2024年11月10日日曜日

2025 MIAMI MARLINS TOP 15 PROSPECTS

2025 MIAMI MARLINS 

TOP 15 PROSPECTS

Thomas White


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV55

1.トーマス・ホワイト(LHP)/Thomas White:20歳
23年ドラフト全体35位指名の高卒左腕。200万ドル近いオーバースロットとなる契約金410万ドルで入団を決めた。24年はA/A+で21先発して防御率2.81・FIP3.23・奪三振率29.2%と素晴らしいパフォーマンス。6-5/210の恵まれた体格から平均95マイル/スピンレート2501rpmの4シームを主軸に、Aで空振り率41%のスラーブ、同38%のチェンジアップのコンビネーション。3球種プラスピッチ候補と素質は申し分なく、課題とされるコントロールも与四球率9.2%とおおむね安定していた。荒さは目立つが、フロントスターター級への成長に期待したい。
Thomas White


FV50

豪快なパワーが武器の攻撃型捕手。ジャズ・チザムの見返りの1人として夏のトレードでNYYから移ってきた。23年に自己最多の18本塁打をマークすると、24年は2Aでの58試合で16本塁打・wRC+163と大ブレイク。3A昇格当初はボール球に手を出し内野ゴロを量産していたが、徐々に適応。上位10%の打球速度106.8マイルはプラス水準で、積極アプローチながらチェイス率&コンタクト率も平均以上を維持するなど、3Aの投手相手にも穴を見せなかった。一方の守備面は要改善。肩の強さは平均以上だが俊敏性に問題があり、110許盗塁&盗塁阻止率10%。また捕球面でも10失策&11捕逸。

23年ドラフト全体10位指名の高卒右腕で、エースポテンシャルと評判。6-5/185の伸びしろあふれる体格から平均93.9マイルのシンカーと大きく曲がるスライダー中心の投球。特に決め球のスライダーはAで被wOBA.091・空振り率41%と素晴らしい内容だった。第3球種のチェンジアップは10%程度の投球比率だが、アームサイドへの変化が大きいため空振り率42%と磨けば光る可能性あり。24年はA/A+で18先発を経験するも、与四球率17%と制球難に苦しんだ。高卒1年目で着実に実戦経験を積んでステップアップできたのはポジティブな側面だが、与四球率17%はさすがに酷すぎるため、先発として大成できるかは未知。


FV45

4.ロビー・スネリング(LHP)/Robby Snelling:21歳
22年ドラフト全体39位指名。93-95マイルでホップ変化量平均以上の4シームと22年ドラフトNo.1と評されたカーブのコンビネーション。第3球種のチェンジアップはプロ入り後に向上中。23年は100イニング以上投げた投手ではマイナートップとなる防御率1.82と好投。しかし24年は2Aで開幕から16先発/防御率6.01と年上選手たちに苦戦。それでも徐々に適応を見せ、夏のトレードでSDから移ってからは8登板で防御率3.64・FIP2.92・奪三振率27.1%と復調の兆し。前半戦は相手打者のレベルアップに伴い四隅を狙って自滅していたが、後半は与四球を減らして再びゾーン内で勝負できるようになった。来季の完全復活に期待したい。

5.ジョー・マック(C)/Joe Mack:22歳
21年ドラフト全体31位指名。24年にマイナーのゴールドグラブ賞を獲得した守備型捕手。打っても大学3年生と同じ21歳のシーズンにして2Aで22本塁打・wRC+129と健闘を見せた。コンタクト力は平均以下だがフライボール率が高く、低打率ながら20HR前後が狙えるだろう。捕手守備では強肩と素早い握り替え、巧みなフレーミング、俊敏なフットワークを兼備。79試合で63盗塁に抑え、盗塁阻止率は34%をマーク。Baseball Prospectusの出す守備指標ではここ2シーズンでフレーミング指標+13.6、送球指標+4.1と大きくプラスを叩き出している。
Joe Mack



6.ルイス・コバ(OF)/Luis Cova:18歳
24年1月に契約金140万ドルで入団した原石。U-15のベネズエラ代表CFを務めた実力者で、ダブルプラスのスピードが魅力のアスリートタイプ。DSLでは55試合でOPS.723・36盗塁と上々のデビューを飾った。四球率15.3%/三振率10.0%と成熟したアプローチが光る。現時点ではギャップヒッターだが、スイングスピードの速さから筋肉がつけばパワーも向上が見込まれている。仮にパワーが向上しなくてもある程度打てれば守備走塁と出塁能力でチームに貢献できるだろう。

24年にマイナーで40HRを放ったパワーヒッター候補。上位10%の打球速度108.1マイル/MAX打球速度116マイルはMLBだとフアン・ソトやブライス・ハーパーらに匹敵し、20-80スケールで70~75相当だ。一方で超フリースインガーであり、コンタクト率も65%と平均を大きく下回っているため、MLB投手に対応できるか疑問。また守備走塁で貢献できるタイプでもなく、ミゲル・サノーやフランミル・レイエスあたりが比較対象と見ている。

8.PJ モーランド(OF)/PJ Morlando:20歳
24年ドラフト全体16位指名。高校生ホームラン競争優勝&全米オールスターゲームMVPの実力者だが、ドラフトイヤーに不調で評価下落。無駄のない華麗なスイングでコンタクト力とパワーポテンシャルを両立しているが、実戦で長打力を発揮しきれていない。プロで改善できるか。チームはCFとして買っているが、スカウト評価はそれほどではなく、将来的には外野両翼か1Bに回ると予想されている。
PJ Morlando


9.ディロン・ヘッド(OF)/Dillon Head:20歳
23年ドラフト1巡目の高卒選手。20-80スケールで80評価のスピードが武器の1番CF候補。ルイス・アラエスの見返りの1人としてSDから加入した。現時点ではコンタクト&選球眼に長けたギャップヒッターだが、最終的には15~20本塁打を打てるようになれるとチームは期待している。24年は故障により26試合の出場に終わった。身体能力は傘下トップクラス。


FV40

10.カーター・ジョンソン(SS)/Carter Johnson:19歳
24年ドラフト2巡目。高校生No.1ピュアヒッターと評判で、U-18でもプレー。スムーズな左スイングで広角にライナーを打ち分けるラインドライブヒッター。平均的とされるパワーをどれだけ伸ばせるか。走守のツールは傑出しておらず、将来的には3Bや2Bに落ち着くだろうと予想されている。ドラフト後はいきなりA配属されるも、wRC+65・三振率33%と年上選手に歯が立たず。トップアマチュア選手としてはツール不足か。

11.
キーナー・ベニテス(LHP)/Keyner Benitez:19歳
若き日のフランシスコ・リリアーノ(元PIT他)を思わせるクロスファイアー左腕。18歳ながらAでの57.2回で防御率3.12・xFIP3.87と健闘。平均93マイルのシンキングファスト、空振り率52%を記録したダブルプラス候補のチェンジアップ、平均78マイルとブレーキの利いたスライダーのコンビネーション。まだ細身で球速向上の余地があり、数マイル伸ばせれば先発候補として楽しみな存在だ。

チザムのトレード対価の1人。身長5フィート7とアンダーサイズだが、パンチ力あり。鋭いライナーで外野の間を破る。24年はA+で88試合/wRC+123、2Aで39試合/wRC+119をマーク。A+/2Aで計15本塁打&39二塁打を放った。選球眼に欠点があり、ボール球に手を出してのウィークコンタクトを減らしていきたい。守備面ではキャリア4年目にして初めてSSメインで1年間プレー。長期的には2Bや3Bの方がフィットするだろうが、ユーティリティー性に磨きをかけた。

13.アダム・メイザー(RHP)/Adam Mazur:24歳
22年ドラフト2巡目。プラスのコントロールを土台に5球種を織り交ぜるテクニカル右腕。平均94.6マイルの4シームと87マイルのハードスライダーが全投球の7割以上を占める。24年は開幕から2Aで6先発/防御率1.95・与四球率4.2%と好投。しかし、MLBデビューすると8先発で防御率7.49と打ち込まれた。4シームは及第点だが他に平均以上の球種がないため、MLBの打者を圧倒するのは厳しそうだ。現時点ではローテ下位のイニングイーターorミドルリリーフ向きと見ている。

14.エイデン・メイ(RHP)/Aiden May:22歳
24年ドラフト全体70位指名。鋭く切れるスライダーがマネーピッチ。スライダーと平均94/最速98マイルの速球を軸とした投球で打者を制圧する。ツーピッチタイプでリリーフ転向リスクを心配されている。また、速球はホップ成分が弱く、軌道に問題があるとされており、球速の割にあまり空振りが奪えていない。球威だけで見ればローテーション半ばポテンシャルだが、シーリングに達するには第3球種の習得と速球の質改善が求められる。

15.カーソン・ミルブラント(RHP)/Karson Milbrandt:21歳
22年ドラフト3巡目の高卒投手。高校ではバスケットボールとの二刀流だったため、野球に専念した環境での伸びしろが期待されている。プロ3年で防御率4.71と結果はイマイチだが、23年=23先発、24年=22先発をこなすなど着実に経験を積んでいる。平均94マイル/スピンレート2500rpm超のランニングファストを中心に、鋭いカーブ&左打者の外にフェードするチェンジアップのコンビネーション。アップサイドを期待してのランクイン。

2024年11月8日金曜日

2025 ATLANTA BRAVES TOP 15 PROSPECTS

2025 ATLANTA BRAVES 

TOP 15 PROSPECTS

Drake Baldwin

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.ドレイク・バルドウィン(C)/Drake Baldwin:24歳
22年ドラフト3巡目。パワーとゾーン管理に優れる攻撃型捕手で、24年は3AでwRC+135、四球率15.6%/三振率16.2%、上位10%の打球速度はプラス水準である106.7マイルをマーク。コンタクト率も77%と平均的で、大きな欠点は見当たらない。打撃面は明るい一方で、捕手としての守備力は平均程度の評価。23年にBaseball Prospectusのフレーミング指標で+9.1を記録していたが、24年は-1.9と不調だった。送球面や捕球面の指標も平均ややマイナスにとどまっており、守備力を改善し、捕手に残れるかどうかが選手としてのバリューを左右しそうだ。
Drake Baldwin


2.AJ スミス=ショウバー(RHP)/AJ Smith-Shawver:22歳
ポテンシャルの割に苦しんでいる印象だが、21歳シーズンにして3Aで通年ローテを回した(20先発/防御率4.86・xFIP4.61)だけで十分健闘したシーズンと言えるだろう。本来は平均95マイル/縦変化量17.6インチというライジングファストと80マイル中盤のジャイロスライダーで打者を制圧するスタイルだが、3Aではこの2球種が甘いゾーンに集まり、打ち込まれてしまった。一方で平均83.5マイルと速球よりも10マイル以上遅いチェンジアップが空振り率44.1%/被wOBA.238と効果的で、第2球種として確立する収穫もあった。HR/9=2.07、与四球率11%とコマンドに課題があるが、まだカレッジ投手と同年齢であり、そう悲観する必要はないだろう。
AJ Smith-Shawver

23年ドラフト全体24位指名。ダイナミックなフォームからMAX99マイルの4シームとプラスのスプリットチェンジで打者を圧倒するKマシーン。フルシーズン1年目となった24年は2Aでの9登板で49.1回を消化し、防御率2.92/xFIP3.52と安定したパフォーマンス。3Aでは与四球増で数字を落としたが、シーズン100イニングをクリアするなど耐久面で健闘を見せた。先発として大成できるかはコントロールと4シームの質改善が鍵を握るか。


FV45

4.キャム・キャミニティ(LHP)/Cam Caminiti:18歳
24年ドラフト全体24位指名。高校生No.1左腕と評判の大器で、MAX98マイルでキャリー成分の強い4シームが武器。また、CFとして鳴らしたアスリート性の高さも魅力で、フォームの再現性の高さも評価を得ている。多くの高校生投手と同じように、変化球や制球力の向上が今後の課題か。

5.JR リッチー(RHP)/JR Ritchie:22歳
22年ドラフト全体35位指名。TJ手術から復帰すると1Aでの32.1回で防御率1.95・奪三振率30.8%と順調な回復ぶりを見せた。滑らかなフォームから92-95マイルの速球を両コーナーに投げ分け、高スピンのスライダーで打者を仕留める。また対左打者にはチェンジアップも扱える。97-98マイルを計測していた術前の水準まで球速を戻せれば、ローテーション半ばポテンシャル。
JR Ritchie


6.
ナチョ・アルバレスJr.(SS)/Nacho Alvarez Jr.:22歳
コンタクト能力に優れ、2A/3Aでは四球率13.4%/三振率16.9%と上質なゾーン管理能力を披露。パワーポテンシャルは平凡(3Aでの上位10%打球速度101マイルはMLB平均以下)ながら、打率&出塁率の高さを売りにwRC+123をマークした。守備面では決して名手というわけではないが、SS中心に3B/2Bも守れるユーティリティー性が魅力。23年にBaseball Prospectusの出す守備指標DRPで+10.7をマークも、24年は-1.5に後退。守備だけで食っていける選手ではなさそうなので、パワーナンバーを伸ばして打撃でプラスを出せるかがレギュラー定着の鍵になりそうだ。
22年ドラフト全体20位指名。球威と制球力を両立した投球能力と投打に加えてアメフトでも活躍した運動能力の高さを評価されている。90マイル前半ながらホップ変化の大きい速球が武器。24年はA+での7先発で防御率1.54・奪三振率38.7%と好投も、TJ手術によりシーズン終了。6-1/190と小柄な体格で伸びしろを疑問視されていた上、TJ手術で耐久面のバリューを落とした。まずは健康に復帰することが目標だ。
Owen Murphy


8.
ホゼ・ぺルドモ(SS)/Jose Perdomo:18歳
24年度のMLB公式国際アマチュアFAランキングで3位につけていた大器で、契約金500万ドルでブレーブスに入団した。無駄のないスムーズなスイングでラインドライブを量産するコンタクト能力を最も評価されている。プロ1年目の24年はDSLで8試合の出場にとどまった。これからの飛躍に期待。

9.
ギャレット・バウマン(RHP)/Garrett Baumann:19歳
23年ドラフト4巡目の高卒投手。6-8/245の恵まれた体格の持ち主でアップサイドに期待。24年は高卒1年目ながらAでの92回で防御率3.42/xFIP3.38と安定したパフォーマンスを披露。最速98マイルの速球と平均的なスライダー&チェンジアップのコンビネーション。長身投手でありながら与四球率6%と制球が安定している希少な存在であり、球種の質を磨いて平均的な奪三振能力を伸ばせるとバリューが上がるだろう。


FV40

23年ドラフト2巡目。平均93マイルのシンカーと80マイル前半のスラーブを主体にカッター&チェンジアップを交え、ゴロの山を築くイニングイータータイプ。24年はA+/2A/3Aで25先発/129回を投げて防御率3.07・FIP3.21と好投。与四球率11.3%は気になるが、高いゴロ率のおかげでHR/9=0.16と被弾を許さず、好成績の要因となった。

23年ドラフト6巡目ながら、A+/2Aで計143.2回を投げて20.5K-BB%、FIP3.14と好投。特に2Aでも好投を維持した点はポイントが高い。92マイルの速球とキレの良いスライダーを軸に、4球種でストライクを稼げる。エース級の球威は無いが、ローテーション下位のイニングイーターになり得る。

12.ジャンカルロス・ララ(RHP)/Jhancarlos Lara:22歳
MAX98マイルの4シームと80マイル後半のスライダーの2球種で打者を制圧するパワーピッチャー。24年はA+での62回で防御率3.92・xFIP4.13・奪三振率26.2%をマーク。先発に残るには第3球種であるスプリットチェンジの質改善と、A+で与四球率13.1%、2Aでは20.2回で25%を喫した制球難の改善が求められる。

Aで75.2回を投げて防御率2.74・奪三振率32.1%・与四球率6.9%・xFIP2.86と好投したコロンビア出身右腕。90マイル前半でシュート方向に食い込む4シームと横滑りするスライダーでゾーンの左右を揺さぶり、第3球種としてスプリットを織り交ぜる。いずれもプラスピッチではなく、また6-0/170という体格も含めて先発投手としてはスペック不足が否めないが、このまま好投を続ければ先発としての可能性も見えてくるだろう。

14.カーター・ホルトン(LHP)/Carter Holton:22歳
24年ドラフト2巡目。強豪バンダービルト大で3年間先発を張った実力者。クロスファイアーからMAX98マイルの4シームとハードスライダーを軸に4球種扱える。アンダーサイズな体格と年々防御率が悪化している点が不安材料。

15.
ルイス・グアニパ(OF)/Luis Guanipa:19歳
23年1月に契約金250万ドルで入団の逸材。プラスのパワー、ダブルプラスのスピードを兼ね備えるポテンシャルの塊も、プロ2シーズンで打率.228・OPS.657と不発。打者として磨かれる必要がある。とはいえ、まだ高卒選手と同じ年齢であり、これからの成長に期待。