2025 MIAMI MARLINS
TOP 15 PROSPECTS
本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。
FV55
1.トーマス・ホワイト(LHP)/Thomas White:20歳23年ドラフト全体35位指名の高卒左腕。200万ドル近いオーバースロットとなる契約金410万ドルで入団を決めた。24年はA/A+で21先発して防御率2.81・FIP3.23・奪三振率29.2%と素晴らしいパフォーマンス。6-5/210の恵まれた体格から平均95マイル/スピンレート2501rpmの4シームを主軸に、Aで空振り率41%のスラーブ、同38%のチェンジアップのコンビネーション。3球種プラスピッチ候補と素質は申し分なく、課題とされるコントロールも与四球率9.2%とおおむね安定していた。荒さは目立つが、フロントスターター級への成長に期待したい。
Thomas White
FV50
豪快なパワーが武器の攻撃型捕手。ジャズ・チザムの見返りの1人として夏のトレードでNYYから移ってきた。23年に自己最多の18本塁打をマークすると、24年は2Aでの58試合で16本塁打・wRC+163と大ブレイク。3A昇格当初はボール球に手を出し内野ゴロを量産していたが、徐々に適応。上位10%の打球速度106.8マイルはプラス水準で、積極アプローチながらチェイス率&コンタクト率も平均以上を維持するなど、3Aの投手相手にも穴を見せなかった。一方の守備面は要改善。肩の強さは平均以上だが俊敏性に問題があり、110許盗塁&盗塁阻止率10%。また捕球面でも10失策&11捕逸。
23年ドラフト全体10位指名の高卒右腕で、エースポテンシャルと評判。6-5/185の伸びしろあふれる体格から平均93.9マイルのシンカーと大きく曲がるスライダー中心の投球。特に決め球のスライダーはAで被wOBA.091・空振り率41%と素晴らしい内容だった。第3球種のチェンジアップは10%程度の投球比率だが、アームサイドへの変化が大きいため空振り率42%と磨けば光る可能性あり。24年はA/A+で18先発を経験するも、与四球率17%と制球難に苦しんだ。高卒1年目で着実に実戦経験を積んでステップアップできたのはポジティブな側面だが、与四球率17%はさすがに酷すぎるため、先発として大成できるかは未知。
FV45
22年ドラフト全体39位指名。93-95マイルでホップ変化量平均以上の4シームと22年ドラフトNo.1と評されたカーブのコンビネーション。第3球種のチェンジアップはプロ入り後に向上中。23年は100イニング以上投げた投手ではマイナートップとなる防御率1.82と好投。しかし24年は2Aで開幕から16先発/防御率6.01と年上選手たちに苦戦。それでも徐々に適応を見せ、夏のトレードでSDから移ってからは8登板で防御率3.64・FIP2.92・奪三振率27.1%と復調の兆し。前半戦は相手打者のレベルアップに伴い四隅を狙って自滅していたが、後半は与四球を減らして再びゾーン内で勝負できるようになった。来季の完全復活に期待したい。
21年ドラフト全体31位指名。24年にマイナーのゴールドグラブ賞を獲得した守備型捕手。打っても大学3年生と同じ21歳のシーズンにして2Aで22本塁打・wRC+129と健闘を見せた。コンタクト力は平均以下だがフライボール率が高く、低打率ながら20HR前後が狙えるだろう。捕手守備では強肩と素早い握り替え、巧みなフレーミング、俊敏なフットワークを兼備。79試合で63盗塁に抑え、盗塁阻止率は34%をマーク。Baseball Prospectusの出す守備指標ではここ2シーズンでフレーミング指標+13.6、送球指標+4.1と大きくプラスを叩き出している。
Joe Mack
24年1月に契約金140万ドルで入団した原石。U-15のベネズエラ代表CFを務めた実力者で、ダブルプラスのスピードが魅力のアスリートタイプ。DSLでは55試合でOPS.723・36盗塁と上々のデビューを飾った。四球率15.3%/三振率10.0%と成熟したアプローチが光る。現時点ではギャップヒッターだが、スイングスピードの速さから筋肉がつけばパワーも向上が見込まれている。仮にパワーが向上しなくてもある程度打てれば守備走塁と出塁能力でチームに貢献できるだろう。
24年にマイナーで40HRを放ったパワーヒッター候補。上位10%の打球速度108.1マイル/MAX打球速度116マイルはMLBだとフアン・ソトやブライス・ハーパーらに匹敵し、20-80スケールで70~75相当だ。一方で超フリースインガーであり、コンタクト率も65%と平均を大きく下回っているため、MLB投手に対応できるか疑問。また守備走塁で貢献できるタイプでもなく、ミゲル・サノーやフランミル・レイエスあたりが比較対象と見ている。
8.PJ モーランド(OF)/PJ Morlando:20歳
24年ドラフト全体16位指名。高校生ホームラン競争優勝&全米オールスターゲームMVPの実力者だが、ドラフトイヤーに不調で評価下落。無駄のない華麗なスイングでコンタクト力とパワーポテンシャルを両立しているが、実戦で長打力を発揮しきれていない。プロで改善できるか。チームはCFとして買っているが、スカウト評価はそれほどではなく、将来的には外野両翼か1Bに回ると予想されている。
PJ Morlando
FV40
24年ドラフト2巡目。高校生No.1ピュアヒッターと評判で、U-18でもプレー。スムーズな左スイングで広角にライナーを打ち分けるラインドライブヒッター。平均的とされるパワーをどれだけ伸ばせるか。走守のツールは傑出しておらず、将来的には3Bや2Bに落ち着くだろうと予想されている。ドラフト後はいきなりA配属されるも、wRC+65・三振率33%と年上選手に歯が立たず。トップアマチュア選手としてはツール不足か。
若き日のフランシスコ・リリアーノ(元PIT他)を思わせるクロスファイアー左腕。18歳ながらAでの57.2回で防御率3.12・xFIP3.87と健闘。平均93マイルのシンキングファスト、空振り率52%を記録したダブルプラス候補のチェンジアップ、平均78マイルとブレーキの利いたスライダーのコンビネーション。まだ細身で球速向上の余地があり、数マイル伸ばせれば先発候補として楽しみな存在だ。
チザムのトレード対価の1人。身長5フィート7とアンダーサイズだが、パンチ力あり。鋭いライナーで外野の間を破る。24年はA+で88試合/wRC+123、2Aで39試合/wRC+119をマーク。A+/2Aで計15本塁打&39二塁打を放った。選球眼に欠点があり、ボール球に手を出してのウィークコンタクトを減らしていきたい。守備面ではキャリア4年目にして初めてSSメインで1年間プレー。長期的には2Bや3Bの方がフィットするだろうが、ユーティリティー性に磨きをかけた。
22年ドラフト2巡目。プラスのコントロールを土台に5球種を織り交ぜるテクニカル右腕。平均94.6マイルの4シームと87マイルのハードスライダーが全投球の7割以上を占める。24年は開幕から2Aで6先発/防御率1.95・与四球率4.2%と好投。しかし、MLBデビューすると8先発で防御率7.49と打ち込まれた。4シームは及第点だが他に平均以上の球種がないため、MLBの打者を圧倒するのは厳しそうだ。現時点ではローテ下位のイニングイーターorミドルリリーフ向きと見ている。
24年ドラフト全体70位指名。鋭く切れるスライダーがマネーピッチ。スライダーと平均94/最速98マイルの速球を軸とした投球で打者を制圧する。ツーピッチタイプでリリーフ転向リスクを心配されている。また、速球はホップ成分が弱く、軌道に問題があるとされており、球速の割にあまり空振りが奪えていない。球威だけで見ればローテーション半ばポテンシャルだが、シーリングに達するには第3球種の習得と速球の質改善が求められる。
22年ドラフト3巡目の高卒投手。高校ではバスケットボールとの二刀流だったため、野球に専念した環境での伸びしろが期待されている。プロ3年で防御率4.71と結果はイマイチだが、23年=23先発、24年=22先発をこなすなど着実に経験を積んでいる。平均94マイル/スピンレート2500rpm超のランニングファストを中心に、鋭いカーブ&左打者の外にフェードするチェンジアップのコンビネーション。アップサイドを期待してのランクイン。