50

2.クイン・マシューズ(LHP)/Quinn Mathews:24歳
23年ドラフト4巡目。チェンジアップでかわすストライクスロワータイプと見られていたが、プロでは突如球速が上昇し、覚醒。マイナー4階級で計143.1回を投げて防御率2.76/FIP2.59/奪三振率35.4%/与四球率8.6%と素晴らしい成績を収めた。5.58フィートという低リリースから平均94マイル/縦変化17.1インチというライジングファストを軸に、スライダー&チェンジアップも上質。statcastデータが得られるA/3Aでスライダー&チェンジアップはいずれも空振り率50%以上を記録した。イニング消化能力と投球クオリティを両立したローテーション半ば級のワークホースとして期待。
Quinn Mathews


小柄ながら傑出したアスリートであり、潜在能力は非常に高い。マーカス・ストローマンやトレバー・バウアーが比較対象か。平均96マイルのホップ系4シームに、カーブ、スライダー、チェンジアップとどの球種も質が高い。全身を有効に使ったメカニクスで、オーバースローながらリリース高が5フィート2とサイドスロー並に低くなっているため、高めの4シームは数値以上によく伸びる。24年は肩と胸の張りで欠場、復帰後は長くても4イニングの投球にとどまり、シーズン最終登板では広背筋を痛め降板するなど年間を通して健康面に不安を露呈した。しかし2Aでの20先発で79.2回を投げて防御率2.71/FIP2.51/奪三振率34.1%/与四球率8.1%と投球内容は素晴らしかった。球威や制球力はローテーション上位クラスなだけに、耐久面の不安を払拭していきたい。
Tink Hence

台湾出身。台湾の大学でプレーした後、米国へ移住。サマーリーグで経験を積んで23年7月に50万ドルで契約した。24年はAでの22先発で116回を投げて防御率2.79/奪三振率26.6%/与四球率7.8%をマーク。6フィート7の迫力ある体格から平均96.4/最速101マイルの4シームを投げ込む。4シームはシュート方向への変化量が16.3インチもあり、これは昨季のMLBであれば右投手トップの数値。制球や変化球は要改善だが、長身細身の体格から伸びしろは大きい。

素手でバットを構え、無駄のないスムーズなスイングで左右にラインドライブを量産する二塁打マシーン。23年に24歳以下の選手としては2A全体2位となるwRC+142を記録し、リーグMVPを獲得。しかし24年は3AでwRC+93と不調だった。コンタクト率の高さとバレル感覚(ゴロ率35%/引っ張りフライ率11.7%)、平均的なパワー(上位10%打球速度103マイル)とMLBで成功できる要素はあるも、四球率5.9%/スイング率53%というフリースインガーなアプローチがネック。守備能力も平均以下で、長期的には2Bが定位置になりそうだ。


FV45

6.
ジミー・クルックス(C)/Jimmy Crooks:23歳
攻守に確かな能力を示し、バックアップ適性を見せている捕手プロスペクト。24年は2Aで打率.321/11本塁打/wRC+152をマークし、リーグMVPを獲得。オープンスタンスからフラットなスイングで広角に長短打を量産する。捕手守備も優秀で、Baseball Prospectusの出すフレーミング&送球指標で3年連続プラス数値をマーク中。特に23年はフレーミングにより24.2失点を防いだ。

7.レオナルド・バーナル(C)/Leonardo Bernal:21歳
マイナーで3年連続wRC+110以上を記録しているスイッチヒッター捕手。24年は課題であった実戦でのパワー発揮と守備力向上で成長を遂げた。打撃ではA+でwRC+120を記録し、本塁打を昨季の3本から10本に、ISOを.097から.150に上げてみせた。守備ではマイナスだったフレーミング、ブロッキング、送球指標がいずれも大きくプラスに転じた。若さでは6位のクルックスよりも分があり、来季2Aで結果を出せば大きく評価を上げるだろう。

8.テコア・ロビー(RHP)/Tekoah Roby:22歳
23年夏にジョーダン・モンゴメリーとのトレードでTEXから加入した1人。身長6フィート1と体格はそこまでではないが、常時95マイル前後の4シーム&高スピンのハンマーカーブを武器に、スライダー&チェンジアップも効果的に織り交ぜる。24年は肩の故障により38.1回のプレーにとどまり、特に2Aでの7先発は防御率6.75/FIP6.59と悲惨なものであった。球威、球種のレパートリー、コントロールは十分にローテーション中盤級だが、2年続けて故障離脱するなど耐久面に不安がある。

9.ヤイロ・パディーヤ(SS)/Yairo Padilla:18歳
24年1月に76万ドルで契約した原石。運動能力の高い両打ちSSというスペックの塊で、ベストツールのスピードはダブルプラス評価。DSLでは35試合で打率.287/1本塁打/wRC+121と好成績を残し、リーグのオールスターチームにも選ばれた。現時点ではコンタクト重視だが、体格が成熟すればパワーも向上が見込める。守備では二遊間にふさわしい守備範囲と3Bにふさわしい強肩を兼ね備える。


FV40

10.
ライニエル・ロドリゲス(C)/Rainiel Rodriguez:18歳
24年4月に30万ドルで契約すると、DSLでの41試合で打率.345/10本塁打/wRC+186と圧巻の内容。パワーポテンシャルと引っ張りフライを量産する打撃技術を兼ね備えた攻撃型捕手として評価を伸ばした。一方で捕手守備は発展途上であり、磨かれる必要がある。

11.マイケル・マグリービー(RHP)/Michael McGreevy:24歳
21年ドラフト1巡目。5球種を投げ分けるコントロールアーティスト。平均91マイルのシンカーとスライダーを軸に、カッター&カーブ&チェンジアップを織り交ぜる投球で、マイナーでは毎年50%前後のグラウンドボール率を維持。支配力は平凡だが、3年連続144イニングオーバー、今季3A/MLBで173イニングを消化するなどイニングイーター適性あり。ローテーション下位にフィットするだろう。

12.クーパー・ジャーピー(LHP)/Cooper Hjerpe:24歳 
22年ドラフト全体22位指名。サイドハンドから高めに浮き上がる90-92マイルの速球と70マイル台のスイーパー&チェンジアップのコンビネーション。24年はA+/2Aでの15先発で防御率3.27/FIP3.22/奪三振率35.2%をマークするなど投球内容は上々。しかし2年続けて肘の負傷で離脱しており、23-24年で計93イニング止まり。健康面に不安を抱える。与四球率13%とコマンドにも苦しんでおり、リリーフに回される可能性もある。
23年ドラフト1巡目。カルロス・ゴンザレス(元COL)似のフルスイングで長打を量産するスラッガー候補。24年は5月終了時点で打率.184/OPS.572/三振率29.4%と苦戦していたが、6月以降は打率.288/OPS.867/三振率21%とプロの世界に適応。statcastデータが得られるAではチェイス率15%(MLB平均22%)を記録するなど選球眼に優れる。守備走塁の能力は平均的であり、最終的にはコーナーが適任と見られる。

14.ダーリン・サラディン(RHP)/Darlin Saladin:22歳
24年はA/A+で計123回を投げて防御率2.71/FIP/2.67/奪三振率27.4%/与四球率6.7%とブレイク。速球は平均93マイルと平凡だが、リリース高5フィート5という低リリースから投げ込まれるフラット軌道なため、打ちにくい。この速球を高めに集める投球を得意としており、Aでは4シームが空振り率32.7%/得点価値6.7と効果的だった。先発に残るには変化球やコマンドの精度を磨いていきたい。
23年夏にジャック・フラハティとのトレードで獲得した右腕で、第2のジョー・ライアン(MIN)になる可能性あり。速球は平均92マイルと平凡ながら、4フィート6の低リリースから繰り出されるため、VAA-3.85とMLBトップクラスのホップ軌道を描く。Aではリリーフとしての起用だったが、変化球や制球を磨いていけば先発としての可能性も見えてくるだろう。

2024年12月8日日曜日

2025 PITTSBURGH PIRATES TOP 15 PROSPECTS

2025 PITTSBURGH PIRATES

TOP 15 PROSPECTS

2025年 ピッツバーグ・パイレーツ プロスペクトランキング


Bubba Chandler

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。


FV55

1.ババ・チャンドラー(RHP)/Bubba Chandler:22歳
高校では投打の二刀流に加えてアメフト、バスケ、ゴルフでも活躍した生粋のアスリート。二刀流として指名されたが、23年から投手としてのプレーに専念。24年はさらなる成長を遂げ、2A/3Aで119.2回を投げて防御率3.08/奪三振率30.9%/与四球率8.6%をマーク。球界屈指の投手プロスペクトになった。常時97-98マイルを計測するホップ系4シームを軸に、スライダー&チェンジアップもプラスピッチ候補。コントロールに課題があったが、持ち前の運動能力でフォームを固め改善に成功してみせた。スキーンズ、ジョーンズに次ぐ先発三本柱への成長に期待。
Bubba Chandler


FV50

2.コナー・グリフィン(SS/OF)/Konnor Griffin:19歳
24年ドラフト全体9位指名。高校生No.1評価を得ていた5ツールポテンシャルで、上手く育てば「30-30」も狙える逸材。ダブルプラスのスピード、投手としてMAX96マイルの強肩など運動能力には疑う余地がない一方で、コンタクト能力を疑問視されている。守備はSSとCFを兼任しているが、将来的には身体能力をより生かせるCFにフィットするだろうと評価されている。まずはプロレベルの投手に対応できることを証明したい。

3.タマー・ジョンソン(2B/SS)/Termarr Johnson:21歳
22年ドラフト全体4位指名の高卒選手。20-80スケールで70評価のヒットツールの持ち主と評判だったが、プロではパワー寄りの打者に転身。24年なA+で打率.238/出塁率.372/13本塁打/wRC+123をマーク。今のアプローチだとパワーのためにコンタクトを犠牲にしており、パワーとコンタクトのバランス調整が必要だろう。守備では平均以下の肩力から将来的には2Bがフィットすると予想されているが、24年はSSでも39試合に出場して経験を積んだ。


FV45

4.トーマス・ハリントン(RHP)/Thomas Harrington:23歳
22年ドラフト全体36位指名。速球は平均92~93マイルだがコマンドに優れる。24年は右肩のローテーターカフの痛みで出遅れたが、2A/3Aでの20先発で計114.1回を消化し、防御率2.68/奪三振率24.9%/与四球率4.0%をマークした。ランニングファストを四隅にコマンドし、右打者にはスウィーパー、左打者にはスプリットチェンジを第2球種として扱う。支配力は並だが、安定したコントロールと質の高い変化球を武器にローテーション下位にフィットするだろう。
Thomas Harrington


18年ドラフト2巡目。高校ではアメフトのワイドレシーバーとしても活躍したアスリート右腕。24年は2A/3Aでの16登板で計73回を投げて防御率2.84/奪三振率25.8%/与四球率4.0%をマーク。平均95マイルで平均的な軌道の4シーム、平均88マイルの高速スライダー、大きく曲がるカーブがレパートリーの中心。ローテーション級の実力を備えるが、プロ7年で昨季の73イニングが最高という故障体質からハンター・ハービーやクレイ・ホームズのようにブルペン転向が現実的だろう。

6.ニック・ヨーク(2B)/Nick Yorke:23歳
20年ドラフト1巡目指名。卓越したコンタクト能力でフィールド全体にラインドライブを量産するヒットツールを高く評価されている。24年は3Aでの78試合で打率.333/8本塁打/wRC+143と素晴らしいパフォーマンスでMLBデビューも経験。変化球の見極めに磨きがかかり、四球率12.2%/三振率18.9%はいずれも昨季より良化。上位10%打球速度もMLB平均を越す105マイルとパワーもあり、プルヒッティングを覚えれば20本塁打も狙えるだろう。走守の評価は平均以下で、外野両翼も守り始めた。

7.リーバイ・スターリング(RHP)/Levi Sterling:18歳
24年ドラフト全体37位指名。高校では投打の二刀流としても有望視されていたアスリート。現時点での球速は90マイル前半止まりだが、6-5/200の体格、運動能力の高さ、滑らかでバランスの取れた投球フォームからアップサイドを買われている。すでに優れているコントロールもさらなる向上が見込める。数年後の開花に期待。

8.ハンター・バーコ(LHP)/Hunter Barco:24歳
22年ドラフト2巡目。サイドハンド気味の低スリークォーターから93マイルのシンカー、変化量大のスライダー、スピンを殺したスプリットチェンジのコンビネーション。TJ手術からの本格復帰シーズンとなった24年はA+で18登板して防御率3.27/奪三振率30.4%/与四球率8.7%と好投。しかし2Aで2登板した後、左脚のストレス反応で7月末にシーズン終了となった。完成度は高いが、球速の遅さからローテーション下位向きのポテンシャルと評される。25年は健康面の不安を払しょくしたい。

9.ワイアット・サンフォード(SS)/Wyatt Sanford:19歳
テキサス A&M 大学への進学が内定していたが、契約金250万ドルでプロ入り。24年ドラフトクラスの高校生でNo.1のSSディフェンダーと評され、プラス評価を受ける。加えて走力もプラス評価。一方で打撃面には疑問が多く、特にパワーレスがネック。


FV40

大学では度重なる肘痛により大成できなかったが、プロ入り後に急成長。24年はAで18試合に登板して防御率4.06/ⅹFIP3.98をマーク。速球は平均95マイルまで伸び、スライダー&カーブ&カッター&チェンジアップはどれも空振り率40%超え。どの変化球も上質だ。与四球率12.2%のコントロールをはじめとして全体的に未洗練だが、このまま成長を続ければローテーション級に育つ可能性あり。

22年ドラフト3巡目。大学では二刀流プレーヤーとして活躍したアスリート。打撃はコンタクトに欠点があるがパワーと選球眼に強みあり。24年はA+で77試合に出場して打率.238/18本塁打/wRC+135をマーク。ゴロ率25%とボールを空中に集める技術が高い。守備では持ち前のアスリート性&投手としてMAX100マイルの強肩を生かしたプレーが魅力。23年にBaseball Prospectusの総合守備指標DRPで+13.9を叩き出した3Bが天職も、24年はSSメインに2Bでもプレー経験を積んだ。カイル・ファーマーやジオ・アーシェラのようなユーティリティーとしてチームは見ている?

12.ザンダー・ミース(RHP)/Zander Mueth:20歳
23年ドラフト2巡目の高卒右腕。6フィート6の長身投手で、ダスティン・メイ(LAD)似のエクステンション大のフォームから、MAX97マイルのハードシンカー&変化量大のスイーパーのコンビネーション。左打者にはチェンジアップでも空振りが取れる。ボールの質は非凡だがファンキーなデリバリーでコントロールに苦労している。R/Aでは与四球率15.1%&15死球。

22年1月に125万ドルでMILと契約すると、23年夏のトレードでカルロス・サンタナの見返りとしてPITへ移ってきた。引っ張りフライを量産する打撃能力とパンチ力を兼ね備え、24年はRでリーグトップタイの10本塁打(wRC+139)とブレイク。Aではフリースインガーなアプローチがネックとなり、打率.237/6.5%/30.1%とコンタクト面で苦戦したが、28試合で6本塁打を放ち、wRC+は116をマークした。statcastのあるAでのデータに着目すると上位10%打球速度は101.5マイルと年齢を考えれば優秀で、引っ張りフライ率はMLB平均の倍以上となる14.9%だった。走守の評価はあまり高くなく、現在はSS/3Bをほぼ半々で守っているが、将来的にはスピードが落ちて3Bに専念することになるだろうと予想されている。

14.アンソニー・ソロメト(LHP)/Anthony Solometo:22歳
21年ドラフト全体37位指名の高卒左腕。6フィート5のスラリとした長身と大きく腕を引くメカニクスはマディソン・バムガーナー(元SF)を彷彿とさせる。23年はA+で12先発/防御率2.30と好投。24年は21歳シーズンにして2Aで開幕。しかし速球の球速が80マイル台に低下するなどコンディション不良に悩まされ、58.2回を投げて防御率5.37/奪三振率17.1%/与四球率13.0%と振るわず。万全なら90マイル前半の速球と平均以上のスライダーに平均的なチェンジアップ。来季の再起に期待。

15.
ヨーダニー・デロスサントス(SS)/Yordany De Los Santos:20歳
22年に120万ドルでプロ入りした原石。強靭な体格、身体能力、攻守の能力、野球IQと才能は申し分ないが、2年連続Rで無双→Aで苦戦とブレイクしきれていない。24年はRでの57試合でwRC+146をマーク。広角にライナー性の打球を打ち分けるコンタクト力と素早いバットスピードを兼ね備える。何でも振りに行くアプローチが要改善。Aでの25試合という小サンプルながらチェイス率は42%(MLB平均23%)とかなり酷かった。守備は強肩とセンスの良さでSSに定着できるだけの能力を有するが、ガッシリ体型でやや機敏さに欠けるため、3Bの方がフィットするか。


Notable Prospects

MLBで6シーズンプレーしたエリザー・アルフォンゾの息子。辛抱強いアプローチと打球速度の速さが魅力の攻撃型捕手。24年はAでの86試合で打率.253・8本塁打・wRC+115をマーク。上位10%打球速度107.1マイルはMLBでもプラス水準だが、ゴロ率49%&平均ランチアングル9度という低弾道のためパワーを生かしきれていない。また、四球率12.7%は優秀だが、スイング率が39%(MLB平均47%)に対してチェイス率はMLB平均とほぼ同じ21%となっている。選球眼が良いというよりもただ振らないだけと見ることもできるため、制球力の上がる上位投手にどう対応するか。捕手としては盗塁阻止率32%を記録したスローイングとどの投手とも連携が取れるコミュニケーション力(野球一家に育ったことによりバイリンガル)が強み。66試合で6失策&13捕逸を喫した捕球力の向上が課題。

史上3人目となる米球界入りを果たしたウガンダ出身右腕。23年1月の契約時に93マイルだった速球は、6月にはMAX101マイルに到達。23年はDSLで16.2回無失点の完璧デビュー、24年もRで22回/28K/自責2と素晴らしい投球を続けている。伸びのある4シームに、スライダー、カーブ、チェンジアップと変化球も3種扱える。現時点ではリリーフ専門だが、可能性は無限大だ。
23年ドラフト4巡目。大学では制球難でリリーフ中心だったが、プロ1年目となった24年はA/A+で23先発して防御率1.99/奪三振率29.7%と先発として成功。平均93マイルの4シームにゴロ率の高いシンカー、Aで空振り率50%以上を記録したスライダー&チェンジアップとレパートリーは先発相応。平均以下のコントロールを改善し続けることができれば先発に定着できる可能性が見えてくるだろう。

2024年12月1日日曜日

2025 MILWAUKEE BREWERS TOP 15 PROSPECTS

2025 MILWAUKEE BREWERS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 ミルウォーキー・ブルワーズ プロスペクトランキング


Jesus Made


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。


FV55

1.ヘズス・マデ(SS)/ Jesus Made:18歳
未来のNo.1プロスペクト候補生。24年1月に95万ドルで契約すると、DSLでの51試合で打率.331・6本塁打・OPS1.013・28盗塁と完璧なデビューを飾った。若くしてパワー、コンタクト、辛抱強いアプローチの3点を兼ね備えており、上位10%打球速度103.9マイルはすでにMLB平均(104マイル)と同等で、コンタクト率89%&チェイス率15%も超優秀な水準だ。走力&肩力もプラス評価だが、守備は打撃ほど洗練されておらず、SSからコンバートされる可能性もある。DSLではSS/3B/2Bで起用されたが、身体能力をそのまま生かせるCF適性を見出すスカウトも。


FV50

22年ドラフト2巡目。6-7/190の長身細身からMAX102マイルのライジングファスト&高スピンのスライダーを投げ込むポテンシャルの塊。エクステンション幅7フィート4はMLBでもトップクラス。球威は申し分ないが、マイナー3年でBB/9=5.8のノーコンが致命的。長い手足、腕のストロークの長さ、フルエフォートな投げっぷり等が原因でメカニクスの再現に苦労している。ブルペン向きとの見方も多いが、制球難さえ克服できればエースポテンシャルだ。
Jacob Misiorowski


3.ヤファーソン・ケロ(C)/Jeferson Quero:22歳
23年にマイナーリーグのゴールドグラブを受賞。攻守を両立した捕手への成長が期待されている。24年は開幕戦で帰塁するために飛び込んだ際に右肩関節唇を断裂。シーズン終了となる手術を受た。23年にBaseball Prospectusの出すフレーミング指標では+7.0を記録。また、盗塁阻止率35%&1試合あたりの盗塁企図1.05はいずれも50試合以上出場した選手でマイナーベストだった。打撃は2AでwRC+107をマーク。20-25ホーマー相当のポテンシャルも、フリースインガー傾向を改善していく必要がある。
左右の違いはあるが、6-4/195の体格、発達した打撃能力、SS/3B向きの守備能力からガナー・ヘンダーソン(BAL)と比較されている大型SS。24年はフルシーズン1年目にしてAでwRC+136と素晴らしいデビュー。コンタクト能力が高く、ラインドライブを量産できる点が強み。ISO.100と現時点ではパワー不足だが、長身細身の体格からビルドアップの見込みあり。一般的なSSよりもサイズが大きく走力も平均的だが、プラスの強肩、高い野球IQ、軽快な身のこなしからSSに定着できる可能性あり。24年はBaseball Prospectusの出す守備指標DRPで+3.8を記録し、マイナーのゴールドグラブを受賞した。


FV45

23年ドラフト3巡目の高卒選手。オーバースロットとなる175万ドルで契約した。6-4/218の規格外のフレームに強靭なパワー&運動能力を兼ね備える。30ホーマー以上打てる三塁手になり得る。守備は大柄な体格に比して動けるが将来的に1Bに回る可能性も。24年はR/Aで計79試合に出場して打率.282・16本塁打・OPS.946をマーク。三振率27.9%とコンタクト能力に欠点があり、ジョーイ・ギャロ(元TEX他)と重なるものがある。

23年ドラフト13巡目指名だが、プロ入り後に急成長。大学時に常時90マイル前半/MAX96マイルだった速球は春季トレーニングで100マイルを計測。開幕してからもA+で4先発/防御率2.45/奪三振率33.9%と快投を披露したが、シーズンが進むにつれて球威が落ち、2Aでは苦戦を強いられた。大学時代は制球難から先発/リリーフ兼任投手だったことから、まずは1年間ローテーションを守れることを証明していきたい。好調なら90マイル後半のライジングファスト、ツーシーム、スウィーパーでゾーンを上下左右に揺さぶる。

7.ヨフェリー・ロドリゲス(OF)/Yophery Rodriguez:19歳
23年1月に150万ドルで契約すると、DSLでwRC+125と好デビュー。24年はR級をすっ飛ばしてAで米国デビュー。18歳ながら110試合に出場して打率.250・7本塁打・wRC+117と年上選手を相手に健闘を見せた。成熟したアプローチで広角にラインドライブを量産し、守備では爆発的なスピードがあるわけではないがCF適性あり。

24年1月に80万ドルで入団すると、DSLでリーグトップの打率.393、2位の39盗塁と大活躍。卓越したコンタクト能力とダブルプラスのスピードが武器。本塁打はランニングHRの1本のみに終わったが、高いコンタクト率と身長5フィート11ながら筋肉質な体型からアプローチの修正次第でパワーも開眼の可能性あり。守備は磨かれる必要があるものの、センターラインにふさわしい運動能力を有する。またプラスの肩力は3Bにもフィットするだろう。



21年ドラフト1巡目指名。コンタクト力と選球眼を兼ね備えるヒットマシーン。23年は2A/3Aで打率.284・18本塁打・OPS.930・wRC+140超とブレイク。走っても55盗塁とプラスのスピードを披露した。しかし、24年は3AでwRC+114と前年よりもパフォーマンスを落とし、MLBにも定着できなかった。加えて守備も1Bメインに移りバリューダウン。1Bとしては本塁打不足であり、1Bに見合うようにパワーを伸ばすか、他ポジションで定着できるように守備能力を改善していくことが求められる。

長身細身のヒョロヒョロ体型で、ミジオロウスキー(当リスト2位)に次ぐポテンシャルだと評するスカウトも。長い手足を生かし、エクステンション幅はMLBでもトップクラスの7フィート5を誇る。90マイル前半の4シーム、2シーム、80マイル前後のスウィーパーがプラスピッチ候補で、チェンジアップもシュート方向への変化量が大きい。体格が成熟すれば球速向上の余地があり、伸びしろを見込んでノスよりも上の10位とした。腕のストロークが長く、メカニクスの再現に苦労している。

11.ジョシュ・ノス(RHP)/Josh Knoth:19歳
23年ドラフト全体33位指名の高卒右腕。MAX98マイルの速球とスピンレート3000rpmsに達するカーブのコンビネーションから、ランス・マカラース(HOU)と比較するスカウトも。身長6フィート1と体格は平均的だが、運動能力&フォームの再現性に秀でる。24年はAで21先発と実戦経験を積んだ。多くの高卒投手と同じくコマンド&チェンジアップの改善が今後の課題。

23年ドラフト2巡目。コンパクトなスイング&磨かれたアプローチでバレル性の打球を量産するヒットマシーン。24年はA+/2Aで79試合に出場して打率.338・6本塁打・OPS.886をマーク。フルシーズン1年目にしていきなり2Aにも適応してみせた。9位のブラックと似たようなプロフィールであり、3Bに残れるように守備能力を磨いていくこと、コーナーバットにふさわしいパワーをつけていくことが求められる。

13.ロバート・ギャサー(LHP)/Robert Gasser:25歳
サイドハンドから平均92マイルの速球と大きく横に滑るスイーパーを主軸に右打者にはカッター&チェンジアップも織り交ぜる技巧派左腕。23年に3Aで135.1回/防御率3.79/FIP3.71をマーク。24年はMLBデビューし5先発で計28回を投げて16K/1BB、防御率2.57と好投したが、6月にTJ手術。25年シーズンも大半を欠場する見込みだ。エース級の球威は無いが、ローテーション下位にフィットするだろう。


FV40

6-4/210のガッシリとした体型の選手で、パワーと選球眼を兼ね備える。24年はA+で打率.220ながら101試合で11本塁打/wRC+154/四球率
18.7%/三振率21.3%をマーク。なお23年にstatcastが搭載されているAで上位10%打球速度106マイルというMLBでもプラス水準の数値を記録している。パワーポテンシャルの割に本塁打数が伸びていないので、そこは今後の課題か。ここ2シーズンで58盗塁を決めているが走力の評価は平均以下で、将来的には1B転向が予想されている。

15.ローガン・ヘンダーソン(RHP)/Logan Henderson:23歳 
21年ドラフト4巡目。低いリリースポイントから90マイル前半のライジングファスト&変化量大のチェンジアップでゾーンの高低を揺さぶる。24年はR/A+/2A/3Aで計81.1回を投げて防御率3.32・奪三振率32.8%・与四球率4.7%と素晴らしい投球内容だった。しかし球速や第3球種であるスライダーの平凡さ、アンダーサイズな体格などからリリーフ向きとの評価が多い。3Aでは全投球の87.6%が速球とチェンジアップだった。

Notable Prospects

事前のMLB公式のドラフトリストでは53位だったが、MILが全体17位でサプライズ指名。ダブルプラスのスピードが武器の1番CFタイプ。打撃はコンタクト重視で本塁打を量産するタイプではないが、プロでは4試合で長打2本。打球速度110マイルの打球を放つなど予想以上のパンチ力を示した。肩力は平均以下ながら優れたCFディフェンダーになり得る。

24年1月に契約金9万ドルでプロ入りと低額な契約で入団したが、DSLで打率.283/8本塁打/OPS.915と素晴らしいプロデビュー。パワーが武器の右のスラッガー候補で、コンタクト力もまずまず。守備は現在CFを守っているが、平均的な走力から将来的にはコーナーに回ると予想されている。

ブライス・メッセージ(RHP)/Bryce Meccage:19歳 
24年ドラフト2巡目の高卒右腕。6-4/200の立派な体格から高回転の90マイル中盤の速球&スライダーを中心に、カーブ&チェンジアップも扱うスペックの高さが魅力。力みがちでコントロールに課題があるが、運動能力の高さから改善されるだろうとの評価。父親はで1988年にLADからドラフト指名された元投手、叔父も現PIT投手コーチと野球一家に育った。

K.C.ハント(RHP)/K.C. Hunt:24歳 
ドラフト指名からは漏れ、23年7月にドラフト外のアマチュアFAでMIL入り。24年はリリーフとして開幕も好投が認められ、中盤から先発転向。結局A/A+/2Aで計102回を投げて防御率2.03/奪三振率34.7%/与四球率6.2%と素晴らしい投球を見せた。90マイル前半と速球は平凡だが、80マイル中盤の大きく落ちる縦スライダーを得意とする。