2023年12月28日木曜日

2024 MILWAUKEE BREWERS TOP 20 PROSPECTS

2024 MILWAUKEE BREWERS

TOP 20 PROSPECTS

Jackson Chourio


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。


FV60

1.ジャクソン・チョーリオ(OF)/Jackson Chourio:20歳
19歳にして2Aで22本塁打・wRC+112・43盗塁をマーク。パワー&スピードを兼ね備えた5ツールCFで、将来像をロナルド・アクーニャやバイロン・バクストン、フリオ・ロドリゲスと比較されている。課題であったコンタクト率を22年の67%(MLBなら最低レベル)から80%(平均以上)に改善させ、7月以降は三振率13.5%・wRC+134と2Aのレベルに完全に適応。CF守備もプラス評価を得ている。
Jackson Chourio


FV50

攻守を両立した捕手への成長が期待されている。未来のゴールドグラブ候補とも評される捕手守備は20-80スケールで70評価。Baseball Prospectusの出すフレーミング指標では+7.0を記録。また、盗塁阻止率35%&1試合あたりの盗塁企図1.05はいずれも50試合以上出場した選手でマイナーベストだった。打撃は2AでwRC+107をマーク。20-25ホーマー相当のポテンシャルも、フリースインガー傾向を改善していく必要がある。

22年ドラフト2巡目。6-7/190の長身細身からMAX102マイルのライジングファスト&高スピンのスライダーを投げ込むポテンシャルの塊。しかし与四球率13.4%、マイナー4位タイの18与死球とフルエフォートな投げっぷりでノーコンが致命的。制球難を克服できればエース級の逸材だが、リリーフ転向のリスクも高い。
コービン・バーンズの見返りの1人。プラスのSSディフェンダーで、課題の打撃力もここ2年で急成長を遂げている。23年は3Aで打率.321・9本塁打・OPS.885・wRC+121をマーク。平均打球速度90マイル/上位10%も105マイルとMLB平均以上のパワーがあり、ゾーン内コンタクト率89%も優秀だ。何でも振りに行くアプローチの修正次第では開花するかもしれない。
Joey Ortiz


21年ドラフト1巡目指名。我慢強さと選球眼を兼ね備えるプラスヒッター。23年は2A/3Aで打率.284・18本塁打・OPS.930とブレイク。四球率15.8%/三振率17.9%とアプローチの良さが卓越している。また、55盗塁を決めるなど走塁でも貢献できる。平均以下のパワー&守備能力の改善がさらなる飛躍へのカギとなるだろう。

6.DLホール(LHP)/DL Hall:25歳
コービン・バーンズの見返りの1人。躍動感あるクロスファイアーから放たれる速球、カーブ、チェンジアップはどれも決め球として空振りが取れる。ボール単体の威力はエース級だが、マイナー6年で与四球率13.4%と制球難で天職はクローザーか。昨季はMLBで18試合にリリーフ登板して防御率3.26・4.60K/BBと好投。


23年ドラフト3巡目の高卒SS。オーバースロットとなる175万ドルで契約した。6-4/218の規格外のフレームに強靭なパワー&運動能力を兼ね備える。コンタクト面の弱さからジョーイ・ギャロ(元TEX他)と重なるものがある。守備は大柄な体格ゆえ、将来的な3B転向が目される。Rでは12試合で打率.180も、ドラフト時点で17歳と若いため、そう悲観する必要はないだろう。

23年ドラフト6巡目の高卒SS。左右の違いはあるが、大柄な体格、発達した打撃能力、SS/3B向きの守備能力から昨季ア・リーグ新人王に輝いたガナー・ヘンダーソン(BAL)と比較されている。高校では木製バットを扱ったショーケースでも結果を出しており、Rでは12試合で打率.356とよく打った。

23年ドラフト全体18位指名。20-80スケールで70評価のパワーが武器のスラッガーで、大学では66試合で31本塁打&平均打球速度95マイルと圧倒的なパワーを見せつけた。課題のヒットツールも三振率を前年の24%から18%に、四球率を12%から21%に改善させるなど克服の兆し。守備は強肩も鈍足のせいで評価は高くなく、1B転向のリスクを抱える。

10.ルイス・ララ(OF)/Luis Lara:19歳
21年に契約金110万ドルで入団した原石。身長5フィート7と小柄ながらヒットツールが高評価のスイッチヒッター。23年はAでwRC+116、四球率12.3%/三振率14.5%と磨かれた打撃内容。ISO.069ながらMAX打球速度110マイルを計測するなど、完全に非力というわけでもない。20-80スケールで60評価の走力を有し、CF適性あり。

11.
ヨフェリー・ロドリゲス(OF)/Yophery Rodriguez:18歳
23年1月に150万ドルで契約すると、DSLではwRC+125と好デビュー。四球率18.3%/三振率17.9%と成熟したアプローチが光る中距離ヒッター。ボール球には手を出さず、広角にバレル性の打球を量産する。走守の評価も良く、CFにふさわしい守備範囲を有するとの評価。

12.ロバート・ギャサー(LHP)/Robert Gasser:25歳
昨季3Aで135.1回を投げて防御率3.79・FIP3.71・奪三振率28%をマークした技巧派左腕。サイドハンドから平均92マイルの速球と大きく横に滑るスイーパーを主体に多彩な球種を投げ分ける。先発として長く活躍するには被OPS.722の対右打者対策(対左は.588)をどうするか。来季はローテーション争いに加わることになる。


FV40

13.ジョシュ・ノス(RHP)/Josh Knoth:18歳
23年ドラフト全体33位指名の高卒右腕。MAX98マイルの速球とスピンレート3000rpmsに達するカーブのコンビネーションから、ランス・マカラース(HOU)と比較するスカウトも。身長6フィート1と体格は平均的だが、運動能力&フォームの再現性に秀でる。

14.カルロス・ロドリゲス(RHP)/Carlos Rodriguez:22歳
速球は92-94マイル程度だが、多彩な球種をコントロールよく投げ分ける技巧派。中でもシュート方向に大きく曲がるチェンジアップがベストピッチ。打者を圧倒するタイプではなく、ユスメイロ・ぺティート(元SF他)やエラスモ・ラミレス(TB)のようなスイングマンが将来像か。23年は2Aで25先発してリーグトップの防御率2.77と好投。

15.ローガン・ヘンダーソン(RHP)/Logan Henderson:22歳 
21年ドラフト4巡目。低いリリースポイントから90マイル前半のライジングファスト&落差大のチェンジアップでゾーンの高低を揺さぶる。23年はAで18先発して防御率2.75・xFIP2.89・奪三振率35.2%と好投。特に7月以降は10先発のうち9試合で5イニング以上を消化するなど耐久面もアピール。しかし、球速やスライダーの平凡さ、アンダーサイズな体格などから将来的にはリリーフ向きとの評価が多い。
6-4/210のガッシリとした体型の選手で、パワーと選球眼を兼ね備える。Aでは打率.233ながら11本塁打・wRC+135・四球率17.3%をマーク。トラッキング指標でも上位90%の打球速度106マイル(MLB平均以上)、コンタクト率77%(平均レベル)・ボール球スイング率20%未満(平均以上)をマークするなど才能は非凡。99試合で30盗塁を決めたが走力の評価は平均以下で、
三塁に残るには難しいだろうとの見立て。
22年ドラフト全体27位指名。5ツールのバランスがよいオールラウンダーで、一部スカウトはユーティリティー向きとの見立て。打撃ではコンタクト能力に優れ、守備はSSとしては肩力不足も、2Bに専念すればプラスディフェンダーになり得るとの評価。SSから移るのであればパワーナンバーを伸ばさないとレギュラーを張るのは厳しいだろう。23年はA+でwRC+107。

23年ドラフト2巡目。コンパクトなスイング&磨かれたアプローチでバレル性の打球を量産するヒットマシーン。大学のシーズンでは47試合に出場して打率.401、9三振/32四球と凄まじい成績を記録。一方で、大学通算151試合で13本塁打止まりのパワー、1B転向が不安視される守備力から将来的なバリューは不透明だ。

19.パトリシオ・アキーノ(RHP)/Patricio Aquino:20歳
身長6フィート0とアンダーサイズだが、低リリースからMAX96マイルのライジングファストと大きく曲がるスイーパーのコンビネーションは要注目。23年はAで19先発して防御率2.75と好投。チェンジアップの制球に課題があり、対左打者被OPS.799と左打者対策が求められる。速球&スイーパーの2球種にしぼってリリーフ転向が現実的か。


FV40-

20.ウィル・ルディ(RHP)/Will Rudy:23歳
22年ドラフト5巡目。プロ1年目の昨季はAで18先発して防御率3.46と好投。しかしリーグ平均より0.4歳高齢であったこと、FIPは4.63と平凡だったことから来季A+/2Aで実力が問われる。92-94マイルの速球、スライダー、チェンジアップのコンビネーションをゾーンの四隅に投げ分けるコマンド能力が武器。

パワーは皆無だが、俊足巧打のエネルギッシュな選手。23年はR/Aで60試合に出場して打率.349・44盗塁をマーク。四球率20%と三振数を上回る四球数を稼ぎ、出塁率は驚異の.491をマークした。守備は2B/CFをこなし、トニー・ケンプ(元OAK)のようなユーティリティープレーヤーが完成型か。

22.ダニエル・ギラーテ(SS)/Daniel Guilarte:20歳
21年に契約金100万ドルで入団。プラスの走力&肩力を有するアスリートで、走守の評価が高い。打撃はコンタクト特化のスプレーヒッター。Aでの58試合で0本塁打ながら出塁率.377・wRC+107をマーク。逆方向への打球割合が48%と多すぎるため、上位レベルの投手のパワーに対抗できるか。

2023年12月23日土曜日

2024 CHINCINNATI REDS TOP 20 PROSPECTS

2024 CHINCINNATI REDS

TOP 20 PROSPECTS

Noelvi Marte

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV50

1.ノエルビ・マーテイ(3B)/Noelvi Marte:22歳
ルイス・カスティーヨとのトレードでSEAから加入。ダブルプラスのパワーポテンシャルを秘めた大型内野手で、23年は2A/3AでOPS.820、MLBでも35試合でOPS.822とよく打った。課題だった選球眼も向上を辿っている。また、ここ3年で65盗塁を決めるなどスピードも平均以上だが、体の肥大化に伴って将来的な走力低下が心配されている。守備は元々SSも、昨季より3Bメインにシフト。
Noelvi Marte


2.レット・ラウダー(RHP)/Rhett Lowder:22歳
23年ドラフト全体7位指名のカレッジ右腕。大学のシーズンは19先発で15勝0敗・防御率1.87・K/BB=5.96と圧巻の内容。エースポテンシャルではないが、完成度の高さを評価されており、23年ドラフティーで最も早いデビューが期待されている。速球、スライダー、チェンジアップをプラスのコマンドで投げ分ける。速球のレンジは92-95マイルほど。

3.
コナー・フィリップス(RHP)/Connor Phillips:23歳
20年ドラフト2巡目。95-97マイルの伸びのあるランニングファストとスイーパー系のスラーブのコンボ。2Aでの14先発で防御率3.34・xFIP2.97・奪三振率39.1%とパワフルな内容。MLBデビューも飾った。マイナー3年で与四球率13.3%、MLBでの20.2回で与四球率13.5%・HR/9=2.2とコントロールが不安定。まだ先発として試されるだろうが、改善されなければリリーフに回る可能性もある。

ルイス・カスティーヨのトレードで獲得したうちの1人。元々はプラスのSS守備を評価されていた選手だったが、22年以降は打撃でも急成長。22年はR/AでOPS.845、23年はA+でOPS.749・wRC+108をマークした。パワー面の評価は平均以下だが、バレル感覚が良く、28二塁打&11三塁打と確率よくフライボールが打てる。
Edwin Arroyo


5.チェイス・ぺティ(RHP)/Chase Petty:21歳
昨季マイナーで60イニング以上投げた投手では2位となる防御率1.72をマーク(A/A+で計68イニング)。シンカー/スライダーをコントロール良く投げ分けるグラウンドボーラーで、A+での60イニングでグラウンドボール率58.5%を記録した。4月を肘の故障で欠場、18先発で65球以上投げた試合はなく、来季は耐久面を証明したい。

22年ドラフト全体32位指名。パワーとアベレージを両立したピュアヒッターであり、AでwRC+128、A+で127をマーク。A/A+で四球率16.2%/三振率14.9%とゾーン管理能力が卓越している。6-3/215と巨体のため走力は平均以下だが、守備面は想定以上の軽快さを見せた。ドラフト時は1B転向が濃厚と見られていたが、3B残留の可能性を示した。


FV45

MLB公式の国際アマチュアリストでは4位にランクインしていた原石で、23年1月に契約金310万ドルでプロ入りした。6-2/210の強靭な体格を備えたプラスのパワーポテンシャル&平均以上の捕手守備のパッケージ。23年はDSLで45試合に出場してwRC+153と好デビュー。

8.リカルド・カブレラ(SS/3B)/Ricardo Cabrera:19歳
MLB公式の国際アマチュアFAリストで3位にランクインしていた原石で、22年に契約金270万ドルで入団した。細身ながらコンタクト能力が高く、R/Aでの44試合で打率.346・5本塁打・OPS1.006と素晴らしい内容。ウェイトをつけてパワーを伸ばしたい。

9.
キャム・コリアー(3B)/Cam Collier:19歳
22年ドラフト全体18位指名。オーバースロットとなる契約金500万ドルで入団したが、AではwRC+98と不本意なパフォーマンス。守備面でも3Bとしては守備範囲不足が指摘されている。ラインドライブを量産できる打撃能力は魅力も、1Bに回るとなればパワーナンバー不足が心配される。それでも、平均打球速度89.3マイル/上位95%の打球速度106.8マイルはすでにMLB平均以上であり、低弾道を改善できればブレイクの可能性もある。

10.カルロス・ホルヘ(2B/OF)/Carlos Jorge:19歳
高打率&高出塁率が狙える攻撃型二塁手で、23年はAでwRC+140をマークした。小柄で平均打球速度82マイルとパワー面は期待できないが、コンパクトかつスムーズなスイングでラインドライブを量産する。2B守備は平均的な評価。31盗塁を決めるなど走力があり、CFでも18試合に出場。マイナー3年で出塁率.395。
契約金10万ドルと有望視されていたわけではなかったが、コンタクト&スピードが武器のリードオフポテンシャル。23年はAでの18試合で打率.324・OPS.897をマークしていたが、ACL断裂によりシーズン終了となった。パワー評は平均以下だが、マイナー通算3年でOPS.888。守備範囲&強肩を兼ね備え、SS残留の可能性を秘める。


FV40

12.サミー・スタフーラ(SS)/Sammy Stafura:19歳
23年ドラフト2巡目の高卒SS。オーバースロットとなる250万ドルで契約した。パワー&スピードに恵まれたダイナミックな人材で、SS守備も高く評価されている。Rでは12試合という限られたサンプルながら打率.071・三振率43.4%とコンタクト面で苦しんだ。

13.リース・ハインズ(OF)/Rece Hinds:23歳
19年ドラフト2巡目。豪快なアッパースイングで30ホーマー級のパワーポテンシャルを秘めるロマン砲。23年は2Aで23本塁打・wRC+121と台頭。30%を超す三振の多さが課題だが、7月以降は三振率26.2%(wRC+128と他指標も落とさず)と改善の兆しを見せた。外野守備ではダブルプラスの強肩の持ち主で、昨季は14補殺&補殺による阻止点では+5.2の高数値をマーク。

14.タイ・フロイド(RHP)/Ty Floyd:22歳
23年ドラフト全体38位指名。MAX98マイル、高スピン&縦変化大のライジングファストが武器のパワーピッチャーで、4シームを高めに集めて空振りを量産する。しかし投球の7割が4シームであり、先発投手として大成するには変化球の向上が求められるだろう。

18年ドラフト2巡目の高卒投手で、プロ6年目にして開花。TJ手術から復帰すると2Aで15先発/防御率2.15・奪三振率30.9%と好投。MLB昇格を果たした。MLBでは4先発で防御率8.64・与四球率18.5%と制球難を露呈した。4シームの
平均球速96.5マイルと球威は十分だが、コマンドと耐久面を証明できないとリリーフに回ることになるだろう。

16.
ブレイク・ダン(OF)/Blake Dunn:25歳
階級に対して高齢ではあったが、23年はA+/2Aで打率.312・23本塁打・54盗塁・OPS.947とモンスターイヤーを送った。パワーとスピードに加えて選球眼も良く、守備ではCF中心に外野3ポジションOK。少なくとも第4の外野手にはフィットするだろう。

17.ジュリアン・アギアー(RHP)/Julian Aguiar:23歳 
コントロールの良いグラウンドボーラーで、平均94マイルのシンカーと70マイル台のスラーブが投球の中心。左打者には効果的にチェンジアップを織り交ぜる。23年はA+での14先発で防御率1.92、2Aでは11先発で防御率5.14も、K-BB%=20.7%・FIP3.60と投球内容は悪くなかった。

23年ドラフト4巡目の高卒右腕。2巡目相当となる190万ドルで契約した。6-3/190の伸びしろあふれる体格からMAX98マイルの速球&プラスのカーブ。チェンジアップはあまり投げないがキレ良し。しかし制球難を抱えており、育成には時間がかかりそうだ。


FV40-

19.ヘクター・ロドリゲス(OF)/Hector Rodriguez:20歳
身長5フィート8と小柄ながらコンタクト&スピードに優れたCF。23年はAで打率.293・16本塁打・wRC+128と想定外の打撃能力を見せたが、長期的にスラッガーとしてパワーナンバーを供給できるかは疑問。また、スイング率66%とかなりのフリースインガーであり、パワー面と合わせてレギュラー相応の打撃貢献を生み出せるかは不透明。

20.リン・シェンエン(SS/OF/RHP)/Sheng-En Lin:18歳
台湾の大谷翔平とも形容される二刀流プレーヤーで、23年夏に120万ドルで契約した。打者としてはダブルプラスのスピードが光り、現時点ではコンタクト>パワー。投手としてはMAX99マイル(実戦では92マイル程度)。身長5フィート11と体格は大きくないが、運動能力はズバ抜けている。

2023年12月17日日曜日

2024 CHICAGO CUBS TOP 20 PROSPECTS

2024 CHICAGO CUBS

TOP 20 PROSPECTS

Pete Crow-Armstrong


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV55

1.ピート・クロウ=アームストロング(OF)/Pete Crow-Armstrong:22歳
20年ドラフト全体19位指名。ドラフト時にはグレディ・サイズモア(元CLE)と比較された5ツール候補。未来のゴールドグラバーと評判のCF守備が最大の魅力。課題の打撃も急成長を遂げており、2A/3Aで20本塁打・OPS.876。あとはMLBで打つだけ。ちなみに両親はハリウッド俳優。

2.ケード・ホートン(RHP)/Cade Horton:22歳
22年ドラフト全体7位指名。TJ手術から復帰するとA/A+/2Aで計88.1回を投げて防御率2.65・奪三振率33.5%と圧倒的な投球を見せた。94-98マイルの伸びのある4シームとプラスのスライダーで打者を制圧する。制球やチェンジアップの質は要改善。ローテーション上位ポテンシャルも、耐久面を証明していく必要がある。


FV50

6-4/190の大柄な体格にパワーポテンシャルを秘める。23年は2Aで打率.289・22本塁打・四球率14%・wRC+144と絶好調だった。しかし三振率31.1%とコンタクト能力の改善が課題。大柄な体格に比して動け、強肩と合わせて平均的なRFディフェンダーになれるとの見立て。三振を減らして打者として成長したい。
Owen Caissie


4.マット・ショウ(SS)/Matt Shaw:22歳
23年ドラフト全体13位指名。小柄ながら広角にバレル性の打球を量産する打撃面を高く評価されており、大学通算53本塁打はメリーランド大の学校記録、22年夏のケープコッドリーグ首位打者&MVPと実績は十分。大学3年のシーズンでは18盗塁/1失敗と走塁も優秀。肩の弱さから守備位置は2Bが適性との評価。

5.マイケル・ブッシュ(3B)/Michael Busch:26歳
マイナートップクラスのヒッティングプロスペクト。オフのトレードでLADから加入した。美しいスイングで広角に長打が打て、辛抱強いアプローチで四球も多い。23年は3Aで98試合に出場してマイナー全体2位となるOPS1.049をマークするなど傑出したパフォーマンス。一方で平均以下の守備力から1Bが適任との指摘もあり、3Bに残るには守備力向上が求められる。

6.ケビン・アルカンタラ(OF)/Kevin Alcantara:21歳
6フィート6の恵まれたフィジカルに傑出した運動能力も兼ね備えた5ツール候補。軽々と広角に長打を生み出すプラスのパワーが強み。選球眼やスイングの長さは依然として要改善も、A+で12本塁打・wRC+124と健闘。2A以上で打てることを証明したい。守備面もBaseball Prospectusの出す総合守備指標DRPで+6.5を記録するなど守備範囲と強肩を兼ね備える。CFに残れる可能性を示すが、大柄な体格から将来的には両翼がフィットするか。
Kevin Alcantara


FV45

7.
ジェファーソン・ロハス(SS)/Jefferson Rojas:19歳
22年に契約金100万ドルで入団のドミニカン。18歳ながらAで3番打者に座り、wRC+115と平均以上のパフォーマンス。小柄ながら強烈なフルスイングでバレル性の打球を量産でき、打撃能力の高さが際立つ。守備能力は傑出していないも、ルーティンプレーはOKでSSに残れる可能性を残す。

8.モイゼス・バレステロス(C)/Moises Ballesteros:20歳
21年に契約金120万ドルで入団したベネズエラン。パワーとゾーンコントロールを両立した打撃が売りの攻撃型捕手。23年は19歳ながらAでwRC+142、A+で128とブレイク。2Aまで昇格した。一方でずんぐり体型で俊敏性はゼロであり、捕手に残れるかは疑問符が浮かぶ。1B/DHタイプになるリスクがある上に、1Bとしては身長5フィート7と小さすぎるためDH専門になる可能性も。

打者を圧倒する球威はないが、投球術とコントロールに長けた完成度の高さが光る。完成型をマルコ・ゴンザレス(前SEA)と比較されているローテーション4番手タイプ。91-94マイルでムーブ大の速球とプラスのチェンジアップのコンビネーション。第3球種のスライダーも向上中。23年は2A/3Aで20先発して防御率3.35、MLBでも7先発で4勝1敗・防御率4.41と実力を証明。

FV40

10.ベン・ブラウン(RHP)/Ben Brown:24歳
6フィート6の長身から投げ込まれる94-97マイルの4シームとカーブはいずれもプラスピッチ候補で、多くの空振りを奪える。23年は2Aを4先発/防御率0.45でクリアも、3Aでは72.2回/防御率5.33と苦戦。3Aで与四球率15.8%とコマンドに難があり、またマイナー6シーズンで100イニング以上1度のみの耐久面も考慮すると、ブルペンの方が輝けるか?

21年ドラフト2巡目。ヒットツールを高く評価されている成熟した中距離ヒッターで、1B転向が心配される守備力と合わせてタイ・フランス(SEA)と比較されている。A+では80試合で打率.285・4本塁打・wRC+115をマーク。四球率9.7%/三振率10.6%とゾーン管理の巧さが際立つ。1B専門としてはパワー不足、2Bや3Bとしては守備力不足か。

12.
マイケル・アリアス(RHP)/Michael Arias:22歳
18年に内野手としてTORと契約したが、公式戦の出場がないままリリース。21年に投手としてCHCと契約した。するとそこから急成長し、速球はMAX100マイルに到達。大きくフェードするチェンジアップもプラスピッチ候補。23年はAでの42.1回で防御率2.55・FIP2.83・奪三振率37.2%と圧倒的な内容。A+では39回/防御率5.77と失速したが、ポテンシャルは非凡。与四球率14.5%のコントロールを改善したい。

13.マット・マービス(1B)/Matt Mervis:26歳
22年にマイナーで36本塁打を放った左のパワーヒッター。23年は正一塁手として期待されていたが27試合で打率.167と振るわずMLBに定着することはできなかった。MLBでの99打席で三振率32.3%、3AでもOPS.932ながらコンタクト率は67%止まりとコンタクト面に課題を抱え、低打率に苦しみそうだ。

22年にマイナー2位の37本塁打を放った右のパワーヒッター。圧倒的なパワーポテンシャルの持ち主だが極度のフリースインガーであり、昨季3Aで三振率28%・コンタクト率67%とコンタクト能力に弱点がある。MLBレベルの投手に対応できるか。守備はルート取りに危うさがあるが、走力&肩いずれも両翼としては及第点。

23年ドラフト2巡目。6-6/225の迫力ある体躯からMAX100マイルで縦変化&エクステンション抜群の4シームを投げ込む。アップサイドは大きいが、ドラフト年をTJ手術で全休、21-22年はアーカンソー大で防御率6.17・与四球率13.8%とパフォーマンス不足&制球難と不安要素も大きい。

21年ドラフト3巡目の高卒左腕。23年はTJ手術から復帰するとAでの27.2回でFIP3.49・奪三振率36%をマーク。サイド気味のクロスファイアーから90マイル前半の伸びのある4シーム&大きく横滑りするスライダーのコンボで空振りを量産する。与四球率18.4%の制球難改善と耐久面の証明ができないと、リリーフ転向の道を辿るだろう。

FV40-

17.ルイス・バスケス(SS)/Luis Vazquez:24歳
マイナー5年で通算16本塁打の男が、2A/3Aで20ホーマーとブレーク。SS守備でもBaseball Prospectusの総合守備指標DRPで2年続けて3.0超えと守備面も優秀。フリースインガーで高打率が望めるタイプではないため、ユーティリティーがフィットするか。

18.デルニチェ・バルデス(SS)/Derniche Valdez:18歳
23年1月に契約金280万ドルで入団したトップアマチュア。パワーとスピードを両立したダイナミックな大型SSで、DSLでは35試合で6本塁打・ISO.243・wRC+106と長打力を見せつけた。一方で打率.234・三振率40.8%とコンタクト面の脆さを露呈した。

19.ルーク・リトル(LHP)/Luke Little:23歳
昨季3A/MLBで平均95.7マイルの速球と大きく横滑りするスイーパーのコンボで打者を圧倒するリリーフ左腕。A+/2A/3Aで63.2回を投げて防御率2.12・奪三振率37.6%をマーク。MLBでも6.2回を無失点。マイナー3年で与四球率13.8%と制球難であり、セットアップ以上に据えるには改善してほしいところ。

20.
BJ マリー(3B/1B)/BJ Murray:24歳
バハマ出身で、昨春はWBCイギリス代表としてもプレー。パワーと選球眼を両立したスイッチヒッターで、23年は2Aで124試合に出場してwRC+128・16本塁打・四球率15.8%をマーク。夏にはフューチャーズゲームにも選ばれた。平均以下の走力から3B守備を不安視されており、1B転向のリスクを抱える。



2023年12月11日月曜日

2024 WASHINGTON NATIONALS TOP 20 PROSPECTS

2024 WASHINGTON NATIONALS

TOP 20 PROSPECTS

Dylan Crews


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV60

1.ジェームズ・ウッド(OF)/James Wood:21歳
フアン・ソトの見返りの1人。6-7/240の恵まれた体格、30ホーマー級のパワーポテンシャル、CFに残れるだけの運動能力のパッケージは、アーロン・ジャッジ(NYY)を彷彿とさせる。23年はA+をwRC+155と圧倒。2Aでも8月以降は138と適応してみせたが、三振率は36.6%と高いままであり、コンタクト面には不安を残した。守備はCF残留の可能性を示すが、体格を考慮するとジャッジ同様にRF転向が現実的だろう。
James Wood

23年ドラフト全体2位指名。ダブルプラスヒッターになり得る逸材で、CF版アンソニー・レンドン(現LAA)が筆者の見立て。大学3年間でOPS1.187、146K/152BBとアプローチも隙なし。Aでは14試合で打率.355と圧倒も、2A昇格後は高めの速球を空振りする場面が増え、20試合という少ないサンプルながら打率.208と苦戦。来季は適応して欲しいところ。順調ならば24年中のデビューも射程圏内。


FV50

3.ブレイディ・ハウス(SS)/Brady House:21歳 
21年ドラフト1巡目。強肩強打の大型内野手で、ドラフト時にはマット•チャップマン(前TOR)とMLB公式は比較していた。23年は前年の不調を乗り越えブレイク。A、A+でいずれもwRC+140超え、2Aでも36試合でwRC+127と勢いは止まらず。パワー特化の打撃スタイルで荒っぽいアプローチを改善して行く必要があるだろう。特に2Aでは四球率4.7%/三振率28.4%。

4.
ケード・カバリ(RHP)/Cade Cavalli:25歳
20年ドラフト1巡目。マイナー屈指の豪腕プロスペクトとして評判も、23年はトミージョン手術により全休となった。平均95-96マイル/最速100マイルの速球が武器で、カーブ&チェンジアップもプラスピッチ候補。24年半ばの復帰予定。ローテーション上位ポテンシャルの持ち主ですでにMLBデビュー済みも、健康面とコントロール面に不安がある。
Cade Cavalli

FV45

5.ヨハンディ・モラレス(3B)/Yohandy Morales:22歳
23年ドラフト2巡目。プラスのパワーが武器のスラッガー候補で、3B守備も軽快。コンタクト&アプローチの荒さを不安視されていたが、プロでは4階級で打率.349・OPS.917と上々なヒットツールを披露。MLBクラスの投手にも対応できるように大振りなスイングを改善していくこと、3Bに残れるように守備力を磨いていくことが求められる。

22年ドラフト2巡目。完成度の高さを評価されているワークホースタイプで、MLB公式は6フィート6の巨体も含めてジョーダン・モンゴメリー(前TEX)と比較。91-94マイルの速球とプラスのチェンジアップ、平均的なスライダーのコンビネーション。23年はAでは9先発/防御率1.93と快投も、A+では6先発/防御率5.57と足踏み。

19年ドラフト1巡目。巨体から3A/MLBで平均95.7マイルを記録した4シーム&シンカーを主体に右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップを主に決め球として扱う。コマンドの平凡さから球威の割に奪三振は少なめ(2A/3Aで奪三振率21.3%、MLBで13.6%)であり、ローテーション下位向きとの評価。

8.クリシアン・バケーロ(OF)/Cristhian Vaquero:19歳
21年に契約金492万ドルで入団したキューバ出身の両打ち外野手。5ツールを兼ね備えた原石であり、中でもベストツールである走力はダブルプラスの評価。プラスの肩力と合わせてCFに長くとどまれるとの評価を得ている。打撃では平均以上のパワーポテンシャルを秘めるが、R/Aでの58試合で2本塁打・ISO.107と実戦ではあまりパワーを発揮できていない。フライ性の打球を増やしてパワーナンバーを伸ばしていくことが今後の課題だろう。

9.ハーリン・スザーナ(RHP)/Jarlin Susana:20歳
フアン・ソトの見返りの1人。6-6/235の恵まれた体格から最速103マイルを投げ込む剛腕。80マイル後半のスライダーも切れ、チェンジアップの軌道も良いが、コントロールの悪さからリリーフ転向のリスクを抱える。23年はAで17先発を経験したが、与四球率14.4%・防御率5.14と不安定な投球内容だった。

FV40

10.ロバート・ハッセル(OF)/Robert Hassell:22歳
フアン・ソトの見返りの1人。20年ドラフトNo.1ピュアヒッターと評判だったが、23年は手首の故障の影響もあり、2AでwRC+81・三振率31.9%と打撃不振に悩まされた。プラスのヒットツール、平均以下のパワー、CFなら平均/コーナーなら平均以上の守備力から完成型はアンドリュー・ベニンテンディ(CWS)やMIA時代のクリスチャン・イエリッチ(現MIL)だろう。

23年ドラフト3巡目。事前のドラフトリストではMLB公式40位、BA36位と1巡目クラスの素材であり、1巡目相当の契約金260万ドルでプロ入りした。6フィート6の巨体から最速101マイルの速球を投げ込む高卒右腕で、スライダー&チェンジアップもキレ良し。躍動感のある全力投球スタイルでコントロール面に課題。

12.デイレン・ライル(OF)/Daylen Lile:21歳
21年ドラフト2巡目。ヒットツールが良い両翼選手で、FanGraphsはデービッド・ペラルタ(前LAD)やラモンテ・ウェイドJr.(SF)と比較。23年はAでwRC+148と圧倒も、A+昇格後は85と適応に苦しんだ。TJ手術で育成が遅れたが、本来なら22年=A、23年=A+でプレーしているはずであり、Aでのパフォーマンスは差し引いて考える必要があるだろう。A+/2Aでのプレーが予測される来季に真価が問われる。

22年ドラフト全体5位指名の高卒大型選手。NFL選手だった父譲りのズバ抜けたアスリートであり、真の5ツールプレーヤーになり得る大器。しかしAで三振率41.9%とコンタクト面の不安が的中。それでもMAX打球速度117マイルを計測(昨季のMLBで117マイル以上を計測したのは9人だけ)するなど、ポテンシャルは凄まじいだけにコンタクトを改善できるかが今後を左右するだろう。

14.
DJ ハーツ(LHP)/DJ Herz:23歳
ジェイマー・キャンデラリオとのトレードで昨夏獲得。速球のレンジは90マイル前半止まりだが、プラスのチェンジアップとのコンビネーションで、2A/22先発で奪三振率32.3%をマークしたKマシーン。特にWSH加入後は8先発で防御率2.55と好投。与四球率13.9%と制球難が致命的で、リリーフ転向が濃厚との見立て。

23年ドラフト4巡目。5ツールタイプのアスリート。ヒットツールに不安があり、ドアスイング気味なスイングも含めて昨季28本塁打とブレークを飾ったレーン・トーマスを彷彿とさせる。プロデビューは41試合で打率.321・4本塁打・OPS.872とよく打った。外野3ポジションOKで、トーマスのようなユーティリティー外野手に適任。

16.ドリュー・ミラス(C)/Drew Millas:26歳
守備型捕手ながら、23年は打撃でも健闘。2AでwRC+175、3Aでも96をマークし、MLBデビューも経験した。3A/MLBで平均打球速度85マイル、95マイル以上の打球割合26%と非力ながら、コンタクト&ゾーン管理に優れる。来季26歳と歳を食っている上にロースターの捕手枠が埋まっているのが惜しい。

17.
ナシム・ヌネス(SS)/Nasim Nuñez:23歳
ルール5ドラフトでMIAから加入。打撃力には乏しいが、SS守備はゴールドグラブ級と絶賛されている。2Aでは四球率14.9%とよく選び、出塁率.341をマークした。また、52盗塁と足も使える。しかし、パワーレスな打撃スタイルからMLBでも高出塁率を維持できるかは未知数。昨季22歳のヌネスが2AでwRC+79を記録したのに対して、同タイプのニック・アレン(OAK)は同年齢・同階級で126を残しており、そのアレンが昨季MLBでfWARマイナスということを考慮するとバリューには疑問。

18.
トレイ・リプスカム(3B)/Trey Lipscomb:24歳 
22年ドラフト3巡目指名。シンプルなスイングで広角にライナーを打ち分け、2AでwRC+102と健闘。また強肩と運動能力を生かした3B守備では、マイナーのゴールドグラブを受賞した。3Bのレギュラーとしてはややパワー不足であり、複数ポジションを習得してユーティリティーを目指す道が現実的か。
ダブルプラスのスピードが武器の韋駄天で、CF守備もプラス。23年はA+/2A/3Aで打率.305・6本塁打・OPS.794とバットで結果を出してMLBデビューも経験。メジャー33試合で打率.252・OAA+3をマーク。さらにスプリント速度はMLB上位2%だった。打撃でプラスを出せる選手ではないが、第4,5の外野手に適任だろう。

20.アンドリー・ララ(RHP)/Andry Lara:21歳
19年に契約金125万ドルで入団のベネズエラン。6-5/235の立派な体格とそれをコントロールできる運動能力を兼ね備える。好調時は94マイル前後の速球で両コーナーの低めを突き、低めのスライダーor高めの4シームで打者を制圧できる。開花すればトップ100入りも狙えるような素材だが、安定感がなく好不調の波が大きいのが残念。

2023年12月2日土曜日

2024 PHILADELPHIA PHILLIES TOP 20 PROSPECTS

2024 PHILADELPHIA PHILLIES

TOP 20 PROSPECTS

Andrew Painter

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV60

22年はマイナー3クラスで103.2回/防御率1.56と圧倒的なパフォーマンスで、「ベースボールアメリカ」のマイナー最優秀投手に輝いた。しかし23年は春季トレーニングから肘痛に悩まされ、結局7月にTJ手術。24年シーズンも全休の見込み。健康であれば、6-7/215の規格外の体格から平均96.7/最速101マイル/スピンレート2408rpmの速球を主体に、平均から平均以上のスライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜる。また、大柄ながら運動能力も素晴らしく、コマンドもプラス評価。球威、変化球、コマンド、体格全てを兼ね備えたエースポテンシャルだ。
Andrew Painter


FV50

2.ミック・エイブル(RHP)/Mick Abel:22歳
制球難だがボールの質はエース級。21年にAで平均95.4マイル/平均2488rmpとMLBトップクラスの数値を記録した4シームを軸に、スライダー、チェンジアップ、カーブ、シンカーいずれもプラスピッチ候補。昨季BB/9=5.2、マイナー3年で4.8のコントロール改善が求められる。
Mick Abel


3.エイデン・ミラー(SS)/ Aidan Miller:20歳
23年ドラフト全体27位指名の高卒選手。U-12、15、18でUSA代表を務めた実力者であり、強肩強打が魅力の大型内野手。プラスのパワーと並外れた選球眼を備える一方で、ややガチャついた打撃動作からコンタクト面への適応を不安視されている。また、守備は増量に伴って3B転向が目されている。

球宴4度の名選手カール・クロフォードの息子であり、22年ドラフト全体17位指名でプロ入りを果たした。父譲りの俊足がベストツールで、コンタクト能力を併せて父と同じくリードオフマン適性あり。LF専門だった父に対して、ジャスティンはプラスのCFディフェンダーになれる可能性あり。AでwRC+138、A+で119と好デビューを飾ったが、グラウンドボール率が極めて高く(Aで68.5%、A+で74.5%)、打撃ポテンシャルには疑問。

FV45

5.
スターリン・カバ(SS)/Starlyn Caba:18歳
23年1月に契約金300万ドルで入団したドミニカ共和国出身のトップアマチュア。ヒットツール&プラスの守備力を兼ね備えた両打ちSSで、若き日のフランシスコ・リンドーア(現NYM)と比較する声も。DSLでは38試合で打率.301・三振率9.8%/四球率17.1%をマーク。

23年に契約金9万ドルで入団とプロ入り時の評価は高くなかったが、16歳ながらDSLで打率.333・OPS.917と圧倒的な成績を残して評価を上げた。プラスのパワーを秘めた攻撃型捕手で、すでに平均打球速度はMLB平均相当の88マイルに到達。守備でも盗塁阻止率44%と強肩の持ち主。

7.ウィリアム・ベルゴラ(SS)/William Bergolla:19歳
22年1月に契約金205万ドルで入団した原石。MLB公式の国際アマチュアFAリストでは4位にランクインするなど走攻守にオールラウンド。プロ79試合で0本塁打、現地点で5-11/165と線が細く非力だが、23年はAでの55試合でコンタクト率驚異の94.8%、三振率7.5%/四球率13.2%をマークするなどコンタクト力の高さが際立っている。パワーをつけたい。

リリーフプロスペクト。90マイル後半の速球とダブルプラスのスライダーのコンビネーションで打者を圧倒する。23年はAで開幕を迎えたが一気に駆け上がり、MLBデビューも経験。ポストシーズンのロースターにも入った。マイナー4階級で防御率1.51・13.2K/9をマーク。


FV40
22年ドラフト14巡目。A/A+で打率.234・ISO.127と打撃ポテンシャルは平凡だが、素晴らしいSS守備が魅力で下位打線レギュラーor守備要員向き。Aでの81試合で四球率17.0%/三振率18.1%をマークするなどアプローチ&ゾーンコントロールは優秀。

10.デビン・ソルティバン(OF)/Devin Saltiban:19歳
23年ドラフト3巡目のハワイ出身高卒プロスペクト。パワー&スピードが魅力でスケール大。上級投手との対戦経験は不足しているが、MLBドラフトリーグでは限られたサンプルながら年上の格上投手を相手に11試合で2本塁打・OPS.759、Rでも10試合でOPS.844をマーク。
21年ドラフト5巡目。MAX100マイルのライジングファストを主体に、カッター、スライダー、チェンジアップ、カーブと変化球も多彩。しかし60イニングで50四球、与四球率18.5%と制球難が致命的。球数の多さから17先発して5イニングを投げ切れたのは5試合だけであり、リリーフ転向が濃厚と見られる。
Griff McGarry


22年ドラフト4巡目。Statcast搭載のAで平均96.1マイル/2648rpmsのシンカー&2848rpmsのスライダーのコンボ。奪三振率29.6%&56.3GB%と球威は申し分なし。しかし、与四球率16.3%とコントロールが悪く、また16先発でMAX85球とイニング消化能力にも課題があり、リリーフ転向が濃厚だ。

13.ガブリエル・リンコネス(OF)/Gabriel Rincones:23歳
22年ドラフト3巡目。6-3/225の恵まれた体格にパワーポテンシャルを備える。23年はAでwRC+130、A+で103をマーク。走力は平均を大きく下回るとの評価だったが、まさかの32盗塁、オフのAFLでも22試合で15盗塁を決めるなど躍動。しかし、将来は1B/DHが適性と見られており、バリューを出すには打ちまくることが求められる。打率.248・三振率25.1%のコンタクト面を改善できるか。

14.シモン・ムジオッティ(OF)/Simon Muzziotti:25歳
レギュラーとしてはパワー不足だが、CFを守れる平均以上の走守とコンタクト能力の高さからバックアップ外野手向き。23年は3Aで打率.296・三振率15.5%をマークも、wRC+は93止まりだった。来季25歳と野球選手として正念場を迎える。
21年ドラフト2巡目。スラッガー候補として入団するもプロでは苦戦。しかし、昨季は2Aで自己最多の17本塁打、自身初となるwRC100超え(102)を記録と成長を感じるシーズンとなった。守備は外野両翼に限られるため、さらにもうワンランク打撃の成績を伸ばしたいところ。

身長6フィート8と規格外の体格を備えたパワーヒッター。23年は2AでwRC+118、自己最多の24本塁打を放ったが、三振率27.5%とコンタクト&アプローチが弱点。守備はCFでも14試合に出場している一方で、1Bでも49試合に出場しており、最終的には1B/DHに落ち着くと見られている。

FV40-

22年ドラフト11巡目ながらオーバースロットとなる契約金で入団した原石タイプ。20-80スケールで70評価の走力が武器で、フルシーズン1年目ながらAで56盗塁をマーク。打撃は91試合で1本塁打・ISO.062と現時点ではパワー不足であり、MLBまでの道のりは険しい。

18.レイリン・ヘレディア(OF)/Raylin Heredia:20歳
パワーとスピードを兼ね備えたツール型外野手で、Rでの35試合で4本塁打・wRC+145と猛アピールに成功。守備は平均以上のスピードに加えて、プラスの強肩の持ち主でCF適性あり。A昇格後は18試合でwRC+104と及第点だったが、三振率31.5%とコンタクト面に不安を残した。

23年ドラフト4巡指名の高卒選手で、6-3/225という立派な体格を持ち合わせたフィジカル系プレーヤー。打撃は現段階ではライナー中心だが、立派な体格からパワーポテンシャルは申し分なく、打球角度がついてくれば本塁打増が見込める。守備は最終的にはスピードを失ってコーナーに落ち着くとの見立て。

20.サミュエル・アルデゲリ(LHP)/Samuel Aldegheri:22歳
イタリア出身。A/A+で19先発して防御率4.20・奪三振率27%をマーク。平均91.9マイルながらスピンレート2366rpmsと高スピンの4シーム&空振り率39%のスライダーを軸に、対右打者にはチェンジアップで空振りが取れる。

2023年11月23日木曜日

2024 NEW YORK METS TOP 20 PROSPECTS

2024  NEW YORK METS 

TOP 20 PROSPECTS

Jett Williams

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV50

1.ジェット・ウィリアムズ(SS/OF)/Jett Williams:20歳
22年ドラフト全体14位指名の高卒野手。身長5フィート6と小柄ながらコンタクト&走力がプラス候補のリードオフポテンシャルで、ダスティン・ペドロイア(元BOS)と比較されている。23年はフルシーズン1年目ながらAでwRC+136、A+で176、マイナー全体2位の104四球を選ぶなど大活躍。Statcast搭載のAでは平均打球速度87.4マイルとパンチ力も披露した。守備はSS中心も、CFでも21試合に出場。俊足をより生かせる外野が天職か?

ロナルド・アクーニャ(ATL)の弟。兄のような傑出したポテンシャルはないが、堅実な2Bレギュラーとして計算できるとの見立て。マイナーで3年連続40盗塁以上のプラスランナーであり、守備も2Bに回ればプラスを生み出せると評判。打撃は本塁打を量産するタイプではないが、確率良くコンタクトを生み出し2AでwRC+107と及第点をクリア。
Luisangel Acuna

22年ドラフト1巡目。走攻守揃ったオールラウンダーであり、レギュラーCFになり得るポテンシャルを有する。23年はA+/2Aで18本塁打・OPS.868をマーク。打撃ではアプローチが良く、出塁率の高さが強みだが、5-9/185と小柄ですでに完成された体格から将来的なパワーには懐疑的な声も多い。

昨季マイナーで80イニング以上投げた投手の中では4位の与四球率3.6%、1位の28.4K-BB%をマークするなどブレーク。平均94マイルのライジングファストを軸にスライダー&チェンジアップをコマンド良く投げ分ける。すでに24歳という年齢面が唯一のネックか。

ジャスティン・バーランダーとのトレードで昨夏に加入。パワーとアベレージを両立した好打者であり、高卒1年目ながらマイナーで24本塁打・OPS.854をマーク。しかし、トレードでNYM加入後は打率.188・三振率36%と苦戦してシーズンを終えている。走守の評価は平均以下なため、どれだけ打てるかにかかっている。

マイナーで3年連続20ホーマー以上というプラスのパワーが武器だが、フリースインガーでヒットツールを不安視されている。3A/MLBで平均打球速度91.0マイル、MLB初ヒットの打球速度117.3マイルは23年のメッツ打者トップとパワーツールはMLB屈指。守備はSSにふさわしい強肩の持ち主だが、MLBレベルでは2Bや3Bの方がフィットするとの評価。


FV45

7.コリン・ハウク(SS)/Colin Houck:19歳
23年ドラフト全体32位指名。MLB公式のドラフトリストでは12位にランクインしていたトップ級の高校生選手。アメフトのクオーターバックとしても鳴らした5ツール候補で、中でも強靭なパワーが武器。ガッシリとした体型で、将来は3Bや2Bへの転向が見込まれている。

8.マイク・バシル(RHP)/Mike Vasil:24歳
21年ドラフト8巡目。速球、カッター、カーブはいずれも高スピンで高い空振り率を記録しており、左打者にはチェンジアップも交えるなど4球種をコマンド良く扱えるハイスペックな右腕。23年は2Aで与四球率4.1%・奪三振率28.9%と素晴らしいコマンドを披露したが、3A昇格後はAI審判への適応にも苦しみ、与四球率11.7%と制球難に苦しんだ。

22年ドラフト2巡目。制球難だが、4シームとスライダーのコンボが強烈。22年にはStatcastが搭載されているAで、速球が平均95.9マイル/縦変化10.85インチ(MLB平均9.1)、スライダーが横変化4.97/縦変化2.76インチ(同平均3.1/1.1)を記録するなど凄まじいボールのポテンシャルを披露した。23年はA+/2Aで奪三振率31.4%と球威は申し分なく、制球を改善できればローテーション半ばポテンシャル。
Blade Tidwell


10.マルコ・バルガス(SS)/Marco Vargas:19歳
夏にデービッド・ロバートソンとのトレードでMIAから加入。スムーズなスイングでコンタクト能力とアプローチに優れる。23年は18歳にしてR/AでOPS.821、三振率15.2%に対して四球率21.2%とズバ抜けたゾーン管理を披露した。守備はSSを中心に2Bや3Bもプレー。守備能力は平均的で、将来的には2Bがフィットするとの見立て。

22年ドラフト6巡目。6-9/250の巨漢&大学ではリリーフもマイナーでは先発として成功している点から、タイラー・メジルと比較されている。23年はA+/2Aで21先発して防御率2.20マーク。シンカー&スライダーをゾーンに集める投球スタイルで、特にA+では20.2K-BB%と優れたコマンドを見せた。チェンジアップの向上が先発として成功するための鍵。

23年ドラフト2巡目。22年もNYMから3巡指名を受けたが、大学に残留。しかし23年シーズンは防御率4.66・与四球率10.3%と不調で評価を落としてドラフトを迎える形になった。最速101マイルの4シームに平均以上のスライダー&チェンジアップとハイポテンシャル。しかし4シームは質が悪く、打ち込まれがち。

FV40

13.ケビン・パラダ(C)/Kevin Parada:22歳
22年ドラフト全体11位指名の攻撃型捕手。A+では87試合でwRC+115と健闘したが、2A昇格後は14試合という少ないサンプルながらwRC+70・三振率38.3%と苦戦。アプローチの適応に苦しんでいる。また、捕手としての守備面もかなり怪しく、盗塁阻止率18%&マイナーワースト4位となる129盗塁を許し、フレーミングによる失点阻止も-12.3点と酷かった。1B転向のリスクを抱える。

14.アレックス・ラミレス(OF)/Alex Ramirez:21歳 
ダイナミックな5ツールCFで、中でもパワーツールが高評価。22年はAでwRC+129、A+で106と健闘し評価を上げたが、23年はA+でwRC+79と苦戦した。パワーポテンシャルは凄まじいが、ISO.096と長打が出なかったので、選球眼やアプローチ面を磨いていくことが開花のための鍵となるだろう。
デービッド・ロバートソンの見返りとして昨夏加入。来季20歳ながら、スムーズなスイング&ゾーン管理の優秀さが際立つ両打ち捕手。23年はR/Aで53試合に出場してOPS.875・三振率21.7%/四球率23%と素晴らしい内容。捕手としての守備力も平均以上になれる可能性を秘めている。

16.ドミニック・ハメル(RHP)/Dominic Hamel:25歳
21年ドラフト3巡目。昨季は2Aで100イニング以上投げた投手では2位となる奪三振率30.4%&FIP3.21をマーク。平均92.5マイルながらスピンレート2459rpm/縦変化10.66インチのライジングファストボールで空振りを量産する。第2球種のスライダーも2814rpmと高スピンで、チェンジアップやカーブも織り交ぜる。与四球率9.3%と与四球がやや多く、また来季25歳で初の3A挑戦という年齢も含めて、不動のローテーション投手というよりは、スイングマン~ミドルリリーフ向きだろう。

マーク・キャナの見返りとして昨夏加入。平均92.8マイルながら縦変化は驚異の11.11インチ(LADのアレックス・ベシアが11.14)というMLBトップクラスのライジングファストで空振りを量産する。2Aでは14先発で防御率3.33も、3Aでは12先発で防御率8.79と打ち込まれた。制球難&フライボーラー気質による被弾の多さがネック。16位のハメルと似たプロフィールで、ミドルリリーフ向きか?

22年ドラフト4巡目の高卒選手。6-2/205のガッシリとした体型の大型選手で、パワーとアベレージを両立した打撃面が最も評価されている。23年は高卒1年目ながらAでwRC+129と好デビュー。高校ではSSを守っていたアスリートではあるが、SSとしては大きすぎるためプロでは早速3Bに転向。しかし走力不足から最終的には1Bに回る可能性も。

二刀流プロスペクトで、23年ドラフト3巡目でプロ入り。打者としては大学3年間でOPS.957のパワーヒッターも、三振率34.7%のコンタクト難が深刻。投手としては平均94/最速98マイルの速球と最高でスピンレート2900rpmに達するスライダー&カーブが武器のパワーリリーバー。


FV40-

20.ニック・モラビト(OF)/Nick Morabito:21歳
荒削りだが、パワー&スピードを兼ね備えたダイナックな人材。特にスピードはダブルプラス評価。23年は高卒1年目ながらRでwRC+137、Aで123と平均以上のパフォーマンス。57試合で2本塁打止まりだったが、Aでは98打数というサンプル数ながら平均打球速度87.2マイルとMLB平均レベルの数字を残している。守備はCF中心に外野3ポジション&2Bもプレー。



2023年11月21日火曜日

2024 MIAMI MARLINS TOP 20 PROSPECTS

2024 MIAMI MARLINS 

TOP 20 PROSPECTS

Noble Meyer

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV50

1.ノーブル・メイヤー(RHP)/Noble Meyer:19歳
23年ドラフト全体10位指名の高卒右腕で、エースポテンシャルと評判。6-5/185の伸びしろあふれる体格から93-95マイルのシンカーとプラスのカーブ主体。Aでは7イニングという限られたサンプルではあるが、カーブの平均スピンレートは2785pmsとMLBトップクラスの数値を記録した。多くの高卒投手が通る道だが、コントロールやチェンジアップの質向上が課題。

20年ドラフト全体3位指名。22年7月にTJ手術を受け、昨季は全休したが、24年は開幕から間に合う見込み。22年は23歳ながら3AでFIP3.47と好投。平均94-95マイルの真っスラ系4シームと20-80スケールで70評価のパワースライダーのコンボに加え、チェンジアップも向上中。球威と制球を兼ね備え、ローテーション半ばクラスの実力者だが、肘の故障歴&アンダーサイズな体格から耐久面が心配。
Max Meyer


23年ドラフト全体5位指名の高卒左腕。200万ドル近いオーバースロットとなる契約金410万ドルで入団を決めた。6-5/210と体格に恵まれたロマン派であり、フォームを固めて制球難を克服できるか。Aでは3.2回という限られたサンプルながら4シームは平均94.2マイル/スピンレート2512を記録。決め球カーブは横変化・縦変化いずれもMLB平均を上回った。

FV45

20年ドラフト2巡目。6フィート7の長身を生かした角度のある4シーム&縦カーブのコンビネーションで、奪三振能力とゴロアウトの多さが特徴。しかしドラフト後にTJ手術、昨季も肘の靭帯の修復手術で7登板にとどまるなど健康面にリスクを抱える。春季トレーニングには間に合う見込み。
Dax Fulton


俊足巧打のスーパーユーティリティー候補。パワーレスだが、マイナー5年で通算打率.312のコンタクト力とダブルプラスのスピードで勝負する。昨季は3Aで打率.351・wRC+130と打撃好調で、MLBでも30試合で打率.295をマーク。守備は二塁とセンターを中心に内外野プレー可能。

22年ドラフト3巡目の高卒投手。高校ではバスケットボールとの二刀流だったため、野球に専念した環境での伸びしろが期待されている。23年はフルシーズン1年目ながら23先発をこなすなど経験を積んだ。低いリリースポイントからシュートしながら伸び上がるランニングファストを中心に、鋭いカーブ&左打者の外にフェードするチェンジアップのコンビネーション。速球はAで平均94.1マイル/平均2531rpmを記録。

7.ビクトル・メサ Jr.(OF)/Victor Mesa:22歳
長くキューバ代表チームの監督を務めたビクトル・メサの息子。パワーとスピードを両立したCFで、23年は2Aで自己最多の18本塁打&16盗塁とブレーク。CF守備でも守備範囲指標RDAで+3.3と好調だった。大振りで三振率22.9%とコンタクト面に不安があり、不動のレギュラーというよりも、守備型CFもしくはプラトーン外野手が将来像か。

8.イディ・キャッぺ(2B)/Yiddi Cappe:21歳
21年1月に契約金350万ドルで入団したキューバ出身の大型SS。6フィート3の長身細身の体型は若き日のカルロス・コレア(MIN)を連想させる。四球率3.3%とフリースインガーでアプローチに難があり、A+ではOPS.558とスランプだった。打者不利な本拠地で26二塁打を放つなどパワーポテンシャルは潜めており、アプローチを磨けば開花の可能性あり。守備面ではすでにSSから2B中心にコンバート。将来は外野転向も危惧されている。

FV40

23年1月にミゲル・ロハスとのトレードでLADから加入。プラスのSSディフェンダーで、打者としてはアプローチの良い中距離タイプ。昨季は3AでwRC+89とレギュラーとしては打力不足であり、下位打線のSSレギュラーか内野のバックアップが適性か。

元々は17年にタイガースから投手としてドラフト指名も、21年に野手転向。昨季は27歳のシーズンにして2A/3AでOPS.896とブレークを果たし、MLBデビューも飾った。3A/MLBで平均打球速度90.3マイル/ハードヒット率47.3%のパワーに加え、スプリント速度&送球速度もMLB上位20パーセント以内とポテンシャルは凄まじい。
23年ドラフト2巡目。6-3/250の強靭な体格を備えたパワーヒッターで、Aでは34試合という少ないサンプルながらMAX打球速度112.7マイル/ハードヒット率44.0%を記録。運動能力は悪くないが、平均以下の走力から守備は外野両翼向き。大学では1Bや捕手の経験もある。

12.ファビアン・ロペス(SS)/Fabian Lopez:18歳
23年1月に$650Kで入団したドミニカ共和国出身の原石。スムーズかつレンジの広いプラスのSSディフェンダー候補で、打撃もDSLでOPS.732とまずまずのデビュー。フィジカル不足に加えて49試合で55三振とコンタクト面にも不安があり、打撃能力の向上が課題。

13.アンドレス・バロー(OF)/Andres Valor:18歳
23年1月に$520Kで入団したベネズエラ出身の原石。6-3/180と体格に恵まれており、CFに残り得る運動能力とパワーポテンシャルを兼備している。DSLでは17歳にしてMAX打球速度108マイルを計測するなどパワーポテンシャルを披露。コンタクトやアプローチを磨いていけば大化けする可能性あり。

14.ジェーコブ・ミラー(RHP)/Jacob Miller:20歳
22年ドラフト2巡目。垂直に近いオーバースローから投げ込まれる平均2300rpm超えのカーブ&スライダーが高評価。対左打者にはチェンジアップが空振り率43.4%と効果的で、対左の方が被OPSが良かった。高校時にMAX97マイルを計測した速球は平均91.8マイルと今一つだった。

15.ジョー・マック(C)/Joe Mack:21歳
21年ドラフト全体31位指名。プロではコンタクト面の適応に苦しんでいるが、パワー&プラスの強肩を評価されている。A+ではOPS.582も、投手有利な環境&20歳ということを考慮すればまだ救いはある。Baseball Prospectusによると、捕手守備ではフレーミングにより8.2点阻止しており、肩も強いため捕手に残れるとの見立て。

FV40-

16.エメット・オルソン(LHP)/Emmett Olson:22歳
23年ドラフト4巡目。91-94マイルのライジングファストと82-84マイルのスライダーのコンビネーション。強気の投球で打者の胸元を攻める。6-4/230の恵まれた体格はイニングイーターに適任だが、平均的な球威と第3球種の平凡さを考えるとリリーフが適任か。
22年ドラフト全体6位指名。大学屈指の強打者として鳴り物入りで入団も、プロ通算144試合でOPS.682と実力を発揮できていない。また、守備でも俊敏性の乏しさから将来は一塁転向が危惧されており、同じくMIA傘下出身という点も含めてコリン・モランを彷彿とさせる。

6-7/230という巨体のスラッガー候補。選球眼に優れたヒットマシーンで、大学ではBB>Kをマーク。一方で純粋なパワーは平均レベルであり、一塁専門の選手としてはパワーナンバーを供給できるかが評価を分けるだろう。

速球は平均89マイルとパワーレスだが、緩急とコントロールで勝負する技巧派。多彩な球種を投げ分けるが、中でもチェンジアップがプラスピッチ。MLBでプラスを生み出せるような選手になることは難しいだろうが、トミー・ミローン(元OAK他)のようなイニングイーターとして浮上できるか。

18年ドラフト2巡目。捕手守備の評価は傘下No.1。打撃力には乏しいが、オースティン・ヘッジス(元SD他)のような守備型捕手としてMLBでやっていける可能性あり。昨季は苦手な打撃でも2Aで23本塁打・OPS.773と自己最高の成績を残した。ちなみにヘッジスは通算打率.189ながら通算fWAR6.2。