2024年1月28日日曜日

2024 SAN FRANCISCO GIANTS TOP 20 PROSPECTS

2024 SAN FRANCISCO GIANTS

TOP 20 PROSPECTS

Kyle Harrison

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV55

1.
カイル・ハリソン(LHP)/Kyle Harrison:22歳
マイナー3年で奪三振率37.4%を誇るパワーレフティ。23年はMLBデビューし7先発を任された。MAX98マイルの伸びのある4シームとプラスのスライダー、平均的なチェンジアップのコンビネーション。一方で昨季3Aで与四球率15.9%とコントロールが悪く、エースポテンシャルを開花させられるかは制球の改善にかかっているだろう。
Kyle Harrison


FV50

2.
マルコ・ルシアーノ(SS)/Marco Luciano:22歳
打席でのアプローチや選球眼が磨かれれば「3割・40本」も狙えるポテンシャルと評されてはや数年。故障続きで開花には至っていない。23年は2A/3Aで打率.223とコンタクト面が依然として未熟も、平均打球速度92マイル/上位10%の打球速度109マイルはMLBでもトップクラスと光るものはあった。守備はダブルプラスの強肩の持ち主も、平均以下のスピードから3B転向が既定路線とみられる。
Marco Luciano


23年ドラフト1巡目の高校生。22夏のU-18杯ではチーム最多の8本塁打を放ちMVPを獲得。6-7/223の規格外の体格を有するパワーヒッター候補。R/AではOPS.905と早速結果を出した。高校時に投手としても有望視された強肩はRFに適任も、足が遅く、将来的には1Bへ回る可能性も。

4.レイナー・アリアス(OF)/Rayner Arias:18歳
23年に260万ドルで契約したドミニカ共和国出身の原石。10代にしてパワー、アプローチ、コンタクト能力を兼ね備えたピュアヒッター候補であり、DSLでは16試合という限られたサンプルながら打率.414・4本塁打・OPS1.333と圧倒的なパフォーマンス。守備は現在CFも、将来的にはビルドアップしてRFに移るか。

5.カーソン・ウィゼンハント(LHP)/Carson Whisenhunt:23歳
22年ドラフト2巡目。1巡目候補だったが禁止薬物の使用によりドラフトイヤーは公式戦に出場できずスリップ。23年は実戦復帰すると、A/A+/2Aで防御率2.45・奪三振率35.3%とブランクを感じさせない投球を披露。速球とチェンジアップが全投球の約9割を占めており、第3球種の向上が先発に留まるための鍵となるだろう。


FV45

6.
ウォーカー・マーティン(SS)/Walker Martin:20歳
23年ドラフト2巡目。パワーとスピードを兼ね備えたダイナミックさが魅力で、高校のシーズンでは29試合で20本塁打を放つなど衝撃的な活躍を見せた。一方の守備面は平均的な評価で、さらに大柄な体格から3Bや2Bへ転向されるだろうとの見立て。

7.
ヘイデン・バードソング(RHP)/Hayden Birdsong:22歳
22年ドラフト6巡目。大学ではリリーフ中心も、23年はA/A+/2Aで100.2回を投げて防御率3.31・奪三振率34.9%と先発としてブレイク。MAX97マイルのライジングファストを高めに、プラスのカーブを低めに集める。6-4/215と体格も先発投手としてふさわしいだけに、コマンド&コントロールを磨いていきたい。

8.
メイソン・ブラック(RHP)/Mason Black:24歳
21年ドラフト3巡目。22年に24先発して防御率3.21とブレイクすると、昨季も2A/3Aで29先発して防御率3.71・奪三振率30.3%と上位レベルでも結果を残した。平均93.7マイルのシンカーと80マイル台のスイーパーがプラスピッチ候補で、この2球種でアグレッシブに攻める。第3球種が不確立なため、このままだとディネルソン・ラメット(元SD他)のような2ピッチタイプの先発投手、もしくはリリーフで輝くタイプだろう。


FV40

9.グラント・マクレイ(OF)/Grant McCray:23歳
19年ドラフト3巡目。22年に23本塁打・43盗塁をマークしたパワー&スピードが武器で、外野守備も傘下トップ評価。23年はやや数字を落としたが、それでもA+でwRC+117。ツールは申し分ないが、三振率29.3%とコンタクトが脆すぎて現状はロマン枠止まりか。現状の比較対象はクリストファー・モレル(CHC)やトレント・グリシャム(NYY)などの下位打線タイプのCFだろう。
Grant McCray


10.
レジー・クロフォード(LHP/1B)/Reggie Crawford:23歳
22年ドラフト全体30位指名の二刀流プロスペクト。大学通算8イニングの登板のみ、昨季も斜筋の故障により19イニングのプレーにとどまるなど健康面が不透明。健康であればMAX99マイルの速球にプラスのスライダーを投じる大型左腕。打者としてはプロ40打席でOPS.583と苦戦しているが、オフのAFLでは1Bとして経験を積んだ。

11.エバーソン・アルティアガ(SS)/Aeverson Arteaga:21歳
19年に契約金100万ドルで入団した原石。肩&守備力がプラス評価で、MLBでもSSにとどまれる可能性を示している。昨季はA+で17本塁打を放ったが、wRC+89止まり。アプローチの荒さがネックであり、打者としての総合評価は平均以下との見立て。それでも上位10%の打球速度103マイル&ゾーン内コンタクト率85%はMLB平均レベルであり、選球眼さえ改善されれば開花の素質あり。

23年ドラフト2巡目のカレッジ左腕。切れ味鋭いスライダーが得意球で、少なくとも左殺しのリリーバーとして戦力にはなれるだろう。安定してストライクを取れるコントロールと6-5/200のガッシリした体格は先発向きであり、第3球種のチェンジアップを磨き、先発投手としての評価を上げたいところ。

13.
トレバー・マクドナルド(RHP)/Trevor McDonald:23歳
低リリースから投げ込まれるフラット軌道の4シームとプラスのカーブのコンビネーション。23年はRでのリハビリ登板を除くとA+での37.2回のプレーにとどまったが、防御率0.96・22.0K-BB%・75.6GB%と内容は抜群だった。癖のある腕のストローク&故障歴から、耐久面を克服できればローテーションポテンシャルだろう。現実的にはマルチイニングリリーバー向きか。

14.ウェイド・メックラー(OF)/Wade Meckler:23歳
打撃はパワーレスだが、コンタクト&ゾーン管理能力が高く、マイナー通算106試合で打率.370をマーク。22年ドラフト8巡目ながら、昨季早くもMLBデビューを飾った。走力も20-80スケールで70評価と優秀。守備はCFを中心に外野3ポジションOKと使い勝手が良い。レギュラーとしてはインパクト不足だが、控え外野手には適任だろう。

15.
キートン・ウィン(RHP)/Keaton Winn:26歳
平均95.7マイルの4シームと落差大のスプリットのコンビネーションで打者を翻ろうする。マイナー通算で与四球率6.7%、MLBでも42.1回で4.7%とコントロールも優秀だ。しかし、投球の9割以上が速球とスプリットという2ピッチタイプであること、昨季3A/MLBでの計26登板で81球以上投げた試合がないことなどから、バリバリのローテーション投手かと問われると微妙だろう。

16.ランドン・ループ(RHP)/Landen Roupp:25歳
21年ドラフト12巡指名と前評判は高くなかったが、22年に傘下3位の152Kを奪うなどブレイク。プラスのカーブを得意にしたローテーション下位/ロングリリーフ向きのポテンシャルという点ではセス・ルーゴ(SD)に近い。昨季は故障により31イニングのプレーにとどまったが、プロ3年で防御率2.40・奪三振率35.7%・与四球率8.1%と投球内容は申し分なし。チェンジアップなどの第3球種の質を上げていきたい。

17.
ボーン・ブラウン(OF)/Vaun Brown:26歳
大学で5年間プレー、23歳でプロ入りと遅咲きながら、22年にマイナートップの打率.343とブレイク。アメフト選手のようなフィジカルを生かしたパワー&スピードが武器。23年は故障により59試合の出場にとどまり、2Aでの50試合でwRC+90・三振率37.5%と苦しんだ。ヒットツールに不安があり、ドリュー・スタッブスやキーオン・ブロクストンのようなタイプか。


FV40-

18.
ビクター・ベリコット(OF/1B)/Victor Bericoto:22歳
23年にA/A+で27本塁打、AでwRC+132を記録したパワーヒッター候補。上位10%の打球速度107マイルはMLB平均(103マイル)を大きく上回っており、MLBでも30本打てるポテンシャルはある。2A昇格後は打率.237・三振率&四球率大幅悪化とアプローチ面に課題を残す。また、Baseball Prospectusの出す守備範囲指標RDAがここ2年で‐12.7と大きなマイナスになっており、守備での貢献は見込めないだろう。

19.オニル・ぺレス(C)/Onil Perez:21歳
ダブルプラスの強肩とアスレチックさが買われている守備型捕手。盗塁阻止率29%(リーグ平均22%)、Baseball Prospectusの出す送球指標で+2.8をマーク。一方でフレーミング&ブロッキングの指標はマイナスとなっており、今後の課題か。打撃面はAでwRC+110をマークしているが、コンタクト重視でマイナー通算158試合/4本塁打とパワーレスであり、打者としての評価は平均以下となっている。バックアップ向き。

20.
ディエゴ・バスケス(SS/2B)/Diego Velasquez:20歳
攻守に洗練されたユーティリティー向きのプロフィール。打撃はコンタクト&アプローチが優秀で、19歳ながらwRC+125をマークした。現時点でのパワーは平均以下だが、リーグトップの23二塁打を放ったギャップパワーを本塁打に転換できるか。守備力は堅実だがSSとしてはややレンジ不足で、2Bに回ればプラスディフェンダーになり得るとの評価。

2024年1月25日木曜日

2024 SAN DIEGO PADRES TOP 20 PROSPECTS

2024 SAN DIEGO PADRES

TOP 20 PROSPECTS

Ethan Salas

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV60

1.
イーサン・サラス(C)/Ethan Salas:18歳
23年1月に560万ドルの大型契約で入団すると、いきなりAでプロデビューし、最終的には2Aまで昇格を果たした。未来のゴールドグラブ候補とも評される捕手守備は年齢離れしており、打撃も平均以上の打者になり得る。バスター・ポージー(元SF)やアドリー・ラッチマン(BAL)のようなスーパーキャッチャーになり得る逸材だ。

2.ジャクソン・メリル(SS)/Jackson Merrill:21歳
21年ドラフト1巡目の高卒選手。6-3/195と体格に恵まれでおり、パワーとヒットツールを両立した攻撃型SSとして期待されている。守備面ではSSにふさわしい資質を備えているが、SSとしては体が大きいため、2Bや3Bにコンバートされる可能性が高い。ガナー・ヘンダーソン(BAL)やコリー・シーガー(TEX)が比較対象か。


FV55

3.
ロビー・スネリング(LHP)/Robby Snelling:20歳
22年ドラフト全体39位指名。6-3/210という高校生離れした強靭なフィジカルを備えたパワーレフティ。23年はプロ1年目にもかかわらず、マイナーで100イニング以上投げた投手の中では1位となる防御率1.82とブレイク。93-95マイルの速球と22年ドラフトNo.1カーブのコンビネーション。メカニクス&コントロールも安定している。


FV50

4.ディラン・レスコ(RHP)/Dylan Lesko:20歳 
22年ドラフト全体15位指名の高卒右腕。TJ手術のリハビリからの復帰年で、与四球率15.2%とコマンドは安定しなかったが、ポテンシャルの片鱗は十分に見せた。MAX98マイルでキャリー成分の強い4シーム、ダブルプラスのチェンジアップ、3000rpmに達する平均以上のカーブはどれも一級品。24年は本格的な全快が期待される。


FV45

5.ディロン・ヘッド(OF)/Dillon Head:19歳
23年ドラフト1巡目の高卒選手。20-80スケールで80評価のスピードが武器の1番CF候補。現時点ではコンタクト&選球眼に長けたギャップヒッターだが、最終的には15-20本塁打を打てるようになれるとチームは期待している。

6.アダム・メイザー(RHP)/Adam Mazur:23歳
22年ドラフト2巡目。プラスのスライダーを武器に5球種を扱うテクニカル右腕。23年はA+/2Aで96イニングを投げて防御率2.81と好投。与四球率4.3%と安定したコントロールで試合を作った。90マイル後半を出せるような球威は無く、奪三振率22.8%は平均的な水準。エースというよりはイニングイーターorマルチイニングリリーバー向きだろう。

7.グラハム・ポーリー(3B)/Graham Pauley:23歳
22年ドラフト13巡目の下位指名ながら、23年はA,A+,2Aいずれでも打率.300・wRC+140超えと予想外のブレイク。傘下トップの23本塁打を放った。成熟したアプローチでギャップを破り、空振りも少ない。守備は決して上手くはないが、3B中心に2B/LFもこなす。現時点ではパワー&守備力が弱いためユーティリティーが将来像も、きっかけ次第ではマット・カーペンター(STL)やジャスティン・ターナー(前LAD)のような覚醒もあり得る。

22年ドラフト6巡目。エネルギッシュなプレースタイルで、平均以上のCF守備とアプローチの良いコンタクトヒッティングが強み。パワーレスな点がネックだったが、23年はA+/2Aで打率.274・16本塁打・OPS.840とパワーナンバーを大きく伸ばした。この打撃覚醒が本物かどうか来季の活躍に注目したい。典型的な第4の外野手向きなプロフィールを脱却できるか。

9.ホマー・ブッシュ Jr.(OF)/Homer Bush Jr.:22歳
23年ドラフト4巡目。20-80スケールで80評価のスピードが最大の武器。打撃はコンパクトなスイングでラインドライブを量産し、選球眼も磨かれている。プロでは限られたサンプルながらR/A/2AでOPS.861とよく打った。守備でも広大な守備範囲を示し、CF適性は十分だ。

10.ランディ・バスケス(RHP)/Randy Vasquez:25歳
フアン・ソトの見返りの14マイルの速球&平均3000 rpm越えのスライダーのコンビネーションが武器で、カッターやチェンジアップなども器用に織り交ぜる。MLBでは先発兼リリーフとして37.2回を投げて防御率2.87をマークするなど実力を証明済み。アンダーサイズで先発としてどれだけ稼働できるかが評価を分けるだろう。


FV40

11.ライアン・バーゲット(RHP)/Ryan Bergert:24歳
21年ドラフト6巡目。ドラフトイヤーのTJ手術により指名がスリップしたが、23年は105.2回を投げて防御率2.73・奪三振率29.3%をマークするなどブレイク。93マイル前後の速球とキレのいいスライダー&カーブで空振りを誘う。絶対的なボールがあるわけではないため、ローテーション下位~ミドルリリーフ向きか。

12.ビクター・リザラガ(RHP)/Victor Lizarraga:20歳
21年に契約金100万ドルで入団したメキシコ出身プロスペクト。6-3/180と体格的な伸びしろが期待できる素材型で、現在90-94マイルの速球をどれだけ伸ばせるかに注目。変化球はチェンジアップがプラスピッチ候補で、対左の方が被OPSが優秀。23年は5月終了時点で防御率5.40も、6月以降は14先発/防御率3.57・FIP3.89と復調。

13.ネイサン・マルトレラ(1B)/Nathan Martorella:23歳
22年ドラフト5巡目。パワーと選球眼が武器のスラッガー候補。23年はA+/2Aで19本塁打・四球率14.1%・OPS.798をマークするなど強みを発揮した。上位90%の打球速度は106マイル(MLB平均103マイル)とすでにプラスのパワーを示している。一方で昨季打率.252とアベレージ面が弱点か。現時点では不動のレギュラーというよりも、低打率なプラトーン要員という印象。

14.エギー・ロサリオ(IF)/Eguy Rosario:24歳
ユーティリティー候補。身長5フィート7と小柄でパワーポテンシャルは期待できないが、2A/3Aいずれも通算OPS.800オーバーの打撃力、マイナー7年で20盗塁以上5度のスピード、内野全ポジションをこなせる守備力を兼ね備える。同じSD傘下出身のコリー・スパンジェンバーグやジェイス・ピーターソンあたりが比較対象か。

15.イザイア・ロウ(RHP)/Isaiah Lowe:21歳
22年ドラフト11巡目。MAX97マイルの4シームと鋭く曲がるスイーパーのコンビネーション。全体的に投手として発展途上であり、磨かれる必要がある。また、身長6フィート1とアンダーサイズでリリーフ向きとの見方が強い。実戦で実力を証明していきたい。

16.
ロスマン・バードゥーゴ(SS)/Rosman Verdugo:19歳
スムーズなスイングから元パドレスプロスペクトのルイス・ウリアス(現MIL)と比較されている攻撃型SS。23年はAでwRC+78と苦しんだが、18歳のシーズンであることを考慮すればそこまで悪くないとも言える(本当ならRでプレーするべき年齢)。守備面ではフットワーク不足から3Bが適性と見られている。

17.
J.D. ゴンザレス(C)/J.D. Gonzalez:18歳
23年ドラフト3巡目の高卒捕手。ドラフトイヤーをひざの故障により欠場したが、攻守のポテンシャルを買われて上位指名された。ダブルプラスの強肩が最大の武器で、打撃でもパワフルなスイングを披露している。攻守に発展途上で、完成には時間がかかりそうだ。

18.カノン・ケンプ(RHP)/Kannon Kemp:19歳
23年ドラフト8巡目の高卒右腕。スロット額の約3倍となる契約金でプロ入りした。6-6/225の恵まれた体格の持ち主で、高校時に88-92マイルだった球速をプロ入り後すでに94-96マイルまで伸ばすなど成長著しい。


FV40-

19.ティルソ・オルナレス(OF)/Tirso Ornelas:24歳
メキシコ出身のスラッガーで、23年は2A/3Aで打率.285・15本塁打・OPS.823と開花の兆し。スムーズなスイング&ゾーン管理に優れており、キャリアハイの15本塁打、3Aで上位95%の打球速度107.2マイル(MLB平均105)を記録するなどパワーも成長中。守備はコーナー向きで、強肩からRFにフィットしそうだ。

20.マルコス・カスタノン(3B/2B)/Marcos Castañon:18歳
今季25歳と歳は食っているが、昨季A+/2Aで打率.284・17本塁打・39二塁打・OPS.813とパンチ力を見せつけた攻撃型内野手。3Bとしては肩が、2Bとしては守備範囲が不足しているとの評価で、対左打率.362・OPS1.049の左キラー要員として生きる道を探すことになるだろう。

2024年1月20日土曜日

2024 LOS ANGELES DODGERS TOP 20 PROSPECTS

2024 LOS ANGELES DODGERS

TOP 20 PROSPECTS

Gavin Stone

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV50

1.
ギャビン・ストーン(RHP)/Gavin Stone:25歳
20年ドラフト5巡目ながら、22年はマイナートップの防御率1.48(121回・奪三振率33.9%)とブレイク。しかし23年は3Aで防御率4.73、MLBでも31回で防御率9.00と苦しんだ。平均94マイルの速球とダブルプラスのスプリットチェンジのコンビネーション。ローテーション投手として活躍するにはスライダー系の質改善が課題か。理想の完成像はケビン・ゴーズマン(TOR)。
23年1月に契約金207万ドルで入団の原石。パワー、スピード、守備力すべてを兼ね備えた大型SS候補。23年はDSLでの48試合でwRC+149・7本塁打と鮮烈デビュー。三振率14.9%/四球率14.4%とこの手の選手にありがちなコンタクト難も無い。SSに必要な資質を有するとされるが、6フィート4の大柄な体格から将来的には3B等へ転向される可能性も。

3.ダルトン・ラッシング(C)/Dalton Rushing:23歳
22年ドラフト2巡目指名。大学2年までは後のドラフト全体1位指名ヘンリー・デービス(現PIT)がいたため控え捕手だったが、3年のシーズンでレギュラーになると、チーム最多の23本塁打を放つなどブレーク。30ホーマー級のパワーと優秀な選球眼を有し、A+では89試合で15本塁打・四球率18.9%・wRC+146をマーク。捕手守備も成長中だが、ウィル・スミスから正捕手を奪えるレベルかは疑問があり、1Bに転向するとの見方が強い。

4.ヨシュア・デパウラ(OF)/Josue De Paula:19歳
22年1月に39万ドルで入団のパワーヒッター候補。22年にDSLでwRC+161と圧倒的なプロデビューを飾ると、23年はRを飛び級していきなりAでプレー。2本塁打・ISO.089と自慢のパワーは発揮できなかったが、出塁率.396とよく選び、wRC+118と健闘した。パワーと打撃技術を両立しており、LF/DH向きの守備能力と合わせて理想の完成型はヨーダン・アルバレス(HOU)だろう。


FV45

5.ジャクソン・フェリス(LHP)/Jackson Ferris:20歳 
22年ドラフト2巡目の高卒左腕。マイケル・ブッシュとの1対1のトレードでCHCから今オフに加入した。93-95マイルの伸びのある4シームと高スピンのカーブを主体に、スライダー&チェンジアップも織り交ぜる。Aでは18先発して防御率3.23・FIP3.27・奪三振率32.5%と好投も、腕のストロークに癖があり、与四球率13.9%とコントロールに難あり。

22年ドラフト17巡目ながら、高卒1年目にしてAで防御率2.04・奪三振率30.2%と好投。6-0/170とアンダーサイズで伸びしろには疑問も、90マイル中盤のライジングファストと80マイル後半のスライダーのコンボはパワフルだ。イニング制限により7月7日でシーズンを終了したが、来季のブレイクに期待したい。

キューバ出身で、強靭なフィジカルや運動能力の高さはヤシエル・プイグ(元LAD他)を連想させる。アッパー気味のスイング軌道で高打率は望めないが、21-22年の2シーズンで57本塁打のパワーは魅力。23年は肩の故障で34試合の出場にとどまった。ダブルプラスの強肩はRFに適任も、残念ながらプイグ同様に緩慢プレーが目立つ。

8.ニック・フラッソ(RHP)/Nick Frasso:25歳
投げているボールのインパクトは傘下トップクラス。ファンキーなフォームからMAX100マイルの速球を投じる。変化球の質が向上・安定してくれば先発投手として評価が上がるだろう。スタミナ面に課題があり、来季25歳ながら100イニング以上のシーズン無し。昨季も25先発/93イニングで平均4イニングを下回った。

9.
カイル・ハート(RHP)/Kyle Hurt:26歳
制球難が課題で、21-22年は2年続けてマイナーで防御率5点台とつまずいていたが、23年は2A/3Aで防御率3.91・奪三振率39.2%とブレイク。MLBデビューも経験した。平均95.5マイルの4シームとプラスのチェンジアップのコンビネーションで空振りを量産し、スライダー&カーブも平均レベル。球威は申し分ないが、スタミナやコントロールに課題があり、エースというよりはローテーション下位orクローザー向きか。

大学では内野手兼リリーフの二刀流プレーヤーだったため投手としては未完成ながら、MAX99マイルのライジングファストとプラスのカッターを主体にカーブ&チェンジアップも切れるハイスペックなアスリート右腕。23年は2Aで97.1回/防御率3.33と着実に成長を辿った。一方で来季25歳ながらプロで5.1イニング以上投げたことがない耐久面の不透明さ&与四球率10.7%のコマンドからMLBではリリーフ起用が現実的か。

11.セイロン・リランゾ(C)/Thayron Liranzo:20歳
パワーと選球眼を兼ね備えた強打のスイッチヒッター捕手。23年は19歳ながらAでwRC+155と圧倒的なパフォーマンス。24本塁打・四球率16.7%と自慢のパワー&選球眼を実戦で発揮した。守備ではプラスの強肩の持ち主も、53試合マスクをかぶって12捕逸・6失策と捕球面に不安を抱える。すでに1Bで13試合、DHでも29試合に出場するなど捕手にとどまれるかは微妙。


FV40

12.
マダックス・ブランズ(LHP)/Maddux Bruns:22歳
21年ドラフト1巡目の高卒左腕で、制球力は壊滅的だがポテンシャルはエース級。MAX98マイルの伸びのある4シームにカーブ&スライダーの3球種がプラスピッチ候補。第4球種としてチェンジアップも扱う。23年はA/A+で26先発と実戦経験を積んで奪三振率29.3%・防御率3.99と光る部分もあったが、与四球率15.6%ととにかく制球力が壊滅的。

13.エドゥアルド・キンテロ(OF)/Eduardo Quintero:18歳
元々捕手として契約したが、俊足と運動能力を生かすためプロでは外野に転向。23年はDSLでwRC+180と素晴らしいプロデビューを飾った。打者としてはコンタクト能力の高さが光り、49試合/22盗塁と走塁でもプラスを生み出せる。守備では俊足を生かした広大な守備範囲とCFでの41試合で8補殺を記録した強肩を持ち合わせ、プラスディフェンダー候補。

14.アレクサンダー・アルベルタス(IF)/Alexander Albertus:19歳
コンタクト能力とゾーン管理に秀でたヒットマシーン候補。23年はDSL、RでいずれもOPS.900超えの好パフォーマンス。三振率11.2%/四球率22.3%のゾーン管理能力は低階級といえど圧巻だ。一方の守備面は2Bで12試合、3Bで15試合、SSでも15試合と定位置が定まらないのがネック。

15.ディエゴ・カルタヤ(C)/Diego Cartaya:22歳
若き日のサルバドール・ペレス(KC)と比較されているほどの大器も、23年は攻守両方でつまずいた。打撃は30ホーマー級のパワーポテンシャルを秘めるも、2Aでリーグワーストの打率.189・ワースト4位のOPS.656と苦戦。三振率29%とコンタクト難が顕著だ。守備でもBaseball Prospectusの守備指標でフレーミング、ブロッキング、送球指標いずれもマイナスを記録。肩力はプラス評価だが68試合で101盗塁を許した。
TJ手術によりスリップしたが、21年ドラフト11巡目でLADが指名。22年に復帰すると、93-96マイルを叩き出すなど、術前よりも球威がアップしていた。23年は102.1回を投げて防御率2.90と健康ぶりをアピール。球速のレンジも95-99マイルとさらに球威が増した。速球とスライダーはMLBレベルであり、少なくともリリーフの駒にはなれそうだ。

17.ジェーク・ゲロフ(3B)/Jake Gelof:22歳
OAKでプレーするザック・ゲロフの弟。大学通算161試合で48本塁打を放っているパワーヒッター候補。プロでは34試合で6本塁打・ISO.233と長打力を披露した一方で、打率.226・三振率29.9%とコンタクト面で苦戦。また、どっしり体型で兄ほどの運動能力は無く、3Bからコンバートされる可能性もある。適応できればMLBで30ホーマー打てる強打者になれるかもしれないが、低打率の1B/LFタイプで終わるリスクも。

18.ロナン・コップ(LHP)/Ronan Kopp:21歳
6フィート7の長身を生かした長いリーチから96-98マイルの速球を投げ込む大型左腕。決め球には80マイル中盤のスライダーを扱う。A+で奪三振率35.8%とボールの威力は申し分ないが、与四球率16.7%とコントロールが壊滅的なため、現実的にはリリーフとして昇格を目指すことになるだろう。

19.ランドン・ナック(RHP)/Landon Knack:26歳
20年ドラフト2巡目。速球は平均91マイル止まりだが、コントロールに長ける。21年にA+で防御率2.50・与四球率3.2%と好投したが、22年は2Aで防御率5.01と打ち込まれた。23年は2Aで57.1回/防御率2.20、打高の3Aでも43回/防御率2.93とよく抑えた。とはいえ、球威不足からローテーション下位orミドルリリーフ枠に落ち着くだろう。

20.
ケンドール・ジョージ(OF)/Kendall George:19歳
23年ドラフト1巡目の高校生。BAのドラフトリストでは114位だったが、かなりのオーバーピックで指名された。20-80スケールで80評価のスピードが武器で、コンタクト特化の打撃スタイルも含めて、理想の完成像はMLB通算614盗塁のフアン・ピエールか。

2024年1月19日金曜日

2024 COLORADO ROCKIES TOP 20 PROSPECTS

2024 COLORADO ROCKIES

TOP 20 PROSPECTS

Adael Amador

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV55

1.
アダエル・アマダー(SS)/Adael Amador:21歳
アプローチ良くライナー性の打球を打ち分け、ヒットツールは20-80スケールで70評価を受ける。23年はA+での54試合でwRC+144・BB>Kと圧倒的なパフォーマンス。コンタクト率87%(MLB平均77%)/ゾーン内コンタクト率91%(MLB平均85%)とコンタクト力が卓越している。課題のパワーもISO.212・MAX打球速度110マイルを計測するなど着実に成長している。SS守備では打球勘やポジショニングに冴えるが、ツール自体は傑出していないため、MLBレベルでは2B向きか。
Adael Amador


FV50

23年ドラフト全体9位指名。2年生の時点では全体1位候補の1人でもあったが、ドラフトイヤーで防御率4.75・与四球率7.8%・HR/9=1.4と不調に悩まされた。本調子ならば、低リリースから繰り出される90マイル後半のライジングファストと80マイル後半の高速スライダーで打者を制圧する。第3球種のチェンジアップも80マイル後半で左打者の外に逃げていく特殊なボール。エース級のボールを持っているだけに、かつてのようなコマンドを取り戻せるか。

22年ドラフト38位指名。フィジカルに恵まれたパワーヒッター候補で、22年ドラフト組ではベストアスリートの1人と評判だった。コンタクト能力に課題がある点も含めて、完成像はハンター・レンフロー(KC)か。23年はA/A+で25本塁打・20盗塁の「20-20」を達成。一方で三振率25.2%・ゾーン内コンタクト率75%とコンタクト能力は依然として平均以下の水準だった。

4.ドリュー・ロモ(C)/Drew Romo:22歳
20年ドラフト全体35位指名。ゴールドグラブ級の守備力が最大の武器で、リーダーシップや野球IQも◎。課題の打撃は5月終了時点でOPS.566と絶不調だったが、6月以降はOPS.871と復調。パワーは平均以下だが、コンタクト力が高く、トータルで平均程度のパフォーマンスを期待したい。レギュラー捕手ポテンシャル。
Drew Romo


FV45

5.
ザック・ビーン(OF)/Zac Veen:22歳
20年ドラフト全体9位指名の高卒選手。攻守のポテンシャルはカイル・タッカー(HOU)と比較され、長身細身の体格と素晴らしいスイングスピードから30ホーマー級の長打力を秘める。23年はwRC+72と2Aの壁にぶち当たり、左手首の故障で6月にシーズン終了となった。22年には50盗塁、昨季も46試合で22盗塁を決めた俊足の持ち主だが、守備は平均的な評価で、タッカーと同様に両翼が適任と見られている。復活に期待したい。


キューバ出身で、同じくキューバ出身の怪物打者であるヨーダン・アルバレス(HOU)と重なる雰囲気があるスラッガー候補。23年はA+での58試合で17本塁打・wRC+148とパワーを発揮。一方で何でも振りに行くアプローチは要改善で、2Aでは56試合で打率.206・三振率32.9%と対応できなかった。守備走塁の能力は平均以下で、打撃の出来がすべてを左右する。
22年ドラフト全体31位指名の大学生スラッガー。フラットなスイング軌道で広角にラインドライブを量産する二塁打マシーン。23年はA+でwRC+147、2Aでも111と健闘。守備は本職の3B以外に2Bや外野コーナーも経験。完成型はパワーを落としたライアン・マクマーン(COL)やマックス・マンシー(LAD)のような攻撃型ユーティリティーと見ている。


FV40

8.コール・キャリグ(UTL)/Cole Carrigg:22歳
23年ドラフト2巡目。プロ入り後に打撃覚醒の片鱗を見せている身体能力お化け。ズバ抜けた身体能力を武器にC、SS、CFをハイレベルでこなせるユーティリティー性が最大の武器。大学通算133試合で7本塁打と打力はそこまでではなかったが、プロ36試合で打率.350・5本塁打・OPS1.008と覚醒の兆し。来季フルシーズンでブレイクなるか。
キューバから亡命し、22年1月に契約金220万ドルで入団の原石。守備と走塁の評価が高く、SSに残れる資質を備えている。打撃はコンタクト力を武器にR/Aで70試合に出場して打率.306・3本塁打・OPS.795をマーク。しかし平均打球速度82マイル、A昇格後49試合で0本塁打とパワーレスが課題。

10.
ロベルト・カラス(OF)/Robert Calaz:18歳
23年1月に170万ドルで契約したドミニカ共和国出身の原石。プラスのパワーポテンシャルとCFに残り得る守備力(最終的にはコーナーが適任か)を併せ持つ。DSLでは43試合で7本塁打・wRC+155と順調なデビューを飾った。MAX打球速度はMLBトップクラスの113マイルを計測した。
元MLBリリーバー、ヨーキス・ぺレスの息子。6-3/153の長身細身の体格から伸びしろが期待できる。93-95マイルの速球と70マイル台の大きく割れる縦カーブ。23年はAで60イニング以上投げた19歳以下の投手としては3位となるFIP4.07・奪三振率26.1%と健闘も、TJ手術により24年は全休予定。リハビリを通して体を作りながら球威やコマンドを磨いていきたい。

12.ショーン・サリバン(LHP)/Sean Sullivan:21歳
23年ドラフト2巡目のカレッジ左腕。球速のレンジは88-95マイルほどだが、サイド気味の低リリースから2500rpmsに達するライジングファストで空振りを量産する。大学のシーズンでは奪三振率39.8%をマーク。一方でこの速球が全投球の7割を超えており、先発として大成するには変化球の向上が課題となるだろう。

13.
ベニー・モンゴメリー(OF)/Benny Montgomery:21歳
21年ドラフト全体8位指名の高卒選手。ガチャついた不格好なスイングと5ツールポテンシャルからハンター・ペンス(元SF他)と比較されている。ポテンシャルは素晴らしいが、スイングに改善点が多く、三振率27.2%・ゴロ率62.6%とヒットツールが未熟。MAX打球速度113マイルはすでにMLBトップクラスで、守備走塁もプラス評価。

ここ2シーズンで計70ホーマーを放っているマイナー屈指のホームランバッター。長打特化のアプローチで高打率は望めないが、ダブルプラスのパワーポテンシャルを有する。大学時代の本職は捕手だが、すでにプロでは1Bがメインになりつつある。大学時代には外野の経験もあり、コナー・ジョー(PIT)のような強打のユーティリティーになれると理想。

15.ガブリエル・ヒューズ(RHP)/Gabriel Hughes:22歳
22年ドラフト全体10位指名。大学2年までは二刀流、3年のシーズンから投手に専念し、防御率3.21・K/9=12.7と好投。90マイル中盤のムービングファストと80マイル後半のスライダーを主体にカッター&チェンジアップも扱う。23年はA/A+で防御率6.21と苦戦。7月上旬にシャットダウンされ、TJ手術となった。24年は全休見込みで、育成ペースを考えるとリリーフ転向の可能性が高まったか。

22年ドラフト4巡目。22年ドラフト組の大学生ではNo.1ディフェンダーとの呼び声高い守備職人で、俊足を生かした広大な守備範囲が魅力。打撃では恵まれたバットスピードの持ち主でパンチ力あり。23年はA/A+/2Aで24本塁打・20盗塁・OPS.902とブレイク。しかし、三振率29.0%とコンタクトが欠点であり、不動のレギュラーというよりも下位チームのレギュラーor守備型ユーティリティー向きか。

22年ドラフト3巡目の高卒右腕。アップサイドを高く評価されており、スピンレートの優秀さが際立つ。中でもベストピッチであるスライダーは3000rpmに届くほど。速球もMAXで98マイルに達する。プロ1年目の昨季はAで10試合に登板して防御率7.26も、ラスト2登板は計7イニングで14K無失点、ストライク率71%と覚醒の兆し。しかしTJ手術で24年を全休するのが残念なところ。


FV40-

18.
カーソン・パルムクイスト(LHP)/Carson Palmquist:23歳
22年ドラフト3巡目の技巧派左腕。球速は90マイル前半止まりだが、サイドハンドから高めに浮き上がる軌道のため多くの空振りを奪える。A/A+では奪三振率34.3%と高数値をマークした。左打者にはスライダー、右打者にはチェンジアップを決め球に扱えるが不安定。先発に残るには変化球の精度を高めていきたい。

19.ジャック・マハニー(RHP)/Jack Mahoney:22歳
23年ドラフト3巡目のカレッジ右腕。大学1年時はリリーフ中心、2年時はTJ手術で全休、23年はフルタイムの先発として84.1回で防御率4.17とまずまずの内容だった。MAX97マイルのムービングファストが武器。大学での出場経験の少なさから伸びしろがあり、変化球を磨いて速球偏重の投球スタイルを脱却できれば先発としての可能性が見えてくるだろう。
22年ドラフト4巡目ながら潜在能力は要注目で、昨夏のトレードでLAAから移籍してきた。6フィート6の長身投手で、運動能力あふれるメカニクスからMAX98マイルの速球を投げ下ろす。Aでは20先発して防御率5.90・与四球率12.9%と振るわず。壊滅的な制球難を改善できるか。

2024年1月13日土曜日

2024 ARIZONA DIAMONDBACKS TOP 20 PROSPECTS

2024 ARIZONA DIAMONDBACKS

TOP 20 PROSPECTS

Jordan Lawlar

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV60

1.ジョーダン・ローラー(SS)/Jordan Lawlar:21歳
21年ドラフト全体6位指名の大型SS。攻守のポテンシャルをザンダー・ボガーツ(SD)と比較したい。打撃はMLBで中軸を打てるポテンシャルを秘めており、広角にバレル性の打球を量産できる。23年は5月終了時点で打率.199・三振率27.4%と苦戦も、6月以降は2A/3Aで打率.321・wRC+148・三振率16.8%と完全に適応。MLB昇格も果たした。守備でも成長が著しく、SSからのコンバート論を払拭。プラスのスピード&肩を土台に、平均以上のSSディフェンダーになれる可能性を見せている。
Jordan Lawlar


ゴールドグラブ10度の名選手、アンドリュー・ジョーンズ(元楽天他)の息子。22年ドラフト全体2位指名でプロ入りを果たした。父譲りの傑出した5ツールポテンシャルを秘める大器だが、故障がちで実力を発揮できていない。22年=プロ入り後最初の練習で肩を痛め手術で全休、23年もハムストリングの痛みに悩まされて41試合の出場にとどまった。故障の影響もあるだろうが、Aで三振率26%・グラウンドボール率61.3%とヒットツールが要改善。

3.トミー・トロイ(SS)/Tommy Troy:22歳
23年ドラフト全体12位指名。小柄ながら打撃面の評価が高く、成功例はダスティン・ペドロイア(元BOS)やイアン・キンズラー(元TEX)のような強打の二塁手だろう。大学のシーズンでは打率.394・17本塁打・OPS1.177と圧倒的な内容。守備は2B向きとの評価が主だが、DバックスはSSとして当面は起用していく方針。


FV45

4.スレイド・セコーニ(RHP)/Slade Cecconi:25歳
20年ドラフト全体33位指名。エースポテンシャルではないが、すでに3A/MLBでイニングイーター適性を証明している実力者。2年続けて120イニング以上、90球前後で安定して5イニング以上を消化できる。平均94マイルの4シームと縦スライダーのコンビネーション。23年は3Aで防御率6.11も、MLBでは27イニングを投げて与四球率3.6%・防御率4.33・FIP4.37をマーク。フライボーラーで被弾が多く、バレル管理を改善していきたい。

5.ヤンセル・ルイス(2B)/Jansel Luis:19歳
23年に18歳ながらR/Aで7本塁打・OPS.776をマーク。両打席からスムーズなスイングでギャップを破るプラスヒッター候補。フリースインガー気味なアプローチの改善がブレイクの鍵を握るだろう。守備能力は平均的であり、昨季はSSと2Bを半々で守ったが、最終的には2Bに回されるだろう。アプローチの荒さからハイリスクな人材だが、同じくARI傘下出身のジャズ・チザム(現MIA)のような成功を期待したい。

23年ドラフト3巡目。アプローチの荒さが不安材料だが、5ツールポテンシャルを秘めるアスリート。大学では通算154試合で37本塁打・OPS1.015、MLB平均以上となる平均打球速度93マイルをマーク。しかしプロでは33試合という少ないサンプルながら三振率29.9%と空振りの多さが目立った。守備はCFを守れる水準との評価。

22年ドラフト2巡目。プラスのパワーを有する右の長距離砲。23年はA+/2Aで30ホーマー・OPS.923、MAX打球速度はMLBトップレベルの115.5マイルを計測した。三振率34%のコンタクト能力と1B転向が目される守備面がネック。3Bに残れてMLBでも30ホーマー以上が打てれば、昨季34本塁打・fWAR2.5を記録したジェーク・バーガー(CWS)のようになれるだろう。

8.ディラン・レイ(RHP)/Dylan Ray:23歳
22年ドラフト4巡目。大学ではリリーフもプロでは先発転向。23年はA+での22先発で奪三振率30.4%・FIP3.36・防御率3.81をマークした。好不調の波は激しいがMAX98マイル出せる球威、平均レベルのスライダー&チェンジアップ、6-3/230の恵まれた体格、A+で22.5K-BB%をマークしたコマンドは先発候補として及第点。エース級の資質は無いが、イニングイーター適性あり。


FV40

23年ドラフト2巡目。大学3年間で打率.349・ゾーン内コンタクト率92%(MLB平均85%)をマークしたコンタクト力が武器のヒットマシーン。大学で平均打球速度93マイル(MLB平均88マイル)を計測するなどパワーも秘めるが、実戦では発揮しきれていない。3B守備は平均以下で、1Bや外野に回される可能性も。タイ・フランス(SEA)のようなパワー不足の1Bが現実的な比較対象か。

10.ルーベン・サンタナ(3B)/Ruben Santana:19歳
22年に契約金75万ドルで入団したドミニカ共和国出身の原石。パワー、走力、肩力の3ツールがプラス候補のポテンシャルが魅力。荒削りなアプローチは要改善も、RではwRC+119、四球率8.1%/三振率23.7%と及第点の内容だった。3B守備は素質十分も45試合で10失策/守備率.896とミスの多さを減らしていきたい。

オフにドミニク・フレッチャーとのトレードでCWSから加入。打者を圧倒するような球威は無いが、多彩な球種を効果的に織り交ぜる投球能力が武器。昨季は2A/3Aで防御率4.85と数字だけ見れば良くなかったが、20歳にして2Aでローテを回し(2Aで114投球回は20歳以下の選手ではトップ)、3Aまで昇格した点は評価したい。各球種のコマンドを磨いて与四球や被弾を減らせればローテーション4-5番手相当の働きが期待できる。
Cristian Mena


12.
リン・ユーミン(LHP)/Yu-Min Lin:20歳
台湾出身。菊池雄星(TOR)似の滑らかなワインドアップから速球、スライダー、チェンジアップをコマンド良く投げ分ける。昨季はA+をFIP3.07・奪三振率32.1%の快投でクリア。19歳にして2Aのマウンドに立った(昨季19歳で2Aを経験したのはリンの61イニングとロビー・スネリングの17.1イニングだけ)。しかし、速球平均89マイルの低球威、身長5フィート11のサイズ面からMLBで通用するのは難しいと見ている。

元々はダブルプラスの強肩を生かした守備面を評価されていたが、22年は2Aで88試合/wRC+135、23年も3Aで73試合/wRC+116と打撃が開眼。一方で三振率27.2%・コンタクト率66%(MLB平均77%)と空振りの多く、不動のレギュラーというよりもクリス・テイラー(LAD)のような低打率だがパンチ力のあるユーティリティープレーヤーが完成像か。

プラスのSS守備、コンタクト力の高さ、マイナー通算115試合で42盗塁の俊足。10代ながら攻守に完成度が高い。23年はRでの28試合でwRC+125・四球率16.7%/三振率7.1%と好成績。A昇格後は39試合でwRC+74と年上選手に苦戦した。パワーレスのため、打撃でインパクトを残せるか疑問。

15.AJ ブコビッチ(OF/3B)/AJ Vukovich:22歳
20年ドラフト4巡目。6-5/210の体格にバスケットボールでも活躍した運動能力を兼ね備えるスーパーアスリート。21歳にして2Aで24本塁打•20盗塁(wRC+111)のパワー&スピードは魅力だが、三振率28.4%とヒットツールが黄色信号。守備では昨季より3BからCFメインに転向。このままCFに残れれば低打率に目をつぶれるが、LF/1Bに落ち着くなら打撃へのプレッシャーが高まる。

20年には当サイトのトップ100リストで全体46位にランクインしていた元トッププロスペクト。精神面の問題などで3シーズンのブランクがあったが、23年はAで43試合/wRC+152、2A/3Aでも15試合で4本塁打をマークするなどブレイクの兆し。パワーとスピードを兼ね備えた豪快な5ツール候補。ブランクによる育成の遅れとAで三振率30.7%のコンタクト難が懸念事項。

17.
クリスチャン・セルダ(C)/Christian Cerda:21歳
22年夏にデイビッド・ペラルタとの1対1のトレードで獲得。23年にAでwRC+121、A+で134をマークした攻撃型捕手。特筆すべきは四球率19.8%/三振率20.4%をマークしたアプローチの良さで、特にAではボール球スイング率が20%を下回っていた。また15HR程度のパンチ力も秘める。守備は平均から平均以下で磨かれる必要があるも、及第点との評価。

18.リカルド・ヤン(RHP)/Ricardo Yan:21歳
90マイル前半のシンカーと大きくワイプアウトするスイーパーのコンビネーション。23年はA/A+で計103.2回を投げて防御率3.65・奪三振率31.9%・50%を超すグランドボール率をマーク。対左打者被OPS.755(対右は.469)と左打者対策が課題で、先発に残るにはチェンジアップの質を磨いていきたい。2球種に絞ってリリーフ転向が現実的か?

19.ホルヘ・バロサ(OF)/Jorge Barrosa:23歳
ハイフロアーな第4の外野手タイプ。俊足を生かしたCF守備が最大の売りで、Baseball Prospectusの守備範囲指標RDAでは21年+9.4、22年+4.9、23年+3.3と高い水準を保っている。打撃はライナー中心でコンタクト力とゾーン管理に優れる。23年は3AでwRC+110をマーク。パワーは平凡で、レギュラー選手としてはインパクト不足だろう。


FV40-

20.
ギアン・ザパタ(OF)/Gian Zapata:18歳
来季のブレイクに期待したい原石。6フィート4/195と体格に恵まれており、パワーとスピードを有する5ツールCF。23年はDSLでOPS.886をマーク。一方で三振率29.0%とヒットツールに黄色信号。大振りなスイングの改善と細身の体型からのビルドアップが今後の課題か。

2024年1月6日土曜日

2024 ST. LOUIS CARDINALS TOP 20 PROSPECTS

2024 ST. LOUIS CARDINALS

TOP 20 PROSPECTS

Masyn Winn


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。


FV50

1.メイソン・ウィン(SS)/Masyn Winn:22歳
MLBで遊撃守備プラスを出しながらOPS.750程度が狙え、WAR3.5程度の貢献が期待できるとの見立て。遊撃から100マイルを計測する強肩が最大の魅力で、GGレベルではないもMLBで平均以上の遊撃としてやっていけるとの評価。打者としては3Aで平均打球速度87.6/上位95%の打球速度103.4マイルとパワーは平均以下だが、コンタクト率84%・wRC+108の安定したコンタクト力&スプリント速度上位8%のスピードから攻撃面でも貢献できるだろう。
Masyn Winn


小柄ながら傑出したアスリートであり、潜在能力は非常に高い。マーカス・ストローマンやトレバー・バウアーが比較対象か。平均96マイルのホップ系4シームとプラスのカーブを主体に、スライダー&チェンジアップも扱う。全身を有効に使ったメカニクスで、オーバースローながらリリース高が5フィート2とサイドスロー並に低くなっているため、高めの4シームは数値以上によく伸びる。23年は防御率4.31と前年の1.38から大きく悪化。球威はローテーション上位クラスなだけに、耐久面と制球面の不安を払拭していきたい。
Tink Hence


3.
テコア・ロビー(RHP)/Tekoah Roby:22歳
昨夏ジョーダン・モンゴメリーとのトレードでTEXから加入した1人。身長6フィート1と体格はそこまでではないが、常時95マイル前後の4シーム&高スピンのハンマーカーブを武器に、スライダー&チェンジアップも効果的に織り交ぜる。23年は2Aで14先発して防御率4.63ながら、22.6K-BB%・FIP3.54と投球内容は良く、またリーグ平均より3.6歳若かったことを考慮すれば、来季以降のさらなる飛躍に期待が持てる。球威、変化球、コマンドどれも揃っている。
モンゴメリーのトレードで加入した1人。素手でバットを構え、無駄のないスムーズなスイングで左右にラインドライブを量産する。23年は2AでOPS.936、24歳以下では2A全体2位となるwRC+142を記録し、リーグMVPを獲得。ゾーン内コンタクト率93.5%とコンタクト能力は傑出しているが、ボール球スイング率38.6%・四球率8.6%とフリースインガーな点と平均以下の守備力がネック。2Bレギュラーor攻撃型ユーティリティー向きか。

22年ドラフト5巡目。両親は元大学の陸上競技選手というアスリート家系で、20-80スケールで80評価の俊足を受け継いでいる。23年はマイナートップの94盗塁、打ってもA+/2Aで打率.303・9本塁打・OPS.794と大ブレイクを果たした。CF守備でも広大なカバー範囲を示し、Baseball Prospectusの出す守備範囲指標RDAでは+6.0をマーク。パワーが平均以下で、打撃面の成長が今後の鍵を握るだろう。


FV45

6.
イバン・ヘレーラ(C)/Ivan Herrera:24歳
メジャー即戦力の攻撃型捕手。23年は3AでwRC+147をマーク。MLBでも44打席ながら打率.297・出塁率.409をマークした。辛抱強いアプローチとコンタクト力に定評があり、3Aでは四球率20.0%/三振率20.5%。上位95%の打球速度109マイル(MLB平均106マイル)とパワーも秘めており、プルヒッティングを磨けば本塁打増が狙える。守備力も平均レベルで、ウィルソン・コントレラスのバックアップ捕手に最適だろう。

昨夏にジャック・フラハティとのトレードで獲得した右腕で、第2のジョー・ライアン(MIN)になる可能性あり。速球は平均92マイルと平凡ながら、4フィート5の低リリースから繰り出されるため、VAA-4.1とMLBトップクラスのホップ軌道を描く。プロ通算31.1回のプレーにすぎないが、将来性を期待してこの順位とした。全体的に磨かれる必要がある。

8.
ゴードン・グラセフォ(RHP)/Gordon Graceffo:24歳
22年にはA+/2Aで139.1回を投げて防御率2.97・20.4K-BB%と好投も、昨季は3Aで防御率4.92・与四球率11.6%と苦戦。本来であれば安定したコントロールが持ち味だが、自動判定&肩の故障による影響も指摘される。平均94.1マイルの4シームと縦に鋭く落ちるスライダーで積極的にゾーンを攻める投球スタイル。球威の割に奪三振はそこまで多くなく、エース格というよりもイニングイーター向きか。

23年ドラフト1巡目。カルロス・ゴンザレス(元COL)似のフルスイングで長打を量産するスラッガー候補。大学では上位90%の打球速度108.2マイル(MLB平均103マイル)、バレル率22.8%をマークも、プロではOPS.636・平均打球速度84.9マイルと自慢のパワーを発揮できなかった。守備は両翼向きであり、プロの投手に適応しパワーを発揮できるかがポイントとなるだろう。


FV40

10.
レオナルド・バーナル(C)/Leonardo Bernal:20歳
攻守を両立したオールラウンド捕手になり得るパナマ出身の原石。スイッチヒッターで、Aで2年続けてwRC+110以上をマーク。23年は四球率15.2%/三振率17%とアプローチ面で成長も、3本塁打・IOS.097とパワー面で後退。守備面では平均以上の強肩の持ち主も、Baseball Prospectusの出す指標ではフレーミング、ブロッキング、送球いずれもマイナス数値だった。実戦でのパワー発揮と守備力向上が今後の課題。

11.クーパー・ジャーピー(LHP)/Cooper Hjerpe:23歳 
22年ドラフト全体22位指名。サイドハンドから高めに浮き上がる90-92マイルの速球と70マイル台のスイーパー&チェンジアップのコンビネーション。A+では防御率3.51・奪三振率29.8%をマークした一方で、与四球率14.6%・HR/9=1.76とコマンド面に苦しんだ。大学3年時に与四球率5.6%・33.9K-BB%をマークしたコマンドを取り戻せるか。

12.チョ・ウォンビン(OF)/Won-Bin Cho:20歳
22年1月に契約。KBOのドラフト1巡目候補にも挙がっていたが、MLB挑戦を志し渡米。パワーポテンシャルを期待されている左打者だ。23年はAで出塁率.376・四球率14.2%をマークした一方で、ISO.119・バレル率2.5%と肝心のパワーを発揮できなかった。MAX打球速度111.1、上位95%の打球速度106.2マイルとすでにMLBレベルのパワーポテンシャルを秘めているだけに、あとは実戦で発揮できるかにかかっている。守備は両翼向き。
22年ドラフト6巡目。大学2年生ながらドラフト資格を有し、オーバースロットとなる契約金で入団を決めた。速球は平均92.9マイルと球威は平凡だが、平均2600rpm超えのカーブが得意球。第3球種のチェンジアップもアームサイドに大きく曲がる。23年はA/A+で計123.1回を投げて防御率2.48・FIP3.14・19.6K-BB%と好投。ローテーション下位~ロングリリーフ向きのポテンシャルか。

14.ジミー・クルックス(C)/Jimmy Crooks:22歳
安定した捕手守備とコンタクトはやや弱いがパワーとアプローチを両立した打撃力からバックアップ適性を見せている捕手プロスペクト。23年はA+で12本塁打・四球率10.9%・wRC+122と持ち味を発揮。守備でもBaseball Prospectusの出すフレーミング指標で+24.2、送球指標でもプラスをマークした。

15.
セム・ロバース(RHP)/Sem Robberse:22歳
オランダの次世代エースとして注目の右腕。高スピンの4シーム&スイーパーのコンビネーション。カッターやカーブ、チェンジアップもカウント球として扱える。コントロールはおおむね安定しているが、3A昇格後は与四球率14.3%と乱れた。速球は平均92マイルで、打者を圧倒する球威は無く、ローテーション下位向き。

16.セザー・プリエト(2B/3B)/César Prieto:24歳
昨夏フラハティとのトレードでショーウォルターと共に加入。キューバから亡命前の2020年にはキューバ国内リーグで首位打者(打率.401)を獲得するなど卓越したコンタクト能力が武器。23年は2A/3Aで打率.323・10本塁打・OPS.813をマーク。パワーレス&2B向きの守備力からエリック・ソガード(元OAK他)のようなユーティリティー向きとの見立て。

17.トラビス・ハニーマン(OF)/Travis Honeyman:22歳
23年ドラフト3巡目。ややガチャついたところはあるが、5ツール揃ったアスリートで、ハンター・ペンス(元SF他)と比較する声も。コンタクト&走力の評価が平均以上。CFの経験もあるが、プロレベルではRFが最もフィットするとの見立て。

18.
マイケル・マグリービー(RHP)/Michael McGreevy:23歳
21年ドラフト1巡目。4球種を投げ分けるコントロールアーティスト。平均91マイルのシンカーとスライダーを軸に3Aではグラウンドボール率52.4%とゴロを多く打たせていた。一方で2A以降では防御率4.00オーバー、平凡な奪三振率からローテーション下位~スイングマン向きのプロフィールか。
21年=防御率6.62、22年=5.54と苦戦していたが、23年は2Aで17先発して防御率3.24・FIP3.47・グラウンドボール率51%とブレイク。3Aでも8先発で防御率3.00だった(FIPは5.78と振るわず)。シンカーとカッターを主体に多彩な球種でゴロを打たせる。22歳にして2Aをクリアして3Aでも結果を出している点は評価したいが、速球は平均91マイルと打者を圧倒するパワーがない上にマイナー通算与四球率10.9%とコマンドも悪いため、MLBでどれだけ通用するかは未知数。

20.
クイン・マシューズ(LHP)/Quinn Mathews:23歳
23年ドラフト4巡目のカレッジシニア左腕。90マイル前半のホップ系の4シームとプラスのチェンジアップを軸に4球種を織り交ぜるストライクスロワー。打者を圧倒するような球威は無いが、大学のシーズンでは18先発中11試合で7イニング以上を投げるなど、6フィート5の体格も含めてワークホース適性が高い。

2024年1月2日火曜日

2024 PITTSBURGH PIRATES TOP 20 PROSPECTS

2024 PITTSBURGH PIRATES

TOP 20 PROSPECTS

Paul Skenes

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。


FV60

1.ポール・スキーンズ(RHP)/Paul Skenes:22歳
23年ドラフト全体1位指名で、ドラフト史上最高額となる契約金920万ドルで入団した。平均97.8/最速102マイルの速球とスライダーのコンボで打者を制圧する。大学では投球割合7%にとどまったチェンジアップをプロでは有効に活用したいところ。球界を代表するエースへの成長が期待されている。


FV50

20年ドラフト2巡目。外野手としても評価を得ていたアスリートで、ハイポテンシャル。23年は2A/3Aで25先発して防御率3.85、傘下トップタイの146Kをマークした。平均96.3マイル/2503rpmsの4シームとプラスのスライダーを軸に、カーブ、チェンジアップ、カッターと変化球も多彩。課題のコントロールを改善できれば大化けする可能性を秘めている。

高校では投打の二刀流に加えてアメフトでも活躍した生粋のアスリート。23年は投手としてのプレーに専念。4-5月は防御率6.62・与四球率16.3%と苦しんだが、6月以降は16先発で防御率3.62・与四球率7.5%と制球難を克服してみせた。常時97-98マイルを計測するホップ系4シームを軸に、スライダー&チェンジアップもプラスピッチ候補。荒削りだが、ポテンシャルは間違いない。
Bubba Chandler


4.タマー・ジョンソン(2B)/Termarr Johnson:20歳
22年ドラフト全体4位指名の高卒選手。20-80スケールで70評価のヒットツールの持ち主と評判だったが、プロ1年目はA/A+で打率.244・18本塁打・OPS.860・四球率21.9%/三振率26.0%と想定とは違うパワー寄りの打者になっていた。Aでのコンタクト率67%はMLBなら平均以下の数字であり、パワーとコンタクトのバランス調整が必要だろう。

5.アンソニー・ソロメト(LHP)/Anthony Solometo:21歳
21年ドラフト全体37位指名の高卒左腕。6フィート5のスラリとした長身と大きく腕を引くメカニクスからマディソン・バムガーナー(元ARI)と比較する声も。独特なメカニクスをしているが、年齢に比して完成度が高く、20歳ながらA/A+での24先発で防御率3.26・FIP3.46をマークした。特にラスト17先発は与四球率5.6%と制球力が光った。


FV45

6.トーマス・ハリントン(RHP)/Thomas Harrington:22歳
22年ドラフト全体36位指名。速球は平均93マイルながらコマンドに優れ、早期昇格が狙えるストライクスロワー。右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップが決め球で、どちらも横変化が大きく、平均以上の球種になり得る。23年はA/A+で26先発して防御率3.53・K-BB%=20%を記録した。

19年ドラフト1巡目。シンカー、スライダー、チェンジアップと多彩な球種でゴロを打たせるグラウンドボーラー。速球は平均93マイルで、エース候補というよりもローテーション下位ポテンシャルと評される。MLBでは平均以上となるグラウンドボール率52.4%を記録したが、50イニングで与四球率11%・HR/9=2.2とコマンドに苦しんだ。

22年ドラフト3巡目。二刀流としてドラフト指名も、23年は全試合野手としての出場だった。A/A+で打率.275・19本塁打・OPS.915・24盗塁とブレイク。四球率14.2%と選べてはいるが、三振率29.9%とコンタクトに弱点。持ち前のアスリート性&投手としてMAX100マイルの強肩を生かした3B守備も素晴らしく、Baseball Prospectusの総合守備指標DRPでは+13.9を叩き出した。理想の完成像はマット・チャップマン(前TOR)だろう。

18年ドラフト2巡目。高校ではアメフトのワイドレシーバーとしても活躍したアスリート右腕。23年はTJ手術から復帰するとA/A+/2Aで防御率2.39・K-BB%=24.4%と好投。常時95マイル出せる球威、平均以上の変化球、与四球率5.2%のコマンドはローテーション相当も、プロ6年で53イニングが最高の耐久面からブルペン起用が現実的か。

10.マイケル・バロウズ(RHP)/Michael Burrows:24歳
高アングルのオーバースローから縦変化の大きい真っスラ系のライジングファスト&スピンレート2900rpmに達するプラスのカーブを投げ下ろす。23年は2登板した後にTJ手術。24年の後半に復帰予定で、本格的なローテーション争いは25年以降か。プロ6年で94イニングが最多という耐久面からリリーフ転向の可能性も。


FV40

11.チャン・ツンチェ(SS/2B)/Tsung-Che Cheng:22歳
台湾出身。小柄でパワーは平均以下だが、走攻守オールラウンド。23年はA+/2AでOPS.808とブレイク(A+の本拠地が打者有利で稼いでいる点は差し引く必要はあるが)。SS守備も軽快かつ堅実で、MLBでもSSに残れる可能性あり。Baseball Prospectusの出す守備範囲指標RDAは3年連続でプラスを記録している。

12.ザンダー・ミース(RHP)/Zander Mueth:19歳
23年ドラフト2巡目の高卒右腕。6フィート6の長身からダスティン・メイ(LAD)似のエクステンション大のフォームから、MAX97マイルのハードシンカー&変化量大のスイーパーのコンビネーション。チェンジアップもレパートリーとして扱える。コマンド&安定感を磨いていく必要がある。

13.ニック・ゴンザレス(2B)/Nick Gonzales:25歳
20年ドラフト全体7位指名。マイナー3年でOPS.888、23年も3Aで14本塁打・OPS.886をマークしている攻撃型二塁手候補。しかし、マイナー通算三振率27.4%、昨季3Aでゾーン内コンタクト率76.5%(MLB平均は85%)と空振りの多さがネック。MLBでは35試合で打率.209・三振率28.1%と適応に苦しんだ。2B守備は平均~平均以下の評価で、どれだけ打てるかにかかっている。

14.ロニー・ホワイト Jr.(OF)/Lonnie White Jr.:21歳
大学でアメフトと野球の二刀流を続けるのを蹴って21年ドラフト2巡目でプロ入り。コンタクトが未熟だが、パワー&スピードはプラスポテンシャル。23年はAでの44試合で8本塁打・wRC+140とブレイク。上位90%の打球速度105マイル&ボール球スイング率20%はMLB平均以上であり、課題のコンタクトも8月以降は19試合で三振率23.6%(wRC+163)と改善の兆し。

15.
シム・ジュンソク(RHP)/Jun-Seok Shim:20歳
韓国No.1高校生右腕で、23年1月に75万ドルで契約した。6-4/215の恵まれた体格からMAX99マイルを投げ込み、変化球はスライダー&カーブを扱う。コマンドなど全体的に磨かれる必要がある。Rでは8イニングで13Kを奪うなど順調なプロデビューを飾った。

16.マイケル・ケネディ(LHP)/Michael Kennedy:19歳
22年ドラフト4巡目の高卒左腕。ドラフト時点で17歳と若く、オーバースロットとなる契約金$1Mで入団した。速球は平均91マイルながら低リリースから伸び上がる軌道で、真横に大きく曲がるスイーパーとのコンビネーションで空振りを量産する。球速UPが求められる一方で、6-1/205とすでに仕上がった体格から伸びしろには疑問のスカウトも。

17.
ハンター・バーコ(LHP)/Hunter Barco:23歳
22年ドラフト2巡目。サイドハンドから平均91マイルのシンカーとチェンジアップのコンビネーション。スライダーは変化量大でプラスピッチ候補も、制球が不安定で決め球としての使用に限られている。完成度は高いが、球速の遅さからローテーション下位向きのポテンシャルと評される。

高校時に野球&アメフトで大学のコミットメントを得ていたアスリート。フリースインガーでアベレージ面は弱いが、パワー&スピードを武器に23年はA+で23本塁打・24盗塁をマーク。外野3ポジション+1Bをこなすユーティリティー性も併せ持ち、完成型はレーン・トーマス(WSH)か。


FV40-

19.シャーリン・ポランコ(OF)/Shalin Polanco:20歳
21年に235万ドルで入団した原石。ヒットツールは荒いが、パワー&スピードを両立したツール型で、守備もCF残留の可能性あり。Aでは70試合で12本塁打、MLB平均と同等の上位90%の打球速度103.5マイルと19歳にしてMLBレベルのゲームパワーを披露。一方で極度のフリースインガーであり、三振率28.7%・コンタクト率67%(MLB平均77%)はひどい内容。ゾーン内コンタクト率は80%(MLB平均85%)とそこまで悪くないので、選球眼を磨けば開眼できそうだ。

アプローチを磨けばパワー&スピードを両立した5ツールプレーヤーになれる可能性あり。23年はAで8本塁打・四球率13%・wRC+116をマーク。上位90%の打球速度104マイルはMLB平均以上、ゾーン内コンタクト率も85%と悪くない。一方で平均打球速度は83.2マイルとMLB平均を大きく下回っており、アプローチを磨いてウィークコンタクトを減らしたい。