2024年11月30日土曜日

2025 CHINCINNATI REDS TOP 15 PROSPECTS

2025 CHINCINNATI REDS

TOP 15 PROSPECTS

Rhett Lowder


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.チェイス・バーンズ(RHP)/Chase Burns:22歳
24年ドラフト全体2位指名。速球&スライダーがダブルプラス評価のエースポテンシャル。4シームは平均98/最速102マイルを誇り、平均スピンレート2600rpm超/ホップ変化量20インチ超と球質もMLBトップクラス。スライダーは80マイル後半で鋭く切れ、大学で60%以上の空振り率を記録した。第3球種やコマンドの質は発展途上にあるが、その不安要素を補ってなお余りあるほどのポテンシャルを秘めている大器だ。課題を改善できればサイヤング級の投手に成長できる可能性がある。全力投球型のフォームだが大学3年間で大きな故障なし。レッズ現エースのハンター・グリーンのようになれるか。
Chase Burns


2.レット・ラウダー(RHP)/Rhett Lowder:23歳
23年ドラフト全体7位指名。絶対的な球種がなくエースポテンシャルではないが、ハードヒットを避ける投球能力の高さを評価されている。24年はA+/2A/3Aで防御率3.64・K/BB=4.71と安定した投球を披露し、フルシーズン1年目にしてMLB到達。MLBではK/BB=1.57と与四球を増やしたが6先発で防御率1.17と好結果を残した。シンカー、スライダー、チェンジアップ、4シームをプラスのコマンドで投げ分け、打者の的を絞らせない。すでにMLBで先発ローテーションを張れるだけの実力を備えているが、奪三振能力を伸ばしてアーロン・ノラのようなエース投手に成長するのがベストシナリオだろう。

3.キャム・コリアー(3B)/Cam Collier:20歳
22年ドラフト全体18位指名。プラスのパワーとゾーン理解を兼ね備えた左打者。高校を飛び級で卒業→短大進学というブライス・ハーパーと同じルートで1年早くドラフト対象となり、オーバースロットとなる契約金500万ドルで入団。フルシーズン1年目の23年は6本塁打・wRC+98と不発だったが、24年は20本塁打・wRC+129と着実に成長を見せた。昨年よりもゴロ率を10%下げるなどボールを空中に集める技術が向上し、本塁打増につながった。守備面では、強肩だが3Bとしては守備範囲不足が指摘されている。将来的には1Bが定位置になるかもしれない。20歳シーズンにして開幕を2Aでスタートできる準備が整っている。
Cam Collier


MLB公式の国際アマチュアリストでは4位にランクインしていた原石。23年1月に契約金310万ドルでプロ入りした。6-2/210の強靭な体格にプラスのパワーを備えた攻撃型捕手で、24年はAでの32試合でwRC+127・3本塁打をマークした。守備ではプラスの肩力を有し、俊敏性やコミュニケーション能力も一定の評価を得ている。しかし23年=腕の負傷で全試合DH起用、24年=肋骨の故障により捕手としては21試合の出場と実戦経験が積めていない。健康を維持して捕手として経験を積んでいくこと、三振率28.8%のコンタクト能力を磨いていくことが求められる。


FV45

22年ドラフト全体32位指名。成熟した打撃スキルで広角にハードライナーを量産する右の好打者。24年はA+での80試合で8本塁打・wRC+144をマーク。四球率14.8%/三振率16.9%とゾーン管理能力が卓越している。アプローチを調整すれば20本塁打以上打てるだけのパワーあり。6-3/215という巨体のため走力は平均以下だが、守備では想定以上の軽快さを見せる。24年は3Bと2Bを半々で守り、ユーティリティー性を高めた。

6.チェイス・ぺティ(RHP)/Chase Petty:22歳
高校時代にMAX102マイルを計測した逸材だが、プロではシンカー/スライダーをコントロール良く投げ分けるグラウンドボーラーに転身。24年は2Aでの26先発でⅹFIP3.77とまずまずの成績を残したが、奪三振率22.8%/与四球率10.4%と支配力&コマンドがいずれもやや物足りない内容だった。速球は平均95マイル出るが変化量が小さく空振りを量産できるタイプではないため、細かいコマンドを磨いていくことがローテーション定着の鍵を握るだろう。順調なら25年中にMLBデビューか。

ルイス・カスティーヨのトレードで獲得したうちの1人。プラスのSS守備が評価されており、打撃はバレル感覚が良く、フライボール量産でギャップを破る。23年にA+でwRC+108をマークするなど順調に成長していたが、24年は春季トレーニング中に左肩を負傷しシーズン全休に。オフのAFLで実戦復帰を果たした。25年は2A挑戦の大事なシーズンとなる。

8.サミー・スタフーラ(SS)/Sammy Stafura:20歳
23年ドラフト2巡目の高卒SS。オーバースロットとなる250万ドルで契約した。アスリート性に恵まれたダイナミックな人材で、守備面でもSSに留まれる可能性を示している。ニューヨークのコートラントマナーという寒冷地の出身のため実戦経験の不足が心配されていたが、プロ入り後の懸命な努力で急成長。24年はRを15試合/打率.345で早々に卒業すると、Aでは77試合に出場して出塁率.374・6本塁打・27盗塁をマーク。四球率14.8%/チェイス率20.7%と優秀な見極めを見せた。平均打球速度86.4マイル/上位10%打球速度100.6マイルと現時点では打球速度が不足しており、筋力アップやメカニクスの修正が今後の課題だろう。

9.
タイソン・ルイス(SS)/Tyson Lewis:18歳
攻守に磨かれる必要があるものの、パワー&スピードが魅力のアスリートSS。高校ではチームを3年で2度の州大会優勝に導いた後、24年ドラ2指名。契約金305万ドルは1巡目指名相当だった。打撃は空振りの多さを懸念されていたが、高校最終年にスイング改善に成功して評価を上げた。守備ではSSにとどまれるだけの運動能力を有しているが、ハンドリングやフットワークに不安定なところがあり、CFや2Bに回る可能性あり。

10.リカルド・カブレラ(3B)/Ricardo Cabrera:20歳
MLB公式の国際アマチュアFAリストで3位にランクインしていた原石で、22年に契約金270万ドルで入団。プルヒッティングを得意とするアイザック・パレイデス2世。平均打球速度83.9マイル/上位10%打球速度99.9マイルは平均を大きく下回るが、引っ張り率52%/引っ張りフライ率9.1%は平均を上回っており、その恩恵を受けてAでは11本塁打・ISO.146と長打を量産した。守備では強肩が魅力も、送球エラーの多さが欠点。入団時はSSだったが、昨季は3Bを中心に2B/SSでのプレーとなった。現時点では平均以上のスピードを備えるが、体は肥大化傾向にあり、3Bが定位置となるだろう。


FV40

11.
アダム・サーウィノースキー(LHP)/Adam Serwinowski:21歳
22年ドラフト15巡目の高卒左腕。プロ入り後に急成長を遂げ、高校時にMAXで90マイル前後だった速球は90マイル後半に到達した。6フィート5の長身&ファンキーなデリバリーから平均93.8マイル/2570rpmでホップ変化量平均以上の4シーム&空振り率39.8%を記録した変化量大のスライダーで空振りを量産する。速球とスライダーしか投げられず、与四球率12.3%と全体的に未熟。ロマンはあるが磨かれる必要がある。
Adam Serwinowski


12.ジュリアン・アギアー(RHP)/Julian Aguiar:24歳 
21年ドラフト12巡目とプロ入り時の評価は高くなかったが、23年にA+で14先発/防御率1.92とブレイク。24年は2A/3Aで防御率3.79とソリッドな成績を残し、MLBでも7先発。計148イニングを投げて耐久力をアピールした。平均94マイルのシンカーを軸に右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップを第2球種として扱う。打者を圧倒する球威はなく、ローテーション4~5番手のイニングイータータイプと見ている。

13.ルーク・ホルマン(RHP)/Luke Holman:22歳
大学USA代表にも選ばれた実力者で、24年はルイジアナ州立大で防御率2.75・奪三振率33.7%と好投。戦力均衡ラウンドBでドラフト指名を受けた。平均92マイルと球速はもう一歩だがホップ変化の大きい4シームを高めに、鋭いスライダーを低めに投げ分けて空振りを誘う。6-4/201と体格的な伸びしろを残しており、もう少し球速を伸ばせればローテーションポテンシャルだ。

14.マイク・シロタ(OF)/Mike Sirota:22歳
24年ドラフト3巡目。大学最初の2シーズンでOPS1.060、夏のケープコッドリーグでOPS.942をマーク。ドラフト1巡目候補だったが、ドラフトイヤーに成績を落としてしまった。本調子ならば、適性はアプローチの良い中距離ヒッターで、プラスの走力を武器にCF守備も平均以上。バウンスバックに期待したい。

15.カルロス・ホルヘ(OF)/Carlos Jorge:21歳
21~23年の3シーズンで出塁率.395をマークしている打撃センスが魅力も、24年は打率.220/三振率31.1%とコンタクト面で苦戦。wRC+は平均以下の96にとどまった。それでも7月以降はwRC+123と適応の兆し。小柄ながらコンパクトなスイングでラインドライブを量産し、パンチ力もある。またマイナーで4年連続27盗塁以上をクリアするなど足も使える。プロ入り時はSSだったが、24年は俊足を生かしてCFに転向。

2024年11月26日火曜日

2025 CHICAGO CUBS TOP 15 PROSPECTS

2025 CHICAGO CUBS

TOP 15 PROSPECTS

Matt Shaw


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.マット・ショウ(3B)/Matt Shaw:23歳
23年ドラフト全体13位指名。小柄ながら広角にバレル性の打球を量産する打撃面を高く評価されており、走塁能力も平均以上。24年は2A/3Aで打率.284・21本塁打・OPS.867・31盗塁をマーク。2A/3Aいずれの階級でも140以上のwRC+をマークした。3Aでのstatcastデータに着目すると、上位10%打球速度106.2マイルはプラス水準で、ランチアングル15度&ゴロ率42%と弾道も理想的。一方でスイング率は平均以下ながらチェイス率は31.5%と平均よりもだいぶ悪く、選球眼に課題があると見られる。守備はSSとしてドラフトも、二遊間がスワンソン&ホーナーにロックされていることもあり、24年は3B中心でのプレーとなった。平均以下の肩力が弱点で、3Bとしての評価は平均から平均以下となっている。機敏さを生かした守備範囲の広さと握り替えの早さでカバーしている。
Matt Shaw


2.ケード・ホートン(RHP)/Cade Horton:23歳
高校ではアメフトとの二刀流でも鳴らしたアスリート。大学1年時にTJ手術を受けアメフトを辞めたが、アーリーエントリーでドラフト対象となる2年時に復帰すると評価を伸ばし、22年ドラフト全体7位でプロ入りした。23年はマイナー3階級で防御率2.65・奪三振率33.5%と圧倒的な投球を見せ、マイナートップクラスの投手プロスペクトとして名を上げたが、24年は広背筋の負傷で9登板止まり。懸念されていた耐久面での不安を払しょくすることはできなかった。健康であれば、94-98マイルの伸びのある4シームとプラスのスライダーで打者を制圧する。ローテーション上位ポテンシャルも、制球やチェンジアップの質は要改善。
Cade Horton


3.モイゼス・バレステロス(C)/Moises Ballesteros:21歳
パワーとコンタクト能力を両立した攻撃型捕手。24年は2A/3Aで打率.289・19本塁打・OPS.826をマーク。2AでのwRC+154は20歳以下の選手としては2010年以降で歴代12位(200打席以上)の高数値だった。なお11位はラファエル・デバース、13位はザンダー・ボガーツという並び。打撃能力は申し分ないが、ずんぐり体型で俊敏性はゼロであり、捕手に残れるかは疑問。72試合で13個の捕逸を喫し、盗塁阻止率はわずか12%にとどまった。1B/DHタイプになるリスクがある上に、1Bとしては身長5フィート8と小さすぎるため、DH専門になる可能性もある。

6-4/190の大柄な体格にパワーポテンシャルを秘める左打者。カナダ有数の高校生プロスペクトとして注目され、20年ドラ2でSD入りすると、同年オフにダルビッシュ有の対価の1人としてCHCへ移ってきた。23年に2AでwRC+144、24年は3Aで.278/.375/.473・19本塁打・wRC+121と順調に成長を続けている。三振率28.4%/ゾーン内コンタクト率78.3%と平均以下のコンタクト能力を磨いていきたい。大柄な体格に比して動け、二桁盗塁程度の走力と走塁能力を有する。守備ではプラスの強肩と合わせて平均的なRFディフェンダーになれるとの見立て。
Owen Caissie


5.キャム・スミス(3B)/Cam Smith:22歳
パワーと身体能力を兼ね備えた右の大砲で、24年ドラフト全体14位指名でプロ入りした。1年生にして12本塁打を放った一方で三振率28.7%とコンタクト能力に欠点があったが、ドラフト対象として迎えた2年生シーズンはコンタクト&アプローチが大きく進歩を遂げ、三振率を15.2%まで改善。打率.387・16本塁打・OPS1.142と素晴らしい成績を残した。さらに、ドラフト後も32試合で7本塁打・OPS1.004とよく打った。ガチっとしたやや硬いスイングで、メカニクスは修正が必要か。守備は平均的なスピードとプラスの肩力を有するが、フットワークに問題あり。外野転向の可能性も。

6.ケビン・アルカンタラ(OF)/Kevin Alcantara:22歳
6フィート6の恵まれたフィジカルに傑出した運動能力も兼ね備えた5ツール候補。軽々と広角に長打を生み出すプラスのパワーが強み。24年はスイング率を抑えたことが功を奏したのか、2AでwRC+124、3Aで123と好結果を残し、MLBデビューも経験した。しかし3Aでは平均より3%程度少ないスイング率に対してチェイス率は平均+8%、ゾーン中心部のスイング率-10%となっており、ただスイングを減らしただけで打撃技術自体が向上したかは疑問が残る。またゴロ率51%とゴロが多すぎるため、パワーポテンシャルを発揮しきれていない。守備面では平均以上の走力&肩力を有し、Baseball Prospectusの出す総合守備指標DRPが直近3シーズンで+8.7を記録するなど平均以上のCFになれる可能性あり。大柄な体格から将来的には両翼がフィットするか。


FV45

22年に契約金100万ドルで入団のドミニカン。小柄ながら強烈なフルスイングでバレル性の打球を量産でき、打撃能力の高さが際立つ。23年にAで19歳ながらwRC+115をマークし評価を上げたが、24年はA+でwRC+88と足踏み。しかし、打球速度は向上したとのレポートもあり、またゴロ率35.9%と昨季よりも10%以上ゴロ打球を減らすことに成功している。BABIP.274、HR/FB=4.7%はいずれも平均以下であり、24年の不振はパワーが足りないのにフライを打ち上げたせいもあるだろうが、打者不利なリーグ環境や不運による要因もあったか。スピード&守備力は平均的で、最終的には3Bや2Bに移るか。

21年ドラフト2巡目。コンタクト能力を高く評価されている中距離ヒッター。24年は攻守に成長を辿り、評価を上げた。打撃は2A/3Aで打率.300・7本塁打・OPS.773をマーク。89試合をプレーした2AではwRC+130、三振率は驚異の9.7%を記録した。3Aでは26試合という小サンプルながらゾーン内コンタクト率91.7%と上質なコンタクト能力を示した。1B転向が心配された守備面も改善され、2Bとして平均以上の評価を獲得。走者としても優秀で47盗塁を決めた。

24年は2A/3Aで135回を投げて防御率3.91・奪三振率23.5%・与四球率5.4%をマーク。打者を圧倒するようなプラスピッチは無いが、ストライク先行の投球スタイルで試合を作り上げるバックエンドSPタイプ。平均95マイルの真っスラ系4シームはホップ変化は平均以下だが、ショートアームから繰り出されるためタイミングが取りにくく、ロケーションも優れているため現状最も信頼できる球種だ。80マイル前半のスラーブ、80マイル後半の高速スライダーはいずれも平均的な球種だが、3Aで空振り率30%以上を記録した。チェンジアップは2.4%の使用にとどまった。

23年ドラフト2巡目。23年をTJ手術で全休したが、24年はR/A/A+で18先発して計59.2回を投げて防御率4.37/FIP3.99・奪三振率28%とカムバック。6-6/225の迫力ある体躯からMAX100マイルでホップ変化&エクステンション抜群の4シームを投げ込む。80マイル中盤のスライダーもプラスピッチ候補で、第3球種のチェンジアップは不安定ながら空振りが取れる。コントロールの悪さを改善できれば、ローテーション半ばクラスのポテンシャルだ。


FV40

11.ペドロ・ラミレス(3B/2B)/Pedro Ramirez:21歳
洗練されたスイッチヒッター。辛抱強いアプローチでカウントを整え、コンパクトなスイングでライナーを打ち分ける。23年は19歳にしてAでwRC+119、24年はA+でwRC+111と毎年結果を出し続けている。純粋なパワーは平均以下であり、パワー不足を補うには2年連続50%超えのゴロ率を改善していきたい。平均以上の走力と盗塁技術を兼ね備え、ここ3シーズンで46盗塁。守備は2Bとして平均的な守備範囲を有するが、3Bとしては肩力がネックか。

12.
ジョナサン・ロング(1B)/ Jonathon Long:23歳
23年ドラフト9巡目とプロ入り時の評価は高くなかったが、24年にA+/2Aで打率.283・17本塁打・OPS.851とブレイク。特に2A昇格後46試合でwRC+189とさらに調子を上げた。平均以上のパワー、A+でゴロ率40.6%/2Aで37.8%とライナー&フライを量産できるバレル感覚、フィールド全体に打ち分けるバットコントロール、四球率14.1%の選球眼と打撃に関しては言うことなし。守備は本職の1Bの他に3B/LFでも起用された。

13.コール・マシス(1B)/Cole Mathis:21歳
大学2年までは二刀流で鳴らし、2年時にはチームトップのOPS1.014&防御率3.45とブレイク。3年シーズンは1Bでのプレーに専念し、自己最多の14本塁打・OPS1.122をマークし、ドラフト2巡目指名でプロ入りを果たした。パワーとコンタクトのバランスが良いピュアヒッターで、フライボールを増やせばより本塁打を増やせるか。大学では1Bメインも、公式戦で1試合しか守っていない3Bとしてドラフト指名された。

14.ロニー・クルーズ(SS)/Ronny Cruz:18歳
24年ドラフト3巡目。生粋のパワーが武器で、すでに打撃練習ではすさまじい打球を飛ばしている。6-2/170の立派な体格にさらなる筋肉がつけば20ホーマー以上も夢ではない。アプローチ&コンタクトの荒さは要改善。平均以上の走力と肩力を有し、SSに留まれる資質あり。スカウトによっては3BやCFに適性があるとの見方も。

15.ヤヒル・メレンデス(SS/3B)/Yahil Melendez:19歳
プエルトリコ出身。23年ドラフト7巡目の出身だが、24年は2年目となるR級でwRC+111とパワフルな打撃内容。三振率28%は要改善も、ゴロ率36.5%/引っ張り率50.4%という引っ張りフライを稼ぐアプローチと6-3/165という長身細身の体格からパワーポテンシャルあり。守備はSSに留まれる資質を有するが、ビルドアップに伴い将来はスピードを失うと予想されており、2Bや3Bに移ることになるか。

2024年11月23日土曜日

2025 WASHINGTON NATIONALS TOP 15 PROSPECTS

2025 WASHINGTON NATIONALS

TOP 15 PROSPECTS

Dylan Crews


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV60

1.ディラン・クルーズ(OF)/Dylan Crews:23歳
23年ドラフト全体2位指名の5ツール候補。走攻守揃ったオールラウンドプレーヤーで、CF版アンソニー・レンドン(現LAA)が筆者の見立て。24年はプロ1年目にして2AでwRC+125、3Aで106を記録するなど順調に適応してMLB到達。しかしMLBでは変化球に苦戦し、wRC+80と不発に終わった。「ダブルプラスヒッターになり得る」というドラフト時の評価を考えるとやや物足りない印象も受けるが、3Aではゾーン内コンタクト率86.5%、上位10%打球速度106.5マイルといずれもMLB平均以上の数値を記録しており、低弾道や不安定なアプローチを改善できれば、MLBでも活躍が期待できるだろう。守備面では走力&肩力いずれもプラス評価で、MLBではRF中心に31試合に出場してDRS+4、OAA+3をマーク。またマイナーのゴールドグラブも受賞した。走塁でもマイナー/MLBで計37盗塁(成功率82%)。
Dylan Crews


FV50

23年ドラフト3巡目。1巡目相当の契約金260万ドルでプロ入りすると、24年は大活躍。Aでの20先発で防御率2.33・奪三振率
39.2%・与四球率8.2%をマークした。6フィート6の巨体から最速101マイルの速球を投げ込み、スライダー&チェンジアップもキレ良し。課題とされたコントロールもシーズン通して成長。特にラスト8戦は8四球にとどめた。さらなるコマンド向上を遂げ、上位打者にも適応できるか。
Travis Sykora


3.ブレイディ・ハウス(SS)/Brady House:22歳 
21年ドラフト1巡目。強肩強打の大型内野手で、ドラフト時にはマット・チャップマンとMLB公式は比較していた。6-4/215の恵まれた体格にパワーポテンシャルを秘めるが、超フリースインガーでアプローチに難あり。特に3Aでのスイング率58.3%はMLBならワースト三傑に入るレベル。余計なスイングを減らし、凡打を減らしていくことが課題。守備では3B転向2年目で板についてきており、平均以上のディフェンダーになれるとの評価を得ている。

4.
ハーリン・スザーナ(RHP)/Jarlin Susana:21歳
フアン・ソトの見返りの1人。6-6/235の恵まれた体格から最速103マイルの速球と80マイル後半の高速スライダーを投げ込む剛腕。開幕から8先発で防御率8.89・与四球率14.4%と苦しんでいたが、そこから16先発で防御率2.79・奪三振率39.4%・与四球率9.3%と覚醒。FIPはAで2.44、A+で2.25だった。制球難を改善して飛躍を遂げた。リリーフ転向が既定路線と見られていたが、このまま成長を続けて先発に留まれるか。


FV45

5.シーバー・キング(SS)/Seaver King:22歳
24年ドラフト全体10位指名。大学2年の夏にUSA代表で結果を残すと、3年シーズンより強豪ウェイクフォレスト大へ転校。ニック・カーツ&チェイス・バーンズと共に1巡目指名を受けた。パワー&スピードを両立し、守備では3B/CF/SS/2Bと内外野複数ポジションこなすユーティリティ性も備えるアスリートタイプ。特にベストツールのスピードは20-80スケールで70評価。フリースインガー傾向が強く、チェイス癖あり。プロの投手に対応できるかを証明していく必要がある。
Seaver King


6.ケード・カバリ(RHP)/Cade Cavalli:26歳
20年ドラフト1巡目。マイナー屈指の豪腕プロスペクトとして台頭したが、23年をTJ手術で全休。24年もリハビリが遅れ、3試合の登板にとどまった。万全ならば平均95-96マイル/最速100マイルの速球が武器で、カーブ&チェンジアップもプラスピッチ候補。ローテーション半ばポテンシャルも、25歳シーズンを終えてMLBでの実績0。健康面と制球面の不安を払しょくできなければ、リリーフ転向を余儀なくされるだろう。

7.ケイレブ・ロマビタ(C)/Caleb Lomavita:22歳
24年ドラフト全体39位指名。高い打撃センスと捕手離れしたアスリート性が魅力で、MLB公式はウィルソン・コントレラスと比較。平均以上の走力の持ち主で、盗塁も狙える。大学では1年時から活躍し、3年間でOPS.903をマーク。夏のケープコッドリーグでも結果を出している。捕手に専念したのは大学に入ってからだが、平均以上の強肩、頼れるリーダーシップと勤勉性、持ち前の運動能力の高さから捕手に留まれると予想されている。

23年ドラフト2巡目の高卒左腕。名門バンダービルト大への進学が内定していたが、オーバースロットとなる契約金230万ドルでプロ入りを決めた。6フィート6の長身を生かしたエクステンション大のフォームからMAX99マイルで高スピンの速球を投げ込む。カーブ&チェンジアップも切れるが、制球難が致命的。24年はAで25先発して与四球率16.1%。リリーフ転向のリスクも。

23年ドラフト2巡目。6-4/250の巨体にプラスのパワーが武器のスラッガー候補。24年は開幕から37試合でwRC+90・0本塁打と不発。その後左親指の怪我でIL入り。ところが7月30日に復帰すると、そこから38試合でwRC+161・5本塁打とV字回復を見せた。GB%=48.3%、引っ張り方向への打球割合39.9%はいずれも平均以下であり、引っ張りフライを増やしてパワーを生かしたいところ。大学では3Bも、プロでは1Bメインでプレー。体型の割に軽快に動け、3Bに留まれる可能性もあるが、1Bとしてなら平均以上のディフェンダーになれるとの評価。

10.ケイデン・ウォラス(3B)/Cayden Wallace:23歳
ハンター・ハービーとのトレードで昨夏KCより加入。広角にライナーを打ち分ける二塁打マシーンタイプで、3B選手としてはパワー不足が指摘される。守備ではダブルプラスの強肩の持ち主で、走力も平均から平均以上と機敏さも問題なく、3Bにとどまれるとの見立て。走塁能力も高く、隙があれば盗塁を狙える。24年は開幕から37試合でwRC+120と順調な滑り出しも、腹斜筋の負傷でIL入り。WSH加入後は11試合でwRC+11に終わった。


FV40

ジェシー・ウィンカーとの1対1トレードで昨夏NYMから加入。平均94マイルのシンカーと横滑りするプラスピッチ候補のスライダーのコンビネーションでゾーンを揺さぶる。WSH傘下加入後はチェンジアップの向上をテーマに取り組んでいる。24年は2Aでの21先発で防御率3.58・FIP3.08・奪三振率27.4%(WSH加入後4戦だと防御率2.08・奪三振率35.6%)をマーク。3Aデビュー戦では6回パーフェクト投球を披露した。持ち球的にはローテーション下位~スイングマンがフィットするとの評価。

12.アンドリー・ララ(RHP)/Andry Lara:22歳
6-5/235の立派な体格とそれをコントロールできる運動能力を兼ね備える。好調時は94マイル前後の速球で両コーナーの低めを突き、低めのスライダーor高めの4シームで打者を制圧できる。24年はA+での6先発で防御率2.35・奪三振率32.2%と快投。2A昇格後は19先発で104回を消化し防御率3.63とイニングイーター適性を見せた一方で、奪三振率22%と支配力が下落。特に対左打者に対して被OPSが.200以上悪くなっているので、第3球種のチェンジアップの質を磨きたいところ。ローテーション候補の地位を得るには、奪三振能力の向上が課題だ。

13.ジェーク・ベネット(LHP)/Jake Bennett:24歳
22年ドラフト2巡目。完成度の高さを評価されているワークホースタイプで、MLB公式は6フィート6の巨体も含めてジョーダン・モンゴメリー(前TEX)と比較。91-94マイルの速球とプラスのチェンジアップ、平均的なスライダーのコンビネーション。23年はAでは9先発/防御率1.93と快投も、A+では6先発/防御率5.57と足踏み。23年9月にTJ手術を行い、24年は全休。25年シーズンの復帰を目指す。

14.
デイレン・ライル(OF)/Daylen Lile:22歳
21年ドラフト2巡目。打撃スキルの高い両翼選手で、FanGraphsはデービッド・ペラルタ(前LAD)やラモンテ・ウェイドJr.(SF)と比較。24年はA+でwRC+118、2Aで108とソリッドな内容も、計130試合で6本塁打止まりだったため、LFメインの選手としてはパワー面が物足りなかった。ゴロ率の低さと引っ張り率の高さを両立している点は魅力であり、筋肉をつけていけばパワー開眼の可能性も。

15.ルーク・ディッカーソン(SS)/Luke Dickerson:19歳 
23年ドラ2の高卒選手。非1巡目選手としては現行のボーナスプール制度が始まってから最高額となる380万ドル(全体22位相当の契約金)で契約した。ホッケーとの二刀流で鳴らしたアスリートで、今春マイク・トラウトが持つニュージャージー州記録タイの18本塁打を放った。プラスのスピードを有し、守備動作も滑らかだが、肩の弱さから長期的には2BやCFの方が能力を生かせるとの評価。

2024年11月17日日曜日

2025 PHILADELPHIA PHILLIES TOP 15 PROSPECTS

2025 PHILADELPHIA PHILLIES

TOP 15 PROSPECTS

Andrew Painter

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV60

22年にマイナー3クラスで103.2回/防御率1.56と圧倒的なパフォーマンスを披露し、「ベースボールアメリカ」のマイナー最優秀投手に輝いた。しかしTJ手術などで23&24年シーズンを全休。健康であれば、6-7/215の規格外の体格から平均96.7/最速101マイル/スピンレート2408rpmの速球を主軸に、平均から平均以上のスライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜる。また、大柄ながら運動能力も素晴らしく、コマンドもプラス評価。球威、変化球、コマンド、体格全てを兼ね備えたエースポテンシャルだ。オフにはAFLで再び100マイルを計測するなど順調な回復ぶりをアピール。25年シーズンの全快に期待。
Andrew Painter


FV50

2.エイデン・ミラー(SS)/Aidan Miller:21歳
23年ドラフト全体27位指名の高卒選手。U-12、15、18でUSA代表を務めた実力者であり、強肩強打が魅力の大型内野手。24年はAでwRC+153、A+で128と好パフォーマンスを披露。2Aまで到達してみせた。辛抱強いアプローチで引っ張りフライを量産し、Aで記録した上位10%の打球速度106.5マイルはすでにプラス水準。チェイス率は非常に低いが、スイング率自体が低いので、階級が上がるにつれて投手の制球力が上がる中でどうなるか。ドラフト時に将来は3B転向と評されていた守備面でも成長著しく、SS残留の可能性を示した。もし仮に3Bに移ったとしてもパワー面で十分にインパクトを残せるだろう。
Aidan Miller


年齢離れした打撃能力が魅力の攻撃型捕手。23年に契約金9万ドルで入団とプロ入り時の評価は高くなかったが、16歳ながらDSLでwRC+146と圧倒的な成績を残して評価を上げた。24年はRをwRC+132で早々に卒業すると、17歳シーズンにしてAでの28試合で5本塁打・wRC+117と実力を発揮。Aでのトラッキングデータに注目すると、上位10%の打球速度104.6マイルはすでにMLB平均超え。スイング率55%&チェイス率35%という超フリースインガーのため、Aでは三振率28.9%と三振が急増してしまった。ゾーン内コンタクト率83%は平均レベルなのでアプローチを磨いて余計なチェイスを減らしたいところ。守備は発展途上ながら強肩の持ち主。すでに体格が肥大傾向にあり、捕手として長くプレーするには体重管理にも気を付けたい。

4.スターリン・カバ(SS)/Starlyn Caba:19歳
23年1月に契約金300万ドルで入団したドミニカ共和国出身のトップアマチュア。プラスのヒットツール&ゴールドグラブ級の守備力を兼ね備えた両打ちSSで、若き日のフランシスコ・リンドーア(現NYM)と比較する声も。打撃はシンプルなスイングでライナーを左右に打ち分け、塁に出れば盗塁でチャンスを広げる。Rでは52試合でwRC+125・37盗塁をマークしたが、Aでは非力さが足を引っ張り、26試合でwRC+59と苦戦。

球宴4度の名選手カール・クロフォードの息子であり、22年ドラフト全体17位指名でプロ入り。父譲りの俊足がベストツールで、コンタクト能力と併せて父と同じくリードオフマン適性あり。24年はA+/2Aで計110試合に出場し、打率.313・9本塁打・OPS.805・42盗塁をマーク。20歳シーズンにして2AでwRC+140と成功ルートに乗ってみせた。パワーはまずまず(23年にstatcastが搭載されているAで上位10%の打球速度103.5マイルとMLB平均並みの打球速度を記録)だが、グラウンドボール率が60%を越しており、打撃ポテンシャルには疑問。またCF守備でもルート取りの悪さが指摘されており、2年連続でBaseball Prospectusの出す守備指標DRPはマイナスになっている。本塁打を量産するタイプではないため、CFに残れるように守備力も磨いていきたい。

24年ドラフト2巡目の高校生。パワー&スピードに恵まれたフィジカルモンスターで、オーバースロットとなる契約金250万ドルでプロ入りした。ベストツールのスピードは20-80スケールで70評価。打撃は発展途上ながらも、ショーケースで結果を出しており、及第点レベルとの評価。守備力もCF中心に外野3ポジションいずれにもフィットするとの評価を得ている。

7.モイゼス・チャセ(RHP)/Moises Chace:22歳
コントロールの改善が上手く行けば、先発に留まれるだけの資質を備えている。身長6フィート1とアンダーサイズだが、低リリースから繰り出されるライジングファストボールを武器に空振りを量産する。スライダー&チェンジアップも空振りが取れるアウトピッチだ。24年はA+/2Aでの計15先発で防御率3.59・被打率.198・奪三振率37.1%・与四球率12%をマークした。理想の完成像はクリスチャン・ハビアー(HOU)。

8.ジーン・カブレラ(RHP)/Jean Cabrera:23歳
23年にAでFIP3.13、24年はA+で3.38/2Aで3.41と直近2シーズンで安定したパフォーマンスを披露している右腕。平均94~95マイルのシンキングファストに平均以上のチェンジアップ&平均的なスライダーのコンビネーション。ここ2年で与四球率6.1%とコントロールも安定している。6-0/140と非常に細身なため、体が出来上がれば100マイルも夢ではない。
Jean Cabrera


FV40

23年ドラフト3巡目のハワイ出身高卒プロスペクト。打球速度&コンタクト率は平均的だが、磨かれたアプローチで引っ張りフライを量産し、Aでの97試合で17本塁打・wRC+123と好結果を出した。バレル率9.7%は高水準だ。走力もプラス評価で22盗塁(2失敗)を決めた。高校では外野手もプロでは内野に転向。DH以外の全守備機会を2Bでプレーした。

10.セス・ジョンソン(RHP)/Seth Johnson:26歳
平均95マイル前後のライジングファストとハードスライダーで三振を量産するポテンシャルは非凡。24年はTJ手術から復帰し、2A/3Aで25先発して防御率2.73・FIP4.42をマーク。カーブ&チェンジアップも扱えるが、全投球の8割以上が速球&スライダーであること、与四球率12.5%と制球に課題があること、すでに26歳という年齢を考慮すると、ブルペンに専念する方が現実的か。

11.
ガブリエル・リンコネス(OF)/Gabriel Rincones:24歳
22年ドラフト3巡目。6-3/225の恵まれた体格にパワーポテンシャルを備える。23年にstatcast搭載のAで上位10%打球速度107.5マイルというMLBでも上位の数値を残している。24年は2Aでの59試合で打率.263・11本塁打・四球率11.6%・wRC+141をマーク。余計な動作の少ないシンプルなスイングでGB%=33.8%とライナー/フライ性の打球を量産した。ここ2シーズンで計55盗塁を決めているが、走力は平均を大きく下回るとの評価で、将来は1B/DHが適性と見られている。コンタクト率の改善が課題。

12.ダンテ・ノリ(OF)/Dante Nori:20歳
24年ドラフト全体27位指名。若き日のアレク・トーマスと比べられるオールラウンド候補。20-80スケールで70評価のスピード、シンプルなスイングでラインドライブを量産する巧打、CFにとどまれる守備力を兼備する1番CFポテンシャルだ。

24年シーズン、PHI傘下で最もブレイクした投手プロスペクトの1人。A+で12先発/xFIP3.04、2Aでも8先発/ⅹFIP3.08と好投。計103.2回を投げて奪三振率31.3%/与四球率6.7%と素晴らしい支配力を披露した。MAX97マイルでエクステンション抜群の4シームと80マイル前半のスラーブを主軸に、80マイル中盤で外にフェードするチェンジアップも交える。

20年ドラ1の大器だが、プロでは制球難が克服できずにいる。24年は3Aで24先発して防御率6.46。与四球率は階級が上がるにつれて悪化傾向にあり、24年は15.1%と球界最低レベルだった。速球は21年に平均95.4マイル/2488rpmを記録していたが、24年は平均94.6マイル/2240まで悪化。スライダー、カーブ、チェンジアップ、シンカーと持ち球全てが得点価値マイナスと良いところがなかった。来季も復活の兆しが見えなければリリーフ転向を余儀なくされるだろう。
22年に契約すると、2シーズンDSLでプレーしたのち、24年はRでの24試合でOPS.976と好調な打撃成績を残した。プラスツールがあるわけではないが、打撃感覚の良さとチェイス率の低さを生かして長短打を量産する。四球率20.2%/三振率9.6%と素晴らしいアプローチを示した。走守のツールは平均的で、3B/2Bの守備力はまずまずとの評価。打撃を売りにアピールしていきたい。

2024年11月15日金曜日

2025 NEW YORK METS TOP 15 PROSPECTS

2025  NEW YORK METS 

TOP 15 PROSPECTS

Jett Williams

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.ジェット・ウィリアムズ(SS/OF)/Jett Williams:21歳
22年ドラフト全体14位指名の高卒野手。身長5フィート6と小柄ながら並外れた出塁能力の高さとプラスの走力が魅力のリードオフポテンシャルで、ダスティン・ペドロイア(元BOS)と比較されている。23年は高卒1年目ながらAでwRC+136、A+で176、マイナー全体2位の104四球を選ぶなど大活躍。最大の強みである出塁率は驚異の.425をマークした。しかし、24年は右手首の手術で33試合の出場にとどまった。それでもラスト6試合は3AでOPS1.079、オフのAFLでもOPS.770と状態を上げており、来季健康にプレー出来ればまた23年のようなパフォーマンスをしてくれると期待。守備はSS中心に、CF/2Bでもプレー。将来的にはSSよりもCFや2Bがフィットすると予想されている。
Jett Williams


23年ドラフト2巡目。大学ではシーズン防御率4.66と不調だったが、24年はA+/2Aでの16先発で防御率2.05・奪三振率32.9%・FIP3.05と好投。最速101マイルの豪速球を軸にアグレッシブにゾーンを攻めるスロワータイプ。ストライク先行の投球のおかげで、A+/2Aでは平均5.4イニング超を消化。90球前後で6~7イニングを消化した試合が複数あった。変化球はスライダー&チェンジアップがプラスピッチ候補で、カッターとカーブもレパートリーに扱う。しかし3A昇格後は7先発で防御率7.53・HR/9=2.20と打ち込まれた。速球の質に課題(スピン量、ホップ変化量いずれも平均以下)があり、3Aでの4シームの被wOBAは.535、得点価値はわずか28.2回で-6.7を叩き出した。速球の質改善と被弾を避けるように細かいコマンドを磨くことが上位で活躍するための鍵となるだろう。
Brandon Sproat

二刀流プロスペクトで、ニックネームは「カウボーイ・オオタニ」。24年はA+で防御率2.57・奪三振率32%、打っては25試合でOPS.850をマークするなど投打で躍動。平均95マイルの速球と3200rpmに達するスウィーパーのコンボが武器のパワーピッチャー。チェンジアップは発展途上でまだ色々な握りを試している段階。投球割合は少ないが、カーブ、カッター、ツーシームなどもレパートリーとして投げられるなど球種自体は多彩だ。大学通算与四球率12.9%の制球難からプロではリリーフ転向との評価が主だったが、A+/2Aで109.2回を投げて与四球率9.1%を記録するなど制球面が成長。先発としての可能性を示した。打者としてはパワーポテンシャルを秘めるが、三振率50%以上とコンタクト能力に欠点があり、後半戦は投手に専念した。現時点では投手としての評価が上。先発投手として活躍するには依然として平均以下のコントロールの向上と、第3球種の習得が課題となる。
Nolan McLean


ジャスティン・バーランダーとのトレード対価の1人。23年に高卒1年目ながら24本塁打と台頭すると、24年は20歳ながら2Aでの98試合で18本塁打・wRC+133をマーク。三振率28.9%・打率.231というコンタクト難と消極的すぎるアプローチは要改善だが、引っ張りフライ率が高く、長打を量産できるパワーと四球率15.6%の四球奪取能力はまさにスラッガーにふさわしい。守備は外野コーナーか1B向きで、どれだけ打てるかにかかっている。ちなみに20歳シーズンで2AでのwRC+が100を超えた選手は大方MLBに昇格しており、130前後の選手は多くがMLBで活躍している。


FV45

フリースインガーでヒットツールを不安視されているが、パワーツールはMLBでも屈指。23年に3Aで記録した上位10%打球速度109マイルは、MLBであればマット・オルソンやラファエル・デバースなどに匹敵するMLB十傑レベル。24年はACL断裂で全休。守備はSSにふさわしい強肩の持ち主だが、MLBレベルでは2Bや3Bの方がフィットするとの評価。打撃スキルを磨いてMLBでもパワーポテンシャルを発揮できるか。

契約金$270Kとプロ入り時の評価は高くなかったが、強肩強打の内野手として評価を上げている。24年はAで64試合/10本塁打/wRC+123とブレイクの兆しも、A+昇格後に右膝を故障しシーズン終了。好球必打の積極アプローチでチェイス癖があるものの、引っ張りフライを量産するパワフルな打撃が強み。身長5フィート10と体は大きくないが、スイングスピードが素早く、19歳にして上位10%打球速度104.7マイルはMLB平均値である104マイルに到達している。マイナーではSS/3Bを半々で守ったが、平均以下の走力と平均以上の強肩から将来的には3Bに落ち着くとの見立て。

ロナルド・アクーニャ(ATL)の弟。兄のような傑出したポテンシャルはないが、平均以上のコンタクト率、マイナーで4年連続40盗塁以上の走力、SS/2B/CFをこなすユーティリティー性からソリッドプレーヤーになり得る。24年は3AでwRC+69と期待外れのパフォーマンス。上位10%打球速度103.5マイルとMLB平均レベルのパワーポテンシャルを秘めるも、フリースインガー&ゴロ率54.6%のアプローチからISO.097と実戦ではパワーを発揮できなかった。MLBでは14試合で3発・OPS.966と爆発。小サンプルながらゴロ率を10%以上減らすことに成功した。MLBで見せた打撃が本物ならば来季が楽しみだ。フランシスコ・リンドーアを追いやるには厳しいが、内外野こなすユーティリティープレーヤーとしてチームに貢献できる実力を秘めている。

22年ドラフト1巡目。絶対的なツールは無いが走攻守揃ったオールラウンダー。23年開幕時は各媒体で球界トップ100以内の高評価を得ていたが、24年は3AでwRC+85と足踏み。身長5フィート8と小柄でパワーレス(上位10%打球速度100.9マイルは球界最低レベル)だが、引っ張りフライ率の高さで成功を収めている。24年は引っ張りフライ率12.7%(MLB平均6.8%)とトップクラスの数字を維持し56試合で10本塁打を放ったが、BABIP.234のハードラックに泣いた。24年はハムストリングスの故障の影響で3盗塁にとどまったが、健康なら盗塁を稼げる足もある。守備は爆発的な走力があるわけではないが、MLBでもCFが務まるとの評価。打撃が復活すればソリッドなレギュラーとして計算できるだろう。CF版アイザック・パレイデスになれるか。

24年ドラフト1巡目。コンタクト能力に恵まれた左の中距離打者で、大学通算120試合で打率.335・25本塁打・OPS1.064・BB>Kと圧倒的なパフォーマンス。プロでも15試合という限られたサンプルながらゾーン内コンタクト率90%以上と強みを発揮していた。平均的な走力&プラスの強肩からRF適性あり。メッツは守備力を買っているようで、プロ入り後はCFで試されている。MLB公式はニック・マーケイケス(元BAL)と比較。現時点ではソリッドプレーヤー寄りであり、両翼で価値を出すにはパワーを伸ばしていきたいところ。

22年ドラフト2巡目。マイナー3年で与四球率12.6%・HR/9=1.2という制球難からブルペン転向のリスクも低くないが、ローテーション半ばクラスのスペックの持ち主。平均94.8マイルでホップ変化量平均以上の4シームと高スピンで変化量大のスウィーパー&スライダーのコンボを軸に、カッター、チェンジアップ、シンカーと球種も多彩。24年はフルシーズン2年目にして2Aを防御率2.41・奪三振率29.9%とあっさり卒業。3Aでは苦戦したが、シーズン通して122.1回を消化するなど先発として経験を積んだ。


FV40

2023年の国際アマチュア選手の目玉の1人で、契約金125万ドルでDバックスに入団、その後同年夏にトミー・ファムとのトレードでNYMに移ってきた。ハイセンスな打撃能力が魅力の内野手で、10代にしてコンタクト能力と優秀な選球眼を身に着けている。23年=DSL、24年=RでそれぞれwRC+100以上のパフォーマンス。プロ2年で打率.282/出塁率.382をマークしている。筋力をつけていくことが今後の課題。守備はSSとしてはレンジ不足だが、2Bに回れば平均程度で務まるだろうとの評価を得ている。25年は18歳シーズンにしてAでデビュー予定。

12.ジョナ・トン(RHP)/Jonah Tong:22歳
平均92~93マイル程度だが、statcast搭載のAで平均ホップ変化量20.6インチ(24年のMLBであればアレックス・ベシアの20.3インチを上回り全投手で1位)を記録したライジングファストボールが最大の武器。速球が約6割を占め、第2、第3球種として縦カーブと86マイル前後のカッターを交える。24年はA/A+/2Aで113回を投げて防御率3.03・FIP2.33・奪三振率34.2%と素晴らしい投球を披露した。4シームの変化量は魅力だが、球速不足、大雑把なコマンド、変化球の平凡さから、MLB打者を3巡抑えるのは厳しいとの見方が強く、リリーフで輝くタイプとの評価。評価を覆せるか。
Jonah Tong


24年ドラフト2巡目。90マイル中盤のライジングファストとブレーキの利いたゾーン外へワイプアウトするスライダーの2球種で空振りを量産する左腕。大学1年時から米大学代表のトライアウトに招待されるなど実力はあったが、故障がちでブレイクには至らず。ドラフトイヤーとなった24年は肋骨の負傷もあったが13先発で防御率3.41・奪三振率35%をマーク。与四球率12.8%の制球難からブルペン転向のリスクも低くない。

14.マルコ・バルガス(SS)/Marco Vargas:20歳
23年夏にデービッド・ロバートソンとのトレードでMIAから加入したプロスペクト。スムーズなスイングでコンタクト能力とアプローチに優れる出塁マシーン。24年はAでの37試合でOPS.608と今一つなシーズンとなった。実戦ではコンタクト重視の打撃スタイルだが打撃練習では強打を見せており、上位10%の打球速度は102マイルと同年代の選手の中では平均以上の水準となっている。守備は堅実ながらSSとしてはツール不足で、2B/3Bがフィットするとの見立て。スピードは平均的だが野球IQの高さで盗塁を成功させるタイプ。

15.
ボストン・バロ(SS)/Boston Baro:20歳
23年ドラフト8巡目。名門UCLAへの進学が内定していたが、3巡目相当の契約金でプロ入りした。長身細身でアスレチックな体型で、パワーは平均を大きく下回る(Aで上位10%打球速度99マイル)が、優秀なアプローチと二遊間相応の守備力を兼ね備えている点が強み。24年はAでの84試合で打率.288・4本塁打・wRC+122・四球率11.1%/三振率17.8%をマーク。守備はSS/3B/2Bを幅広くプレー。攻守に発展途上であり、数年後の開花に期待したい。

2024年11月10日日曜日

2025 MIAMI MARLINS TOP 15 PROSPECTS

2025 MIAMI MARLINS 

TOP 15 PROSPECTS

Thomas White


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV55

1.トーマス・ホワイト(LHP)/Thomas White:20歳
23年ドラフト全体35位指名の高卒左腕。200万ドル近いオーバースロットとなる契約金410万ドルで入団を決めた。24年はA/A+で21先発して防御率2.81・FIP3.23・奪三振率29.2%と素晴らしいパフォーマンス。6-5/210の恵まれた体格から平均95マイル/スピンレート2501rpmの4シームを主軸に、Aで空振り率41%のスラーブ、同38%のチェンジアップのコンビネーション。3球種プラスピッチ候補と素質は申し分なく、課題とされるコントロールも与四球率9.2%とおおむね安定していた。荒さは目立つが、フロントスターター級への成長に期待したい。
Thomas White


FV50

豪快なパワーが武器の攻撃型捕手。ジャズ・チザムの見返りの1人として夏のトレードでNYYから移ってきた。23年に自己最多の18本塁打をマークすると、24年は2Aでの58試合で16本塁打・wRC+163と大ブレイク。3A昇格当初はボール球に手を出し内野ゴロを量産していたが、徐々に適応。上位10%の打球速度106.8マイルはプラス水準で、積極アプローチながらチェイス率&コンタクト率も平均以上を維持するなど、3Aの投手相手にも穴を見せなかった。一方の守備面は要改善。肩の強さは平均以上だが俊敏性に問題があり、110許盗塁&盗塁阻止率10%。また捕球面でも10失策&11捕逸。

23年ドラフト全体10位指名の高卒右腕で、エースポテンシャルと評判。6-5/185の伸びしろあふれる体格から平均93.9マイルのシンカーと大きく曲がるスライダー中心の投球。特に決め球のスライダーはAで被wOBA.091・空振り率41%と素晴らしい内容だった。第3球種のチェンジアップは10%程度の投球比率だが、アームサイドへの変化が大きいため空振り率42%と磨けば光る可能性あり。24年はA/A+で18先発を経験するも、与四球率17%と制球難に苦しんだ。高卒1年目で着実に実戦経験を積んでステップアップできたのはポジティブな側面だが、与四球率17%はさすがに酷すぎるため、先発として大成できるかは未知。


FV45

4.ロビー・スネリング(LHP)/Robby Snelling:21歳
22年ドラフト全体39位指名。93-95マイルでホップ変化量平均以上の4シームと22年ドラフトNo.1と評されたカーブのコンビネーション。第3球種のチェンジアップはプロ入り後に向上中。23年は100イニング以上投げた投手ではマイナートップとなる防御率1.82と好投。しかし24年は2Aで開幕から16先発/防御率6.01と年上選手たちに苦戦。それでも徐々に適応を見せ、夏のトレードでSDから移ってからは8登板で防御率3.64・FIP2.92・奪三振率27.1%と復調の兆し。前半戦は相手打者のレベルアップに伴い四隅を狙って自滅していたが、後半は与四球を減らして再びゾーン内で勝負できるようになった。来季の完全復活に期待したい。

5.ジョー・マック(C)/Joe Mack:22歳
21年ドラフト全体31位指名。24年にマイナーのゴールドグラブ賞を獲得した守備型捕手。打っても大学3年生と同じ21歳のシーズンにして2Aで22本塁打・wRC+129と健闘を見せた。コンタクト力は平均以下だがフライボール率が高く、低打率ながら20HR前後が狙えるだろう。捕手守備では強肩と素早い握り替え、巧みなフレーミング、俊敏なフットワークを兼備。79試合で63盗塁に抑え、盗塁阻止率は34%をマーク。Baseball Prospectusの出す守備指標ではここ2シーズンでフレーミング指標+13.6、送球指標+4.1と大きくプラスを叩き出している。
Joe Mack



6.ルイス・コバ(OF)/Luis Cova:18歳
24年1月に契約金140万ドルで入団した原石。U-15のベネズエラ代表CFを務めた実力者で、ダブルプラスのスピードが魅力のアスリートタイプ。DSLでは55試合でOPS.723・36盗塁と上々のデビューを飾った。四球率15.3%/三振率10.0%と成熟したアプローチが光る。現時点ではギャップヒッターだが、スイングスピードの速さから筋肉がつけばパワーも向上が見込まれている。仮にパワーが向上しなくてもある程度打てれば守備走塁と出塁能力でチームに貢献できるだろう。

24年にマイナーで40HRを放ったパワーヒッター候補。上位10%の打球速度108.1マイル/MAX打球速度116マイルはMLBだとフアン・ソトやブライス・ハーパーらに匹敵し、20-80スケールで70~75相当だ。一方で超フリースインガーであり、コンタクト率も65%と平均を大きく下回っているため、MLB投手に対応できるか疑問。また守備走塁で貢献できるタイプでもなく、ミゲル・サノーやフランミル・レイエスあたりが比較対象と見ている。

8.PJ モーランド(OF)/PJ Morlando:20歳
24年ドラフト全体16位指名。高校生ホームラン競争優勝&全米オールスターゲームMVPの実力者だが、ドラフトイヤーに不調で評価下落。無駄のない華麗なスイングでコンタクト力とパワーポテンシャルを両立しているが、実戦で長打力を発揮しきれていない。プロで改善できるか。チームはCFとして買っているが、スカウト評価はそれほどではなく、将来的には外野両翼か1Bに回ると予想されている。
PJ Morlando


9.ディロン・ヘッド(OF)/Dillon Head:20歳
23年ドラフト1巡目の高卒選手。20-80スケールで80評価のスピードが武器の1番CF候補。ルイス・アラエスの見返りの1人としてSDから加入した。現時点ではコンタクト&選球眼に長けたギャップヒッターだが、最終的には15~20本塁打を打てるようになれるとチームは期待している。24年は故障により26試合の出場に終わった。身体能力は傘下トップクラス。


FV40

10.カーター・ジョンソン(SS)/Carter Johnson:19歳
24年ドラフト2巡目。高校生No.1ピュアヒッターと評判で、U-18でもプレー。スムーズな左スイングで広角にライナーを打ち分けるラインドライブヒッター。平均的とされるパワーをどれだけ伸ばせるか。走守のツールは傑出しておらず、将来的には3Bや2Bに落ち着くだろうと予想されている。ドラフト後はいきなりA配属されるも、wRC+65・三振率33%と年上選手に歯が立たず。トップアマチュア選手としてはツール不足か。

11.
キーナー・ベニテス(LHP)/Keyner Benitez:19歳
若き日のフランシスコ・リリアーノ(元PIT他)を思わせるクロスファイアー左腕。18歳ながらAでの57.2回で防御率3.12・xFIP3.87と健闘。平均93マイルのシンキングファスト、空振り率52%を記録したダブルプラス候補のチェンジアップ、平均78マイルとブレーキの利いたスライダーのコンビネーション。まだ細身で球速向上の余地があり、数マイル伸ばせれば先発候補として楽しみな存在だ。

チザムのトレード対価の1人。身長5フィート7とアンダーサイズだが、パンチ力あり。鋭いライナーで外野の間を破る。24年はA+で88試合/wRC+123、2Aで39試合/wRC+119をマーク。A+/2Aで計15本塁打&39二塁打を放った。選球眼に欠点があり、ボール球に手を出してのウィークコンタクトを減らしていきたい。守備面ではキャリア4年目にして初めてSSメインで1年間プレー。長期的には2Bや3Bの方がフィットするだろうが、ユーティリティー性に磨きをかけた。

13.アダム・メイザー(RHP)/Adam Mazur:24歳
22年ドラフト2巡目。プラスのコントロールを土台に5球種を織り交ぜるテクニカル右腕。平均94.6マイルの4シームと87マイルのハードスライダーが全投球の7割以上を占める。24年は開幕から2Aで6先発/防御率1.95・与四球率4.2%と好投。しかし、MLBデビューすると8先発で防御率7.49と打ち込まれた。4シームは及第点だが他に平均以上の球種がないため、MLBの打者を圧倒するのは厳しそうだ。現時点ではローテ下位のイニングイーターorミドルリリーフ向きと見ている。

14.エイデン・メイ(RHP)/Aiden May:22歳
24年ドラフト全体70位指名。鋭く切れるスライダーがマネーピッチ。スライダーと平均94/最速98マイルの速球を軸とした投球で打者を制圧する。ツーピッチタイプでリリーフ転向リスクを心配されている。また、速球はホップ成分が弱く、軌道に問題があるとされており、球速の割にあまり空振りが奪えていない。球威だけで見ればローテーション半ばポテンシャルだが、シーリングに達するには第3球種の習得と速球の質改善が求められる。

15.カーソン・ミルブラント(RHP)/Karson Milbrandt:21歳
22年ドラフト3巡目の高卒投手。高校ではバスケットボールとの二刀流だったため、野球に専念した環境での伸びしろが期待されている。プロ3年で防御率4.71と結果はイマイチだが、23年=23先発、24年=22先発をこなすなど着実に経験を積んでいる。平均94マイル/スピンレート2500rpm超のランニングファストを中心に、鋭いカーブ&左打者の外にフェードするチェンジアップのコンビネーション。アップサイドを期待してのランクイン。

2024年11月8日金曜日

2025 ATLANTA BRAVES TOP 15 PROSPECTS

2025 ATLANTA BRAVES 

TOP 15 PROSPECTS

Drake Baldwin

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.ドレイク・バルドウィン(C)/Drake Baldwin:24歳
22年ドラフト3巡目。パワーとゾーン管理に優れる攻撃型捕手で、24年は3AでwRC+135、四球率15.6%/三振率16.2%、上位10%の打球速度はプラス水準である106.7マイルをマーク。コンタクト率も77%と平均的で、大きな欠点は見当たらない。打撃面は明るい一方で、捕手としての守備力は平均程度の評価。23年にBaseball Prospectusのフレーミング指標で+9.1を記録していたが、24年は-1.9と不調だった。送球面や捕球面の指標も平均ややマイナスにとどまっており、守備力を改善し、捕手に残れるかどうかが選手としてのバリューを左右しそうだ。
Drake Baldwin


2.AJ スミス=ショウバー(RHP)/AJ Smith-Shawver:22歳
ポテンシャルの割に苦しんでいる印象だが、21歳シーズンにして3Aで通年ローテを回した(20先発/防御率4.86・xFIP4.61)だけで十分健闘したシーズンと言えるだろう。本来は平均95マイル/縦変化量17.6インチというライジングファストと80マイル中盤のジャイロスライダーで打者を制圧するスタイルだが、3Aではこの2球種が甘いゾーンに集まり、打ち込まれてしまった。一方で平均83.5マイルと速球よりも10マイル以上遅いチェンジアップが空振り率44.1%/被wOBA.238と効果的で、第2球種として確立する収穫もあった。HR/9=2.07、与四球率11%とコマンドに課題があるが、まだカレッジ投手と同年齢であり、そう悲観する必要はないだろう。
AJ Smith-Shawver

23年ドラフト全体24位指名。ダイナミックなフォームからMAX99マイルの4シームとプラスのスプリットチェンジで打者を圧倒するKマシーン。フルシーズン1年目となった24年は2Aでの9登板で49.1回を消化し、防御率2.92/xFIP3.52と安定したパフォーマンス。3Aでは与四球増で数字を落としたが、シーズン100イニングをクリアするなど耐久面で健闘を見せた。先発として大成できるかはコントロールと4シームの質改善が鍵を握るか。


FV45

4.キャム・キャミニティ(LHP)/Cam Caminiti:18歳
24年ドラフト全体24位指名。高校生No.1左腕と評判の大器で、MAX98マイルでキャリー成分の強い4シームが武器。また、CFとして鳴らしたアスリート性の高さも魅力で、フォームの再現性の高さも評価を得ている。多くの高校生投手と同じように、変化球や制球力の向上が今後の課題か。

5.JR リッチー(RHP)/JR Ritchie:22歳
22年ドラフト全体35位指名。TJ手術から復帰すると1Aでの32.1回で防御率1.95・奪三振率30.8%と順調な回復ぶりを見せた。滑らかなフォームから92-95マイルの速球を両コーナーに投げ分け、高スピンのスライダーで打者を仕留める。また対左打者にはチェンジアップも扱える。97-98マイルを計測していた術前の水準まで球速を戻せれば、ローテーション半ばポテンシャル。
JR Ritchie


6.
ナチョ・アルバレスJr.(SS)/Nacho Alvarez Jr.:22歳
コンタクト能力に優れ、2A/3Aでは四球率13.4%/三振率16.9%と上質なゾーン管理能力を披露。パワーポテンシャルは平凡(3Aでの上位10%打球速度101マイルはMLB平均以下)ながら、打率&出塁率の高さを売りにwRC+123をマークした。守備面では決して名手というわけではないが、SS中心に3B/2Bも守れるユーティリティー性が魅力。23年にBaseball Prospectusの出す守備指標DRPで+10.7をマークも、24年は-1.5に後退。守備だけで食っていける選手ではなさそうなので、パワーナンバーを伸ばして打撃でプラスを出せるかがレギュラー定着の鍵になりそうだ。
22年ドラフト全体20位指名。球威と制球力を両立した投球能力と投打に加えてアメフトでも活躍した運動能力の高さを評価されている。90マイル前半ながらホップ変化の大きい速球が武器。24年はA+での7先発で防御率1.54・奪三振率38.7%と好投も、TJ手術によりシーズン終了。6-1/190と小柄な体格で伸びしろを疑問視されていた上、TJ手術で耐久面のバリューを落とした。まずは健康に復帰することが目標だ。
Owen Murphy


8.
ホゼ・ぺルドモ(SS)/Jose Perdomo:18歳
24年度のMLB公式国際アマチュアFAランキングで3位につけていた大器で、契約金500万ドルでブレーブスに入団した。無駄のないスムーズなスイングでラインドライブを量産するコンタクト能力を最も評価されている。プロ1年目の24年はDSLで8試合の出場にとどまった。これからの飛躍に期待。

9.
ギャレット・バウマン(RHP)/Garrett Baumann:19歳
23年ドラフト4巡目の高卒投手。6-8/245の恵まれた体格の持ち主でアップサイドに期待。24年は高卒1年目ながらAでの92回で防御率3.42/xFIP3.38と安定したパフォーマンスを披露。最速98マイルの速球と平均的なスライダー&チェンジアップのコンビネーション。長身投手でありながら与四球率6%と制球が安定している希少な存在であり、球種の質を磨いて平均的な奪三振能力を伸ばせるとバリューが上がるだろう。


FV40

23年ドラフト2巡目。平均93マイルのシンカーと80マイル前半のスラーブを主体にカッター&チェンジアップを交え、ゴロの山を築くイニングイータータイプ。24年はA+/2A/3Aで25先発/129回を投げて防御率3.07・FIP3.21と好投。与四球率11.3%は気になるが、高いゴロ率のおかげでHR/9=0.16と被弾を許さず、好成績の要因となった。

23年ドラフト6巡目ながら、A+/2Aで計143.2回を投げて20.5K-BB%、FIP3.14と好投。特に2Aでも好投を維持した点はポイントが高い。92マイルの速球とキレの良いスライダーを軸に、4球種でストライクを稼げる。エース級の球威は無いが、ローテーション下位のイニングイーターになり得る。

12.ジャンカルロス・ララ(RHP)/Jhancarlos Lara:22歳
MAX98マイルの4シームと80マイル後半のスライダーの2球種で打者を制圧するパワーピッチャー。24年はA+での62回で防御率3.92・xFIP4.13・奪三振率26.2%をマーク。先発に残るには第3球種であるスプリットチェンジの質改善と、A+で与四球率13.1%、2Aでは20.2回で25%を喫した制球難の改善が求められる。

Aで75.2回を投げて防御率2.74・奪三振率32.1%・与四球率6.9%・xFIP2.86と好投したコロンビア出身右腕。90マイル前半でシュート方向に食い込む4シームと横滑りするスライダーでゾーンの左右を揺さぶり、第3球種としてスプリットを織り交ぜる。いずれもプラスピッチではなく、また6-0/170という体格も含めて先発投手としてはスペック不足が否めないが、このまま好投を続ければ先発としての可能性も見えてくるだろう。

14.カーター・ホルトン(LHP)/Carter Holton:22歳
24年ドラフト2巡目。強豪バンダービルト大で3年間先発を張った実力者。クロスファイアーからMAX98マイルの4シームとハードスライダーを軸に4球種扱える。アンダーサイズな体格と年々防御率が悪化している点が不安材料。

15.
ルイス・グアニパ(OF)/Luis Guanipa:19歳
23年1月に契約金250万ドルで入団の逸材。プラスのパワー、ダブルプラスのスピードを兼ね備えるポテンシャルの塊も、プロ2シーズンで打率.228・OPS.657と不発。打者として磨かれる必要がある。とはいえ、まだ高卒選手と同じ年齢であり、これからの成長に期待。