2024年12月12日木曜日

2025 ST. LOUIS CARDINALS TOP 15 PROSPECTS

2025 ST. LOUIS CARDINALS

TOP 15 PROSPECTS

Quinn Mathews


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。


FV55

1.JJ ウェザーホルト(SS)/JJ Wetherholt:22歳
24年ドラフト全体7位指名。2年時に全米1部トップの打率.449をマークし、USA代表でも活躍。しかし3年時はハムストリングの負傷により36試合の出場にとどまり評価を落とした。対応力の高いラインドライブヒッターで、SS中心に2B/3Bの経験もある。プロではAでの29試合でwRC+137と好デビュー。ライナー中心のアプローチのためISOは.105にとどまったが、ハードヒット率54.9%/上位10%打球速度105.3マイルと平均以上のパワーを秘める。万全なら走力も平均以上で、2年時には55試合で36盗塁を決めている。


FV50

2.クイン・マシューズ(LHP)/Quinn Mathews:24歳
23年ドラフト4巡目。チェンジアップでかわすストライクスロワータイプと見られていたが、プロでは突如球速が上昇し、覚醒。マイナー4階級で計143.1回を投げて防御率2.76/FIP2.59/奪三振率35.4%/与四球率8.6%と素晴らしい成績を収めた。5.58フィートという低リリースから平均94マイル/縦変化17.1インチというライジングファストを軸に、スライダー&チェンジアップも上質。statcastデータが得られるA/3Aでスライダー&チェンジアップはいずれも空振り率50%以上を記録した。イニング消化能力と投球クオリティを両立したローテーション半ば級のワークホースとして期待。
Quinn Mathews


小柄ながら傑出したアスリートであり、潜在能力は非常に高い。マーカス・ストローマンやトレバー・バウアーが比較対象か。平均96マイルのホップ系4シームに、カーブ、スライダー、チェンジアップとどの球種も質が高い。全身を有効に使ったメカニクスで、オーバースローながらリリース高が5フィート2とサイドスロー並に低くなっているため、高めの4シームは数値以上によく伸びる。24年は肩と胸の張りで欠場、復帰後は長くても4イニングの投球にとどまり、シーズン最終登板では広背筋を痛め降板するなど年間を通して健康面に不安を露呈した。しかし2Aでの20先発で79.2回を投げて防御率2.71/FIP2.51/奪三振率34.1%/与四球率8.1%と投球内容は素晴らしかった。球威や制球力はローテーション上位クラスなだけに、耐久面の不安を払拭していきたい。
Tink Hence

台湾出身。台湾の大学でプレーした後、米国へ移住。サマーリーグで経験を積んで23年7月に50万ドルで契約した。24年はAでの22先発で116回を投げて防御率2.79/奪三振率26.6%/与四球率7.8%をマーク。6フィート7の迫力ある体格から平均96.4/最速101マイルの4シームを投げ込む。4シームはシュート方向への変化量が16.3インチもあり、これは昨季のMLBであれば右投手トップの数値。制球や変化球は要改善だが、長身細身の体格から伸びしろは大きい。

素手でバットを構え、無駄のないスムーズなスイングで左右にラインドライブを量産する二塁打マシーン。23年に24歳以下の選手としては2A全体2位となるwRC+142を記録し、リーグMVPを獲得。しかし24年は3AでwRC+93と不調だった。コンタクト率の高さとバレル感覚(ゴロ率35%/引っ張りフライ率11.7%)、平均的なパワー(上位10%打球速度103マイル)とMLBで成功できる要素はあるも、四球率5.9%/スイング率53%というフリースインガーなアプローチがネック。守備能力も平均以下で、長期的には2Bが定位置になりそうだ。


FV45

6.
ジミー・クルックス(C)/Jimmy Crooks:23歳
攻守に確かな能力を示し、バックアップ適性を見せている捕手プロスペクト。24年は2Aで打率.321/11本塁打/wRC+152をマークし、リーグMVPを獲得。オープンスタンスからフラットなスイングで広角に長短打を量産する。捕手守備も優秀で、Baseball Prospectusの出すフレーミング&送球指標で3年連続プラス数値をマーク中。特に23年はフレーミングにより24.2失点を防いだ。

7.レオナルド・バーナル(C)/Leonardo Bernal:21歳
マイナーで3年連続wRC+110以上を記録しているスイッチヒッター捕手。24年は課題であった実戦でのパワー発揮と守備力向上で成長を遂げた。打撃ではA+でwRC+120を記録し、本塁打を昨季の3本から10本に、ISOを.097から.150に上げてみせた。守備ではマイナスだったフレーミング、ブロッキング、送球指標がいずれも大きくプラスに転じた。若さでは6位のクルックスよりも分があり、来季2Aで結果を出せば大きく評価を上げるだろう。

8.テコア・ロビー(RHP)/Tekoah Roby:22歳
23年夏にジョーダン・モンゴメリーとのトレードでTEXから加入した1人。身長6フィート1と体格はそこまでではないが、常時95マイル前後の4シーム&高スピンのハンマーカーブを武器に、スライダー&チェンジアップも効果的に織り交ぜる。24年は肩の故障により38.1回のプレーにとどまり、特に2Aでの7先発は防御率6.75/FIP6.59と悲惨なものであった。球威、球種のレパートリー、コントロールは十分にローテーション中盤級だが、2年続けて故障離脱するなど耐久面に不安がある。

9.ヤイロ・パディーヤ(SS)/Yairo Padilla:18歳
24年1月に76万ドルで契約した原石。運動能力の高い両打ちSSというスペックの塊で、ベストツールのスピードはダブルプラス評価。DSLでは35試合で打率.287/1本塁打/wRC+121と好成績を残し、リーグのオールスターチームにも選ばれた。現時点ではコンタクト重視だが、体格が成熟すればパワーも向上が見込める。守備では二遊間にふさわしい守備範囲と3Bにふさわしい強肩を兼ね備える。


FV40

10.
ライニエル・ロドリゲス(C)/Rainiel Rodriguez:18歳
24年4月に30万ドルで契約すると、DSLでの41試合で打率.345/10本塁打/wRC+186と圧巻の内容。パワーポテンシャルと引っ張りフライを量産する打撃技術を兼ね備えた攻撃型捕手として評価を伸ばした。一方で捕手守備は発展途上であり、磨かれる必要がある。

11.マイケル・マグリービー(RHP)/Michael McGreevy:24歳
21年ドラフト1巡目。5球種を投げ分けるコントロールアーティスト。平均91マイルのシンカーとスライダーを軸に、カッター&カーブ&チェンジアップを織り交ぜる投球で、マイナーでは毎年50%前後のグラウンドボール率を維持。支配力は平凡だが、3年連続144イニングオーバー、今季3A/MLBで173イニングを消化するなどイニングイーター適性あり。ローテーション下位にフィットするだろう。

12.クーパー・ジャーピー(LHP)/Cooper Hjerpe:24歳 
22年ドラフト全体22位指名。サイドハンドから高めに浮き上がる90-92マイルの速球と70マイル台のスイーパー&チェンジアップのコンビネーション。24年はA+/2Aでの15先発で防御率3.27/FIP3.22/奪三振率35.2%をマークするなど投球内容は上々。しかし2年続けて肘の負傷で離脱しており、23-24年で計93イニング止まり。健康面に不安を抱える。与四球率13%とコマンドにも苦しんでおり、リリーフに回される可能性もある。
23年ドラフト1巡目。カルロス・ゴンザレス(元COL)似のフルスイングで長打を量産するスラッガー候補。24年は5月終了時点で打率.184/OPS.572/三振率29.4%と苦戦していたが、6月以降は打率.288/OPS.867/三振率21%とプロの世界に適応。statcastデータが得られるAではチェイス率15%(MLB平均22%)を記録するなど選球眼に優れる。守備走塁の能力は平均的であり、最終的にはコーナーが適任と見られる。

14.ダーリン・サラディン(RHP)/Darlin Saladin:22歳
24年はA/A+で計123回を投げて防御率2.71/FIP/2.67/奪三振率27.4%/与四球率6.7%とブレイク。速球は平均93マイルと平凡だが、リリース高5フィート5という低リリースから投げ込まれるフラット軌道なため、打ちにくい。この速球を高めに集める投球を得意としており、Aでは4シームが空振り率32.7%/得点価値6.7と効果的だった。先発に残るには変化球やコマンドの精度を磨いていきたい。
23年夏にジャック・フラハティとのトレードで獲得した右腕で、第2のジョー・ライアン(MIN)になる可能性あり。速球は平均92マイルと平凡ながら、4フィート6の低リリースから繰り出されるため、VAA-3.85とMLBトップクラスのホップ軌道を描く。Aではリリーフとしての起用だったが、変化球や制球を磨いていけば先発としての可能性も見えてくるだろう。

2024年12月8日日曜日

2024 PITTSBURGH PIRATES TOP 15 PROSPECTS

2025 PITTSBURGH PIRATES

TOP 15 PROSPECTS

Bubba Chandler

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。


FV55

1.ババ・チャンドラー(RHP)/Bubba Chandler:22歳
高校では投打の二刀流に加えてアメフト、バスケ、ゴルフでも活躍した生粋のアスリート。二刀流として指名されたが、23年から投手としてのプレーに専念。24年はさらなる成長を遂げ、2A/3Aで119.2回を投げて防御率3.08/奪三振率30.9%/与四球率8.6%をマーク。球界屈指の投手プロスペクトになった。常時97-98マイルを計測するホップ系4シームを軸に、スライダー&チェンジアップもプラスピッチ候補。コントロールに課題があったが、持ち前の運動能力でフォームを固め改善に成功してみせた。スキーンズ、ジョーンズに次ぐ先発三本柱への成長に期待。
Bubba Chandler


FV50

2.コナー・グリフィン(SS/OF)/Konnor Griffin:19歳
24年ドラフト全体9位指名。高校生No.1評価を得ていた5ツールポテンシャルで、上手く育てば「30-30」も狙える逸材。ダブルプラスのスピード、投手としてMAX96マイルの強肩など運動能力には疑う余地がない一方で、コンタクト能力を疑問視されている。守備はSSとCFを兼任しているが、将来的には身体能力をより生かせるCFにフィットするだろうと評価されている。まずはプロレベルの投手に対応できることを証明したい。

3.タマー・ジョンソン(2B/SS)/Termarr Johnson:21歳
22年ドラフト全体4位指名の高卒選手。20-80スケールで70評価のヒットツールの持ち主と評判だったが、プロではパワー寄りの打者に転身。24年なA+で打率.238/出塁率.372/13本塁打/wRC+123をマーク。今のアプローチだとパワーのためにコンタクトを犠牲にしており、パワーとコンタクトのバランス調整が必要だろう。守備では平均以下の肩力から将来的には2Bがフィットすると予想されているが、24年はSSでも39試合に出場して経験を積んだ。


FV45

4.トーマス・ハリントン(RHP)/Thomas Harrington:23歳
22年ドラフト全体36位指名。速球は平均92~93マイルだがコマンドに優れる。24年は右肩のローテーターカフの痛みで出遅れたが、2A/3Aでの20先発で計114.1回を消化し、防御率2.68/奪三振率24.9%/与四球率4.0%をマークした。ランニングファストを四隅にコマンドし、右打者にはスウィーパー、左打者にはスプリットチェンジを第2球種として扱う。支配力は並だが、安定したコントロールと質の高い変化球を武器にローテーション下位にフィットするだろう。
Thomas Harrington


18年ドラフト2巡目。高校ではアメフトのワイドレシーバーとしても活躍したアスリート右腕。24年は2A/3Aでの16登板で計73回を投げて防御率2.84/奪三振率25.8%/与四球率4.0%をマーク。平均95マイルで平均的な軌道の4シーム、平均88マイルの高速スライダー、大きく曲がるカーブがレパートリーの中心。ローテーション級の実力を備えるが、プロ7年で昨季の73イニングが最高という故障体質からハンター・ハービーやクレイ・ホームズのようにブルペン転向が現実的だろう。

6.ニック・ヨーク(2B)/Nick Yorke:23歳
20年ドラフト1巡目指名。卓越したコンタクト能力でフィールド全体にラインドライブを量産するヒットツールを高く評価されている。24年は3Aでの78試合で打率.333/8本塁打/wRC+143と素晴らしいパフォーマンスでMLBデビューも経験。変化球の見極めに磨きがかかり、四球率12.2%/三振率18.9%はいずれも昨季より良化。上位10%打球速度もMLB平均を越す105マイルとパワーもあり、プルヒッティングを覚えれば20本塁打も狙えるだろう。走守の評価は平均以下で、外野両翼も守り始めた。

7.リーバイ・スターリング(RHP)/Levi Sterling:18歳
24年ドラフト全体37位指名。高校では投打の二刀流としても有望視されていたアスリート。現時点での球速は90マイル前半止まりだが、6-5/200の体格、運動能力の高さ、滑らかでバランスの取れた投球フォームからアップサイドを買われている。すでに優れているコントロールもさらなる向上が見込める。数年後の開花に期待。

8.ハンター・バーコ(LHP)/Hunter Barco:24歳
22年ドラフト2巡目。サイドハンド気味の低スリークォーターから93マイルのシンカー、変化量大のスライダー、スピンを殺したスプリットチェンジのコンビネーション。TJ手術からの本格復帰シーズンとなった24年はA+で18登板して防御率3.27/奪三振率30.4%/与四球率8.7%と好投。しかし2Aで2登板した後、左脚のストレス反応で7月末にシーズン終了となった。完成度は高いが、球速の遅さからローテーション下位向きのポテンシャルと評される。25年は健康面の不安を払しょくしたい。

9.ワイアット・サンフォード(SS)/Wyatt Sanford:19歳
テキサス A&M 大学への進学が内定していたが、契約金250万ドルでプロ入り。24年ドラフトクラスの高校生でNo.1のSSディフェンダーと評され、プラス評価を受ける。加えて走力もプラス評価。一方で打撃面には疑問が多く、特にパワーレスがネック。


FV40

大学では度重なる肘痛により大成できなかったが、プロ入り後に急成長。24年はAで18試合に登板して防御率4.06/ⅹFIP3.98をマーク。速球は平均95マイルまで伸び、スライダー&カーブ&カッター&チェンジアップはどれも空振り率40%超え。どの変化球も上質だ。与四球率12.2%のコントロールをはじめとして全体的に未洗練だが、このまま成長を続ければローテーション級に育つ可能性あり。

22年ドラフト3巡目。大学では二刀流プレーヤーとして活躍したアスリート。打撃はコンタクトに欠点があるがパワーと選球眼に強みあり。24年はA+で77試合に出場して打率.238/18本塁打/wRC+135をマーク。ゴロ率25%とボールを空中に集める技術が高い。守備では持ち前のアスリート性&投手としてMAX100マイルの強肩を生かしたプレーが魅力。23年にBaseball Prospectusの総合守備指標DRPで+13.9を叩き出した3Bが天職も、24年はSSメインに2Bでもプレー経験を積んだ。カイル・ファーマーやジオ・アーシェラのようなユーティリティーとしてチームは見ている?

12.ザンダー・ミース(RHP)/Zander Mueth:20歳
23年ドラフト2巡目の高卒右腕。6フィート6の長身投手で、ダスティン・メイ(LAD)似のエクステンション大のフォームから、MAX97マイルのハードシンカー&変化量大のスイーパーのコンビネーション。左打者にはチェンジアップでも空振りが取れる。ボールの質は非凡だがファンキーなデリバリーでコントロールに苦労している。R/Aでは与四球率15.1%&15死球。

22年1月に125万ドルでMILと契約すると、23年夏のトレードでカルロス・サンタナの見返りとしてPITへ移ってきた。引っ張りフライを量産する打撃能力とパンチ力を兼ね備え、24年はRでリーグトップタイの10本塁打(wRC+139)とブレイク。Aではフリースインガーなアプローチがネックとなり、打率.237/6.5%/30.1%とコンタクト面で苦戦したが、28試合で6本塁打を放ち、wRC+は116をマークした。statcastのあるAでのデータに着目すると上位10%打球速度は101.5マイルと年齢を考えれば優秀で、引っ張りフライ率はMLB平均の倍以上となる14.9%だった。走守の評価はあまり高くなく、現在はSS/3Bをほぼ半々で守っているが、将来的にはスピードが落ちて3Bに専念することになるだろうと予想されている。

14.アンソニー・ソロメト(LHP)/Anthony Solometo:22歳
21年ドラフト全体37位指名の高卒左腕。6フィート5のスラリとした長身と大きく腕を引くメカニクスはマディソン・バムガーナー(元SF)を彷彿とさせる。23年はA+で12先発/防御率2.30と好投。24年は21歳シーズンにして2Aで開幕。しかし速球の球速が80マイル台に低下するなどコンディション不良に悩まされ、58.2回を投げて防御率5.37/奪三振率17.1%/与四球率13.0%と振るわず。万全なら90マイル前半の速球と平均以上のスライダーに平均的なチェンジアップ。来季の再起に期待。

15.
ヨーダニー・デロスサントス(SS)/Yordany De Los Santos:20歳
22年に120万ドルでプロ入りした原石。強靭な体格、身体能力、攻守の能力、野球IQと才能は申し分ないが、2年連続Rで無双→Aで苦戦とブレイクしきれていない。24年はRでの57試合でwRC+146をマーク。広角にライナー性の打球を打ち分けるコンタクト力と素早いバットスピードを兼ね備える。何でも振りに行くアプローチが要改善。Aでの25試合という小サンプルながらチェイス率は42%(MLB平均23%)とかなり酷かった。守備は強肩とセンスの良さでSSに定着できるだけの能力を有するが、ガッシリ体型でやや機敏さに欠けるため、3Bの方がフィットするか。


Notable Prospects

MLBで6シーズンプレーしたエリザー・アルフォンゾの息子。辛抱強いアプローチと打球速度の速さが魅力の攻撃型捕手。24年はAでの86試合で打率.253・8本塁打・wRC+115をマーク。上位10%打球速度107.1マイルはMLBでもプラス水準だが、ゴロ率49%&平均ランチアングル9度という低弾道のためパワーを生かしきれていない。また、四球率12.7%は優秀だが、スイング率が39%(MLB平均47%)に対してチェイス率はMLB平均とほぼ同じ21%となっている。選球眼が良いというよりもただ振らないだけと見ることもできるため、制球力の上がる上位投手にどう対応するか。捕手としては盗塁阻止率32%を記録したスローイングとどの投手とも連携が取れるコミュニケーション力(野球一家に育ったことによりバイリンガル)が強み。66試合で6失策&13捕逸を喫した捕球力の向上が課題。

史上3人目となる米球界入りを果たしたウガンダ出身右腕。23年1月の契約時に93マイルだった速球は、6月にはMAX101マイルに到達。23年はDSLで16.2回無失点の完璧デビュー、24年もRで22回/28K/自責2と素晴らしい投球を続けている。伸びのある4シームに、スライダー、カーブ、チェンジアップと変化球も3種扱える。現時点ではリリーフ専門だが、可能性は無限大だ。
23年ドラフト4巡目。大学では制球難でリリーフ中心だったが、プロ1年目となった24年はA/A+で23先発して防御率1.99/奪三振率29.7%と先発として成功。平均93マイルの4シームにゴロ率の高いシンカー、Aで空振り率50%以上を記録したスライダー&チェンジアップとレパートリーは先発相応。平均以下のコントロールを改善し続けることができれば先発に定着できる可能性が見えてくるだろう。

2024年12月1日日曜日

2025 MILWAUKEE BREWERS TOP 15 PROSPECTS

2025 MILWAUKEE BREWERS

TOP 15 PROSPECTS
Jesus Made


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。


FV55

1.ヘズス・マデ(SS)/ Jesus Made:18歳
未来のNo.1プロスペクト候補生。24年1月に95万ドルで契約すると、DSLでの51試合で打率.331・6本塁打・OPS1.013・28盗塁と完璧なデビューを飾った。若くしてパワー、コンタクト、辛抱強いアプローチの3点を兼ね備えており、上位10%打球速度103.9マイルはすでにMLB平均(104マイル)と同等で、コンタクト率89%&チェイス率15%も超優秀な水準だ。走力&肩力もプラス評価だが、守備は打撃ほど洗練されておらず、SSからコンバートされる可能性もある。DSLではSS/3B/2Bで起用されたが、身体能力をそのまま生かせるCF適性を見出すスカウトも。


FV50

22年ドラフト2巡目。6-7/190の長身細身からMAX102マイルのライジングファスト&高スピンのスライダーを投げ込むポテンシャルの塊。エクステンション幅7フィート4はMLBでもトップクラス。球威は申し分ないが、マイナー3年でBB/9=5.8のノーコンが致命的。長い手足、腕のストロークの長さ、フルエフォートな投げっぷり等が原因でメカニクスの再現に苦労している。ブルペン向きとの見方も多いが、制球難さえ克服できればエースポテンシャルだ。
Jacob Misiorowski


3.ヤファーソン・ケロ(C)/Jeferson Quero:22歳
23年にマイナーリーグのゴールドグラブを受賞。攻守を両立した捕手への成長が期待されている。24年は開幕戦で帰塁するために飛び込んだ際に右肩関節唇を断裂。シーズン終了となる手術を受た。23年にBaseball Prospectusの出すフレーミング指標では+7.0を記録。また、盗塁阻止率35%&1試合あたりの盗塁企図1.05はいずれも50試合以上出場した選手でマイナーベストだった。打撃は2AでwRC+107をマーク。20-25ホーマー相当のポテンシャルも、フリースインガー傾向を改善していく必要がある。
左右の違いはあるが、6-4/195の体格、発達した打撃能力、SS/3B向きの守備能力からガナー・ヘンダーソン(BAL)と比較されている大型SS。24年はフルシーズン1年目にしてAでwRC+136と素晴らしいデビュー。コンタクト能力が高く、ラインドライブを量産できる点が強み。ISO.100と現時点ではパワー不足だが、長身細身の体格からビルドアップの見込みあり。一般的なSSよりもサイズが大きく走力も平均的だが、プラスの強肩、高い野球IQ、軽快な身のこなしからSSに定着できる可能性あり。24年はBaseball Prospectusの出す守備指標DRPで+3.8を記録し、マイナーのゴールドグラブを受賞した。


FV45

23年ドラフト3巡目の高卒選手。オーバースロットとなる175万ドルで契約した。6-4/218の規格外のフレームに強靭なパワー&運動能力を兼ね備える。30ホーマー以上打てる三塁手になり得る。守備は大柄な体格に比して動けるが将来的に1Bに回る可能性も。24年はR/Aで計79試合に出場して打率.282・16本塁打・OPS.946をマーク。三振率27.9%とコンタクト能力に欠点があり、ジョーイ・ギャロ(元TEX他)と重なるものがある。

23年ドラフト13巡目指名だが、プロ入り後に急成長。大学時に常時90マイル前半/MAX96マイルだった速球は春季トレーニングで100マイルを計測。開幕してからもA+で4先発/防御率2.45/奪三振率33.9%と快投を披露したが、シーズンが進むにつれて球威が落ち、2Aでは苦戦を強いられた。大学時代は制球難から先発/リリーフ兼任投手だったことから、まずは1年間ローテーションを守れることを証明していきたい。好調なら90マイル後半のライジングファスト、ツーシーム、スウィーパーでゾーンを上下左右に揺さぶる。

7.ヨフェリー・ロドリゲス(OF)/Yophery Rodriguez:19歳
23年1月に150万ドルで契約すると、DSLでwRC+125と好デビュー。24年はR級をすっ飛ばしてAで米国デビュー。18歳ながら110試合に出場して打率.250・7本塁打・wRC+117と年上選手を相手に健闘を見せた。成熟したアプローチで広角にラインドライブを量産し、守備では爆発的なスピードがあるわけではないがCF適性あり。

24年1月に80万ドルで入団すると、DSLでリーグトップの打率.393、2位の39盗塁と大活躍。卓越したコンタクト能力とダブルプラスのスピードが武器。本塁打はランニングHRの1本のみに終わったが、高いコンタクト率と身長5フィート11ながら筋肉質な体型からアプローチの修正次第でパワーも開眼の可能性あり。守備は磨かれる必要があるものの、センターラインにふさわしい運動能力を有する。またプラスの肩力は3Bにもフィットするだろう。



21年ドラフト1巡目指名。コンタクト力と選球眼を兼ね備えるヒットマシーン。23年は2A/3Aで打率.284・18本塁打・OPS.930・wRC+140超とブレイク。走っても55盗塁とプラスのスピードを披露した。しかし、24年は3AでwRC+114と前年よりもパフォーマンスを落とし、MLBにも定着できなかった。加えて守備も1Bメインに移りバリューダウン。1Bとしては本塁打不足であり、1Bに見合うようにパワーを伸ばすか、他ポジションで定着できるように守備能力を改善していくことが求められる。

長身細身のヒョロヒョロ体型で、ミジオロウスキー(当リスト2位)に次ぐポテンシャルだと評するスカウトも。長い手足を生かし、エクステンション幅はMLBでもトップクラスの7フィート5を誇る。90マイル前半の4シーム、2シーム、80マイル前後のスウィーパーがプラスピッチ候補で、チェンジアップもシュート方向への変化量が大きい。体格が成熟すれば球速向上の余地があり、伸びしろを見込んでノスよりも上の10位とした。腕のストロークが長く、メカニクスの再現に苦労している。

11.ジョシュ・ノス(RHP)/Josh Knoth:19歳
23年ドラフト全体33位指名の高卒右腕。MAX98マイルの速球とスピンレート3000rpmsに達するカーブのコンビネーションから、ランス・マカラース(HOU)と比較するスカウトも。身長6フィート1と体格は平均的だが、運動能力&フォームの再現性に秀でる。24年はAで21先発と実戦経験を積んだ。多くの高卒投手と同じくコマンド&チェンジアップの改善が今後の課題。

23年ドラフト2巡目。コンパクトなスイング&磨かれたアプローチでバレル性の打球を量産するヒットマシーン。24年はA+/2Aで79試合に出場して打率.338・6本塁打・OPS.886をマーク。フルシーズン1年目にしていきなり2Aにも適応してみせた。9位のブラックと似たようなプロフィールであり、3Bに残れるように守備能力を磨いていくこと、コーナーバットにふさわしいパワーをつけていくことが求められる。

13.ロバート・ギャサー(LHP)/Robert Gasser:25歳
サイドハンドから平均92マイルの速球と大きく横に滑るスイーパーを主軸に右打者にはカッター&チェンジアップも織り交ぜる技巧派左腕。23年に3Aで135.1回/防御率3.79/FIP3.71をマーク。24年はMLBデビューし5先発で計28回を投げて16K/1BB、防御率2.57と好投したが、6月にTJ手術。25年シーズンも大半を欠場する見込みだ。エース級の球威は無いが、ローテーション下位にフィットするだろう。


FV40

6-4/210のガッシリとした体型の選手で、パワーと選球眼を兼ね備える。24年はA+で打率.220ながら101試合で11本塁打/wRC+154/四球率
18.7%/三振率21.3%をマーク。なお23年にstatcastが搭載されているAで上位10%打球速度106マイルというMLBでもプラス水準の数値を記録している。パワーポテンシャルの割に本塁打数が伸びていないので、そこは今後の課題か。ここ2シーズンで58盗塁を決めているが走力の評価は平均以下で、将来的には1B転向が予想されている。

15.ローガン・ヘンダーソン(RHP)/Logan Henderson:23歳 
21年ドラフト4巡目。低いリリースポイントから90マイル前半のライジングファスト&変化量大のチェンジアップでゾーンの高低を揺さぶる。24年はR/A+/2A/3Aで計81.1回を投げて防御率3.32・奪三振率32.8%・与四球率4.7%と素晴らしい投球内容だった。しかし球速や第3球種であるスライダーの平凡さ、アンダーサイズな体格などからリリーフ向きとの評価が多い。3Aでは全投球の87.6%が速球とチェンジアップだった。

Notable Prospects

事前のMLB公式のドラフトリストでは53位だったが、MILが全体17位でサプライズ指名。ダブルプラスのスピードが武器の1番CFタイプ。打撃はコンタクト重視で本塁打を量産するタイプではないが、プロでは4試合で長打2本。打球速度110マイルの打球を放つなど予想以上のパンチ力を示した。肩力は平均以下ながら優れたCFディフェンダーになり得る。

24年1月に契約金9万ドルでプロ入りと低額な契約で入団したが、DSLで打率.283/8本塁打/OPS.915と素晴らしいプロデビュー。パワーが武器の右のスラッガー候補で、コンタクト力もまずまず。守備は現在CFを守っているが、平均的な走力から将来的にはコーナーに回ると予想されている。

ブライス・メッセージ(RHP)/Bryce Meccage:19歳 
24年ドラフト2巡目の高卒右腕。6-4/200の立派な体格から高回転の90マイル中盤の速球&スライダーを中心に、カーブ&チェンジアップも扱うスペックの高さが魅力。力みがちでコントロールに課題があるが、運動能力の高さから改善されるだろうとの評価。父親はで1988年にLADからドラフト指名された元投手、叔父も現PIT投手コーチと野球一家に育った。

K.C.ハント(RHP)/K.C. Hunt:24歳 
ドラフト指名からは漏れ、23年7月にドラフト外のアマチュアFAでMIL入り。24年はリリーフとして開幕も好投が認められ、中盤から先発転向。結局A/A+/2Aで計102回を投げて防御率2.03/奪三振率34.7%/与四球率6.2%と素晴らしい投球を見せた。90マイル前半と速球は平凡だが、80マイル中盤の大きく落ちる縦スライダーを得意とする。

2024年11月30日土曜日

2025 CHINCINNATI REDS TOP 15 PROSPECTS

2025 CHINCINNATI REDS

TOP 15 PROSPECTS

Rhett Lowder


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.チェイス・バーンズ(RHP)/Chase Burns:22歳
24年ドラフト全体2位指名。速球&スライダーがダブルプラス評価のエースポテンシャル。4シームは平均98/最速102マイルを誇り、平均スピンレート2600rpm超/ホップ変化量20インチ超と球質もMLBトップクラス。スライダーは80マイル後半で鋭く切れ、大学で60%以上の空振り率を記録した。第3球種やコマンドの質は発展途上にあるが、その不安要素を補ってなお余りあるほどのポテンシャルを秘めている大器だ。課題を改善できればサイヤング級の投手に成長できる可能性がある。全力投球型のフォームだが大学3年間で大きな故障なし。レッズ現エースのハンター・グリーンのようになれるか。
Chase Burns


2.レット・ラウダー(RHP)/Rhett Lowder:23歳
23年ドラフト全体7位指名。絶対的な球種がなくエースポテンシャルではないが、ハードヒットを避ける投球能力の高さを評価されている。24年はA+/2A/3Aで防御率3.64・K/BB=4.71と安定した投球を披露し、フルシーズン1年目にしてMLB到達。MLBではK/BB=1.57と与四球を増やしたが6先発で防御率1.17と好結果を残した。シンカー、スライダー、チェンジアップ、4シームをプラスのコマンドで投げ分け、打者の的を絞らせない。すでにMLBで先発ローテーションを張れるだけの実力を備えているが、奪三振能力を伸ばしてアーロン・ノラのようなエース投手に成長するのがベストシナリオだろう。

3.キャム・コリアー(3B)/Cam Collier:20歳
22年ドラフト全体18位指名。プラスのパワーとゾーン理解を兼ね備えた左打者。高校を飛び級で卒業→短大進学というブライス・ハーパーと同じルートで1年早くドラフト対象となり、オーバースロットとなる契約金500万ドルで入団。フルシーズン1年目の23年は6本塁打・wRC+98と不発だったが、24年は20本塁打・wRC+129と着実に成長を見せた。昨年よりもゴロ率を10%下げるなどボールを空中に集める技術が向上し、本塁打増につながった。守備面では、強肩だが3Bとしては守備範囲不足が指摘されている。将来的には1Bが定位置になるかもしれない。20歳シーズンにして開幕を2Aでスタートできる準備が整っている。
Cam Collier


MLB公式の国際アマチュアリストでは4位にランクインしていた原石。23年1月に契約金310万ドルでプロ入りした。6-2/210の強靭な体格にプラスのパワーを備えた攻撃型捕手で、24年はAでの32試合でwRC+127・3本塁打をマークした。守備ではプラスの肩力を有し、俊敏性やコミュニケーション能力も一定の評価を得ている。しかし23年=腕の負傷で全試合DH起用、24年=肋骨の故障により捕手としては21試合の出場と実戦経験が積めていない。健康を維持して捕手として経験を積んでいくこと、三振率28.8%のコンタクト能力を磨いていくことが求められる。


FV45

22年ドラフト全体32位指名。成熟した打撃スキルで広角にハードライナーを量産する右の好打者。24年はA+での80試合で8本塁打・wRC+144をマーク。四球率14.8%/三振率16.9%とゾーン管理能力が卓越している。アプローチを調整すれば20本塁打以上打てるだけのパワーあり。6-3/215という巨体のため走力は平均以下だが、守備では想定以上の軽快さを見せる。24年は3Bと2Bを半々で守り、ユーティリティー性を高めた。

6.チェイス・ぺティ(RHP)/Chase Petty:22歳
高校時代にMAX102マイルを計測した逸材だが、プロではシンカー/スライダーをコントロール良く投げ分けるグラウンドボーラーに転身。24年は2Aでの26先発でⅹFIP3.77とまずまずの成績を残したが、奪三振率22.8%/与四球率10.4%と支配力&コマンドがいずれもやや物足りない内容だった。速球は平均95マイル出るが変化量が小さく空振りを量産できるタイプではないため、細かいコマンドを磨いていくことがローテーション定着の鍵を握るだろう。順調なら25年中にMLBデビューか。

ルイス・カスティーヨのトレードで獲得したうちの1人。プラスのSS守備が評価されており、打撃はバレル感覚が良く、フライボール量産でギャップを破る。23年にA+でwRC+108をマークするなど順調に成長していたが、24年は春季トレーニング中に左肩を負傷しシーズン全休に。オフのAFLで実戦復帰を果たした。25年は2A挑戦の大事なシーズンとなる。

8.サミー・スタフーラ(SS)/Sammy Stafura:20歳
23年ドラフト2巡目の高卒SS。オーバースロットとなる250万ドルで契約した。アスリート性に恵まれたダイナミックな人材で、守備面でもSSに留まれる可能性を示している。ニューヨークのコートラントマナーという寒冷地の出身のため実戦経験の不足が心配されていたが、プロ入り後の懸命な努力で急成長。24年はRを15試合/打率.345で早々に卒業すると、Aでは77試合に出場して出塁率.374・6本塁打・27盗塁をマーク。四球率14.8%/チェイス率20.7%と優秀な見極めを見せた。平均打球速度86.4マイル/上位10%打球速度100.6マイルと現時点では打球速度が不足しており、筋力アップやメカニクスの修正が今後の課題だろう。

9.
タイソン・ルイス(SS)/Tyson Lewis:18歳
攻守に磨かれる必要があるものの、パワー&スピードが魅力のアスリートSS。高校ではチームを3年で2度の州大会優勝に導いた後、24年ドラ2指名。契約金305万ドルは1巡目指名相当だった。打撃は空振りの多さを懸念されていたが、高校最終年にスイング改善に成功して評価を上げた。守備ではSSにとどまれるだけの運動能力を有しているが、ハンドリングやフットワークに不安定なところがあり、CFや2Bに回る可能性あり。

10.リカルド・カブレラ(3B)/Ricardo Cabrera:20歳
MLB公式の国際アマチュアFAリストで3位にランクインしていた原石で、22年に契約金270万ドルで入団。プルヒッティングを得意とするアイザック・パレイデス2世。平均打球速度83.9マイル/上位10%打球速度99.9マイルは平均を大きく下回るが、引っ張り率52%/引っ張りフライ率9.1%は平均を上回っており、その恩恵を受けてAでは11本塁打・ISO.146と長打を量産した。守備では強肩が魅力も、送球エラーの多さが欠点。入団時はSSだったが、昨季は3Bを中心に2B/SSでのプレーとなった。現時点では平均以上のスピードを備えるが、体は肥大化傾向にあり、3Bが定位置となるだろう。


FV40

11.
アダム・サーウィノースキー(LHP)/Adam Serwinowski:21歳
22年ドラフト15巡目の高卒左腕。プロ入り後に急成長を遂げ、高校時にMAXで90マイル前後だった速球は90マイル後半に到達した。6フィート5の長身&ファンキーなデリバリーから平均93.8マイル/2570rpmでホップ変化量平均以上の4シーム&空振り率39.8%を記録した変化量大のスライダーで空振りを量産する。速球とスライダーしか投げられず、与四球率12.3%と全体的に未熟。ロマンはあるが磨かれる必要がある。
Adam Serwinowski


12.ジュリアン・アギアー(RHP)/Julian Aguiar:24歳 
21年ドラフト12巡目とプロ入り時の評価は高くなかったが、23年にA+で14先発/防御率1.92とブレイク。24年は2A/3Aで防御率3.79とソリッドな成績を残し、MLBでも7先発。計148イニングを投げて耐久力をアピールした。平均94マイルのシンカーを軸に右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップを第2球種として扱う。打者を圧倒する球威はなく、ローテーション4~5番手のイニングイータータイプと見ている。

13.ルーク・ホルマン(RHP)/Luke Holman:22歳
大学USA代表にも選ばれた実力者で、24年はルイジアナ州立大で防御率2.75・奪三振率33.7%と好投。戦力均衡ラウンドBでドラフト指名を受けた。平均92マイルと球速はもう一歩だがホップ変化の大きい4シームを高めに、鋭いスライダーを低めに投げ分けて空振りを誘う。6-4/201と体格的な伸びしろを残しており、もう少し球速を伸ばせればローテーションポテンシャルだ。

14.マイク・シロタ(OF)/Mike Sirota:22歳
24年ドラフト3巡目。大学最初の2シーズンでOPS1.060、夏のケープコッドリーグでOPS.942をマーク。ドラフト1巡目候補だったが、ドラフトイヤーに成績を落としてしまった。本調子ならば、適性はアプローチの良い中距離ヒッターで、プラスの走力を武器にCF守備も平均以上。バウンスバックに期待したい。

15.カルロス・ホルヘ(OF)/Carlos Jorge:21歳
21~23年の3シーズンで出塁率.395をマークしている打撃センスが魅力も、24年は打率.220/三振率31.1%とコンタクト面で苦戦。wRC+は平均以下の96にとどまった。それでも7月以降はwRC+123と適応の兆し。小柄ながらコンパクトなスイングでラインドライブを量産し、パンチ力もある。またマイナーで4年連続27盗塁以上をクリアするなど足も使える。プロ入り時はSSだったが、24年は俊足を生かしてCFに転向。

2024年11月26日火曜日

2025 CHICAGO CUBS TOP 15 PROSPECTS

2025 CHICAGO CUBS

TOP 15 PROSPECTS

Matt Shaw


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.マット・ショウ(3B)/Matt Shaw:23歳
23年ドラフト全体13位指名。小柄ながら広角にバレル性の打球を量産する打撃面を高く評価されており、走塁能力も平均以上。24年は2A/3Aで打率.284・21本塁打・OPS.867・31盗塁をマーク。2A/3Aいずれの階級でも140以上のwRC+をマークした。3Aでのstatcastデータに着目すると、上位10%打球速度106.2マイルはプラス水準で、ランチアングル15度&ゴロ率42%と弾道も理想的。一方でスイング率は平均以下ながらチェイス率は31.5%と平均よりもだいぶ悪く、選球眼に課題があると見られる。守備はSSとしてドラフトも、二遊間がスワンソン&ホーナーにロックされていることもあり、24年は3B中心でのプレーとなった。平均以下の肩力が弱点で、3Bとしての評価は平均から平均以下となっている。機敏さを生かした守備範囲の広さと握り替えの早さでカバーしている。
Matt Shaw


2.ケード・ホートン(RHP)/Cade Horton:23歳
高校ではアメフトとの二刀流でも鳴らしたアスリート。大学1年時にTJ手術を受けアメフトを辞めたが、アーリーエントリーでドラフト対象となる2年時に復帰すると評価を伸ばし、22年ドラフト全体7位でプロ入りした。23年はマイナー3階級で防御率2.65・奪三振率33.5%と圧倒的な投球を見せ、マイナートップクラスの投手プロスペクトとして名を上げたが、24年は広背筋の負傷で9登板止まり。懸念されていた耐久面での不安を払しょくすることはできなかった。健康であれば、94-98マイルの伸びのある4シームとプラスのスライダーで打者を制圧する。ローテーション上位ポテンシャルも、制球やチェンジアップの質は要改善。
Cade Horton


3.モイゼス・バレステロス(C)/Moises Ballesteros:21歳
パワーとコンタクト能力を両立した攻撃型捕手。24年は2A/3Aで打率.289・19本塁打・OPS.826をマーク。2AでのwRC+154は20歳以下の選手としては2010年以降で歴代12位(200打席以上)の高数値だった。なお11位はラファエル・デバース、13位はザンダー・ボガーツという並び。打撃能力は申し分ないが、ずんぐり体型で俊敏性はゼロであり、捕手に残れるかは疑問。72試合で13個の捕逸を喫し、盗塁阻止率はわずか12%にとどまった。1B/DHタイプになるリスクがある上に、1Bとしては身長5フィート8と小さすぎるため、DH専門になる可能性もある。

6-4/190の大柄な体格にパワーポテンシャルを秘める左打者。カナダ有数の高校生プロスペクトとして注目され、20年ドラ2でSD入りすると、同年オフにダルビッシュ有の対価の1人としてCHCへ移ってきた。23年に2AでwRC+144、24年は3Aで.278/.375/.473・19本塁打・wRC+121と順調に成長を続けている。三振率28.4%/ゾーン内コンタクト率78.3%と平均以下のコンタクト能力を磨いていきたい。大柄な体格に比して動け、二桁盗塁程度の走力と走塁能力を有する。守備ではプラスの強肩と合わせて平均的なRFディフェンダーになれるとの見立て。
Owen Caissie


5.キャム・スミス(3B)/Cam Smith:22歳
パワーと身体能力を兼ね備えた右の大砲で、24年ドラフト全体14位指名でプロ入りした。1年生にして12本塁打を放った一方で三振率28.7%とコンタクト能力に欠点があったが、ドラフト対象として迎えた2年生シーズンはコンタクト&アプローチが大きく進歩を遂げ、三振率を15.2%まで改善。打率.387・16本塁打・OPS1.142と素晴らしい成績を残した。さらに、ドラフト後も32試合で7本塁打・OPS1.004とよく打った。ガチっとしたやや硬いスイングで、メカニクスは修正が必要か。守備は平均的なスピードとプラスの肩力を有するが、フットワークに問題あり。外野転向の可能性も。

6.ケビン・アルカンタラ(OF)/Kevin Alcantara:22歳
6フィート6の恵まれたフィジカルに傑出した運動能力も兼ね備えた5ツール候補。軽々と広角に長打を生み出すプラスのパワーが強み。24年はスイング率を抑えたことが功を奏したのか、2AでwRC+124、3Aで123と好結果を残し、MLBデビューも経験した。しかし3Aでは平均より3%程度少ないスイング率に対してチェイス率は平均+8%、ゾーン中心部のスイング率-10%となっており、ただスイングを減らしただけで打撃技術自体が向上したかは疑問が残る。またゴロ率51%とゴロが多すぎるため、パワーポテンシャルを発揮しきれていない。守備面では平均以上の走力&肩力を有し、Baseball Prospectusの出す総合守備指標DRPが直近3シーズンで+8.7を記録するなど平均以上のCFになれる可能性あり。大柄な体格から将来的には両翼がフィットするか。


FV45

22年に契約金100万ドルで入団のドミニカン。小柄ながら強烈なフルスイングでバレル性の打球を量産でき、打撃能力の高さが際立つ。23年にAで19歳ながらwRC+115をマークし評価を上げたが、24年はA+でwRC+88と足踏み。しかし、打球速度は向上したとのレポートもあり、またゴロ率35.9%と昨季よりも10%以上ゴロ打球を減らすことに成功している。BABIP.274、HR/FB=4.7%はいずれも平均以下であり、24年の不振はパワーが足りないのにフライを打ち上げたせいもあるだろうが、打者不利なリーグ環境や不運による要因もあったか。スピード&守備力は平均的で、最終的には3Bや2Bに移るか。

21年ドラフト2巡目。コンタクト能力を高く評価されている中距離ヒッター。24年は攻守に成長を辿り、評価を上げた。打撃は2A/3Aで打率.300・7本塁打・OPS.773をマーク。89試合をプレーした2AではwRC+130、三振率は驚異の9.7%を記録した。3Aでは26試合という小サンプルながらゾーン内コンタクト率91.7%と上質なコンタクト能力を示した。1B転向が心配された守備面も改善され、2Bとして平均以上の評価を獲得。走者としても優秀で47盗塁を決めた。

24年は2A/3Aで135回を投げて防御率3.91・奪三振率23.5%・与四球率5.4%をマーク。打者を圧倒するようなプラスピッチは無いが、ストライク先行の投球スタイルで試合を作り上げるバックエンドSPタイプ。平均95マイルの真っスラ系4シームはホップ変化は平均以下だが、ショートアームから繰り出されるためタイミングが取りにくく、ロケーションも優れているため現状最も信頼できる球種だ。80マイル前半のスラーブ、80マイル後半の高速スライダーはいずれも平均的な球種だが、3Aで空振り率30%以上を記録した。チェンジアップは2.4%の使用にとどまった。

23年ドラフト2巡目。23年をTJ手術で全休したが、24年はR/A/A+で18先発して計59.2回を投げて防御率4.37/FIP3.99・奪三振率28%とカムバック。6-6/225の迫力ある体躯からMAX100マイルでホップ変化&エクステンション抜群の4シームを投げ込む。80マイル中盤のスライダーもプラスピッチ候補で、第3球種のチェンジアップは不安定ながら空振りが取れる。コントロールの悪さを改善できれば、ローテーション半ばクラスのポテンシャルだ。


FV40

11.ペドロ・ラミレス(3B/2B)/Pedro Ramirez:21歳
洗練されたスイッチヒッター。辛抱強いアプローチでカウントを整え、コンパクトなスイングでライナーを打ち分ける。23年は19歳にしてAでwRC+119、24年はA+でwRC+111と毎年結果を出し続けている。純粋なパワーは平均以下であり、パワー不足を補うには2年連続50%超えのゴロ率を改善していきたい。平均以上の走力と盗塁技術を兼ね備え、ここ3シーズンで46盗塁。守備は2Bとして平均的な守備範囲を有するが、3Bとしては肩力がネックか。

12.
ジョナサン・ロング(1B)/ Jonathon Long:23歳
23年ドラフト9巡目とプロ入り時の評価は高くなかったが、24年にA+/2Aで打率.283・17本塁打・OPS.851とブレイク。特に2A昇格後46試合でwRC+189とさらに調子を上げた。平均以上のパワー、A+でゴロ率40.6%/2Aで37.8%とライナー&フライを量産できるバレル感覚、フィールド全体に打ち分けるバットコントロール、四球率14.1%の選球眼と打撃に関しては言うことなし。守備は本職の1Bの他に3B/LFでも起用された。

13.コール・マシス(1B)/Cole Mathis:21歳
大学2年までは二刀流で鳴らし、2年時にはチームトップのOPS1.014&防御率3.45とブレイク。3年シーズンは1Bでのプレーに専念し、自己最多の14本塁打・OPS1.122をマークし、ドラフト2巡目指名でプロ入りを果たした。パワーとコンタクトのバランスが良いピュアヒッターで、フライボールを増やせばより本塁打を増やせるか。大学では1Bメインも、公式戦で1試合しか守っていない3Bとしてドラフト指名された。

14.ロニー・クルーズ(SS)/Ronny Cruz:18歳
24年ドラフト3巡目。生粋のパワーが武器で、すでに打撃練習ではすさまじい打球を飛ばしている。6-2/170の立派な体格にさらなる筋肉がつけば20ホーマー以上も夢ではない。アプローチ&コンタクトの荒さは要改善。平均以上の走力と肩力を有し、SSに留まれる資質あり。スカウトによっては3BやCFに適性があるとの見方も。

15.ヤヒル・メレンデス(SS/3B)/Yahil Melendez:19歳
プエルトリコ出身。23年ドラフト7巡目の出身だが、24年は2年目となるR級でwRC+111とパワフルな打撃内容。三振率28%は要改善も、ゴロ率36.5%/引っ張り率50.4%という引っ張りフライを稼ぐアプローチと6-3/165という長身細身の体格からパワーポテンシャルあり。守備はSSに留まれる資質を有するが、ビルドアップに伴い将来はスピードを失うと予想されており、2Bや3Bに移ることになるか。

2024年11月23日土曜日

2025 WASHINGTON NATIONALS TOP 15 PROSPECTS

2025 WASHINGTON NATIONALS

TOP 15 PROSPECTS

Dylan Crews


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV60

1.ディラン・クルーズ(OF)/Dylan Crews:23歳
23年ドラフト全体2位指名の5ツール候補。走攻守揃ったオールラウンドプレーヤーで、CF版アンソニー・レンドン(現LAA)が筆者の見立て。24年はプロ1年目にして2AでwRC+125、3Aで106を記録するなど順調に適応してMLB到達。しかしMLBでは変化球に苦戦し、wRC+80と不発に終わった。「ダブルプラスヒッターになり得る」というドラフト時の評価を考えるとやや物足りない印象も受けるが、3Aではゾーン内コンタクト率86.5%、上位10%打球速度106.5マイルといずれもMLB平均以上の数値を記録しており、低弾道や不安定なアプローチを改善できれば、MLBでも活躍が期待できるだろう。守備面では走力&肩力いずれもプラス評価で、MLBではRF中心に31試合に出場してDRS+4、OAA+3をマーク。またマイナーのゴールドグラブも受賞した。走塁でもマイナー/MLBで計37盗塁(成功率82%)。
Dylan Crews


FV50

23年ドラフト3巡目。1巡目相当の契約金260万ドルでプロ入りすると、24年は大活躍。Aでの20先発で防御率2.33・奪三振率
39.2%・与四球率8.2%をマークした。6フィート6の巨体から最速101マイルの速球を投げ込み、スライダー&チェンジアップもキレ良し。課題とされたコントロールもシーズン通して成長。特にラスト8戦は8四球にとどめた。さらなるコマンド向上を遂げ、上位打者にも適応できるか。
Travis Sykora


3.ブレイディ・ハウス(SS)/Brady House:22歳 
21年ドラフト1巡目。強肩強打の大型内野手で、ドラフト時にはマット・チャップマンとMLB公式は比較していた。6-4/215の恵まれた体格にパワーポテンシャルを秘めるが、超フリースインガーでアプローチに難あり。特に3Aでのスイング率58.3%はMLBならワースト三傑に入るレベル。余計なスイングを減らし、凡打を減らしていくことが課題。守備では3B転向2年目で板についてきており、平均以上のディフェンダーになれるとの評価を得ている。

4.
ハーリン・スザーナ(RHP)/Jarlin Susana:21歳
フアン・ソトの見返りの1人。6-6/235の恵まれた体格から最速103マイルの速球と80マイル後半の高速スライダーを投げ込む剛腕。開幕から8先発で防御率8.89・与四球率14.4%と苦しんでいたが、そこから16先発で防御率2.79・奪三振率39.4%・与四球率9.3%と覚醒。FIPはAで2.44、A+で2.25だった。制球難を改善して飛躍を遂げた。リリーフ転向が既定路線と見られていたが、このまま成長を続けて先発に留まれるか。


FV45

5.シーバー・キング(SS)/Seaver King:22歳
24年ドラフト全体10位指名。大学2年の夏にUSA代表で結果を残すと、3年シーズンより強豪ウェイクフォレスト大へ転校。ニック・カーツ&チェイス・バーンズと共に1巡目指名を受けた。パワー&スピードを両立し、守備では3B/CF/SS/2Bと内外野複数ポジションこなすユーティリティ性も備えるアスリートタイプ。特にベストツールのスピードは20-80スケールで70評価。フリースインガー傾向が強く、チェイス癖あり。プロの投手に対応できるかを証明していく必要がある。
Seaver King


6.ケード・カバリ(RHP)/Cade Cavalli:26歳
20年ドラフト1巡目。マイナー屈指の豪腕プロスペクトとして台頭したが、23年をTJ手術で全休。24年もリハビリが遅れ、3試合の登板にとどまった。万全ならば平均95-96マイル/最速100マイルの速球が武器で、カーブ&チェンジアップもプラスピッチ候補。ローテーション半ばポテンシャルも、25歳シーズンを終えてMLBでの実績0。健康面と制球面の不安を払しょくできなければ、リリーフ転向を余儀なくされるだろう。

7.ケイレブ・ロマビタ(C)/Caleb Lomavita:22歳
24年ドラフト全体39位指名。高い打撃センスと捕手離れしたアスリート性が魅力で、MLB公式はウィルソン・コントレラスと比較。平均以上の走力の持ち主で、盗塁も狙える。大学では1年時から活躍し、3年間でOPS.903をマーク。夏のケープコッドリーグでも結果を出している。捕手に専念したのは大学に入ってからだが、平均以上の強肩、頼れるリーダーシップと勤勉性、持ち前の運動能力の高さから捕手に留まれると予想されている。

23年ドラフト2巡目の高卒左腕。名門バンダービルト大への進学が内定していたが、オーバースロットとなる契約金230万ドルでプロ入りを決めた。6フィート6の長身を生かしたエクステンション大のフォームからMAX99マイルで高スピンの速球を投げ込む。カーブ&チェンジアップも切れるが、制球難が致命的。24年はAで25先発して与四球率16.1%。リリーフ転向のリスクも。

23年ドラフト2巡目。6-4/250の巨体にプラスのパワーが武器のスラッガー候補。24年は開幕から37試合でwRC+90・0本塁打と不発。その後左親指の怪我でIL入り。ところが7月30日に復帰すると、そこから38試合でwRC+161・5本塁打とV字回復を見せた。GB%=48.3%、引っ張り方向への打球割合39.9%はいずれも平均以下であり、引っ張りフライを増やしてパワーを生かしたいところ。大学では3Bも、プロでは1Bメインでプレー。体型の割に軽快に動け、3Bに留まれる可能性もあるが、1Bとしてなら平均以上のディフェンダーになれるとの評価。

10.ケイデン・ウォラス(3B)/Cayden Wallace:23歳
ハンター・ハービーとのトレードで昨夏KCより加入。広角にライナーを打ち分ける二塁打マシーンタイプで、3B選手としてはパワー不足が指摘される。守備ではダブルプラスの強肩の持ち主で、走力も平均から平均以上と機敏さも問題なく、3Bにとどまれるとの見立て。走塁能力も高く、隙があれば盗塁を狙える。24年は開幕から37試合でwRC+120と順調な滑り出しも、腹斜筋の負傷でIL入り。WSH加入後は11試合でwRC+11に終わった。


FV40

ジェシー・ウィンカーとの1対1トレードで昨夏NYMから加入。平均94マイルのシンカーと横滑りするプラスピッチ候補のスライダーのコンビネーションでゾーンを揺さぶる。WSH傘下加入後はチェンジアップの向上をテーマに取り組んでいる。24年は2Aでの21先発で防御率3.58・FIP3.08・奪三振率27.4%(WSH加入後4戦だと防御率2.08・奪三振率35.6%)をマーク。3Aデビュー戦では6回パーフェクト投球を披露した。持ち球的にはローテーション下位~スイングマンがフィットするとの評価。

12.アンドリー・ララ(RHP)/Andry Lara:22歳
6-5/235の立派な体格とそれをコントロールできる運動能力を兼ね備える。好調時は94マイル前後の速球で両コーナーの低めを突き、低めのスライダーor高めの4シームで打者を制圧できる。24年はA+での6先発で防御率2.35・奪三振率32.2%と快投。2A昇格後は19先発で104回を消化し防御率3.63とイニングイーター適性を見せた一方で、奪三振率22%と支配力が下落。特に対左打者に対して被OPSが.200以上悪くなっているので、第3球種のチェンジアップの質を磨きたいところ。ローテーション候補の地位を得るには、奪三振能力の向上が課題だ。

13.ジェーク・ベネット(LHP)/Jake Bennett:24歳
22年ドラフト2巡目。完成度の高さを評価されているワークホースタイプで、MLB公式は6フィート6の巨体も含めてジョーダン・モンゴメリー(前TEX)と比較。91-94マイルの速球とプラスのチェンジアップ、平均的なスライダーのコンビネーション。23年はAでは9先発/防御率1.93と快投も、A+では6先発/防御率5.57と足踏み。23年9月にTJ手術を行い、24年は全休。25年シーズンの復帰を目指す。

14.
デイレン・ライル(OF)/Daylen Lile:22歳
21年ドラフト2巡目。打撃スキルの高い両翼選手で、FanGraphsはデービッド・ペラルタ(前LAD)やラモンテ・ウェイドJr.(SF)と比較。24年はA+でwRC+118、2Aで108とソリッドな内容も、計130試合で6本塁打止まりだったため、LFメインの選手としてはパワー面が物足りなかった。ゴロ率の低さと引っ張り率の高さを両立している点は魅力であり、筋肉をつけていけばパワー開眼の可能性も。

15.ルーク・ディッカーソン(SS)/Luke Dickerson:19歳 
23年ドラ2の高卒選手。非1巡目選手としては現行のボーナスプール制度が始まってから最高額となる380万ドル(全体22位相当の契約金)で契約した。ホッケーとの二刀流で鳴らしたアスリートで、今春マイク・トラウトが持つニュージャージー州記録タイの18本塁打を放った。プラスのスピードを有し、守備動作も滑らかだが、肩の弱さから長期的には2BやCFの方が能力を生かせるとの評価。

2024年11月17日日曜日

2025 PHILADELPHIA PHILLIES TOP 15 PROSPECTS

2025 PHILADELPHIA PHILLIES

TOP 15 PROSPECTS

Andrew Painter

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV60

22年にマイナー3クラスで103.2回/防御率1.56と圧倒的なパフォーマンスを披露し、「ベースボールアメリカ」のマイナー最優秀投手に輝いた。しかしTJ手術などで23&24年シーズンを全休。健康であれば、6-7/215の規格外の体格から平均96.7/最速101マイル/スピンレート2408rpmの速球を主軸に、平均から平均以上のスライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜる。また、大柄ながら運動能力も素晴らしく、コマンドもプラス評価。球威、変化球、コマンド、体格全てを兼ね備えたエースポテンシャルだ。オフにはAFLで再び100マイルを計測するなど順調な回復ぶりをアピール。25年シーズンの全快に期待。
Andrew Painter


FV50

2.エイデン・ミラー(SS)/Aidan Miller:21歳
23年ドラフト全体27位指名の高卒選手。U-12、15、18でUSA代表を務めた実力者であり、強肩強打が魅力の大型内野手。24年はAでwRC+153、A+で128と好パフォーマンスを披露。2Aまで到達してみせた。辛抱強いアプローチで引っ張りフライを量産し、Aで記録した上位10%の打球速度106.5マイルはすでにプラス水準。チェイス率は非常に低いが、スイング率自体が低いので、階級が上がるにつれて投手の制球力が上がる中でどうなるか。ドラフト時に将来は3B転向と評されていた守備面でも成長著しく、SS残留の可能性を示した。もし仮に3Bに移ったとしてもパワー面で十分にインパクトを残せるだろう。
Aidan Miller


年齢離れした打撃能力が魅力の攻撃型捕手。23年に契約金9万ドルで入団とプロ入り時の評価は高くなかったが、16歳ながらDSLでwRC+146と圧倒的な成績を残して評価を上げた。24年はRをwRC+132で早々に卒業すると、17歳シーズンにしてAでの28試合で5本塁打・wRC+117と実力を発揮。Aでのトラッキングデータに注目すると、上位10%の打球速度104.6マイルはすでにMLB平均超え。スイング率55%&チェイス率35%という超フリースインガーのため、Aでは三振率28.9%と三振が急増してしまった。ゾーン内コンタクト率83%は平均レベルなのでアプローチを磨いて余計なチェイスを減らしたいところ。守備は発展途上ながら強肩の持ち主。すでに体格が肥大傾向にあり、捕手として長くプレーするには体重管理にも気を付けたい。

4.スターリン・カバ(SS)/Starlyn Caba:19歳
23年1月に契約金300万ドルで入団したドミニカ共和国出身のトップアマチュア。プラスのヒットツール&ゴールドグラブ級の守備力を兼ね備えた両打ちSSで、若き日のフランシスコ・リンドーア(現NYM)と比較する声も。打撃はシンプルなスイングでライナーを左右に打ち分け、塁に出れば盗塁でチャンスを広げる。Rでは52試合でwRC+125・37盗塁をマークしたが、Aでは非力さが足を引っ張り、26試合でwRC+59と苦戦。

球宴4度の名選手カール・クロフォードの息子であり、22年ドラフト全体17位指名でプロ入り。父譲りの俊足がベストツールで、コンタクト能力と併せて父と同じくリードオフマン適性あり。24年はA+/2Aで計110試合に出場し、打率.313・9本塁打・OPS.805・42盗塁をマーク。20歳シーズンにして2AでwRC+140と成功ルートに乗ってみせた。パワーはまずまず(23年にstatcastが搭載されているAで上位10%の打球速度103.5マイルとMLB平均並みの打球速度を記録)だが、グラウンドボール率が60%を越しており、打撃ポテンシャルには疑問。またCF守備でもルート取りの悪さが指摘されており、2年連続でBaseball Prospectusの出す守備指標DRPはマイナスになっている。本塁打を量産するタイプではないため、CFに残れるように守備力も磨いていきたい。

24年ドラフト2巡目の高校生。パワー&スピードに恵まれたフィジカルモンスターで、オーバースロットとなる契約金250万ドルでプロ入りした。ベストツールのスピードは20-80スケールで70評価。打撃は発展途上ながらも、ショーケースで結果を出しており、及第点レベルとの評価。守備力もCF中心に外野3ポジションいずれにもフィットするとの評価を得ている。

7.モイゼス・チャセ(RHP)/Moises Chace:22歳
コントロールの改善が上手く行けば、先発に留まれるだけの資質を備えている。身長6フィート1とアンダーサイズだが、低リリースから繰り出されるライジングファストボールを武器に空振りを量産する。スライダー&チェンジアップも空振りが取れるアウトピッチだ。24年はA+/2Aでの計15先発で防御率3.59・被打率.198・奪三振率37.1%・与四球率12%をマークした。理想の完成像はクリスチャン・ハビアー(HOU)。

8.ジーン・カブレラ(RHP)/Jean Cabrera:23歳
23年にAでFIP3.13、24年はA+で3.38/2Aで3.41と直近2シーズンで安定したパフォーマンスを披露している右腕。平均94~95マイルのシンキングファストに平均以上のチェンジアップ&平均的なスライダーのコンビネーション。ここ2年で与四球率6.1%とコントロールも安定している。6-0/140と非常に細身なため、体が出来上がれば100マイルも夢ではない。
Jean Cabrera


FV40

23年ドラフト3巡目のハワイ出身高卒プロスペクト。打球速度&コンタクト率は平均的だが、磨かれたアプローチで引っ張りフライを量産し、Aでの97試合で17本塁打・wRC+123と好結果を出した。バレル率9.7%は高水準だ。走力もプラス評価で22盗塁(2失敗)を決めた。高校では外野手もプロでは内野に転向。DH以外の全守備機会を2Bでプレーした。

10.セス・ジョンソン(RHP)/Seth Johnson:26歳
平均95マイル前後のライジングファストとハードスライダーで三振を量産するポテンシャルは非凡。24年はTJ手術から復帰し、2A/3Aで25先発して防御率2.73・FIP4.42をマーク。カーブ&チェンジアップも扱えるが、全投球の8割以上が速球&スライダーであること、与四球率12.5%と制球に課題があること、すでに26歳という年齢を考慮すると、ブルペンに専念する方が現実的か。

11.
ガブリエル・リンコネス(OF)/Gabriel Rincones:24歳
22年ドラフト3巡目。6-3/225の恵まれた体格にパワーポテンシャルを備える。23年にstatcast搭載のAで上位10%打球速度107.5マイルというMLBでも上位の数値を残している。24年は2Aでの59試合で打率.263・11本塁打・四球率11.6%・wRC+141をマーク。余計な動作の少ないシンプルなスイングでGB%=33.8%とライナー/フライ性の打球を量産した。ここ2シーズンで計55盗塁を決めているが、走力は平均を大きく下回るとの評価で、将来は1B/DHが適性と見られている。コンタクト率の改善が課題。

12.ダンテ・ノリ(OF)/Dante Nori:20歳
24年ドラフト全体27位指名。若き日のアレク・トーマスと比べられるオールラウンド候補。20-80スケールで70評価のスピード、シンプルなスイングでラインドライブを量産する巧打、CFにとどまれる守備力を兼備する1番CFポテンシャルだ。

24年シーズン、PHI傘下で最もブレイクした投手プロスペクトの1人。A+で12先発/xFIP3.04、2Aでも8先発/ⅹFIP3.08と好投。計103.2回を投げて奪三振率31.3%/与四球率6.7%と素晴らしい支配力を披露した。MAX97マイルでエクステンション抜群の4シームと80マイル前半のスラーブを主軸に、80マイル中盤で外にフェードするチェンジアップも交える。

20年ドラ1の大器だが、プロでは制球難が克服できずにいる。24年は3Aで24先発して防御率6.46。与四球率は階級が上がるにつれて悪化傾向にあり、24年は15.1%と球界最低レベルだった。速球は21年に平均95.4マイル/2488rpmを記録していたが、24年は平均94.6マイル/2240まで悪化。スライダー、カーブ、チェンジアップ、シンカーと持ち球全てが得点価値マイナスと良いところがなかった。来季も復活の兆しが見えなければリリーフ転向を余儀なくされるだろう。
22年に契約すると、2シーズンDSLでプレーしたのち、24年はRでの24試合でOPS.976と好調な打撃成績を残した。プラスツールがあるわけではないが、打撃感覚の良さとチェイス率の低さを生かして長短打を量産する。四球率20.2%/三振率9.6%と素晴らしいアプローチを示した。走守のツールは平均的で、3B/2Bの守備力はまずまずとの評価。打撃を売りにアピールしていきたい。