2023 SAN FRANCISCO GIANTS
TOP 20 PROSPECTS
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Marco Luciano |
本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は23年6月30日見込みのもの。
FV55
1.マルコ・ルシアーノ(SS)/Marco Luciano:21歳
(R/A+)65G 11HR 26BB 58K .269/.817
◎パワー / 〇肩 / △走力 3B向き? アプローチ
打席でのアプローチや選球眼が磨かれれば「3割・40本」も狙えるポテンシャル。一方でSSに残れるかは評価が分かれている。プラスの強肩を有し、運動能力&野球IQも高いが平均以下のスピードがネック。今後体が成熟すればさらにスピードが失われるため3BやRFに移る可能性もある。昨季は故障によりリハビリを除いた出場は57試合のみと育成に遅れを取った。(A+/2A)2.71ERA 113.0IP BB/9=3.9 K/9=14.8
◎球威 / △コントロール
昨季マイナー2位の186K、全対戦のうちに占める奪三振率を表すK%=39.8%はマイナー全体トップと奪三振能力が際立つパワーレフティ。MAX98マイルの伸びのある4シームとプラスのスライダー、平均的なチェンジアップのコンビネーション。一方でマイナー2年でBB%=11.1%とコントロールが悪く、エースポテンシャルを開花させられるかは制球の改善にかかっているだろう。Kyle Harrison
FV50
(A+/2A/3A)126G 21HR 48BB 120K .293/.854
◎肩 / ◯3B守備 パワー
20年ドラフト2巡目。ダブルプラスの強肩を生かした3B守備はマイナーでも屈指との評判で、ゴールドグラブポテンシャル。打撃は持ち前のパワーに加えて、昨季はコンタクト能力が劇的に向上。A+でwRC+132、2Aでも144と結果を残した。MLB平均レベルの打撃成績+3Bで守備プラスならWAR3程度が狙える。(参考:22年ライアン・マクメーンがwRC+95、OAA+9でfWAR3.0)
FV45
(A/A+)120G 23HR 67BB 170K .289/.897◯パワー 走力 守備 / ✖コンタクト
19年ドラフト3巡目。昨季23本塁打・43盗塁をマークしたパワー&スピードが武器で、外野守備も傘下トップ評価。ツールは申し分ないが、Aでの106試合で三振率29.2%、A+での14試合で35.5%とコンタクトが脆すぎて現状はロマン枠止まりか。現状の比較対象はクリストファー・モレル(CHC)やトレント・グリシャム(SD)などの下位打線タイプのCFだろう。
(A+/R)94G 12HR 28BB 66K .215/.636
◯パワー / △アプローチ 22年不調
21年はAで打率.313・15本塁打・OPS.853とブレークも、昨季は不振に悩まされた。それでも8月以降は30試合でOPS.767と復調の兆しあり。フリースインガーがネックも、平均以上のパワー&三振率16%のハンドアイコーディネーションを兼ね備える。守備はCFとして平均的な評価で、長期的には強肩を生かせるRFがフィットするか。野球家系に育ったため、野球IQも高く評価されている。 (A/A+/2A)103G 23HR 47BB 119K .346/.059
◎走力 / ◯パワー / △コンタクト 年齢
大学で5年間プレー、23歳でプロ入りと遅咲きながら、昨季はマイナートップの打率.343とブレーク。アメフト選手のようなフィジカルを生かしたパワー&スピードを武器に23本塁打&44盗塁をマークした。三振率26%とヒットツールに不安があり、スター選手というよりもドリュー・スタッブスやキーオン・ブロクストンのようなピーク時でWAR1.5~2.5の将来像か。
(A)122G 14HR 49BB 155K .270/.777
◯肩 SS守備 / △打撃 素材型
19年に契約金100万ドルで入団した原石。肩&守備力がプラス評価で、MLBでもSSにとどまれる可能性を示している。三振率27.4%と空振りが多く、打者としての総合評価は平均以下との見立て。イザイア・カイナーファレファ(NYY)のような下位打線のレギュラーor守備型ユーティリティー向きか。
(R/A)0.00ERA 7.2IP BB/9=1.2 K/9=16.4
◎チェンジアップ / 〇コントロール / △球威 禁止薬物
22年ドラフト2巡目。1巡目候補だったが禁止薬物の使用によりドラフトイヤーは公式戦に出場できずスリップ。速球は90マイル前半だが、ダブルプラスのチェンジアップで打者を惑わす。コントロールも平均以上でローテーション4番手ポテンシャル。
(A)5.88ERA 85.2IP BB/9=4.1 K/9=10.4
◯速球 変化球3種 / △コントロール
名門UCLAへの推薦を蹴ってプロ入りという流れは傘下2位のカイル・ハリソンと同じ。スペックの高さが投球結果に反映されておらず、昨季は22先発で防御率5.88と今一つだった。MAX97マイルを出せる球威、80マイル中盤のスイーパーを主体にカーブやチェンジアップも扱える変化球へのフィールの良さ、アスリート性の高さは要注目。BB%=10.7%の制球面を改善していきたい。
(A/A+)3.21ERA 112.0IP BB/9=2.9 K/9=10.9
◯速球 スライダー / △チェンジアップ
21年ドラフト3巡目。昨季は24先発して防御率3.21とブレーク。90マイル中盤の速球と80マイル台のスイーパーがプラスピッチ候補で、この2球種でアグレッシブに攻める。BB%=7.8 %とコントロールも安定しているが、第3球種が不確立なため、このままだとディネルソン・ラメット(元SD他)のような2ピッチタイプの先発投手、もしくはリリーフで輝くタイプだろう。
(A+)83G 12HR 49BB 72K .225/.761
◯パワー 肩 守備 / ✖走力 コンタクト
20年ドラフト全体13位指名ながら、プロでは打撃不振により評価を落としている。捕手守備は傘下No.1でプラス評価を受けており、打撃面でMLBのレベルに対応できればレギュラー捕手を狙えるだろう。Baseball Prospectusによるフレーミング指標は+16.8とマイナートップクラスであり、送球&ブロッキング指標もプラス数値だった。
FV40
12.ランドン・ループ(RHP)/Landen Roupp:24歳
(A/A+/2A)2.60ERA 107.1IP BB/9=3.1 K/9=12.7
◯カーブ グラウンドボーラー / △第3球種
大学で4年間プレーしたカレッジシニア出身で、21年ドラフト12巡指名と前評判は高くなかったが、昨季は傘下3位の152Kを奪うなどブレーク。プラスのカーブを得意にしたローテーション下位/ロングリリーフ向きのポテンシャルという点ではセス・ルーゴ(SD)に近い。チェンジアップなどの第3球種の質を上げていきたい。
13.キートン・ウィン(RHP)/Keaton Winn:25歳(A/A+/2A)4.08ERA 108.0IP BB/9=2.7 K/9=10.4
◯速球 スプリット / △スタミナ 年齢
21年はTJ手術により全休。昨季はTJから復帰すると常時95、最速100マイルに達するなど術前よりも球威がアップ。リハビリ中に習得したスプリットを決め球にブレークを果たした。TJ明けのシーズンということもあるが、27試合投げて91球以上投げた試合はなく、スタミナ面は今後証明していく必要があるだろう。
◯速球 スライダー / △健康面 コントロール22年ドラフト全体30位指名。22年ドラフトで最もリスキーな指名と言われており、大学通算8イニングの登板のみでTJ手術と健康面が不透明。健康であればMAX99マイルの速球にプラスのスライダーを投じる大型左腕。二刀流プロスペクトでもあるが、打者としての評価は投手よりも低く、アプローチの荒さがネック。 (A/A+)3.08ERA 111.0IP BB/9=2.5 K/9=10.9
◯速球 スライダー / △コマンド フォーム
球威だけで見ればローテーション3-4番手クラス。6フィート6の長身から90マイル中盤の速球、90マイル前後のカッター系のスライダー、80マイル台のパワーカーブでパワフルにゾーンを攻める。細かいコマンドに欠ける点と腕のストロークが長い点からリリーフ転向のリスクを抱える。
(A/A+)2.31ERA 101.1IP BB/9=3.7 K/9=10.7 ◯速球 / △変化球 コントロール低リリースから投げ込まれるフラット軌道の4シームが武器。常時92-95、MAXで98マイルに達し、高めで空振りが取れる。発展途上な変化球やコントロールの精度を上げることができればローテーションポテンシャル。現実的にはマルチイニングリリーバー向きか。(3A)108G 11HR 41BB 112K .227/.654 (MLB)9G 0HR 2BB 6K .100/.282
◯パワー 肩 / △両翼向き 走力 ゴロ多い
17年ドラフト1巡目。ガッシリとした強靭な体型を備えたパワーヒッター候補。昨季3A/MLBで平均打球速度90.4マイル、95マイル以上の打球割合46.3%と高数値を記録したが、低弾道のせいでパワーポテンシャルを発揮できず。フライ性の打球を増やしてパワースタッツを伸ばせるかがポイント。マイナーではCFをメインにプレーしているが、だんだんと走力は下降傾向にあり、最終的にはコーナーに落ち着くだろう。
(2A/3A)123G 19HR 55BB 129K .284/.859 ◯パワー フレーミング / △コンタクト 守備オフにルール5ドラフト経由のトレードでPITから加入。マイナー3年でOPS.849を誇る攻撃型捕手。センターから逆方向にも放り込めるパワーが武器だが、大振りなためMLBレベルの投手に対応できるかは未知数。また守備ではフレーミングは優秀だが、総合的な捕手守備は平均以下で、レギュラー捕手というよりもLFや1Bもこなすユーティリティー向きか。攻守に洗練される必要があるだろう。
(A)4.19ERA 43.0IP BB/9=4.6 K/9=10.7 〇スライダー / △健康面 22年不調 コントロール21年ドラフト1巡目。パイレーツ所属デビッド・ベドナーの弟。速球&スライダーのコンビネーションを武器に大学では活躍も、プロ1年目の昨季は球威・コマンドともに下降し、評価を大きく落とした。腰の痛みで離脱もあり、コンディション面も整えて復活できるか。(3A)3.11ERA 72.1IP BB/9=4.0 K/9=12.7
(MLB)7.20ERA 15.0IP BB/9=4.2 K/9=10.8
◯カーブ / △耐久性 コントロール 年齢
キレの良い4シームとカーブのコンボで三振が取れ、特に決め球のカーブはMLBでスピンレート2635rpm&縦変化量+10%をマーク。さらに、球持ちが良く、低めのリリースポイントから投げ込んでくるため打者は球速以上に打ちにくい。しかしマイナー7シーズンで100イニング以上投げられたシーズンは無く、先発投手に必要な頑丈さを備えているとは言い難い。コントロールにも課題があり、ブルペンが適任だろう。
Sleeper Prospects
ヘイデン・バードソング(RHP)/Hayden Birdsong:21歳
(R/A)3.09ERA 11.2IP BB/9=2.3 K/9=17.7
◯速球 / △コントロール 先発経験
22年ドラフト6巡目。MAX97マイルのライジングファストを高めに集め、Rでは11.2回で23Kをマーク。スラーブ系のブレーキングボールも切れ、第3球種にチェンジアップも扱える。大学ではリリーフ中心も、23年は先発としてプレー中。6-4/215と体格も先発投手としてふさわしい。
(R/A)4.84ERA 57.2IP BB/9=3.1 K/9=13.3
◯スライダー / △素材型
昨季は19歳ながらRで11先発/K/BB=4.76と目立ったパフォーマンス。高めの4シームとブレーキの利いたスラーブのコンビネーションで年上打者を圧倒した。左打者の外角にはシンカーやチェンジアップも扱える。フルシーズンでどのような投球を見せるかに注目も、23年は開幕からILに入っている。
ビクター・ベリコット(OF/1B)/Victor Bericoto:21歳
(A)107G 12HR 57BB 108K .265/.748
◯パワー / △素材型 守備 走力
100マイル超えの打球を量産できるパワーが武器のスラッガー候補。グラウンドボール率49%(リーグ平均は44%)とゴロ性の打球が多かったので、ミスショットを減らしてライナー/フライ性の打球割合を増やせるとよいだろう。守備走塁で貢献できるタイプではないので、打撃力の向上が鍵。
ウェイド・メックラー(OF)/Wade Meckler:23歳
(R/A)23G 1HR 20BB 16K .367/1.044
〇コンタクト 走力 / △パワー 肩
22年ドラフト8巡目。控え外野手タイプのオールラウンダー。打撃はパワーレスだが、コンタクト&ゾーン管理能力が高く、R/Aで打率.367・16K/20BBと持ち味を十分に発揮。走力も20-80スケールで65評価と優秀。守備はCF適性があり、外野3ポジションをプレー可能と使い勝手が良い。