2025 PHILADELPHIA PHILLIES
TOP 15 PROSPECTS
Andrew Painter |
本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。
FV60
22年にマイナー3クラスで103.2回/防御率1.56と圧倒的なパフォーマンスを披露し、「ベースボールアメリカ」のマイナー最優秀投手に輝いた。しかしTJ手術などで23&24年シーズンを全休。健康であれば、6-7/215の規格外の体格から平均96.7/最速101マイル/スピンレート2408rpmの速球を主軸に、平均から平均以上のスライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜる。また、大柄ながら運動能力も素晴らしく、コマンドもプラス評価。球威、変化球、コマンド、体格全てを兼ね備えたエースポテンシャルだ。オフにはAFLで再び100マイルを計測するなど順調な回復ぶりをアピール。25年シーズンの全快に期待。
Andrew Painter
23年ドラフト全体27位指名の高卒選手。U-12、15、18でUSA代表を務めた実力者であり、強肩強打が魅力の大型内野手。24年はAでwRC+153、A+で128と好パフォーマンスを披露。2Aまで到達してみせた。辛抱強いアプローチで引っ張りフライを量産し、Aで記録した上位10%の打球速度106.5マイルはすでにプラス水準。チェイス率は非常に低いが、スイング率自体が低いので、階級が上がるにつれて投手の制球力が上がる中でどうなるか。ドラフト時に将来は3B転向と評されていた守備面でも成長著しく、SS残留の可能性を示した。もし仮に3Bに移ったとしてもパワー面で十分にインパクトを残せるだろう。
Aidan Miller
年齢離れした打撃能力が魅力の攻撃型捕手。23年に契約金9万ドルで入団とプロ入り時の評価は高くなかったが、16歳ながらDSLでwRC+146と圧倒的な成績を残して評価を上げた。24年はRをwRC+132で早々に卒業すると、17歳シーズンにしてAでの28試合で5本塁打・wRC+117と実力を発揮。Aでのトラッキングデータに注目すると、上位10%の打球速度104.6マイルはすでにMLB平均超え。スイング率55%&チェイス率35%という超フリースインガーのため、Aでは三振率28.9%と三振が急増してしまった。ゾーン内コンタクト率83%は平均レベルなのでアプローチを磨いて余計なチェイスを減らしたいところ。守備は発展途上ながら強肩の持ち主。すでに体格が肥大傾向にあり、捕手として長くプレーするには体重管理にも気を付けたい。
23年1月に契約金300万ドルで入団したドミニカ共和国出身のトップアマチュア。プラスのヒットツール&ゴールドグラブ級の守備力を兼ね備えた両打ちSSで、若き日のフランシスコ・リンドーア(現NYM)と比較する声も。打撃はシンプルなスイングでライナーを左右に打ち分け、塁に出れば盗塁でチャンスを広げる。Rでは52試合でwRC+125・37盗塁をマークしたが、Aでは非力さが足を引っ張り、26試合でwRC+59と苦戦。
球宴4度の名選手カール・クロフォードの息子であり、22年ドラフト全体17位指名でプロ入り。父譲りの俊足がベストツールで、コンタクト能力と併せて父と同じくリードオフマン適性あり。24年はA+/2Aで計110試合に出場し、打率.313・9本塁打・OPS.805・42盗塁をマーク。20歳シーズンにして2AでwRC+140と成功ルートに乗ってみせた。パワーはまずまず(23年にstatcastが搭載されているAで上位10%の打球速度103.5マイルとMLB平均並みの打球速度を記録)だが、グラウンドボール率が60%を越しており、打撃ポテンシャルには疑問。またCF守備でもルート取りの悪さが指摘されており、2年連続でBaseball Prospectusの出す守備指標DRPはマイナスになっている。本塁打を量産するタイプではないため、CFに残れるように守備力も磨いていきたい。
24年ドラフト2巡目の高校生。パワー&スピードに恵まれたフィジカルモンスターで、オーバースロットとなる契約金250万ドルでプロ入りした。ベストツールのスピードは20-80スケールで70評価。打撃は発展途上ながらも、ショーケースで結果を出しており、及第点レベルとの評価。守備力もCF中心に外野3ポジションいずれにもフィットするとの評価を得ている。
コントロールの改善が上手く行けば、先発に留まれるだけの資質を備えている。身長6フィート1とアンダーサイズだが、低リリースから繰り出されるライジングファストボールを武器に空振りを量産する。スライダー&チェンジアップも空振りが取れるアウトピッチだ。24年はA+/2Aでの計15先発で防御率3.59・被打率.198・奪三振率37.1%・与四球率12%をマークした。理想の完成像はクリスチャン・ハビアー(HOU)。
Jean Cabrera
FV40
23年ドラフト3巡目のハワイ出身高卒プロスペクト。打球速度&コンタクト率は平均的だが、磨かれたアプローチで引っ張りフライを量産し、Aでの97試合で17本塁打・wRC+123と好結果を出した。バレル率9.7%は高水準だ。走力もプラス評価で22盗塁(2失敗)を決めた。高校では外野手もプロでは内野に転向。DH以外の全守備機会を2Bでプレーした。
平均95マイル前後のライジングファストとハードスライダーで三振を量産するポテンシャルは非凡。24年はTJ手術から復帰し、2A/3Aで25先発して防御率2.73・FIP4.42をマーク。カーブ&チェンジアップも扱えるが、全投球の8割以上が速球&スライダーであること、与四球率12.5%と制球に課題があること、すでに26歳という年齢を考慮すると、ブルペンに専念する方が現実的か。
22年ドラフト3巡目。6-3/225の恵まれた体格にパワーポテンシャルを備える。23年にstatcast搭載のAで上位10%打球速度107.5マイルというMLBでも上位の数値を残している。24年は2Aでの59試合で打率.263・11本塁打・四球率11.6%・wRC+141をマーク。余計な動作の少ないシンプルなスイングでGB%=33.8%とライナー/フライ性の打球を量産した。ここ2シーズンで計55盗塁を決めているが、走力は平均を大きく下回るとの評価で、将来は1B/DHが適性と見られている。コンタクト率の改善が課題。
24年ドラフト全体27位指名。若き日のアレク・トーマスと比べられるオールラウンド候補。20-80スケールで70評価のスピード、シンプルなスイングでラインドライブを量産する巧打、CFにとどまれる守備力を兼備する1番CFポテンシャルだ。
20年ドラ1の大器だが、プロでは制球難が克服できずにいる。24年は3Aで24先発して防御率6.46。与四球率は階級が上がるにつれて悪化傾向にあり、24年は15.1%と球界最低レベルだった。速球は21年に平均95.4マイル/2488rpmを記録していたが、24年は平均94.6マイル/2240まで悪化。スライダー、カーブ、チェンジアップ、シンカーと持ち球全てが得点価値マイナスと良いところがなかった。来季も復活の兆しが見えなければリリーフ転向を余儀なくされるだろう。
22年に契約すると、2シーズンDSLでプレーしたのち、24年はRでの24試合でOPS.976と好調な打撃成績を残した。プラスツールがあるわけではないが、打撃感覚の良さとチェイス率の低さを生かして長短打を量産する。四球率20.2%/三振率9.6%と素晴らしいアプローチを示した。走守のツールは平均的で、3B/2Bの守備力はまずまずとの評価。打撃を売りにアピールしていきたい。