2025年1月18日土曜日

2025 NEW YORK YANKEES TOP 15 PROSPECTS

2025 NEW YORK YANKEES  

TOP 15 PROSPECTS

2025年 ニューヨーク・ヤンキース プロスペクトランキング
Jasson Dominguez

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV55

1.ジェイソン・ドミンゲス(OF)/Jasson Dominguez:22歳
パワーとスピードを兼ね備えた身体能力の高い選手で、「火星人」の異名を誇る。24年はTJ手術明けで出遅れた上に腹斜筋の負傷での離脱もあり、メジャー/マイナーで計76試合の出場にとどまった。3Aでは44試合でwRC+121としっかり結果を出し、上位10%打球速度はMLBトップクラスの107.5マイルを計測。バレル率や引っ張りフライ率、コンタクト率も平均以上と打撃技術の成長も見えた(依然として低弾道でゴロ/ライナーが多いが)。どっしりとした体型だが、21盗塁/1失敗とスピード&盗塁技術は優秀。一方で俊足の割に守備面は発展途上で、最終的にはLFに落ち着きそうだ。MLBでは18試合という小サンプルながらOAA-3を記録してしまった。「20-20」級のパワー&スピードとLF向きの守備力から比較対象はランディ・アロザレーナ(23年にwRC+126/23本塁打/22盗塁/LFでOAA-6/fWAR3.3)と見ている。
Jasson Dominguez


FV45

23年ドラフト1巡目の高卒SS。同名の父は元MLB選手で、現在タイガースでコーチを務める。飛び抜けたツールは無いが、走攻守に磨かれており、ドラフト時にMLB公式はマーカス・セミエンと比較していた。打撃はAでの81試合で打率.232/5本塁打/wRC+105をマーク。成熟したアプローチ(平均以上のゾーン内スイング率と平均以下のチェイス率を両立し、四球率12.8%)でバレル性の打球を量産できる。上位10%打球速度102.8マイルは同年齢の中では平均以上であり、ISO.116に終わったパワーも将来的には平均レベルに育つだろう。ゾーン内コンタクト率が74.3%と平均以下で、特に外角高めの速球に苦戦した。守備は派手さはないものの、堅実さが光り、SSに定着できるだろうとの評価。Baseball Prospectsの出す守備指標DRPでは+4.8を叩き出した。
George Lombard


22年に400万ドルで契約したドミニカ共和国出身の大型SS。荒削りだが、完成すれば「30-30」も可能なアップサイドを秘める。Aでは打率.233/三振率31%/コンタクト率63%(MLBの平均は75%)とコンタクトに苦戦したが、7月以降は三振率を24%、コンタクト率を70.8%にまで改善させ、wRC+137と適応を見せた。守備ではダブルプラスの強肩を有し、練習を積んでいけばSSに定着できるだろうとスカウトたちからは評価されている。

22年ドラフト1巡目。6-7/225の大型選手で、アーロン・ジャッジと比較される運命にある選手。パワーポテンシャルはマイナー屈指だが、昨季2Aで三振率36.8%/200三振とコンタクトに致命的な欠陥がある。リーグ平均年齢とほぼ同じ年齢ながら、2AでwRC+124と飛び抜けた成績を残せていない。守備ではCF相応のアスリート性を有するが、ジャッジ同様にRFが最もフィットしそうだ。

23年にブレイクし、傘下No.1投手プロスペクトとして台頭。A+で9先発/防御率2.68/奪三振率40.5%と支配的な投球を見せ、2Aに定着した。しかし、24年は右ひじの違和感や下半身のコンディション不良により、7試合の登板にとどまった。健康であれば、90マイル中盤でホップ変化の大きい4シームと高強度のスライダーで空振りを量産し、カーブ&カッターをカウント球として効果的に織り交ぜる。まずは健康に復帰することが目標だ。
Chase Hampton


6.ヘンリー・ララン(LHP)/Henry Lalane:21歳
バスケットボール選手の父、バレーボール選手の母の血を受け継いだ6フィート7の大型左腕。24年は左肩の負傷で12イニングのプレーに終わった。健康であれば、MAX97マイルの速球、大きく曲がるスライダー、落差・横変化ともに優秀なチェンジアップの3球種すべてがプラスピッチ候補。フォームの再現性も高く、コントロール面の評価も高い。

21年ドラフト3巡目の高卒左腕。4シームは平均92.5マイルながら23年に1Aで平均スピンレート2698rpms、第2球種のスライダーも2645rpmを計測しており、ボールの回転量はMLBでもトップクラスを誇る。現時点では速球とスライダーが投球のほとんどを占めており、先発に定着するにはチェンジアップを磨いていきたいところ。24年は2Aで16先発して防御率4.25/奪三振率22.4%/与四球率10.8%という内容だった。奪三振率、与四球率いずれも前年より悪化したため、来季はどうなるか。

8.ベン・ヘス(RHP)/Ben Hess:22歳
24年ドラフト1巡目。大学1、2年シーズンは怪我で欠場があったが、ドラフトイヤーの3年シーズンは健康を維持し15先発とローテーションを守った。しかし、与四球&被弾が多く、防御率は5.80と良くなかった。6-5/225と体格に恵まれており、平均94/最速99マイルでホップ変化量大の4シームと落差の大きいカーブがプラスピッチ候補。平均的なスライダー&チェンジアップも交える。先発に定着するにはコントロールの改善と健康を維持することが課題だろう。


FV40

9.
ウィル・ウォーレン(RHP)/Will Warren:26歳
クレイ・ホームズと比較され、大きく横滑りするスウィーパーと平均93マイルのシンカーを武器にゾーンを揺さぶるグラウンドボーラー。22、23年とマイナーで2年続けて129イニング/防御率3点台と好投。24年は3Aで23先発してFIP4.63/奪三振率28.0%/与四球率8.0%とまずまずの内容を残し、MLBデビューも経験した。24年はシンカー&スウィーパーのコンビネーションに加え、4シーム&チェンジアップでゾーンの高低を攻めるアプローチも磨いた。打者を圧倒する球威は無く、ローテーション下位のイニングイーターorホームズ同様にリリーフが適任か。

10.エドグリーン・ぺレス(C)/Edgleen Perez:19歳
10代にしてすでに傘下トップクラスの捕手守備と評される未来の正捕手候補。打撃はコンタクト&アプローチが優秀で、Rでの51試合で打率.283/2本塁打/wRC+138をマーク。慎重なアプローチで四球率20.8%と四球を荒稼ぎし、出塁率.444はリーグ内3位だった。課題とされるパワーでも着実に成長を見せており、リーグ平均以上となる打球速度やハードヒット率を記録した。ISO.096止まりだったパワーナンバーに反映できるか。

11.ブライス・カニングハム(RHP)/Bryce Cunningham:22歳
24年ドラフト2巡目。1、2年時はスウィングマン起用だったが、3年シーズンは強豪バンダービルト大でエースを務めた。6-5/234の恵まれた体格からMAX99マイルでエクステンション&ホップ変化に富んだ4シーム、シュート方向に大きく逃げるチェンジアップが平均以上のボール。スライダーは曲がりが小さく現時点では平均以下の評価。コマンドが甘く、HR/9=1.5と一発病持ち。4シームのコマンド向上とスライダーの質改善がプロでの課題だろう。

24年12月にカルロス・ナルバエスとのトレードでBOSから獲得したプロスペクト。23年に92-95マイルだった速球が、常時95~96マイル/MAX99マイルに上昇。評価を伸ばした。A/A+で自己最多となる89.2回を投げて防御率2.91/奪三振率27.2%/与四球率11.5%をマーク。スライダー、カーブ、チェンジアップと球種のレパートリーは豊富だが、プラスピッチ不足。変化球の質や不安定なコントロールを磨いていきたい。

Rで40試合に出場して打率.301/8本塁打/wRC+161と大活躍。Rのオールスター(1B)に選ばれた。パワーポテンシャルを期待されており、ゾーン内コンタクト率88%/ゴロ率36.6%とヒットツールも優秀。アマチュア時代は外野手だったため、捕手守備は発展途上。運動能力&肩の強さは及第点も、捕球面を磨く必要がある。

14.エバーソン・ぺレイラ(OF)/Everson Pereira:24歳
荒削りだがプラスのパワーを有する5ツールポテンシャルで、スピード&肩力も平均以上。23年は2AでwRC+145、3Aでも132をマーク。24年は右ひじの手術で40試合の出場に終わったが、3AでwRC+120と順調に結果を出している。しかし、コンタクト難が致命的で、昨季のコンタクト率59.4%/ゾーン内コンタクト率67.4%は球界最低レベル。21~24年の4シーズンにおいてMLBで規定打席に到達した選手の中で、ピレイラよりもコンタクト率が悪かった選手はおらず、MLBでさらに投手のレベルが上がることを考えると、現状ではレギュラー定着は難しいだろう。外野守備もBaseball Prospectsの出す守備指標DRPは2年連続マイナスで、23年にMLB昇格した際は全試合LFでの起用だった。

傘下トップレベルの打球速度を誇るパワーヒッター候補。24年はA+/2Aで計21本塁打を放った。wRC+はA+で57試合/149、2Aで65試合/150といずれも素晴らしい内容だった。三振率25.3%とコンタクト能力に課題があり、上位でも打率を維持できるか。捕手守備は平均以下で、MLBでは1Bに専念することになりそうだ。69試合マスクをかぶって115盗塁を許し、阻止率は16%にとどまった。


Notable Prospects

6-5/167と伸びしろ溢れる体格からMAX96マイルを投じる原石。24年はRで49回を投げて防御率2.76/奪三振率21.4%/与四球率7.8%と好投。4シーム、シンカー、チェンジアップ、スライダーを織り交ぜ、変化球はチェンジアップが最も評価されている。スライダーは80マイル前後でやや緩い部分があり、強度アップが課題。マイナーでは3年連続ゴロ率55%超えとゴロアウトの多さも特徴。

23年ドラフト6巡目。24年はA/A+で防御率3.65/奪三振率30.6%/与四球率11.1%と好投。速球と縦スライダーを武器に奪三振を量産した。statcastデータが得られるAでの成績に着目すると、4シームは平均93マイルとスピードは平凡ながらホップ変化量17.7インチ/リリース高5フィート5とフラット軌道を描く。また第2球種の縦スライダーは落差が大きく、空振り率46.9%と効果的だった。一方で、速球とスライダーが投球の8割を超えていて、チェンジアップの使用割合が5%未満なこと、先発としては球速もコマンドも不足していることから、MLBではリリーフ向きか。

元ヤンキースのセットアップ、デリン・ベタンセスと比べられる巨漢ハードボーラー。6フィート7の巨体から90マイル後半の速球とキレの良いスライダーで空振りを量産する。プロ3年で与四球率14.9%(昨季与四球率20%)とコントロールが荒れており、ベタンセス同様にリリーフ転向のリスクをかかえる。

契約金175万ドルで入団したトップアマチュア。6-4/212の強靭なフィジカルに30ホーマー級のパワーポテンシャルを秘めている。しかし、DSLでは打率.196/三振率32.9%とコンタクト面で苦戦した。走守のツールも良く、全試合CFとして起用されたが、ダブルプラスの強肩と体の大きさから将来はRF向きか。

23年に435万ドルという巨額の契約をしたキューバ出身の原石。守備と走塁の評価が高いCFで、マニュエル・マーゴやアルバート・アルモラと比較するレポートも。Rでは35試合でwRC+100とまずまずの内容も、0本塁打/三振率27.9%/ゴロ率54%と打撃ポテンシャルに不安を残した。

24年ドラフト3巡目。大学1年シーズンに防御率1.06と好投し、強豪ルイジアナ州立大に転校も、2年シーズンは防御率5.68、3年シーズンも6.55と全く結果を残せず評価を落とした。しかし球威は素晴らしく、コマンドを取り戻せれば再ブレイクの可能性あり。最速で97-98マイルに達するライジングファスト、高スピンで変化量大のスライダー&カーブと3つがプラスピッチ候補。チェンジアップは投げない。

2025年1月12日日曜日

2025 BOSTON RED SOX TOP 15 PROSPECTS

2025 BOSTON RED SOX 

TOP 15 PROSPECTS

2025年 ボストン・レッドソックス プロスペクトランキング
Roman Anthony


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV65

1.ロマン・アンソニー(OF)/Roman Anthony:21歳
22年ドラフト2巡目(エドゥアルド・ロドリゲスの補償ピック)の高卒選手。20歳シーズンにして2A/3Aで打率.291/18本塁打/OPS.894をマークし、球界屈指のトッププロスペクトに成長した。ダブルプラスのパワー&CFにとどまりうる守備力(体の大きさや走力的には両翼がフィットか)を兼ね備える。3Aでは35試合という小サンプルながら上位10%打球速度108.4マイルをマークし、コンタクト率やチェイス率も平均以上だった。また、2Aの試合では打球速度116マイルのホームランを放ったが、昨季のMLBで打球速度116マイル以上の本塁打を放ったのは大谷、スタントン、ジャッジ、アルバレス、ゲレーロJr.、ヘズス・サンチェスの6人だけである。ゴロ48%と平均よりもゴロ打球が多く、パワーポテンシャルをより発揮できるように、ライナー/フライ率を高めていきたい。


FV60

2.マルセロ・メイヤー(SS)/Marcelo Mayer:22歳
21年ドラフト全体4位指名。コリー・シーガーの打撃力&ブランドン・クロフォードの守備力と評され、走力以外の4ツールがプラス評価。24年は2AでwRC+142と実力を発揮。115.2マイルの二塁打(昨季のMLBでMAX115.2マイルを超えたのは26人だけで球界上位4%相当)を放つなどパワーが伸びてきている一方で、ラインドライブ重視でゴロ率が高いこと、早打ちでフリースインガー傾向があることが懸念事項。パワーを実戦でより発揮できるようにアプローチを磨いていきたい。守備では爆発的なスピードがないものの、センスや打球反応の良さでカバーし、比較されるクロフォードやシーガーのようにSSに定着できるとの評価を得ている。



FV55

24年に最もブレイクを果たしたプロスペクト。23年ドラフト4巡目ながら、A+/2A/3Aで打率.330/20本塁打/OPS.997をマーク。大学時代はコンタクトヒッターだったが、プロ入り後にプルヒッティングを習得し、パワーが開眼した。statcastデータが得られる3Aでは、19試合という小サンプルながら上位10%打球速度105.3マイル/ゾーン内コンタクト率89.9%という平均以上の数字を残した。また、慎重アプローチで四球率14.3%と四球も選べる。打撃面に疑問が無い一方で、守備面の評価は割れている。2B/SS/CF/3Bで出場したが、平均以上のスピードを生かしきれておらず、最終的にはLFに落ち着くのではないかという見方も存在する。Baseball Prospectsの出す守備指標DRPは-3.2だった。
Kristian Campbell


FV50

23年に52.5万ドルで契約した原石。SSに留まれる高い守備力とプロ入り後に急成長した打撃力が魅力。24年はRでの51試合で打率.355/6本塁打/wRC+181とブレイクし、リーグMVPを獲得。A昇格後もwRC+111と結果を出した。コンタクトを犠牲にせず(三振率17.5%)にプルヒッティングを習得し、長打力を伸ばした(RでISO.229)。小柄で現時点でのパワーは平均以下だが、将来的に15~20本塁打を打てると評価するスカウトも存在する。


FV45

5.ヨエリン・セスペデス(SS)/Yoeilin Cespedes:19歳
23年に140万ドルという大型契約で入団した原石。身長5フィート8とアンダーサイズながら筋肉質な体格をしており、パワーとバットコントロールを兼ね備えた打撃力が武器。23年にDSLでwRC+145と素晴らしいデビューを飾ると、24年は故障で25試合の出場にとどまったものの、RでwRC+163と打ちまくった。469フィート(142.9m)のHRを放つなどパンチ力が飛び抜けている。また、高い引っ張り率とフライ率を両立している点も魅力。一方の守備面では、SSに定着できるか疑問視されており、将来的には2Bや3Bに移るとの見立て。同期入団の4位アリアスに打撃ポテンシャルでは勝り、守備力では劣るか。

先発で常時90マイル中盤、MAX100マイルを出せる出力の高さと安定してゾーンに集められるコントロールを兼ね備える。スウィーパー&縦スライダーも平均以上の可能性あり。24年はA+/2Aで奪三振率33.2%/与四球率7.3%と安定したK/BBを残した一方でHR/9=2.20と一発病がひどく、防御率は5.34に終わった。ゴロ率30.6%とフライボーラーで、球質やコマンド能力の未熟さが出たと考えられるが、とはいえ、HR/FB(フライに占めるホームランの割合で平均は10%程度)が20.6%と異様に高かったため、不運も要因として考えられる。HR/FBを10.5%で計算するxFIPは3.10と優秀だっため、来季のブレイクに期待。また、18先発で4イニングより投げたのは1度だけであり、先発としての耐久性も証明していく必要がある。

7.
ルイス・パラレス(RHP)/Luis Perales:22歳
オーバースローからMAX100マイルでホップ変化量大のライジングファストを投げ込み、空振りを量産する豪腕。カット系の高速スライダーと80マイル台半ばのスプリットも鋭く曲がり、A+では奪三振率39.7%と高い支配力を見せつけた。しかし9先発目の登板で右ひじを負傷。TJ手術を受けたため、来季は全休の見込みだ。アンダーサイズで耐久性を心配されていた中でのTJ手術となったので、今後リリーフに転向するリスクあり。故障がなければFV50で4or5位に入れていた逸材であり、26年シーズンでの再起に期待したい。

8.ミゲル・ブレイス(OF)/Miguel Bleis21歳
21年に契約金150万ドルで入団した原石。パワーと走力を両立した5ツール候補で、上手く育てばスケールの大きい選手になり得る。ロナルド・アクーニャや昨季新人王投票3位に入ったジャクソン・チョーリオのような選手への成長が期待されていたが、度重なる怪我(23年は肩の故障で31試合、24年も小さな怪我で欠場が多かった)により育成が遅れている。24年はAでwRC+123と結果を出したが、A+昇格後は70と対応に苦しんだ。ヒットツールに不安。


FV40

9.
ハンター・ドビンズ(RHP)/Hunter Dobbins:25歳
21年ドラフト8巡目とプロ入り時の評価は高くなかったが、マイナーで毎年安定した投球を見せ、ついに3Aまで登りつめた。24年は2A/3Aで25先発して防御率3.08/奪三振率22.9%/与四球率9.2%をマーク。打者を圧倒する球威やピンポイントのコマンドは持たないが、平均95マイルの4シーム、カッター、スウィーパー、スプリンカー(スプリットとシンカーの中間球)、カーブをバランスよく織り交ぜて打者の的を絞らせない。

昨季ブレイクを飾ったパワーヒッター候補。A/A+/2Aで計107試合に出場して打率.286/23本塁打/OPS.892をマーク。ゴロ率33.8%と安定してフライボールを打つことができる。現在はCFを中心に守っているが、平均的な走力&平均以上の肩力&ガッシリ体型から将来的にはRFが適任か。

11.マイキー・ロメロ(SS/2B)/Mikey Romero:21歳
22年ドラフト全体24位指名の高卒選手。滑らかで無駄のないスイングからラインドライブを量産するヒットツールが高評価。守備動作などは悪くないが、SSとしては守備範囲の狭さを指摘されており、MLBでは2B向きとの見立て。24年はA+で59試合に出場して打率.271/10本塁打/wRC+127をマークし、20歳シーズンにして2Aに到達してみせた。フリースインガー傾向が強く、特に2A昇格後は16試合で6本塁打を放った一方で、四球率2.7%/三振率33.8%とアプローチの脆さを露呈した。

アレックス・バーデューゴのトレードで獲得した右腕。大学ではリリーフ中心の起用だったが、プロでは先発として成功している。24年は3Aで23先発して防御率4.17をマーク。MLBでも4先発して防御率1.74(奪三振率が10%と少なすぎたの上振れとの見立て)と好投した。平均94マイルのカット系4シーム、縦スライダー、スウィーパー、スプリットのコンビネーション。マイナー3年で与四球率6.4%とコントロールは安定しているが、投球の8割以上が速球&スライダー系なため、リリーフ向きとの見方が強い。

13.ペイトン・トーリー(LHP)/Payton Tolle:22歳
24年ドラフト2巡目。速球のレンジは90-92マイルほどだが、平均7.4フィートというMLBトップクラスのエクステンション幅と低いリリースポイントを生かし、高めで多くの空振りを量産できる。速球が全投球の75%を占めているが、現代MLBでこれほど多く速球を投げている先発投手はいないため、変化球やコマンドを磨いていくことが求められるだろう。

14.
コネリー・アーリー(LHP)/Connelly Early:23歳
23年ドラフト5巡目の左腕。スラリとしたアスリート体型で、クロスファイアー気味のフォームから4シーム、スライダー、カーブ、カッター、チェンジのコンビネーション。現時点でのプラスピッチはチェンジアップのみ。24年はA+/2Aでの23先発で防御率3.99/奪三振率30.8%/与四球率8.7%をマークした。

15.フアン・バレラ(RHP)/Juan Valera:19歳
24年にR/Aで計18登板して防御率1.99と輝きを放った右腕。高回転の速球とスライダーを軸とした投球で、速球はMAX98マイルを誇る。チェンジアップの質向上と与四球率11.5%と不安定なコントロールをが磨いていくことが今後の課題。

Notable Prospects

速球は平均90マイルとパワーレスだが、グニャグニャ曲がる変化球と発達したコマンド能力が強みの技巧派右腕。シンカー、スウィーパー、チェンジアップが主要3球種で、どれも大きく曲がり、バットの芯を外すのに効果的だ。24年は20歳ながらA/A+で96.2回を投げて防御率3.17/奪三振率29.0%/与四球率3.1%と好投した。もう数マイル球速を伸ばせればローテーションポテンシャル。

24年度の国際アマチュアFAの投手の中では、4番目に高い契約金45万ドルでプロ入りした原石。シンカー、スライダー、チェンジアップとすでに質の高い3球種を操ることができる。現時点ではMAX93~94マイル程度でパワーレスだが、6-5/200という恵まれた体格から、将来的には90マイル中盤程度を投げられるだろうと予想されている。DSLでは5先発で計17イニングを投げて無失点&19K/2BBと完璧なプロデビューを飾った。

コンラッド・ケイソン(RHP/SS)/Conrad Cason:18歳
24年ドラフト8巡目の高卒選手。オーバースロットとなる契約金125万ドルで入団した。投打に才能を秘める二刀流プロスペクトで、現時点では投手としての評価が先行しているが、SSに定着し得る運動能力を有している。投手としてはMAX98マイル。STL新人のメイソン・ウィン(ウィンもドラフト時は投手としての方が評価されていた)のような成長を期待。

平均以上のパワーと捕手として平均レベルの守備力を兼ね備え、開花すればレギュラー捕手ポテンシャル。24年はAでの14試合でOPS1.063と打ちまくっていたが、走塁中に前十字靭帯を断裂し、シーズン終了の手術を受けた。
フルエフォートなフォームから平均94マイルの4シームと切れの良いカーブ&スライダー。24年はA+での15登板で66イニングを投げて防御率2.73/奪三振率30.8%とパワフルな内容も、先発としては速球の軌道やチェンジアップの質に問題あり。ローテーション級の球威の持ち主だが、リリーフの方がインパクトを残せるか。

ネザン・ザネテロ(SS)/Nazzan Zanetello:20歳
23年ドラフト2巡目の高卒選手。スロット額の2倍近くとなる300万ドルでプロ入りした大器。傑出したアスリートで、5ツールポテンシャルを秘める。唯一にして最大の欠点は未熟なヒットツールで、Aで78試合に出場して打率.156/三振率43.8%と歯が立たなかった。

2025年1月11日土曜日

2025 BALTIMORE ORIOLES TOP 15 PROSPECTS

2025 BALTIMORE ORIOLES 

TOP 15 PROSPECTS

2025年 ボルティモア・オリオールズ プロスペクトランキング
Samuel Basallo

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。


FV60

10代離れしたパワーポテンシャルを秘める怪物捕手。24年は19歳にして2Aで打率.289/16本塁打/wRC+134と年上選手を相手に圧倒。19歳以下で2A/wRC+134は、2012年以降だと歴代5位(400打席以上なら1位)であり、マチャドやタティスJr.、チョーリオらを上回る。一方で何でも振りに行くアプローチは要改善か。捕手守備ではプラスの強肩が強み。巨体の割に俊敏性も悪くないが、昨季127試合中捕手として出場したのは56試合のみで、残りは1B/DHでの出場だった。現実的にはアドリー・ラッチマンの控え捕手として週数試合マスクをかぶり、残りは1B/DHでの出場という形になるか。
Samuel Basallo


FV55

6-5/215の大型選手で、ダブルプラスのパワーが自慢。23年にマイナーで29本塁打/OPS.974とブレイクすると、24年も3AでwRC+135と着実にステップアップ。MLBでは苦戦したが、経験を積んで徐々に適応するだろう。ゾーン内コンタクト率81.5%はやや平均を下回るが、上位10%打球速度106マイル/ハードヒット率41%/バレル率13%/ゴロ率29.8%と確かなパワー&打撃技術を持っている。守備は強肩だが、送球ミスの多さが課題。MLBではわずか17試合でDRS-2/OAA-2と拙さを露呈。1BやLFに転向の可能性も。
Coby Mayo


FV50

マイナー通算奪三振率33.7%と高い奪三振能力を誇る右腕。ホップ変化量18.1インチを誇るライジングファスト、3Aで空振り40%超えのスライダー&チェンジアップと主要3球種がプラスピッチ候補。カーブ&スイーパーも扱える。通算与四球率13.8%のコントロールを改善することが、先発として大成するための課題となる。


FV45

4.バンス・ハニーカット(OF)/Vance Honeycutt:22歳
24年ドラフト全体22位指名。ドリュー・スタッブス(元CIN他)と比較されるツール特化型。CFでゴールドグラブ&「20-20」が狙えるポテンシャルだが、コンタクト難が致命的。大学3年生シーズンで三振率27.5%、プロでも13試合という小サンプルながら三振率42.9%を喫した。

23年ドラフト1巡目。80グレイドのスピード&CF守備が武器のリードオフポテンシャル。パワーレスだが、コンタクト&選球眼が磨かれている。24年はA+/2AでOPS.729/74盗塁をマークし、マイナーのゴールドグラブ賞を獲得した。23年のプロデビュー時に70%を超えていたゴロ率は50.2%にまで改善された。

22年ドラフト全体33位指名。6フィート4と体格に恵まれており、パワー、走力、肩力がプラス評価とポテンシャル大。24年は2Aで15本塁打/四球率13%/31盗塁/wRC+118を記録した。大振りでコンタクト能力に課題がある。2年連続でwRC+120程度を記録しており、平均的なコーナーOFに成長できるチャンスあり。

高卒1年目シーズンにして、Aで防御率3.18/FIP2.47/奪三振率29.9%と好投し評価急上昇。A+で数字を落としたが、それでも奪三振率28%と支配力は見せた。MAX97マイルの4シームに縦横2種類のスライダー、真下に落ちるものと横に逃げる2種類のチェンジアップと多彩な球種で勝負できる。6-3/190と体格的にも伸びしろ大。

8.ルイス・デレオン(LHP)/Luis De León:22歳 
6フィート3の長身細身から平均95マイル超えの速球を投じるロマン枠。アームサイドに大きく曲がるチェンジアップ&鋭く落ちるスライダーもよく切れる。24年はAでの7先発で防御率2.25/FIP2.08/ゴロ率62%と好投も、A+昇格後は防御率5.73/FIP4.46と大きく数字を落とした。コントロールの悪さが欠点。

9.ネスター・ヘルマン(RHP)/Nestor German:23歳
23年ドラフト11巡目のカレッジ右腕だが、Aで防御率1.49、A+でも1.78と好投。計73.2回で奪三振率31.4%/与四球率5.9%と素晴らしいコマンド能力を披露した。大学時代よりも球威を伸ばし、MAX97マイルの4シームにスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。6-3/225と体格も先発向きだが、21試合に登板して70球以上投げた試合はなく、来季は先発としての耐久性を証明したい。

10.トレイ・ギブソン(RHP)/Trey Gibson:23歳
23年夏にドラフト外で入団すると、24年はAで奪三振率34.5%/FIP2.75、A+昇格後も奪三振率24%/FIP3.36と好成績を収めた。長身を生かしたエクステンション大でMAX97マイルの4シームとキレの良いスライダー&カーブで空振りを量産。上位3球種と比べて劣るが、カッター&チェンジアップも交えることができる。また、ゴロ率58.8%とゴロの多さも魅力。ボールの質は良いだけに、与四球率10.0%のコントロールを改善していきたい。


11.ブランドン・ヤング(RHP)/Brandon Young:26歳
球威は平均以下だが、多彩な球種のコンビネーションで打者を打ち取るバックエンドSPタイプ。打高の3Aで18先発して防御率3.44/FIP3.61と好投を見せた。4シームは平均92.5マイルだがホップ変化量が17.8インチとMLB平均を大きく上回っており、3Aで空振り率31%/得点価値+13と効果的だった。この速球よりも9インチ外に逃げるチェンジアップ、スピンレート2700rpmのカーブに、カッター&スライダーを交える。


FV40

12.グリフ・オファラル(SS)/Griff O'Ferrall:22歳
24年ドラフト全体33位指名。目立ったツールはないが、野球センスと成熟した技術力でハイパフォーマンスを引き出すタイプ。打撃は大学通算186試合で8本塁打と完全にパワーレスだが、コンタクト率の高さとスウィートスポットに打球を集める弾道管理で打率.344をマークした。大学では3年間SSのレギュラーとして出場してきたが、平均的な肩力からプロでは2Bの方がフィットするか?不動のレギュラーというよりもユーティリティー向きだろう。

22年ドラフト2巡目。コンタクトに致命的な欠点があるが、プラスのパワー&優秀な選球眼、CF守備も平均以上とツールは申し分なし。24年は2Aで18本塁打/wRC+118とソリッドな内容も、三振率29.9%とコンタクトの脆さは相変わらず。3Aでは三振率40.8%と苦戦した。理想の完成像はアダム・デュバル(元BOS他)か。

14.パトリック・レイリー(RHP)/Patrick Reilly:23歳
23年ドラフト5巡目。90マイル中盤の伸びのある4シームと80マイル中盤のハードスライダーが武器のパワーピッチャー。A+/2Aで与四球率12%&HR/9=1.28とコマンドに不安があるため、リリーフ向きと評されるが、フルシーズン1年目で2Aまで経験している点は強み。(同じく23年プロ入りのヘルマンやギブソンはA/A+でのプレー。)

24年ドラフト2巡目。パワーとコンタクト能力を両立した攻撃型スイッチヒッター捕手。大学の1学年上にカイル・ティール(23年ドラフト1巡目)がいたため、2年生までは一塁での出場がほとんどだった。3年生から正捕手に定着したが、捕手守備の評価は高くなく、プロ入り後も捕手9試合/一塁5試合/レフト3試合という出場内容だった。

Notable Prospects

24年1月に契約金17.5万ドルで入団した原石。MAX98マイルの4シームと高回転のスライダーの2球種がプラスピッチ候補で、6-3/175という細身の体格から伸びしろも◎。DSLでは27.2回を投げて防御率3.25/奪三振率36.4%/与四球率12.4%という内容だった。

24年1月に95万ドルで契約した原石。6-4/198と体格に恵まれており、パワーポテンシャルとCF相応の運動能力(将来的にはRFが適性か?)を兼ね備えるアップサイドの高さが魅力。DSLでは4本塁打/wRC+137と持ち前のパワーを早速発揮したが、三振率30.4%とコンタクトの弱さが懸念事項。

DSLでwRC+154と最高のプロデビュー。年齢に比して攻守に完成度が高いプロスペクトだ。打撃はアプローチとコンタクトの良さが光るスイッチヒッターで、現時点ではライナー重視だが、6-2/165の細身の体型から、ビルドアップすればパワーアップが見込める。守備は平均以上の強肩からSS/3B向きと評される。

22年ドラフト8巡目。サイド気味のスリークォーターから90マイル前半のシンカーと切れ味鋭いスライダーのコンボ。24年はA+を4先発/防御率0.54でクリアすると、2Aでも92.1回で防御率3.41/奪三振率28.4%/与四球率6.6%と好投を続けた。イニングイーター~マルチイニングリリーバーにフィットしそうだ。

2025年1月4日土曜日

2025 SAN FRANCISCO GIANTS TOP 15 PROSPECTS

2025 SAN FRANCISCO GIANTS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 サンフランシスコ・ジャイアンツ プロスペクトランキング
Bryce Eldridge


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV55

1.ブライス・エルドリッジ(1B)/Bryce Eldridge:20歳
23年ドラフト1巡目。22年のU-18杯ではチーム最多の8本塁打を放ちMVPを獲得。6-7/223の規格外の体格を有するパワーヒッター候補で、24年は高卒1年目ながら23本塁打を放つ活躍を披露した。5月以降はA/A+/2Aでの97試合で打率.305/21本塁打/OPS.938。上位10%打球速度106マイルとすでにMLBでプラス水準の打球速度を記録しており、見極めも優秀。コンタクトを磨いていけば球界を代表するスラッガーになれるだろう。高校時には投手としても有望視された強肩の持ち主で高校までは外野を守っていたが、24年は全守備機会1Bでの出場だった。まだポジションを学んでいる段階で、18失策を喫した。マット・オルソンのような開花を期待したい。


FV45

2.
カーソン・ウィゼンハント(LHP)/Carson Whisenhunt:24歳
22年ドラフト2巡目。1巡目候補だったが禁止薬物の使用によりドラフトイヤーは公式戦に出場できずスリップ。23年はマイナー3階級で防御率2.45/奪三振率35.3%と快投。24年は3Aのロボ審判に苦しみ、与四球率11.1%/防御率5.42と思うような投球ができなかった。平均93マイルのランニングファストとダブルプラスのチェンジアップのコンボ。速球とチェンジアップが全投球の約85%を占めており、第3球種のマスターが課題。なおチェンジアップは落ち幅が40.8インチ(昨季のMLBでチェンジアップの平均落ち幅が40インチ以上あった左投手は6人だけ)もあり、空振り率47%と猛威を振るった。

24年ドラフト全体13位指名。アプローチの磨かれた打撃職人で、パワーとアベレージを両立した強打者への成長が期待される。大学3年のシーズンでは、打率.363/28本塁打/OPS1.264と圧倒的な内容。しかし、プロ入り後は小サンプルとはいえど、26試合でOPS.636/三振率31%とやや苦戦。平均以下の守備走塁もネック。肩は強いため、現在はRFを守っている。
James Tibbs


4.ジョニー・レベル(SS)/Jhonny Level:18歳
24年1月に契約金99万ドルで入団した原石。小柄ながら野球IQの高い両打ちSSで、CLE新人のブライアン・ロキオと比較する声もある。SSに定着できるだけの守備力を有し、打撃は素早いバットスピードと確かなバットコントロールを両立。DSLでは10本塁打/OPS.909と最高のデビューを飾った。


5.ダコタ・ジョーダン(OF)/Dakota Jordan:22歳
24年ドラフト4巡目。荒さはあるが、パワー&スピードの魅力的なパッケージ。並外れたバットスピードを誇り、大学のシーズンでは打率.354/20本塁打/OPS1.129をマーク。しかし変化球の見極めが苦手で、三振率29%とヒットツールは黄色信号。プラスのスピードの持ち主だが、あまり盗塁を仕掛けるタイプではなく、守備もRFがメイン。ジャイアンツ入り後はCFで起用された。

6.レイナー・アリアス(OF)/Rayner Arias:19歳
23年に260万ドルで契約したドミニカ共和国出身の原石。10代にしてパワー、アプローチ、コンタクト能力を兼ね備えたピュアヒッター候補だ。23年にDSLで16試合という限られたサンプルながら打率.414/4本塁打/OPS1.333と圧倒的なパフォーマンスを見せて飛躍が期待されていたが、24年は左手首の骨折により25試合の出場に終わった。まずは健康に過ごしてアピールしたい。守備は現在CFメインも、将来的にはビルドアップしてRFに専念するか。


FV40

7.トレバー・マクドナルド(RHP)/Trevor McDonald:24歳
コンディション不良によりブレイクできずにいるが素質は確か。24年は右鼠径部の肉離れにより出遅れたが、マイナーで86回を投げて防御率4.40/奪三振率20.7%/与四球率8.0%をマークし、9月にMLBデビューを飾った。投球の軸である平均92マイルのシンカーと83マイルのスライダーはMLB平均を大きく上回る変化量を誇り、プラスピッチ候補。耐久面の不安を克服し、第3球種のチェンジアップが向上すればローテーションポテンシャルだろう。

23年ドラフト2巡目のカレッジ左腕。切れ味鋭いスライダーが得意球で、少なくとも左殺しのリリーバーとして戦力にはなれるだろう。安定してストライクを取れるコントロールと6-5/200のガッシリした体格は先発向きであり、第3球種のチェンジアップを磨き、先発投手としての評価を上げたいところ。

9.グラント・マクレイ(OF)/Grant McCray:24歳
19年ドラフト3巡目。22年に23本塁打&43盗塁をマークしたパワー&スピードが武器で、外野守備も傘下トップ評価。24年は2AでwRC+110、3Aで103とソリッドな内容。MLBデビューを果たし、37試合で5本塁打を放った。ツールは申し分ないが、MLBで三振率43%、マイナー通算三振率28%とコンタクトが脆すぎてロマン枠止まりか。現状の成功例はトレント・グリシャム(NYY)のような下位打線タイプのCFだろう。

10.
トレント・ハリス(RHP)/Trent Harris:26歳
24歳の時にドラフト外でプロ入りの苦労人。24年はマルチイニングリリーバーとしての起用ながらもA/A+/2Aで計79.2回を投げて防御率1.81/奪三振率34.5%/与四球率8.2%と素晴らしいパフォーマンスを披露した。真上から投げ下ろすような独特のオーバースローからMAX97マイルの4シームにキレの良いカーブ&スライダー。運動能力が高く、コントロールも安定しているため、先発転向も面白いだろう。

11.メイソン・ブラック(RHP)/Mason Black:24歳
21年ドラフト3巡目。22年、23年とマイナーで防御率3点台の安定したパフォーマンスで傘下を駆け上ると、24年は球威ダウンに悩み、3Aで防御率4.59と苦戦したが、MLBデビューして8先発を務めた。平均92マイルのシンカーと80マイル台のスイーパーを軸にアグレッシブにゾーンを攻める。第3球種が不確立なため、このままだとディネルソン・ラメット(元SD他)のような2ピッチタイプの不安定な先発投手、もしくはリリーフで輝くタイプだろう。

攻守に洗練されたユーティリティー向きのプロフィール。打撃はコンタクト&アプローチが優秀で、20歳ながらA+でwRC+112、2Aで125をマークした。4本塁打/ISO.096とパワーレス。守備力は堅実だがSSとしてはややレンジ不足で、2Bに回ればプラスディフェンダーになり得るとの評価。

13.
ボー・デビッドソン(OF)/Bo Davidson:22歳
技術的に成熟すれば「CFで20-20」も狙える逸材。短大からドラフト外で23年に入団すると、24年はAでの53試合で打率.328/9本塁打/wRC+173と凄まじいパフォーマンス。パワーと肩力がプラス評価で、スピードも平均以上。ゴロが多かったり、空振りが多かったりとヒットツールは発展途上。守備は外野3ポジションで出場したが、LFでの出場が中心だった。

23年ドラフト13巡目の高卒左腕。オーバースロットの契約金でCLE入りした。24年はRで11先発して防御率2.54/奪三振率34.1%/与四球率8.6%と好投。7月にアレックス・コッブとのトレードでSFに移ってきた。92-95マイルの4シームと大きくフェードするチェンジアップ、鋭く落ちるスライダーで空振りを量産する。Aに上がってからはコマンドで苦戦したが、来季はどうか。

15.エバーソン・アルティアガ(SS)/Aeverson Arteaga:22歳
19年に契約金100万ドルで入団した原石。肩&守備力がプラス評価で、MLBでもSSにとどまれる可能性を示している。22年、23年とマイナーの監督が選ぶリーグの「best defensive shortstop」に2年連続で選出された。24年は胸郭出口症候群の手術により前半戦を欠場。25試合の出場にとどまった。アプローチの荒さがネックであり、打者としての総合評価は平均以下との見立て。それでも23年はA+で上位10%の打球速度103マイル&ゾーン内コンタクト率85%とMLB平均レベルの数字を残しており、選球眼さえ改善されれば開花の素質あり。

Notable Prospects

元々外野手だったが契約先が見つからなかっため投手に転向。すると91マイルまで出るようになり、24年1月にSFと14万ドルで契約。24年はMAX96マイルまで伸び、DSLでの10先発で防御率2.59/奪三振率27.4%/与四球率8.5%と好投を披露した。速球とハードスライダーを武器に空振りを誘う。

パワーが武器の原石。24年1月に契約金14万ドルでSF入りした。DSLでは打率.300/5本塁打/wRC+139。引っ張りフライを量産する打撃技術をすでに身に着けている。守備はCFを守ったが、最終的にはコーナーに収まるとの評価。

24年ドラフト6巡目。禁止薬物の使用により、大学2年の終わりから3年シーズンに出場停止を受けたため、スカウトへのアピール機会が少なかったが、パワーポテンシャルと選球眼の良さを買われての指名。Aでは29試合で5HR/出塁率.360をマークした一方で、打率.196/三振率29.4%とコンタクトに苦戦した。

度重なる故障により、大学から通じてここ5年間で53.2イニングしかプレーできていないが、素質はエース級。24年は3Aでリリーフとして登板していたが、6月に故障でシーズン終了。オフに左肩の手術を受け、25年は全休が濃厚。MAX100マイルのシンカーと変化量大のスライダーのコンビネーション。


2025年1月2日木曜日

2025 SAN DIEGO PADRES TOP 15 PROSPECTS

2025 SAN DIEGO PADRES

TOP 15 PROSPECTS

2025 サンディエゴ・パドレス プロスペクトランキング

Leodalis De Vries


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV55

1.レオデリス・デブリース(SS)/Leodalis De Vries:18歳
MLB公式の24年度国際アマチュアFAランキング1位のスイッチヒッターSSで、契約金420万ドルでSD入りした。入団するといきなり1Aでデビューし、wRC+116(7月以降は158)と見事なパフォーマンス。年齢離れしたアプローチとバレル技術が強みで、パワーも体格が仕上がればついてくるとの見立て。SSにふさわしい運動能力を有し、走塁でも活躍できる。
Leodalis De Vries


2.イーサン・サラス(C)/Ethan Salas:19歳
23年1月に560万ドルの大型契約で入団すると、いきなりAでプロデビューし、最終的には2Aまで昇格を果たした。24年はA+でwRC+75と適応に苦しんだが、年齢を考えれば仕方がなく、プロスペクトとしての評価を下げる必要はないだろう。未来のゴールドグラブ候補とも評される捕手守備は年齢離れしており、打撃も将来的には平均以上になり得る。バスター・ポージー(元SF)やアドリー・ラッチマン(BAL)のようなスーパーキャッチャーになり得る逸材だ。
Ethan Salas


FV45

3.
カッシュ・メイフィールド(LHP)/Kash Mayfield:20歳
24年ドラフト1巡目の高卒左腕。23年春の時点で80マイル台だった速球が、翌春には97マイルに達するなど急成長。6-4/200の理想的な体格から常時92-95マイルの4シーム、70マイル台のカーブ、ベストピッチと評される80マイル台前半のチェンジアップで打者を手玉に取る。滑らかな投球メカニクスをしており、この手の投手にしては珍しくコントロールも安定している。


FV40

4.ブレイデン・ネット(RHP)/Braden Nett:23歳 
大学では投球しておらず、サマーリーグでのプレーのみだったが、22年にドラフト外でSD入りすると、すぐさま才能を発揮。90マイル中盤でキャリー成分の強いライジングファストボールと切れ味鋭いスライダーでスカウトたちの注目を集めた。24年はA+でFIP3.66/奪三振率26.4%をマーク。与四球率13.2%という不安定なコントロールを磨いていくことが先発に残るための課題となるだろう。
Braden Nett


5.ウンベルト・クルーズ(RHP)/Humberto Cruz:18歳
16歳ながらU-18のメキシコ代表として活躍した右腕で、24年2月に75万ドルで契約した。脚の長いスラリとしたアスリート体型で、軽快なメカニクスで安定してゾーンに投げ込むことができる。94マイル前後の速球、スライダー、チェンジアップの3球種をすでにレパートリーとして扱うことができる。

6.ボストン・ベイトマン(LHP)/Boston Bateman:19歳
24年ドラフト2巡目の高校生左腕。6-8/240という迫力ある巨体からMAX97マイルの速球とスピンレート2900rpmに届く縦カーブのコンボ。ローテーション3番手級のポテンシャルの持ち主だが、フォームの再現性を高めてコントロールを安定させることと第3球種以降の質を高めていくことが今後の課題。

7.ビクター・リザラガ(RHP)/Victor Lizarraga:21歳
21年に契約金100万ドルで入団したメキシコ出身プロスペクト。打者を圧倒する球威は無いものの、速球とカーブのコンビネーションで打者を惑わし、20歳シーズンながら2Aで21先発/FIP3.96と健闘を見せた。6-3/180と体格的な伸びしろが期待でき、現在90-94マイルの速球をどれだけ伸ばせるかが投手としての天井を決めるだろう。

8.コッブ・ハイタワー(SS)/Cobb Hightower:20歳
24年ドラフト3巡目の高卒選手。ドラフト後の公式戦出場はないものの、教育リーグで好成績を出して評価を上げた。打撃能力を高く評価されており、トレイ・ターナー風のコンパクトかつ力強いスイングでライナー/フライを量産する。走力は平均以上で運動能力も高いが、最終的には2Bの方がフィットするとの評価となっている。

24年にA+/2Aで126.1回を投げて防御率2.99とブレイクした右腕。90マイル前半の速球、カーブ、チェンジアップの組み合わせで上手く打者を打ち取る。課題だった与四球率が10.8%から7.8%に改善されたことが好調の要因か。2A昇格後は奪三振率、被本塁打率いずれも大きく悪化したので、来季どうなるか。

10.イザイア・ロウ(RHP)/Isaiah Lowe:22歳
22年ドラフト11巡目。MAX97マイルの4シームと鋭く曲がるスイーパーのコンビネーションが強烈。しかし、全体的に投手として発展途上であり、磨かれる必要がある。また、身長6フィート1とアンダーサイズでリリーフ向きとの見方が強い。コントロール不足から、A+昇格後に奪三振率が29.7%から14.9%に大幅ダウンした。

11.コール・ファウンテン(3B)/Kale Fountain:19歳
24年ドラフト5巡目の高卒選手。2巡目相当となる契約金170万ドルで入団した。ネブラスカ州の高校生本塁打記録を塗り替えたパワーが最大の強みで、どれだけ打てるかにかかっている。アッパースイング気味なスイングと6-5/225の巨体から3Bに残れるかどうかが懸念されている。

12.フランシス・ペーニャ(RHP)/Francis Pena:24歳
マイナー3年目にして3Aまで登りつめたリリーフプロスペクト。24年はA+/2A/3Aで計63回を投げて防御率2.43/FIP3.16とブレイクを果たした。平均96マイルの4シーム/シンカーと90マイル前半のカッターでゾーンを積極的に攻める。奪三振率25.1%と奪三振は多くないが、ゴロ率57%とハードコンタクトを許さない。

13.カバレス・ティアーズ(OF)/Kavares Tears:22歳
24年ドラフト4巡目補完指名(ジョシュ・ヘイダーの補償ピック)の大学生選手。プラスのパワーが武器の左打者で、走守のツールも平均以上でRF適性あり。一方で大学通算三振率25.6%/コンタクト率65%とヒットツールに課題があり、プロの舞台でもパワーを発揮できるか。

14.フアン・ヌネス(RHP)/Juan Nuñez:24歳
ルール5ドラフトで今オフにBALから獲得。24年はA+で29.1回を投げてFIP3.42/奪三振率32.2%と好投していたが、肩の負傷により5月でシーズン終了となってしまった。92-95マイル、最速97マイルの高回転4シームとキレの良いスライダーのコンビネーションに、発展途上のチェンジアップを交える。5フィート11とアンダーサイズな体格とマイナー通算11%のコントロールからブルペン向きか。

15.ジャガー・ヘインズ(LHP)/Jagger Haynes:22歳
コロナで短縮された20年ドラフトで5巡目に指名された隠し玉左腕。プロ入り後はTJ手術や肩の怪我でまともにプレーできていなかったが、24年は110回を投げるなど健康に1シーズンを過ごせた。90マイル前半の速球、カーブ、チェンジアップを上手く織り交ぜて打者を惑わす。現時点では緩急で打ち取るバックエンドSPタイプだが、球速をどれだけ伸ばせるか。

Notable Prospects

ブラッドリー・ロドリゲス(RHP)/Bradgley Rodriguez:21歳
パワーリリーバー。A/A+/2Aで計61.1回を投げて防御率2.64/FIP3.23と好投を見せた。90マイル後半の速球と80マイル台後半のスプリットチェンジのコンボ。第3球種のスライダーも切れ味鋭い。セットアップ以上が務まるだけの球威の持ち主であり、あとはコントロールの改善だけだ。

元々野手としてプロ入りも大成せず、21年に投手転向。平均95-97マイル/縦変化量18インチという上質なライジングファストボールと変化量大のスライダーのコンビネーション。24年はMLBデビューして11イニングで1失点/21Kと好投。リリーバーとしてブレイク目前だ。
22年ドラフト18巡目ながら、24年はA/A+/2Aで打率.288/11本塁打/OPS.823と好成績をマーク。豪快に引っ張るパワーと四球率15.4%の選球眼を兼備している。プロ入り時は捕手だったがすぐに1Bに転向。109試合で16失策を喫しており、改善が必要だろう。

2024年12月30日月曜日

2025 LOS ANGELES DODGERS TOP 15 PROSPECTS

2025 LOS ANGELES DODGERS

TOP 15 PROSPECTS

2025 ロサンゼルス・ドジャース プロスペクトランキング
Dalton Rushing

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV55

1.
ダルトン・ラッシング(C/OF)/Dalton Rushing:24歳
22年ドラフト2巡目指名。30ホーマー級のパワーと優秀な選球眼を有する攻撃型捕手で、24年は2A/3Aで打率.271・26本塁打・OPS.896をマーク。四球率12.7%/三振率20.5%とゾーン管理の巧さが光る。statcastデータが得られる3Aでの成績に着目すると、上位10%打球速度105.6マイル、バレル率10.4%はいずれも平均以上。また、ゾーン中心部のスイング率は80.5%と平均を大きく上回りながら、チェイス率19%は平均よりも低かった。長打力と判断力を兼ね備えていることが良く分かる。捕手守備も盗塁阻止率30%を記録するなど平均レベルに育ちつつあるが、ウィル・スミスにポジションを阻まれているため、3A昇格後は主にLFを守った。平均レベルの走力を持っており、無難にこなせるだろうとの評価。
Dalton Rushing


FV50

2.
リーバー・ライアン(RHP)/River Ryan:26歳
大学では内野手兼リリーフの二刀流プレーヤーだったアスリート右腕。スムーズなメカニクスから平均96マイルのライジングファストとプラスのスライダーを投球の軸に、カッター&カーブ&チェンジアップ&シンカーいずれも平均以上のポテンシャルを秘めるスペックの塊だ。24年はMLBデビューし4先発で防御率1.33と好投も、8月下旬にTJ手術。25年は全休の見込みだ。スペックはエース級だが、27歳シーズンまで実績ゼロ&耐久面に不安という点がキャリアにどう響くか。ジェーコブ・デグロムのような遅咲きキャリアもあり得る。

走攻守揃ったオールラウンダータイプ。打撃は辛抱強いアプローチと全方向にラインドライブを打ち分けるバットコントロールが武器。24年はA+/2A/3Aで出塁率.387/18HRをマーク。足も速く、マイナーで4人しかいない30二塁打&30盗塁を達成した。守備はSSに定着できるだけのツールと技術があるが、2Bや3Bとしても経験を積んでおり、ユーティリティー性も期待できる。
Alex Freeland


4.ヨシュア・デパウラ(OF)/Josue De Paula:20歳
22年1月に39万ドルで入団のパワーヒッター候補。
パワーと打撃技術を両立しており、LF/DH向きの守備能力と合わせて理想の完成型はヨーダン・アルバレス(HOU)か。24年は19歳ながらAでwRC+125、A+で136と年上選手を相手に健闘。四球率17.5%/三振率19.8%と10代とは思えないほど成熟したアプローチを見せており、打球角度が安定してくればプラスのパワーをより発揮できるようになるだろう。27盗塁(成功率90%)を決めたが、走力は平均以下で、長期的には守備走塁での貢献は見込めないだろう。


5.ジャクソン・フェリス(LHP)/Jackson Ferris:21歳 
22年ドラフト2巡目の高卒左腕。マイケル・ブッシュとのトレードでCHCから23年オフに加入した。93-95マイルの伸びのある4シームと80マイル台中盤の鋭いスライダーを軸に、70マイル台のカーブにチェンジアップ&カッターと第3球種以降も豊富だ。24年は20歳ながらA+で20先発して奪三振率29.2%/FIP2.98をマークし、2Aでも7登板した。腕のストロークに癖があり、コントロールの改善が課題。

ブッシュのトレードでフェリスと共に加入した原石。10代離れしたパワーと選球眼を兼ね備えており、肋骨骨折により約3か月の離脱があったものの、Aでは上位10%打球速度108マイル/四球率14.9%と強みを発揮。wRC+は144をマークした。スプリント速度は平均以上だが、トップスピードに乗るまでの時間が長く、守備や盗塁に活かされていない。シーズンはLFをメインに守ったが、オフのAFLは全試合CFで出場した。

23年に契約金207万ドルで入団の原石。パワー、スピード、守備力すべてを兼ね備えた大型SS候補。23年はDSLでwRC+149、24年はRで129と順調に成長しており、来季満を持してAでフルシーズンデビューの予定。パワフルな打撃が最大の魅力だが、荒い部分が多く、上級の投手への対応を学ぶ必要があるだろう。SSに必要な資質を有するとされるが、6フィート4の大柄な体格から将来的には3B等へ転向される可能性もある。


FV45

元々捕手として契約したが、俊足と運動能力を生かすためプロでは外野に転向。24年はRでの56試合で打率.330/四球率17.6%/wRC+142と素晴らしい成績を収めた。コンタクト&アプローチに優れ、打球速度も優秀なため、将来的にはパワー面も期待が持てるだろう。31盗塁を決めるなど盗塁も稼げる。CF守備では、俊足を生かした広大な守備範囲と通算95試合で13補殺を記録した強肩を持ち合わせ、プラスディフェンダー候補。

9.エミル・モラレス(SS)/Emil Morales:18歳
24年1月に190万ドルで契約したスペイン生まれの原石。成熟したアプローチとパワーポテンシャルを兼ね備え、DSLでは打率.342/14本塁打/wRC+192の活躍でMVPを獲得した。現在はSSを守っているが、ドッシリとした体型と平均以下の走力から3B転向が目されている。野球IQや勤勉性も高く買われている。

10.ケロン・リンジー(SS)/Kellon Lindsey:19歳
24年ドラフト1巡目の高卒SS。20-80スケールで80評価のスピードが最大の武器で、コンパクトなスイングやSSとしての守備力にやや疑問を持たれている点をも含めて、若き日のトレイ・ターナーと比較されている。高校ではアメフトのクオーターバックとの二刀流だったため、野球に専念した環境でどれだけ伸びるか。プロ入り後は10ポンドの増量に成功し、打撃スイングや守備動作のメカニクス調整を行った。

11.エドガルド・エンリケス(RHP)/Edgardo Henriquez:23歳
彗星のごとく現れた剛腕リリーバー。TJ手術から復帰すると最速103.5マイルを計測するなどマイナーで100マイル超えの速球を武器に活躍。一躍MLBデビューを飾った。平均99マイルの速球に95マイルのカッター、90マイルの縦スライダーのコンビネーションで打者をねじ伏せる。クローザーポテンシャルだ。

ドラフト後にメキメキと力をつけ、24年はついに大台である100マイルに到達。MLBデビューし36.1イニングを投げた。平均95マイルの4シームとカッター/スライダーがMLBレベルの球種で、少なくともリリーフの駒にはなれそうだ。昨季16被弾のうち15本が対右打者だったので、先発ローテーションに定着するには右打者対策が課題か。

13.チャン・ヒュンソク(RHP)/Hyun-Seok Jang:21歳
韓国ドラフトで1位指名が予想されていたが、米球界挑戦を決意。23年夏に90万ドルでLAD入りを果たした。荒削りではあるが、6-4/200の恵まれた体格から90マイル後半の4シームを軸に、スライダー、カーブ、チェンジアップとどの球種でも空振りが奪える潜在能力の高さが魅力。まずはコントロールを磨いていくことが求められる。


FV40

14.コ・チンシェン(OF)/Ching-Hsien Ko:19歳
台湾出身の大型原石。台湾人の父と南アフリカ人の母のハーフで、6-3/215の強靭なフィジカルに5ツールを併せ持つ。23年夏のU-18杯では打率.550の活躍でチームを準優勝に導き、24年6月に契約金65万ドルでLAD入りした。25ホーマー相当のパワーポテンシャルにCF/RF向きの守備プロフィール。DSLでは9試合のみの出場だったが、プロ1号を放ち、OPS.898をマークした。

15.サミュエル・サンチェス(RHP)/ Samuel Sanchez:19歳
23年1月にわずか契約金1万7500ドルで契約したが、そこから急成長。80マイル台半ばだった球速がMAX97マイルまで伸びた。キャリー成分の強い4シームとプラスピッチ候補のチェンジアップを軸に、まだ精度は低いがスライダー&カーブも投じる。24年はRでFIP4.06/奪三振率29.5%/与四球率5.0%と好投し、チームの優勝に貢献。Aデビューも果たした。5-11/150という小柄な体格から先発としての耐久性に疑問。

Notable Prospects

23年は高卒1年目にしてAで防御率2.04/奪三振率30.2%と好投。しかし、24年はコマンドに苦しみ、A/A+の19先発で防御率3.75/奪三振率17.1%と後退。90マイル中盤のライジングファストと80マイル後半のスライダーのコンボはパワフルであり、コマンドを改善できればローテーション半ば級のポテンシャルだ。

チェイス・ハーラン(3B)/Chase Harlan:18歳
24年ドラフト3巡目。クレムゾン大学への進学を蹴り、オーバースロットとなる契約金約175万ドルで入団。6-3/205とガッシリ体型のスラッガーで、パワーがプラス評価。現BAL有望株コビー・メイヨを彷彿とさせる。コンタクト能力と3B守備が欠点。

ロマン枠。23年ドラフト4巡目の右腕で、6フィート6の巨体からMAX101マイルを投じる。スライダー、カッター、チェンジアップと変化球も切れるが、制球難が致命的。オフのAFLでは8.2回で14K/1BBと印象的なパフォーマンスを披露した。

ロマン枠②。大学3年間で防御率6.30と結果を出せなかったが、ポテンシャルを買われて23年ドラフト7巡目でプロ入りした。6-6/220の迫力ある体格から90マイル中盤の速球を投げ下ろす。4シーム、カッター、スライダーのパワフルなレパートリー。上下動の激しい投球フォームをしており、コントロールが不安定。