2025年1月30日木曜日

2025 TORONTO BLUE JAYS TOP 15 PROSPECTS

2025 TORONTO BLUE JAYS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 トロント・ブルージェイズ プロスペクトランキング

Arjun Nimmala


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.アージャン・ニムラ(SS)/Arjun Nimmala:19歳
23年ドラフト1巡目の大型高卒SS。パワーと守備力に強みがあり、BALなどで活躍したJJハーディ(通算188本塁打/GG賞3回)と比較するスカウトも。24年は開幕29試合で打率.167/三振率34%と苦戦し、延長春季トレーニングで調整を行った。しかし、その後6月27日に再昇格してからはwRC+146と好調だった。上位10%打球速度102.7マイルは18歳の平均を大きく上回っており、引っ張りフライ率16.7%(MLB平均は6.8%)と空中にボールを集める技術も備えている。SS守備では、走力は平均的だが、守備本能と強肩のおかげで平均以上の守備範囲を示している。
Arjun Nimmala


24年ドラフト1巡目。大学2年シーズンにして14先発/防御率2.61と台頭し、国内有数の投手として注目を集めると、3年シーズンは全米1部リーグトップとなる防御率2.03をマーク。しかし肺の病気を患い、健康面の心配から全体20位までスリップした。投手としてはイニングイーターの働きを期待されている。長身オーバースローから93-95マイルの4シーム、80マイル後半に届く縦スライダー、80マイル前半のスプリット&カーブをコントロール良く投げ分ける。

21-23年にマイナーで3年連続28本塁打以上をマークしているパワーヒッター候補。24年は禁止薬物の使用により出場停止があったが、3Aで上位10%打球速度107マイル/引っ張りフライ率12.7%とスラッガーとしての素質は示した。コンタクト率とチェイス率が平均以下で、ヒットツールに課題がある。また、守備力も平均~平均以下との評価で、3B/2Bにとどまれることを示す必要がある。
Orelvis Martinez


FV45

エースポテンシャルの大型左腕だが、健康面の不安からキャリアに黄色信号が灯っている。昨年7月にTJ手術を受けて、25年は全休の見込み。来季を全休と仮定すると、プロ5シーズンで140イニング(年平均28イニング)止まりであり、先発投手として健康に稼働し続けられるかは疑問。23歳シーズンを全休し、25歳で先発投手として開花したギャレット・クロシェのようになれるか。
Ricky Tiedemann


菊池雄星とのトレードで獲得した1人。開幕からマイナーで好投を続け、ドラフトから1年でMLBデビューを果たした。エースというよりもローテーション4-5番手のイニングイーター向きと見られている。平均93マイルのライジングファストを軸に変化球4種をコントロール良くミックスする。6-3/223と体格も先発向き。

6.
ランデン・マルディス(RHP)/Landen Maroudis:20歳
23年ドラフト4巡目の高卒右腕で、オーバースロットとなる契約金150万ドルでプロ入りを決めた。高校ではSSとの二刀流でも有名だったアスリートであり、6-3/190の体格と合わせて伸びしろを高く買われている。平均93マイルの4シームと縦スラでカウントを整え、80マイル前後の大きく曲がるカーブで仕留める。これからの成長に期待。

7.ジョシュ・カセビッチ(SS)/Josh Kasevich :24歳 
22年ドラフト2巡目。コンタクト能力に長けた打撃と堅実なSS守備が強み。24年は2A/3Aでの128試合で打率.296/6本塁打/wRC+106をマーク。statcastデータが得られる3Aでは、ゾーン内コンタクト率95%とさすがのコンタクト能力を示した。フィールド全体にゴロ/ライナーを打ち分けるアプローチで本塁打を狙う打者ではないが、上位10%打球速度104マイルと打球速度はMLB平均並。ケビン・ニューマンのようなユーティリティーになれるか。
速球、スライダー、チェンジアップを効果的に織り交ぜる投球スキルと6~7イニングを安定して投げられるスタミナ&コントロールを兼ね備えるキューバ出身左腕。速球は平均92~93マイルほどだが、ホップ変化量18.6インチと伸びがあり、高い空振り率を誇る。24年は左肩の負傷で開幕早々に離脱してしまったが、夏場に復帰すると好投。A+で11試合に登板して防御率2.43/奪三振率27.0%/与四球率5.3%をマークした。

9.アラン・ロデン(OF)/Alan Roden:25歳
22年ドラフト3巡目。完成度の高い左打者で、コンタクト&アプローチが磨かれている。24年は2A/3Aで打率.293/16本塁打/wRC+136をマーク。四球率12.1%/三振率14.2%とゾーン管理が優秀で、3Aではゾーン内コンタクト率91.7%を計測した。平均的な走力&肩力を有し、外野コーナーを無難にこなせる。一方で両翼選手としてはパワーが平凡である点がネック。


FV40

10.RJ シュレック(OF)/RJ Schreck:24歳
23年ドラフト9巡目。アプローチの磨かれた左打者で、24年はA+/2Aで
wRC+は142をマークした。四球率15.7%/三振率16.5%と完璧にゾーンを管理し、17本塁打を放つなどプルサイドへのパンチ力もある。守備走塁の能力は平均的で、ポジションは外野コーナーであるため、どれだけ打てるかにかかっている。

11.フェルナンド・ぺレス(RHP)/Fernando Perez:21歳
ニカラグア出身。速球は平均92マイルで打者を圧倒するようなプラスピッチは持たないが、5球種をコントロール良く投げ分ける投球術が光る。24年はAで17先発して防御率4.06/奪三振率25.8%/与四球率7.2%をマーク。FIPは3.47と優秀な数値だった。6-3/170と細身の体格から球速はもう数マイル伸びるか。バックエンドSP向き。

12.
カール・ステファン(RHP)/Khal Stephen:22歳
24年ドラフト2巡目。ドラフトイヤーに防御率3.28/奪三振率 27.9%/与四球率 5.5%と安定したパフォーマンスを披露し、評価を伸ばした。プラスピッチは持たないが、速球、スライダー、チェンジアップをコントロール良く投げ分けるイニングイータータイプ。6-4/215と体格も先発投手として理想的。
23年ドラフト13巡目ながら24年は打撃好調で、A+/2Aで打率.279/17本塁打/wRC+138とブレイク。夏のトレードでTORに移った。しかし、TOR加入後は打率.185/三振率30%と調子を崩していたので、来季どうなるか。大学時代は2Bだったが、プロでは3Bに転向。守備力不足で外野向きと見るスカウトも。

14.アダム・マッコ(LHP)/Adam Macko:24歳
スロバキア出身左腕で、Youtubeでジャスティン・バーランダーやデビッド・プライスの動画を観て独学でピッチングを学んでいたが、12歳の時に家族でカナダへ移住。そこでカナダ屈指の強豪ボクスホール高へ進学したことでスカウトの目に留まりドラフト指名を受けた。キレの良い速球と多彩な変化球で打者を翻ろうする。奪三振能力は優秀で制球もまずまずなので、あとは耐久性の弱さを改善したい。

15.
ジョニー・キング(LHP)/Johnny King:18歳
24年ドラフト3巡目。ドラフト当日17歳という若さと恵まれた体格が買われている。すでにMAXで94-95マイルに達する速球、スライダー&チェンジアップが平均以上のポテンシャル。フルエフォート&癖のある独特なアームアクションを不安視する声あり。

Notable Prospects

カーソン・メッシーナ(RHP)/Carson Messina:19歳
24年ドラフト12巡目の高卒右腕。4巡目相当となる契約金でスティールに成功した。制球は荒いが、速球とスライダーのコンボはパワフル。特にスライダーは20-80スケールで70評価を得る。先発にとどまるにはコントロールを磨いていきたい。

元MLB選手ビリー・ワグナーの息子。ゾーン理解が深く、打者として洗練されている。コンタクト&アプローチに優れ、24年は3Aで77試合で打率.315/6本塁打/wRC+130/四球率16.6%/三振率10.4%をマーク。二桁打てるかどうかレベルのパワー&MLBでは1B/DHが適任とされる守備力から攻守でバリューを生み出せるかは疑問。

24年ドラフト4巡目。ヒットツールの磨かれた左打者で、Aでは22試合という小サンプルながらwRC+134と好成績を残した。上位10%打球速度102マイルは今一つだったため、ボールを空中に集めてパワーナンバーを伸ばしたい。3B守備は平均以下の評価。



2025年1月25日土曜日

2025 TAMPA BAY RAYS TOP 15 PROSPECTS

2025 TAMPA BAY RAYS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 タンパベイ・レイズ プロスペクトランキング
Carson Williams

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV60

1.カーソン・ウィリアムズ(SS)/Carson Williams:22歳
21年ドラフト1巡目。コンタクトに課題があるが、ゴールドグラブ級のSS守備とSS離れしたパワーが強み。投手としても注目されていた逸材で、投手としてMAX95マイルの強肩&ここ3シーズンで81盗塁を決めた俊足で広大なレンジをカバーする。打撃は2Aで打率.256/20本塁打/wRC+142をマークするなど年上選手を相手にもパワフルな内容を維持。ここ3年で62本塁打はマイナーSSで最多。SS守備での貢献はすでに計算できるので、あとは打撃の成長が天井を決めるだろう。三振率28.5%のコンタクトをどれだけ改善できるか。
Carson Williams


FV50

22年ドラフト1巡目の高卒選手。6-4/240の強靭なフィジカルから凄まじい打球を繰り出し、潜在的なパワーポテンシャルは20-80スケールで80評価。24年はA+で打率.287/15本塁打/wRC+157と好成績をマークし、20歳シーズンにして2Aに昇格。一方でコンタクト能力に不安を露呈した。三振率はA+で30.1%、2A昇格後は40.6%だった。06年~24年にA+(300打席以上)で三振率が30%を超えた282人のうち、MLBに定着できているのはMJメレンデス、トレバー・ストーリー、エリー・デラクルーズの3人ぐらいであり、現状のアイザックは厳しい位置にあると言える。守備面では、平均以下と見られていた走力が平均以上に成長。外野に定着できることを示せればバリューを上げられるかもしれない。シーズンで2試合、オフのAFLで5試合RFを守った。
Xavier Isaac


23年ドラフト全体19位指名。コンタクト&選球眼に優れたピュアヒッター候補で、引っ張りフライを量産する打撃スタイルで平均レベルのパワーを最大限に発揮している。24年はA+でwRC+154をマーク。2A昇格後も30試合で6本塁打/四球率12%と強みである長打能力と出塁能力を維持したが、打率.194/三振率36.8%とコンタクト面で苦戦した。守備は平均的な評価で、現在は3B/SSをメインに守っているが、2Bが最もフィットするだろうと見られている。

4.ブレイラー・ゲレーロ(OF)/Brailer Guerrero:19歳
23年に370万ドルで契約した大器。10代にしてすでにMLB打者の平均並であるMAX打球速度109マイルを計測するなど凄まじいパワーを秘める。コンタクト&アプローチも磨かれており、パワーとアベレージを両立した強打者になり得る。しかし、肩の故障により、プロ2年で35試合/155打席しかプレーできておらず、育成が遅れ気味である点がネック。守備は現在CFを守っているが、平均的な走力とプラスの強肩から長期的にはRF向きか。

5.トレバー・ハリソン(RHP)/Trevor Harrison:19歳
高校3年の時に投手に専念すると、MAX95マイルを出すまで成長し、翌年ドラフト5巡目でプロ入りした。すると、プロ1年目の24年は、R/Aで72.2回を投げて防御率3.34/FIP3.30/奪三振率29.4%と好投。速球はMAX99マイルに到達した。現在は速球中心の配球だが、80マイル中盤のカット系スライダー、変化量大のチェンジアップはいずれもプラスピッチ候補で、6-4/225と体格も理想的。Rでは与四球率6.1%だったが、Aでは11%と悪化していたので、来季どうなるか。
Trevor Harrison


6.エイデン・スミス(OF)/Aidan Smith:20歳
ランディ・アロザレナとのトレードで昨夏にSEAから加入。身体能力が高く、ダブルプラスのCFディフェンダーになり得るとの評価。打者としては発展途上との評価だったが、高卒1年目にしてAで打率.288/11本塁打/wRC+139とブレイク。A最多の33二塁打を放ったギャップパワーを本塁打に転換できれば、走攻守揃った5ツールプレーヤーに進化できるはずだ。

コントロールに優れ、少ない球数で5~7イニングを消化できるワークホース右腕。24年はAで111.2回を投げて防御率は4.11ながら、奪三振率25.7%/与四球率4.7%/FIP3.51と投手の責任範囲の指標は良かった。プロ入り時にMAX94マイルだった速球はすでに97-98マイルに到達。キャリー成分の強い4シームとカッター&カーブ。チェンジアップの向上が今後の課題。


FV45

8.ゲーリー・ギルヒル(RHP)/Gary Gill Hill:20歳
Aで108.2回を投げて防御率3.15/奪三振率24.2%/与四球率6.2%/FIP3.55とブレイク。低めのスリークォーターから90マイル中盤の4シームと大きく曲がるスライダーで空振りを誘い、チェンジアップも上質で左打者対策もOK。長身細身でさらなる成長が見込める。滑らかでアスレチックなメカニクスをしておりコントロール面も高評価。7月以降は防御率4.81/奪三振率20.1%と失速気味だったので、1年間戦える体力をつけていきたい。(6月まで防御率2.03/奪三振率27.2%)

9.セオ・ギレン(OF)/Theo Gillen:19歳
ドラフト3年前は世代No.1選手と評判だったが、高校で右肩と膝の手術を受けるなど度重なる故障により評価下落。高校最終年は打率.415の活躍で再び評価を取り戻し、全体18位指名でプロ入りを果たした。プラスのヒットツールを有するピュアヒッタータイプで、現時点ではホームランを量産するタイプではないも、将来的には20HRも可能と見る評価も。高校時代はSSだったが、肩の手術の影響を考慮し、プロでは俊足をより生かせるCFに転向した。

10.
トレ・モーガン(1B)/Tre' Morgan:22歳
強豪ルイジアナ州立大で3年間中心選手として活躍し、同級生のポール・スキーンズ&ディラン・クルーズと共に全米制覇。80グレイドの一塁守備が最大の魅力で、一塁手としては珍しいコンタクト特化の打撃スタイル。バットを短く持ち、卓越したバットコントロールで左右にライナーを打ち分ける。24年はA/A+/2Aで打率.324/10本塁打/OPS.891をマーク。一塁手が10本塁打以下でfWAR2.0を超えたのは、ここ10シーズンで2017ジョー・マウアー、2022ルイス・アラエスの2人だけであり、長打力が求められる一塁というポジションでどれだけ貢献できるか。

24年にマイナートップの打率.355&104盗塁をマークした韋駄天。80グレイドの最高級の走力と高いコンタクト能力が武器。理想の完成型は通算614盗塁、打率3割超えシーズン4回の名選手フアン・ピエールか。ピエールのような選手になるには、発展途上とされるCF守備を改善していきたいところ(ピエールは最初の7シーズンで4.0fWAR越え2回、平均2.75を稼いでいるが、同期間にCFで通算UZR+33.7を記録している)。

ザック・エフリンのトレードで獲得した見返りの1人。MAX98マイルでホップ変化量の大きい4シームが武器で、スライダー、カーブ、チェンジアップと変化球3種もソリッド。A+では99.2回を投げて防御率2.53/奪三振率32.7%/与四球率11.6%/FIP3.06をマーク。6-4/225と体格も先発向きだが、コントロールが悪いために球数がかさみ、ほとんどの試合が3~4イニング程度の投球だった。

アロザレナのトレードでスミスと共に加入。サイド気味の低リリースから90マイル中盤の伸び上がる速球とスウィーパーを軸に、左打者には膝元へのカッター&外へ逃げるチェンジアップも扱う。24年はA/A+で115回を投げて防御率3.05/奪三振率27.2%/与四球率10.8%/FIP3.83をマーク。大学通算与四球率16.8%の制球難が改善されたことがブレイクにつながった。

14.ドミニック・キーガン(C)/Dominic Keegan:24歳
22年ドラフト4巡目。パワーとコンタクトを両立した攻撃型捕手。23年にA/A+でwRC+137、24年も2AでwRC+138と優秀な打撃成績を収めている。守備評価は平均以下ながら、Baseball  Prospectusの出すフレーミング指標では、ここ2年で+17.7をマークしている。肩が弱く、77試合で89盗塁(阻止率14%)を許した送球面を改善していきたい。

15.ディラン・レスコ(RHP)/Dylan Lesko:21歳
ドラフト最上位指名が予想されていたが、ドラフト年にTJ手術を受け、SDが全体15位で指名。しかし、復帰後は思うような投球ができておらず、昨夏にジェーソン・アダムらとのトレードでTBに移ってきた。最速98マイルの4シームとブレーキの利いたチェンジアップがプラスピッチ候補で、スライダー&カーブも平均以上のボールになる可能性あり。プロ2年で与四球率18.1%と壊滅的なコントロールを取り戻せるか。

Notable Prospects

ボールの威力だけなら傘下No.1。90マイル後半の速球と80マイル後半の高速スライダーで打者をねじ伏せる。24年はA+/2Aで119回を投げて防御率2.95/奪三振率31.5%/与四球率11.9%をマーク。課題の与四球率は前年の16.7%から大幅に改善されているが、依然としてコントロールは平均以下。2ピッチタイプの投球スタイルも併せて考えると、将来的にはリリーフに回るか。

22年ドラフト3巡目。23年は防御率3.52/奪三振率28.7%と好投。24年はA+で72回で防御率2.88/奪三振率29.6%/与四球率6.4%と好投したが、2Aでは50.1回で防御率6.62と壁にぶち当たった。ライジングファストボールを高めに集めて空振りを量産する投球が持ち味だが、昨季終盤は球速低下に悩まされた。6-5/238とガッシリした先発投手向きの体型であり、速球の質を取り戻して来季復活できるか。

アップサイドを評価されている原石。23年1月に契約金21万ドルで契約すると、DSLをすっ飛ばしていきなりRでプレーするなどチームからの期待は大きい。24年は18歳シーズンにしてAのマウンドも経験した。クリーンかつアスレチックなメカニクスからMAX97マイルの4シームとプラスのカーブ。数年後の飛躍に期待。

23年ドラフト全体31位指名。20-80スケールで70-80評価を得るスピードの持ち主で、運動選手として傑出している。守備動作も滑らかで、SSにふさわしい資質を有する。一方で、5-11/155と体が小さく現時点では非力なため、打撃でインパクトを生み出せるかは疑問。24年はAで103試合に出場して0本塁打/wRC+82だった。コンタクト率は81%と良好だった。

タイ・ジョンソン(RHP)/Ty Johnson:23歳
アイザック・パレイデスの見返りの1人として昨夏CHCから加入。23年ドラフト15巡目という下位指名の出身だが、プロ1年目となった24年はA/A+で計84回を投げて防御率2.79/奪三振率36.0%/与四球率7.8%と好投。6-6/205の巨体からMAX98マイルの速球と80マイル中盤のスライダー&チェンジアップのパワーピッチング。

23年ドラフト18巡目の高卒左腕。トミージョン手術明けだったが、R/Aで60.2回を投げて防御率3.26/奪三振率31.8%とポテンシャルを披露。90マイル中盤の速球と上質なチェンジアップがプラスピッチ候補。与四球率17.6%のコントロールを改善していきたい。

2025年1月18日土曜日

2025 NEW YORK YANKEES TOP 15 PROSPECTS

2025 NEW YORK YANKEES  

TOP 15 PROSPECTS

2025年 ニューヨーク・ヤンキース プロスペクトランキング
Jasson Dominguez

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV55

1.ジェイソン・ドミンゲス(OF)/Jasson Dominguez:22歳
パワーとスピードを兼ね備えた身体能力の高い選手で、「火星人」の異名を誇る。24年はTJ手術明けで出遅れた上に腹斜筋の負傷での離脱もあり、メジャー/マイナーで計76試合の出場にとどまった。3Aでは44試合でwRC+121としっかり結果を出し、上位10%打球速度はMLBトップクラスの107.5マイルを計測。バレル率や引っ張りフライ率、コンタクト率も平均以上と打撃技術の成長も見えた(依然として低弾道でゴロ/ライナーが多いが)。どっしりとした体型だが、21盗塁/1失敗とスピード&盗塁技術は優秀。一方で俊足の割に守備面は発展途上で、最終的にはLFに落ち着きそうだ。MLBでは18試合という小サンプルながらOAA-3を記録してしまった。「20-20」級のパワー&スピードとLF向きの守備力から比較対象はランディ・アロザレーナ(23年にwRC+126/23本塁打/22盗塁/LFでOAA-6/fWAR3.3)と見ている。
Jasson Dominguez


FV45

23年ドラフト1巡目の高卒SS。同名の父は元MLB選手で、現在タイガースでコーチを務める。飛び抜けたツールは無いが、走攻守に磨かれており、ドラフト時にMLB公式はマーカス・セミエンと比較していた。打撃はAでの81試合で打率.232/5本塁打/wRC+105をマーク。成熟したアプローチ(平均以上のゾーン内スイング率と平均以下のチェイス率を両立し、四球率12.8%)でバレル性の打球を量産できる。上位10%打球速度102.8マイルは同年齢の中では平均以上であり、ISO.116に終わったパワーも将来的には平均レベルに育つだろう。ゾーン内コンタクト率が74.3%と平均以下で、特に外角高めの速球に苦戦した。守備は派手さはないものの、堅実さが光り、SSに定着できるだろうとの評価。Baseball Prospectsの出す守備指標DRPでは+4.8を叩き出した。
George Lombard


22年に400万ドルで契約したドミニカ共和国出身の大型SS。荒削りだが、完成すれば「30-30」も可能なアップサイドを秘める。Aでは打率.233/三振率31%/コンタクト率63%(MLBの平均は75%)とコンタクトに苦戦したが、7月以降は三振率を24%、コンタクト率を70.8%にまで改善させ、wRC+137と適応を見せた。守備ではダブルプラスの強肩を有し、練習を積んでいけばSSに定着できるだろうとスカウトたちからは評価されている。

22年ドラフト1巡目。6-7/225の大型選手で、アーロン・ジャッジと比較される運命にある選手。パワーポテンシャルはマイナー屈指だが、昨季2Aで三振率36.8%/200三振とコンタクトに致命的な欠陥がある。リーグ平均年齢とほぼ同じ年齢ながら、2AでwRC+124と飛び抜けた成績を残せていない。守備ではCF相応のアスリート性を有するが、ジャッジ同様にRFが最もフィットしそうだ。

23年にブレイクし、傘下No.1投手プロスペクトとして台頭。A+で9先発/防御率2.68/奪三振率40.5%と支配的な投球を見せ、2Aに定着した。しかし、24年は右ひじの違和感や下半身のコンディション不良により、7試合の登板にとどまった。健康であれば、90マイル中盤でホップ変化の大きい4シームと高強度のスライダーで空振りを量産し、カーブ&カッターをカウント球として効果的に織り交ぜる。まずは健康に復帰することが目標だ。
Chase Hampton


6.ヘンリー・ララン(LHP)/Henry Lalane:21歳
バスケットボール選手の父、バレーボール選手の母の血を受け継いだ6フィート7の大型左腕。24年は左肩の負傷で12イニングのプレーに終わった。健康であれば、MAX97マイルの速球、大きく曲がるスライダー、落差・横変化ともに優秀なチェンジアップの3球種すべてがプラスピッチ候補。フォームの再現性も高く、コントロール面の評価も高い。

21年ドラフト3巡目の高卒左腕。4シームは平均92.5マイルながら23年に1Aで平均スピンレート2698rpms、第2球種のスライダーも2645rpmを計測しており、ボールの回転量はMLBでもトップクラスを誇る。現時点では速球とスライダーが投球のほとんどを占めており、先発に定着するにはチェンジアップを磨いていきたいところ。24年は2Aで16先発して防御率4.25/奪三振率22.4%/与四球率10.8%という内容だった。奪三振率、与四球率いずれも前年より悪化したため、来季はどうなるか。

8.ベン・ヘス(RHP)/Ben Hess:22歳
24年ドラフト1巡目。大学1、2年シーズンは怪我で欠場があったが、ドラフトイヤーの3年シーズンは健康を維持し15先発とローテーションを守った。しかし、与四球&被弾が多く、防御率は5.80と良くなかった。6-5/225と体格に恵まれており、平均94/最速99マイルでホップ変化量大の4シームと落差の大きいカーブがプラスピッチ候補。平均的なスライダー&チェンジアップも交える。先発に定着するにはコントロールの改善と健康を維持することが課題だろう。


FV40

9.
ウィル・ウォーレン(RHP)/Will Warren:26歳
クレイ・ホームズと比較され、大きく横滑りするスウィーパーと平均93マイルのシンカーを武器にゾーンを揺さぶるグラウンドボーラー。22、23年とマイナーで2年続けて129イニング/防御率3点台と好投。24年は3Aで23先発してFIP4.63/奪三振率28.0%/与四球率8.0%とまずまずの内容を残し、MLBデビューも経験した。24年はシンカー&スウィーパーのコンビネーションに加え、4シーム&チェンジアップでゾーンの高低を攻めるアプローチも磨いた。打者を圧倒する球威は無く、ローテーション下位のイニングイーターorホームズ同様にリリーフが適任か。

10.エドグリーン・ぺレス(C)/Edgleen Perez:19歳
10代にしてすでに傘下トップクラスの捕手守備と評される未来の正捕手候補。打撃はコンタクト&アプローチが優秀で、Rでの51試合で打率.283/2本塁打/wRC+138をマーク。慎重なアプローチで四球率20.8%と四球を荒稼ぎし、出塁率.444はリーグ内3位だった。課題とされるパワーでも着実に成長を見せており、リーグ平均以上となる打球速度やハードヒット率を記録した。ISO.096止まりだったパワーナンバーに反映できるか。

11.ブライス・カニングハム(RHP)/Bryce Cunningham:22歳
24年ドラフト2巡目。1、2年時はスウィングマン起用だったが、3年シーズンは強豪バンダービルト大でエースを務めた。6-5/234の恵まれた体格からMAX99マイルでエクステンション&ホップ変化に富んだ4シーム、シュート方向に大きく逃げるチェンジアップが平均以上のボール。スライダーは曲がりが小さく現時点では平均以下の評価。コマンドが甘く、HR/9=1.5と一発病持ち。4シームのコマンド向上とスライダーの質改善がプロでの課題だろう。

24年12月にカルロス・ナルバエスとのトレードでBOSから獲得したプロスペクト。23年に92-95マイルだった速球が、常時95~96マイル/MAX99マイルに上昇。評価を伸ばした。A/A+で自己最多となる89.2回を投げて防御率2.91/奪三振率27.2%/与四球率11.5%をマーク。スライダー、カーブ、チェンジアップと球種のレパートリーは豊富だが、プラスピッチ不足。変化球の質や不安定なコントロールを磨いていきたい。

Rで40試合に出場して打率.301/8本塁打/wRC+161と大活躍。Rのオールスター(1B)に選ばれた。パワーポテンシャルを期待されており、ゾーン内コンタクト率88%/ゴロ率36.6%とヒットツールも優秀。アマチュア時代は外野手だったため、捕手守備は発展途上。運動能力&肩の強さは及第点も、捕球面を磨く必要がある。

14.エバーソン・ぺレイラ(OF)/Everson Pereira:24歳
荒削りだがプラスのパワーを有する5ツールポテンシャルで、スピード&肩力も平均以上。23年は2AでwRC+145、3Aでも132をマーク。24年は右ひじの手術で40試合の出場に終わったが、3AでwRC+120と順調に結果を出している。しかし、コンタクト難が致命的で、昨季のコンタクト率59.4%/ゾーン内コンタクト率67.4%は球界最低レベル。21~24年の4シーズンにおいてMLBで規定打席に到達した選手の中で、ピレイラよりもコンタクト率が悪かった選手はおらず、MLBでさらに投手のレベルが上がることを考えると、現状ではレギュラー定着は難しいだろう。外野守備もBaseball Prospectsの出す守備指標DRPは2年連続マイナスで、23年にMLB昇格した際は全試合LFでの起用だった。

傘下トップレベルの打球速度を誇るパワーヒッター候補。24年はA+/2Aで計21本塁打を放った。wRC+はA+で57試合/149、2Aで65試合/150といずれも素晴らしい内容だった。三振率25.3%とコンタクト能力に課題があり、上位でも打率を維持できるか。捕手守備は平均以下で、MLBでは1Bに専念することになりそうだ。69試合マスクをかぶって115盗塁を許し、阻止率は16%にとどまった。


Notable Prospects

6-5/167と伸びしろ溢れる体格からMAX96マイルを投じる原石。24年はRで49回を投げて防御率2.76/奪三振率21.4%/与四球率7.8%と好投。4シーム、シンカー、チェンジアップ、スライダーを織り交ぜ、変化球はチェンジアップが最も評価されている。スライダーは80マイル前後でやや緩い部分があり、強度アップが課題。マイナーでは3年連続ゴロ率55%超えとゴロアウトの多さも特徴。

23年ドラフト6巡目。24年はA/A+で防御率3.65/奪三振率30.6%/与四球率11.1%と好投。速球と縦スライダーを武器に奪三振を量産した。statcastデータが得られるAでの成績に着目すると、4シームは平均93マイルとスピードは平凡ながらホップ変化量17.7インチ/リリース高5フィート5とフラット軌道を描く。また第2球種の縦スライダーは落差が大きく、空振り率46.9%と効果的だった。一方で、速球とスライダーが投球の8割を超えていて、チェンジアップの使用割合が5%未満なこと、先発としては球速もコマンドも不足していることから、MLBではリリーフ向きか。

元ヤンキースのセットアップ、デリン・ベタンセスと比べられる巨漢ハードボーラー。6フィート7の巨体から90マイル後半の速球とキレの良いスライダーで空振りを量産する。プロ3年で与四球率14.9%(昨季与四球率20%)とコントロールが荒れており、ベタンセス同様にリリーフ転向のリスクをかかえる。

契約金175万ドルで入団したトップアマチュア。6-4/212の強靭なフィジカルに30ホーマー級のパワーポテンシャルを秘めている。しかし、DSLでは打率.196/三振率32.9%とコンタクト面で苦戦した。走守のツールも良く、全試合CFとして起用されたが、ダブルプラスの強肩と体の大きさから将来はRF向きか。

23年に435万ドルという巨額の契約をしたキューバ出身の原石。守備と走塁の評価が高いCFで、マニュエル・マーゴやアルバート・アルモラと比較するレポートも。Rでは35試合でwRC+100とまずまずの内容も、0本塁打/三振率27.9%/ゴロ率54%と打撃ポテンシャルに不安を残した。

24年ドラフト3巡目。大学1年シーズンに防御率1.06と好投し、強豪ルイジアナ州立大に転校も、2年シーズンは防御率5.68、3年シーズンも6.55と全く結果を残せず評価を落とした。しかし球威は素晴らしく、コマンドを取り戻せれば再ブレイクの可能性あり。最速で97-98マイルに達するライジングファスト、高スピンで変化量大のスライダー&カーブと3つがプラスピッチ候補。チェンジアップは投げない。

2025年1月12日日曜日

2025 BOSTON RED SOX TOP 15 PROSPECTS

2025 BOSTON RED SOX 

TOP 15 PROSPECTS

2025年 ボストン・レッドソックス プロスペクトランキング
Roman Anthony


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV65

1.ロマン・アンソニー(OF)/Roman Anthony:21歳
22年ドラフト2巡目(エドゥアルド・ロドリゲスの補償ピック)の高卒選手。20歳シーズンにして2A/3Aで打率.291/18本塁打/OPS.894をマークし、球界屈指のトッププロスペクトに成長した。ダブルプラスのパワー&CFにとどまりうる守備力(体の大きさや走力的には両翼がフィットか)を兼ね備える。3Aでは35試合という小サンプルながら上位10%打球速度108.4マイルをマークし、コンタクト率やチェイス率も平均以上だった。また、2Aの試合では打球速度116マイルのホームランを放ったが、昨季のMLBで打球速度116マイル以上の本塁打を放ったのは大谷、スタントン、ジャッジ、アルバレス、ゲレーロJr.、ヘズス・サンチェスの6人だけである。ゴロ48%と平均よりもゴロ打球が多く、パワーポテンシャルをより発揮できるように、ライナー/フライ率を高めていきたい。


FV60

2.マルセロ・メイヤー(SS)/Marcelo Mayer:22歳
21年ドラフト全体4位指名。コリー・シーガーの打撃力&ブランドン・クロフォードの守備力と評され、走力以外の4ツールがプラス評価。24年は2AでwRC+142と実力を発揮。115.2マイルの二塁打(昨季のMLBでMAX115.2マイルを超えたのは26人だけで球界上位4%相当)を放つなどパワーが伸びてきている一方で、ラインドライブ重視でゴロ率が高いこと、早打ちでフリースインガー傾向があることが懸念事項。パワーを実戦でより発揮できるようにアプローチを磨いていきたい。守備では爆発的なスピードがないものの、センスや打球反応の良さでカバーし、比較されるクロフォードやシーガーのようにSSに定着できるとの評価を得ている。



FV55

24年に最もブレイクを果たしたプロスペクト。23年ドラフト4巡目ながら、A+/2A/3Aで打率.330/20本塁打/OPS.997をマーク。大学時代はコンタクトヒッターだったが、プロ入り後にプルヒッティングを習得し、パワーが開眼した。statcastデータが得られる3Aでは、19試合という小サンプルながら上位10%打球速度105.3マイル/ゾーン内コンタクト率89.9%という平均以上の数字を残した。また、慎重アプローチで四球率14.3%と四球も選べる。打撃面に疑問が無い一方で、守備面の評価は割れている。2B/SS/CF/3Bで出場したが、平均以上のスピードを生かしきれておらず、最終的にはLFに落ち着くのではないかという見方も存在する。Baseball Prospectsの出す守備指標DRPは-3.2だった。
Kristian Campbell


FV50

23年に52.5万ドルで契約した原石。SSに留まれる高い守備力とプロ入り後に急成長した打撃力が魅力。24年はRでの51試合で打率.355/6本塁打/wRC+181とブレイクし、リーグMVPを獲得。A昇格後もwRC+111と結果を出した。コンタクトを犠牲にせず(三振率17.5%)にプルヒッティングを習得し、長打力を伸ばした(RでISO.229)。小柄で現時点でのパワーは平均以下だが、将来的に15~20本塁打を打てると評価するスカウトも存在する。


FV45

5.ヨエリン・セスペデス(SS)/Yoeilin Cespedes:19歳
23年に140万ドルという大型契約で入団した原石。身長5フィート8とアンダーサイズながら筋肉質な体格をしており、パワーとバットコントロールを兼ね備えた打撃力が武器。23年にDSLでwRC+145と素晴らしいデビューを飾ると、24年は故障で25試合の出場にとどまったものの、RでwRC+163と打ちまくった。469フィート(142.9m)のHRを放つなどパンチ力が飛び抜けている。また、高い引っ張り率とフライ率を両立している点も魅力。一方の守備面では、SSに定着できるか疑問視されており、将来的には2Bや3Bに移るとの見立て。同期入団の4位アリアスに打撃ポテンシャルでは勝り、守備力では劣るか。

先発で常時90マイル中盤、MAX100マイルを出せる出力の高さと安定してゾーンに集められるコントロールを兼ね備える。スウィーパー&縦スライダーも平均以上の可能性あり。24年はA+/2Aで奪三振率33.2%/与四球率7.3%と安定したK/BBを残した一方でHR/9=2.20と一発病がひどく、防御率は5.34に終わった。ゴロ率30.6%とフライボーラーで、球質やコマンド能力の未熟さが出たと考えられるが、とはいえ、HR/FB(フライに占めるホームランの割合で平均は10%程度)が20.6%と異様に高かったため、不運も要因として考えられる。HR/FBを10.5%で計算するxFIPは3.10と優秀だっため、来季のブレイクに期待。また、18先発で4イニングより投げたのは1度だけであり、先発としての耐久性も証明していく必要がある。

7.
ルイス・パラレス(RHP)/Luis Perales:22歳
オーバースローからMAX100マイルでホップ変化量大のライジングファストを投げ込み、空振りを量産する豪腕。カット系の高速スライダーと80マイル台半ばのスプリットも鋭く曲がり、A+では奪三振率39.7%と高い支配力を見せつけた。しかし9先発目の登板で右ひじを負傷。TJ手術を受けたため、来季は全休の見込みだ。アンダーサイズで耐久性を心配されていた中でのTJ手術となったので、今後リリーフに転向するリスクあり。故障がなければFV50で4or5位に入れていた逸材であり、26年シーズンでの再起に期待したい。

8.ミゲル・ブレイス(OF)/Miguel Bleis21歳
21年に契約金150万ドルで入団した原石。パワーと走力を両立した5ツール候補で、上手く育てばスケールの大きい選手になり得る。ロナルド・アクーニャや昨季新人王投票3位に入ったジャクソン・チョーリオのような選手への成長が期待されていたが、度重なる怪我(23年は肩の故障で31試合、24年も小さな怪我で欠場が多かった)により育成が遅れている。24年はAでwRC+123と結果を出したが、A+昇格後は70と対応に苦しんだ。ヒットツールに不安。


FV40

9.
ハンター・ドビンズ(RHP)/Hunter Dobbins:25歳
21年ドラフト8巡目とプロ入り時の評価は高くなかったが、マイナーで毎年安定した投球を見せ、ついに3Aまで登りつめた。24年は2A/3Aで25先発して防御率3.08/奪三振率22.9%/与四球率9.2%をマーク。打者を圧倒する球威やピンポイントのコマンドは持たないが、平均95マイルの4シーム、カッター、スウィーパー、スプリンカー(スプリットとシンカーの中間球)、カーブをバランスよく織り交ぜて打者の的を絞らせない。

昨季ブレイクを飾ったパワーヒッター候補。A/A+/2Aで計107試合に出場して打率.286/23本塁打/OPS.892をマーク。ゴロ率33.8%と安定してフライボールを打つことができる。現在はCFを中心に守っているが、平均的な走力&平均以上の肩力&ガッシリ体型から将来的にはRFが適任か。

11.マイキー・ロメロ(SS/2B)/Mikey Romero:21歳
22年ドラフト全体24位指名の高卒選手。滑らかで無駄のないスイングからラインドライブを量産するヒットツールが高評価。守備動作などは悪くないが、SSとしては守備範囲の狭さを指摘されており、MLBでは2B向きとの見立て。24年はA+で59試合に出場して打率.271/10本塁打/wRC+127をマークし、20歳シーズンにして2Aに到達してみせた。フリースインガー傾向が強く、特に2A昇格後は16試合で6本塁打を放った一方で、四球率2.7%/三振率33.8%とアプローチの脆さを露呈した。

アレックス・バーデューゴのトレードで獲得した右腕。大学ではリリーフ中心の起用だったが、プロでは先発として成功している。24年は3Aで23先発して防御率4.17をマーク。MLBでも4先発して防御率1.74(奪三振率が10%と少なすぎたの上振れとの見立て)と好投した。平均94マイルのカット系4シーム、縦スライダー、スウィーパー、スプリットのコンビネーション。マイナー3年で与四球率6.4%とコントロールは安定しているが、投球の8割以上が速球&スライダー系なため、リリーフ向きとの見方が強い。

13.ペイトン・トーリー(LHP)/Payton Tolle:22歳
24年ドラフト2巡目。速球のレンジは90-92マイルほどだが、平均7.4フィートというMLBトップクラスのエクステンション幅と低いリリースポイントを生かし、高めで多くの空振りを量産できる。速球が全投球の75%を占めているが、現代MLBでこれほど多く速球を投げている先発投手はいないため、変化球やコマンドを磨いていくことが求められるだろう。

14.
コネリー・アーリー(LHP)/Connelly Early:23歳
23年ドラフト5巡目の左腕。スラリとしたアスリート体型で、クロスファイアー気味のフォームから4シーム、スライダー、カーブ、カッター、チェンジのコンビネーション。現時点でのプラスピッチはチェンジアップのみ。24年はA+/2Aでの23先発で防御率3.99/奪三振率30.8%/与四球率8.7%をマークした。

15.フアン・バレラ(RHP)/Juan Valera:19歳
24年にR/Aで計18登板して防御率1.99と輝きを放った右腕。高回転の速球とスライダーを軸とした投球で、速球はMAX98マイルを誇る。チェンジアップの質向上と与四球率11.5%と不安定なコントロールをが磨いていくことが今後の課題。

Notable Prospects

速球は平均90マイルとパワーレスだが、グニャグニャ曲がる変化球と発達したコマンド能力が強みの技巧派右腕。シンカー、スウィーパー、チェンジアップが主要3球種で、どれも大きく曲がり、バットの芯を外すのに効果的だ。24年は20歳ながらA/A+で96.2回を投げて防御率3.17/奪三振率29.0%/与四球率3.1%と好投した。もう数マイル球速を伸ばせればローテーションポテンシャル。

24年度の国際アマチュアFAの投手の中では、4番目に高い契約金45万ドルでプロ入りした原石。シンカー、スライダー、チェンジアップとすでに質の高い3球種を操ることができる。現時点ではMAX93~94マイル程度でパワーレスだが、6-5/200という恵まれた体格から、将来的には90マイル中盤程度を投げられるだろうと予想されている。DSLでは5先発で計17イニングを投げて無失点&19K/2BBと完璧なプロデビューを飾った。

コンラッド・ケイソン(RHP/SS)/Conrad Cason:18歳
24年ドラフト8巡目の高卒選手。オーバースロットとなる契約金125万ドルで入団した。投打に才能を秘める二刀流プロスペクトで、現時点では投手としての評価が先行しているが、SSに定着し得る運動能力を有している。投手としてはMAX98マイル。STL新人のメイソン・ウィン(ウィンもドラフト時は投手としての方が評価されていた)のような成長を期待。

平均以上のパワーと捕手として平均レベルの守備力を兼ね備え、開花すればレギュラー捕手ポテンシャル。24年はAでの14試合でOPS1.063と打ちまくっていたが、走塁中に前十字靭帯を断裂し、シーズン終了の手術を受けた。
フルエフォートなフォームから平均94マイルの4シームと切れの良いカーブ&スライダー。24年はA+での15登板で66イニングを投げて防御率2.73/奪三振率30.8%とパワフルな内容も、先発としては速球の軌道やチェンジアップの質に問題あり。ローテーション級の球威の持ち主だが、リリーフの方がインパクトを残せるか。

ネザン・ザネテロ(SS)/Nazzan Zanetello:20歳
23年ドラフト2巡目の高卒選手。スロット額の2倍近くとなる300万ドルでプロ入りした大器。傑出したアスリートで、5ツールポテンシャルを秘める。唯一にして最大の欠点は未熟なヒットツールで、Aで78試合に出場して打率.156/三振率43.8%と歯が立たなかった。

2025年1月11日土曜日

2025 BALTIMORE ORIOLES TOP 15 PROSPECTS

2025 BALTIMORE ORIOLES 

TOP 15 PROSPECTS

2025年 ボルティモア・オリオールズ プロスペクトランキング
Samuel Basallo

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。


FV60

10代離れしたパワーポテンシャルを秘める怪物捕手。24年は19歳にして2Aで打率.289/16本塁打/wRC+134と年上選手を相手に圧倒。19歳以下で2A/wRC+134は、2012年以降だと歴代5位(400打席以上なら1位)であり、マチャドやタティスJr.、チョーリオらを上回る。一方で何でも振りに行くアプローチは要改善か。捕手守備ではプラスの強肩が強み。巨体の割に俊敏性も悪くないが、昨季127試合中捕手として出場したのは56試合のみで、残りは1B/DHでの出場だった。現実的にはアドリー・ラッチマンの控え捕手として週数試合マスクをかぶり、残りは1B/DHでの出場という形になるか。
Samuel Basallo


FV55

6-5/215の大型選手で、ダブルプラスのパワーが自慢。23年にマイナーで29本塁打/OPS.974とブレイクすると、24年も3AでwRC+135と着実にステップアップ。MLBでは苦戦したが、経験を積んで徐々に適応するだろう。ゾーン内コンタクト率81.5%はやや平均を下回るが、上位10%打球速度106マイル/ハードヒット率41%/バレル率13%/ゴロ率29.8%と確かなパワー&打撃技術を持っている。守備は強肩だが、送球ミスの多さが課題。MLBではわずか17試合でDRS-2/OAA-2と拙さを露呈。1BやLFに転向の可能性も。
Coby Mayo


FV50

マイナー通算奪三振率33.7%と高い奪三振能力を誇る右腕。ホップ変化量18.1インチを誇るライジングファスト、3Aで空振り40%超えのスライダー&チェンジアップと主要3球種がプラスピッチ候補。カーブ&スイーパーも扱える。通算与四球率13.8%のコントロールを改善することが、先発として大成するための課題となる。


FV45

4.バンス・ハニーカット(OF)/Vance Honeycutt:22歳
24年ドラフト全体22位指名。ドリュー・スタッブス(元CIN他)と比較されるツール特化型。CFでゴールドグラブ&「20-20」が狙えるポテンシャルだが、コンタクト難が致命的。大学3年生シーズンで三振率27.5%、プロでも13試合という小サンプルながら三振率42.9%を喫した。

23年ドラフト1巡目。80グレイドのスピード&CF守備が武器のリードオフポテンシャル。パワーレスだが、コンタクト&選球眼が磨かれている。24年はA+/2AでOPS.729/74盗塁をマークし、マイナーのゴールドグラブ賞を獲得した。23年のプロデビュー時に70%を超えていたゴロ率は50.2%にまで改善された。

22年ドラフト全体33位指名。6フィート4と体格に恵まれており、パワー、走力、肩力がプラス評価とポテンシャル大。24年は2Aで15本塁打/四球率13%/31盗塁/wRC+118を記録した。大振りでコンタクト能力に課題がある。2年連続でwRC+120程度を記録しており、平均的なコーナーOFに成長できるチャンスあり。

高卒1年目シーズンにして、Aで防御率3.18/FIP2.47/奪三振率29.9%と好投し評価急上昇。A+で数字を落としたが、それでも奪三振率28%と支配力は見せた。MAX97マイルの4シームに縦横2種類のスライダー、真下に落ちるものと横に逃げる2種類のチェンジアップと多彩な球種で勝負できる。6-3/190と体格的にも伸びしろ大。

8.ルイス・デレオン(LHP)/Luis De León:22歳 
6フィート3の長身細身から平均95マイル超えの速球を投じるロマン枠。アームサイドに大きく曲がるチェンジアップ&鋭く落ちるスライダーもよく切れる。24年はAでの7先発で防御率2.25/FIP2.08/ゴロ率62%と好投も、A+昇格後は防御率5.73/FIP4.46と大きく数字を落とした。コントロールの悪さが欠点。

9.ネスター・ヘルマン(RHP)/Nestor German:23歳
23年ドラフト11巡目のカレッジ右腕だが、Aで防御率1.49、A+でも1.78と好投。計73.2回で奪三振率31.4%/与四球率5.9%と素晴らしいコマンド能力を披露した。大学時代よりも球威を伸ばし、MAX97マイルの4シームにスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。6-3/225と体格も先発向きだが、21試合に登板して70球以上投げた試合はなく、来季は先発としての耐久性を証明したい。

10.トレイ・ギブソン(RHP)/Trey Gibson:23歳
23年夏にドラフト外で入団すると、24年はAで奪三振率34.5%/FIP2.75、A+昇格後も奪三振率24%/FIP3.36と好成績を収めた。長身を生かしたエクステンション大でMAX97マイルの4シームとキレの良いスライダー&カーブで空振りを量産。上位3球種と比べて劣るが、カッター&チェンジアップも交えることができる。また、ゴロ率58.8%とゴロの多さも魅力。ボールの質は良いだけに、与四球率10.0%のコントロールを改善していきたい。


11.ブランドン・ヤング(RHP)/Brandon Young:26歳
球威は平均以下だが、多彩な球種のコンビネーションで打者を打ち取るバックエンドSPタイプ。打高の3Aで18先発して防御率3.44/FIP3.61と好投を見せた。4シームは平均92.5マイルだがホップ変化量が17.8インチとMLB平均を大きく上回っており、3Aで空振り率31%/得点価値+13と効果的だった。この速球よりも9インチ外に逃げるチェンジアップ、スピンレート2700rpmのカーブに、カッター&スライダーを交える。


FV40

12.グリフ・オファラル(SS)/Griff O'Ferrall:22歳
24年ドラフト全体33位指名。目立ったツールはないが、野球センスと成熟した技術力でハイパフォーマンスを引き出すタイプ。打撃は大学通算186試合で8本塁打と完全にパワーレスだが、コンタクト率の高さとスウィートスポットに打球を集める弾道管理で打率.344をマークした。大学では3年間SSのレギュラーとして出場してきたが、平均的な肩力からプロでは2Bの方がフィットするか?不動のレギュラーというよりもユーティリティー向きだろう。

22年ドラフト2巡目。コンタクトに致命的な欠点があるが、プラスのパワー&優秀な選球眼、CF守備も平均以上とツールは申し分なし。24年は2Aで18本塁打/wRC+118とソリッドな内容も、三振率29.9%とコンタクトの脆さは相変わらず。3Aでは三振率40.8%と苦戦した。理想の完成像はアダム・デュバル(元BOS他)か。

14.パトリック・レイリー(RHP)/Patrick Reilly:23歳
23年ドラフト5巡目。90マイル中盤の伸びのある4シームと80マイル中盤のハードスライダーが武器のパワーピッチャー。A+/2Aで与四球率12%&HR/9=1.28とコマンドに不安があるため、リリーフ向きと評されるが、フルシーズン1年目で2Aまで経験している点は強み。(同じく23年プロ入りのヘルマンやギブソンはA/A+でのプレー。)

24年ドラフト2巡目。パワーとコンタクト能力を両立した攻撃型スイッチヒッター捕手。大学の1学年上にカイル・ティール(23年ドラフト1巡目)がいたため、2年生までは一塁での出場がほとんどだった。3年生から正捕手に定着したが、捕手守備の評価は高くなく、プロ入り後も捕手9試合/一塁5試合/レフト3試合という出場内容だった。

Notable Prospects

24年1月に契約金17.5万ドルで入団した原石。MAX98マイルの4シームと高回転のスライダーの2球種がプラスピッチ候補で、6-3/175という細身の体格から伸びしろも◎。DSLでは27.2回を投げて防御率3.25/奪三振率36.4%/与四球率12.4%という内容だった。

24年1月に95万ドルで契約した原石。6-4/198と体格に恵まれており、パワーポテンシャルとCF相応の運動能力(将来的にはRFが適性か?)を兼ね備えるアップサイドの高さが魅力。DSLでは4本塁打/wRC+137と持ち前のパワーを早速発揮したが、三振率30.4%とコンタクトの弱さが懸念事項。

DSLでwRC+154と最高のプロデビュー。年齢に比して攻守に完成度が高いプロスペクトだ。打撃はアプローチとコンタクトの良さが光るスイッチヒッターで、現時点ではライナー重視だが、6-2/165の細身の体型から、ビルドアップすればパワーアップが見込める。守備は平均以上の強肩からSS/3B向きと評される。

22年ドラフト8巡目。サイド気味のスリークォーターから90マイル前半のシンカーと切れ味鋭いスライダーのコンボ。24年はA+を4先発/防御率0.54でクリアすると、2Aでも92.1回で防御率3.41/奪三振率28.4%/与四球率6.6%と好投を続けた。イニングイーター~マルチイニングリリーバーにフィットしそうだ。

2025年1月4日土曜日

2025 SAN FRANCISCO GIANTS TOP 15 PROSPECTS

2025 SAN FRANCISCO GIANTS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 サンフランシスコ・ジャイアンツ プロスペクトランキング
Bryce Eldridge


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV55

1.ブライス・エルドリッジ(1B)/Bryce Eldridge:20歳
23年ドラフト1巡目。22年のU-18杯ではチーム最多の8本塁打を放ちMVPを獲得。6-7/223の規格外の体格を有するパワーヒッター候補で、24年は高卒1年目ながら23本塁打を放つ活躍を披露した。5月以降はA/A+/2Aでの97試合で打率.305/21本塁打/OPS.938。上位10%打球速度106マイルとすでにMLBでプラス水準の打球速度を記録しており、見極めも優秀。コンタクトを磨いていけば球界を代表するスラッガーになれるだろう。高校時には投手としても有望視された強肩の持ち主で高校までは外野を守っていたが、24年は全守備機会1Bでの出場だった。まだポジションを学んでいる段階で、18失策を喫した。マット・オルソンのような開花を期待したい。


FV45

2.
カーソン・ウィゼンハント(LHP)/Carson Whisenhunt:24歳
22年ドラフト2巡目。1巡目候補だったが禁止薬物の使用によりドラフトイヤーは公式戦に出場できずスリップ。23年はマイナー3階級で防御率2.45/奪三振率35.3%と快投。24年は3Aのロボ審判に苦しみ、与四球率11.1%/防御率5.42と思うような投球ができなかった。平均93マイルのランニングファストとダブルプラスのチェンジアップのコンボ。速球とチェンジアップが全投球の約85%を占めており、第3球種のマスターが課題。なおチェンジアップは落ち幅が40.8インチ(昨季のMLBでチェンジアップの平均落ち幅が40インチ以上あった左投手は6人だけ)もあり、空振り率47%と猛威を振るった。

24年ドラフト全体13位指名。アプローチの磨かれた打撃職人で、パワーとアベレージを両立した強打者への成長が期待される。大学3年のシーズンでは、打率.363/28本塁打/OPS1.264と圧倒的な内容。しかし、プロ入り後は小サンプルとはいえど、26試合でOPS.636/三振率31%とやや苦戦。平均以下の守備走塁もネック。肩は強いため、現在はRFを守っている。
James Tibbs


4.ジョニー・レベル(SS)/Jhonny Level:18歳
24年1月に契約金99万ドルで入団した原石。小柄ながら野球IQの高い両打ちSSで、CLE新人のブライアン・ロキオと比較する声もある。SSに定着できるだけの守備力を有し、打撃は素早いバットスピードと確かなバットコントロールを両立。DSLでは10本塁打/OPS.909と最高のデビューを飾った。


5.ダコタ・ジョーダン(OF)/Dakota Jordan:22歳
24年ドラフト4巡目。荒さはあるが、パワー&スピードの魅力的なパッケージ。並外れたバットスピードを誇り、大学のシーズンでは打率.354/20本塁打/OPS1.129をマーク。しかし変化球の見極めが苦手で、三振率29%とヒットツールは黄色信号。プラスのスピードの持ち主だが、あまり盗塁を仕掛けるタイプではなく、守備もRFがメイン。ジャイアンツ入り後はCFで起用された。

6.レイナー・アリアス(OF)/Rayner Arias:19歳
23年に260万ドルで契約したドミニカ共和国出身の原石。10代にしてパワー、アプローチ、コンタクト能力を兼ね備えたピュアヒッター候補だ。23年にDSLで16試合という限られたサンプルながら打率.414/4本塁打/OPS1.333と圧倒的なパフォーマンスを見せて飛躍が期待されていたが、24年は左手首の骨折により25試合の出場に終わった。まずは健康に過ごしてアピールしたい。守備は現在CFメインも、将来的にはビルドアップしてRFに専念するか。


FV40

7.トレバー・マクドナルド(RHP)/Trevor McDonald:24歳
コンディション不良によりブレイクできずにいるが素質は確か。24年は右鼠径部の肉離れにより出遅れたが、マイナーで86回を投げて防御率4.40/奪三振率20.7%/与四球率8.0%をマークし、9月にMLBデビューを飾った。投球の軸である平均92マイルのシンカーと83マイルのスライダーはMLB平均を大きく上回る変化量を誇り、プラスピッチ候補。耐久面の不安を克服し、第3球種のチェンジアップが向上すればローテーションポテンシャルだろう。

23年ドラフト2巡目のカレッジ左腕。切れ味鋭いスライダーが得意球で、少なくとも左殺しのリリーバーとして戦力にはなれるだろう。安定してストライクを取れるコントロールと6-5/200のガッシリした体格は先発向きであり、第3球種のチェンジアップを磨き、先発投手としての評価を上げたいところ。

9.グラント・マクレイ(OF)/Grant McCray:24歳
19年ドラフト3巡目。22年に23本塁打&43盗塁をマークしたパワー&スピードが武器で、外野守備も傘下トップ評価。24年は2AでwRC+110、3Aで103とソリッドな内容。MLBデビューを果たし、37試合で5本塁打を放った。ツールは申し分ないが、MLBで三振率43%、マイナー通算三振率28%とコンタクトが脆すぎてロマン枠止まりか。現状の成功例はトレント・グリシャム(NYY)のような下位打線タイプのCFだろう。

10.
トレント・ハリス(RHP)/Trent Harris:26歳
24歳の時にドラフト外でプロ入りの苦労人。24年はマルチイニングリリーバーとしての起用ながらもA/A+/2Aで計79.2回を投げて防御率1.81/奪三振率34.5%/与四球率8.2%と素晴らしいパフォーマンスを披露した。真上から投げ下ろすような独特のオーバースローからMAX97マイルの4シームにキレの良いカーブ&スライダー。運動能力が高く、コントロールも安定しているため、先発転向も面白いだろう。

11.メイソン・ブラック(RHP)/Mason Black:24歳
21年ドラフト3巡目。22年、23年とマイナーで防御率3点台の安定したパフォーマンスで傘下を駆け上ると、24年は球威ダウンに悩み、3Aで防御率4.59と苦戦したが、MLBデビューして8先発を務めた。平均92マイルのシンカーと80マイル台のスイーパーを軸にアグレッシブにゾーンを攻める。第3球種が不確立なため、このままだとディネルソン・ラメット(元SD他)のような2ピッチタイプの不安定な先発投手、もしくはリリーフで輝くタイプだろう。

攻守に洗練されたユーティリティー向きのプロフィール。打撃はコンタクト&アプローチが優秀で、20歳ながらA+でwRC+112、2Aで125をマークした。4本塁打/ISO.096とパワーレス。守備力は堅実だがSSとしてはややレンジ不足で、2Bに回ればプラスディフェンダーになり得るとの評価。

13.
ボー・デビッドソン(OF)/Bo Davidson:22歳
技術的に成熟すれば「CFで20-20」も狙える逸材。短大からドラフト外で23年に入団すると、24年はAでの53試合で打率.328/9本塁打/wRC+173と凄まじいパフォーマンス。パワーと肩力がプラス評価で、スピードも平均以上。ゴロが多かったり、空振りが多かったりとヒットツールは発展途上。守備は外野3ポジションで出場したが、LFでの出場が中心だった。

23年ドラフト13巡目の高卒左腕。オーバースロットの契約金でCLE入りした。24年はRで11先発して防御率2.54/奪三振率34.1%/与四球率8.6%と好投。7月にアレックス・コッブとのトレードでSFに移ってきた。92-95マイルの4シームと大きくフェードするチェンジアップ、鋭く落ちるスライダーで空振りを量産する。Aに上がってからはコマンドで苦戦したが、来季はどうか。

15.エバーソン・アルティアガ(SS)/Aeverson Arteaga:22歳
19年に契約金100万ドルで入団した原石。肩&守備力がプラス評価で、MLBでもSSにとどまれる可能性を示している。22年、23年とマイナーの監督が選ぶリーグの「best defensive shortstop」に2年連続で選出された。24年は胸郭出口症候群の手術により前半戦を欠場。25試合の出場にとどまった。アプローチの荒さがネックであり、打者としての総合評価は平均以下との見立て。それでも23年はA+で上位10%の打球速度103マイル&ゾーン内コンタクト率85%とMLB平均レベルの数字を残しており、選球眼さえ改善されれば開花の素質あり。

Notable Prospects

元々外野手だったが契約先が見つからなかっため投手に転向。すると91マイルまで出るようになり、24年1月にSFと14万ドルで契約。24年はMAX96マイルまで伸び、DSLでの10先発で防御率2.59/奪三振率27.4%/与四球率8.5%と好投を披露した。速球とハードスライダーを武器に空振りを誘う。

パワーが武器の原石。24年1月に契約金14万ドルでSF入りした。DSLでは打率.300/5本塁打/wRC+139。引っ張りフライを量産する打撃技術をすでに身に着けている。守備はCFを守ったが、最終的にはコーナーに収まるとの評価。

24年ドラフト6巡目。禁止薬物の使用により、大学2年の終わりから3年シーズンに出場停止を受けたため、スカウトへのアピール機会が少なかったが、パワーポテンシャルと選球眼の良さを買われての指名。Aでは29試合で5HR/出塁率.360をマークした一方で、打率.196/三振率29.4%とコンタクトに苦戦した。

度重なる故障により、大学から通じてここ5年間で53.2イニングしかプレーできていないが、素質はエース級。24年は3Aでリリーフとして登板していたが、6月に故障でシーズン終了。オフに左肩の手術を受け、25年は全休が濃厚。MAX100マイルのシンカーと変化量大のスライダーのコンビネーション。