2024年11月17日日曜日

2025 PHILADELPHIA PHILLIES TOP 15 PROSPECTS

2025 PHILADELPHIA PHILLIES

TOP 15 PROSPECTS

Andrew Painter

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV60

22年にマイナー3クラスで103.2回/防御率1.56と圧倒的なパフォーマンスを披露し、「ベースボールアメリカ」のマイナー最優秀投手に輝いた。しかしTJ手術などで23&24年シーズンを全休。健康であれば、6-7/215の規格外の体格から平均96.7/最速101マイル/スピンレート2408rpmの速球を主軸に、平均から平均以上のスライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜる。また、大柄ながら運動能力も素晴らしく、コマンドもプラス評価。球威、変化球、コマンド、体格全てを兼ね備えたエースポテンシャルだ。オフにはAFLで再び100マイルを計測するなど順調な回復ぶりをアピール。25年シーズンの全快に期待。
Andrew Painter


FV50

2.エイデン・ミラー(SS)/Aidan Miller:21歳
23年ドラフト全体27位指名の高卒選手。U-12、15、18でUSA代表を務めた実力者であり、強肩強打が魅力の大型内野手。24年はAでwRC+153、A+で128と好パフォーマンスを披露。2Aまで到達してみせた。辛抱強いアプローチで引っ張りフライを量産し、Aで記録した上位10%の打球速度106.5マイルはすでにプラス水準。チェイス率は非常に低いが、スイング率自体が低いので、階級が上がるにつれて投手の制球力が上がる中でどうなるか。ドラフト時に将来は3B転向と評されていた守備面でも成長著しく、SS残留の可能性を示した。もし仮に3Bに移ったとしてもパワー面で十分にインパクトを残せるだろう。
Aidan Miller


年齢離れした打撃能力が魅力の攻撃型捕手。23年に契約金9万ドルで入団とプロ入り時の評価は高くなかったが、16歳ながらDSLでwRC+146と圧倒的な成績を残して評価を上げた。24年はRをwRC+132で早々に卒業すると、17歳シーズンにしてAでの28試合で5本塁打・wRC+117と実力を発揮。Aでのトラッキングデータに注目すると、上位10%の打球速度104.6マイルはすでにMLB平均超え。スイング率55%&チェイス率35%という超フリースインガーのため、Aでは三振率28.9%と三振が急増してしまった。ゾーン内コンタクト率83%は平均レベルなのでアプローチを磨いて余計なチェイスを減らしたいところ。守備は発展途上ながら強肩の持ち主。すでに体格が肥大傾向にあり、捕手として長くプレーするには体重管理にも気を付けたい。

4.スターリン・カバ(SS)/Starlyn Caba:19歳
23年1月に契約金300万ドルで入団したドミニカ共和国出身のトップアマチュア。プラスのヒットツール&ゴールドグラブ級の守備力を兼ね備えた両打ちSSで、若き日のフランシスコ・リンドーア(現NYM)と比較する声も。打撃はシンプルなスイングでライナーを左右に打ち分け、塁に出れば盗塁でチャンスを広げる。Rでは52試合でwRC+125・37盗塁をマークしたが、Aでは非力さが足を引っ張り、26試合でwRC+59と苦戦。

球宴4度の名選手カール・クロフォードの息子であり、22年ドラフト全体17位指名でプロ入り。父譲りの俊足がベストツールで、コンタクト能力と併せて父と同じくリードオフマン適性あり。24年はA+/2Aで計110試合に出場し、打率.313・9本塁打・OPS.805・42盗塁をマーク。20歳シーズンにして2AでwRC+140と成功ルートに乗ってみせた。パワーはまずまず(23年にstatcastが搭載されているAで上位10%の打球速度103.5マイルとMLB平均並みの打球速度を記録)だが、グラウンドボール率が60%を越しており、打撃ポテンシャルには疑問。またCF守備でもルート取りの悪さが指摘されており、2年連続でBaseball Prospectusの出す守備指標DRPはマイナスになっている。本塁打を量産するタイプではないため、CFに残れるように守備力も磨いていきたい。

24年ドラフト2巡目の高校生。パワー&スピードに恵まれたフィジカルモンスターで、オーバースロットとなる契約金250万ドルでプロ入りした。ベストツールのスピードは20-80スケールで70評価。打撃は発展途上ながらも、ショーケースで結果を出しており、及第点レベルとの評価。守備力もCF中心に外野3ポジションいずれにもフィットするとの評価を得ている。

7.モイゼス・チャセ(RHP)/Moises Chace:22歳
コントロールの改善が上手く行けば、先発に留まれるだけの資質を備えている。身長6フィート1とアンダーサイズだが、低リリースから繰り出されるライジングファストボールを武器に空振りを量産する。スライダー&チェンジアップも空振りが取れるアウトピッチだ。24年はA+/2Aでの計15先発で防御率3.59・被打率.198・奪三振率37.1%・与四球率12%をマークした。理想の完成像はクリスチャン・ハビアー(HOU)。

8.ジーン・カブレラ(RHP)/Jean Cabrera:23歳
23年にAでFIP3.13、24年はA+で3.38/2Aで3.41と直近2シーズンで安定したパフォーマンスを披露している右腕。平均94~95マイルのシンキングファストに平均以上のチェンジアップ&平均的なスライダーのコンビネーション。ここ2年で与四球率6.1%とコントロールも安定している。6-0/140と非常に細身なため、体が出来上がれば100マイルも夢ではない。
Jean Cabrera


FV40

23年ドラフト3巡目のハワイ出身高卒プロスペクト。打球速度&コンタクト率は平均的だが、磨かれたアプローチで引っ張りフライを量産し、Aでの97試合で17本塁打・wRC+123と好結果を出した。バレル率9.7%は高水準だ。走力もプラス評価で22盗塁(2失敗)を決めた。高校では外野手もプロでは内野に転向。DH以外の全守備機会を2Bでプレーした。

10.セス・ジョンソン(RHP)/Seth Johnson:26歳
平均95マイル前後のライジングファストとハードスライダーで三振を量産するポテンシャルは非凡。24年はTJ手術から復帰し、2A/3Aで25先発して防御率2.73・FIP4.42をマーク。カーブ&チェンジアップも扱えるが、全投球の8割以上が速球&スライダーであること、与四球率12.5%と制球に課題があること、すでに26歳という年齢を考慮すると、ブルペンに専念する方が現実的か。

11.
ガブリエル・リンコネス(OF)/Gabriel Rincones:24歳
22年ドラフト3巡目。6-3/225の恵まれた体格にパワーポテンシャルを備える。23年にstatcast搭載のAで上位10%打球速度107.5マイルというMLBでも上位の数値を残している。24年は2Aでの59試合で打率.263・11本塁打・四球率11.6%・wRC+141をマーク。余計な動作の少ないシンプルなスイングでGB%=33.8%とライナー/フライ性の打球を量産した。ここ2シーズンで計55盗塁を決めているが、走力は平均を大きく下回るとの評価で、将来は1B/DHが適性と見られている。コンタクト率の改善が課題。

12.ダンテ・ノリ(OF)/Dante Nori:20歳
24年ドラフト全体27位指名。若き日のアレク・トーマスと比べられるオールラウンド候補。20-80スケールで70評価のスピード、シンプルなスイングでラインドライブを量産する巧打、CFにとどまれる守備力を兼備する1番CFポテンシャルだ。

24年シーズン、PHI傘下で最もブレイクした投手プロスペクトの1人。A+で12先発/xFIP3.04、2Aでも8先発/ⅹFIP3.08と好投。計103.2回を投げて奪三振率31.3%/与四球率6.7%と素晴らしい支配力を披露した。MAX97マイルでエクステンション抜群の4シームと80マイル前半のスラーブを主軸に、80マイル中盤で外にフェードするチェンジアップも交える。

20年ドラ1の大器だが、プロでは制球難が克服できずにいる。24年は3Aで24先発して防御率6.46。与四球率は階級が上がるにつれて悪化傾向にあり、24年は15.1%と球界最低レベルだった。速球は21年に平均95.4マイル/2488rpmを記録していたが、24年は平均94.6マイル/2240まで悪化。スライダー、カーブ、チェンジアップ、シンカーと持ち球全てが得点価値マイナスと良いところがなかった。来季も復活の兆しが見えなければリリーフ転向を余儀なくされるだろう。
22年に契約すると、2シーズンDSLでプレーしたのち、24年はRでの24試合でOPS.976と好調な打撃成績を残した。プラスツールがあるわけではないが、打撃感覚の良さとチェイス率の低さを生かして長短打を量産する。四球率20.2%/三振率9.6%と素晴らしいアプローチを示した。走守のツールは平均的で、3B/2Bの守備力はまずまずとの評価。打撃を売りにアピールしていきたい。

2024年11月15日金曜日

2025 NEW YORK METS TOP 15 PROSPECTS

2025  NEW YORK METS 

TOP 15 PROSPECTS

Jett Williams

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.ジェット・ウィリアムズ(SS/OF)/Jett Williams:21歳
22年ドラフト全体14位指名の高卒野手。身長5フィート6と小柄ながら並外れた出塁能力の高さとプラスの走力が魅力のリードオフポテンシャルで、ダスティン・ペドロイア(元BOS)と比較されている。23年は高卒1年目ながらAでwRC+136、A+で176、マイナー全体2位の104四球を選ぶなど大活躍。最大の強みである出塁率は驚異の.425をマークした。しかし、24年は右手首の手術で33試合の出場にとどまった。それでもラスト6試合は3AでOPS1.079、オフのAFLでもOPS.770と状態を上げており、来季健康にプレー出来ればまた23年のようなパフォーマンスをしてくれると期待。守備はSS中心に、CF/2Bでもプレー。将来的にはSSよりもCFや2Bがフィットすると予想されている。
Jett Williams


23年ドラフト2巡目。大学ではシーズン防御率4.66と不調だったが、24年はA+/2Aでの16先発で防御率2.05・奪三振率32.9%・FIP3.05と好投。最速101マイルの豪速球を軸にアグレッシブにゾーンを攻めるスロワータイプ。ストライク先行の投球のおかげで、A+/2Aでは平均5.4イニング超を消化。90球前後で6~7イニングを消化した試合が複数あった。変化球はスライダー&チェンジアップがプラスピッチ候補で、カッターとカーブもレパートリーに扱う。しかし3A昇格後は7先発で防御率7.53・HR/9=2.20と打ち込まれた。速球の質に課題(スピン量、ホップ変化量いずれも平均以下)があり、3Aでの4シームの被wOBAは.535、得点価値はわずか28.2回で-6.7を叩き出した。速球の質改善と被弾を避けるように細かいコマンドを磨くことが上位で活躍するための鍵となるだろう。
Brandon Sproat

二刀流プロスペクトで、ニックネームは「カウボーイ・オオタニ」。24年はA+で防御率2.57・奪三振率32%、打っては25試合でOPS.850をマークするなど投打で躍動。平均95マイルの速球と3200rpmに達するスウィーパーのコンボが武器のパワーピッチャー。チェンジアップは発展途上でまだ色々な握りを試している段階。投球割合は少ないが、カーブ、カッター、ツーシームなどもレパートリーとして投げられるなど球種自体は多彩だ。大学通算与四球率12.9%の制球難からプロではリリーフ転向との評価が主だったが、A+/2Aで109.2回を投げて与四球率9.1%を記録するなど制球面が成長。先発としての可能性を示した。打者としてはパワーポテンシャルを秘めるが、三振率50%以上とコンタクト能力に欠点があり、後半戦は投手に専念した。現時点では投手としての評価が上。先発投手として活躍するには依然として平均以下のコントロールの向上と、第3球種の習得が課題となる。
Nolan McLean


ジャスティン・バーランダーとのトレード対価の1人。23年に高卒1年目ながら24本塁打と台頭すると、24年は20歳ながら2Aでの98試合で18本塁打・wRC+133をマーク。三振率28.9%・打率.231というコンタクト難と消極的すぎるアプローチは要改善だが、引っ張りフライ率が高く、長打を量産できるパワーと四球率15.6%の四球奪取能力はまさにスラッガーにふさわしい。守備は外野コーナーか1B向きで、どれだけ打てるかにかかっている。ちなみに20歳シーズンで2AでのwRC+が100を超えた選手は大方MLBに昇格しており、130前後の選手は多くがMLBで活躍している。


FV45

フリースインガーでヒットツールを不安視されているが、パワーツールはMLBでも屈指。23年に3Aで記録した上位10%打球速度109マイルは、MLBであればマット・オルソンやラファエル・デバースなどに匹敵するMLB十傑レベル。24年はACL断裂で全休。守備はSSにふさわしい強肩の持ち主だが、MLBレベルでは2Bや3Bの方がフィットするとの評価。打撃スキルを磨いてMLBでもパワーポテンシャルを発揮できるか。

契約金$270Kとプロ入り時の評価は高くなかったが、強肩強打の内野手として評価を上げている。24年はAで64試合/10本塁打/wRC+123とブレイクの兆しも、A+昇格後に右膝を故障しシーズン終了。好球必打の積極アプローチでチェイス癖があるものの、引っ張りフライを量産するパワフルな打撃が強み。身長5フィート10と体は大きくないが、スイングスピードが素早く、19歳にして上位10%打球速度104.7マイルはMLB平均値である104マイルに到達している。マイナーではSS/3Bを半々で守ったが、平均以下の走力と平均以上の強肩から将来的には3Bに落ち着くとの見立て。

ロナルド・アクーニャ(ATL)の弟。兄のような傑出したポテンシャルはないが、平均以上のコンタクト率、マイナーで4年連続40盗塁以上の走力、SS/2B/CFをこなすユーティリティー性からソリッドプレーヤーになり得る。24年は3AでwRC+69と期待外れのパフォーマンス。上位10%打球速度103.5マイルとMLB平均レベルのパワーポテンシャルを秘めるも、フリースインガー&ゴロ率54.6%のアプローチからISO.097と実戦ではパワーを発揮できなかった。MLBでは14試合で3発・OPS.966と爆発。小サンプルながらゴロ率を10%以上減らすことに成功した。MLBで見せた打撃が本物ならば来季が楽しみだ。フランシスコ・リンドーアを追いやるには厳しいが、内外野こなすユーティリティープレーヤーとしてチームに貢献できる実力を秘めている。

22年ドラフト1巡目。絶対的なツールは無いが走攻守揃ったオールラウンダー。23年開幕時は各媒体で球界トップ100以内の高評価を得ていたが、24年は3AでwRC+85と足踏み。身長5フィート8と小柄でパワーレス(上位10%打球速度100.9マイルは球界最低レベル)だが、引っ張りフライ率の高さで成功を収めている。24年は引っ張りフライ率12.7%(MLB平均6.8%)とトップクラスの数字を維持し56試合で10本塁打を放ったが、BABIP.234のハードラックに泣いた。24年はハムストリングスの故障の影響で3盗塁にとどまったが、健康なら盗塁を稼げる足もある。守備は爆発的な走力があるわけではないが、MLBでもCFが務まるとの評価。打撃が復活すればソリッドなレギュラーとして計算できるだろう。CF版アイザック・パレイデスになれるか。

24年ドラフト1巡目。コンタクト能力に恵まれた左の中距離打者で、大学通算120試合で打率.335・25本塁打・OPS1.064・BB>Kと圧倒的なパフォーマンス。プロでも15試合という限られたサンプルながらゾーン内コンタクト率90%以上と強みを発揮していた。平均的な走力&プラスの強肩からRF適性あり。メッツは守備力を買っているようで、プロ入り後はCFで試されている。MLB公式はニック・マーケイケス(元BAL)と比較。現時点ではソリッドプレーヤー寄りであり、両翼で価値を出すにはパワーを伸ばしていきたいところ。

22年ドラフト2巡目。マイナー3年で与四球率12.6%・HR/9=1.2という制球難からブルペン転向のリスクも低くないが、ローテーション半ばクラスのスペックの持ち主。平均94.8マイルでホップ変化量平均以上の4シームと高スピンで変化量大のスウィーパー&スライダーのコンボを軸に、カッター、チェンジアップ、シンカーと球種も多彩。24年はフルシーズン2年目にして2Aを防御率2.41・奪三振率29.9%とあっさり卒業。3Aでは苦戦したが、シーズン通して122.1回を消化するなど先発として経験を積んだ。


FV40

2023年の国際アマチュア選手の目玉の1人で、契約金125万ドルでDバックスに入団、その後同年夏にトミー・ファムとのトレードでNYMに移ってきた。ハイセンスな打撃能力が魅力の内野手で、10代にしてコンタクト能力と優秀な選球眼を身に着けている。23年=DSL、24年=RでそれぞれwRC+100以上のパフォーマンス。プロ2年で打率.282/出塁率.382をマークしている。筋力をつけていくことが今後の課題。守備はSSとしてはレンジ不足だが、2Bに回れば平均程度で務まるだろうとの評価を得ている。25年は18歳シーズンにしてAでデビュー予定。

12.ジョナ・トン(RHP)/Jonah Tong:22歳
平均92~93マイル程度だが、statcast搭載のAで平均ホップ変化量20.6インチ(24年のMLBであればアレックス・ベシアの20.3インチを上回り全投手で1位)を記録したライジングファストボールが最大の武器。速球が約6割を占め、第2、第3球種として縦カーブと86マイル前後のカッターを交える。24年はA/A+/2Aで113回を投げて防御率3.03・FIP2.33・奪三振率34.2%と素晴らしい投球を披露した。4シームの変化量は魅力だが、球速不足、大雑把なコマンド、変化球の平凡さから、MLB打者を3巡抑えるのは厳しいとの見方が強く、リリーフで輝くタイプとの評価。評価を覆せるか。
Jonah Tong


24年ドラフト2巡目。90マイル中盤のライジングファストとブレーキの利いたゾーン外へワイプアウトするスライダーの2球種で空振りを量産する左腕。大学1年時から米大学代表のトライアウトに招待されるなど実力はあったが、故障がちでブレイクには至らず。ドラフトイヤーとなった24年は肋骨の負傷もあったが13先発で防御率3.41・奪三振率35%をマーク。与四球率12.8%の制球難からブルペン転向のリスクも低くない。

14.マルコ・バルガス(SS)/Marco Vargas:20歳
23年夏にデービッド・ロバートソンとのトレードでMIAから加入したプロスペクト。スムーズなスイングでコンタクト能力とアプローチに優れる出塁マシーン。24年はAでの37試合でOPS.608と今一つなシーズンとなった。実戦ではコンタクト重視の打撃スタイルだが打撃練習では強打を見せており、上位10%の打球速度は102マイルと同年代の選手の中では平均以上の水準となっている。守備は堅実ながらSSとしてはツール不足で、2B/3Bがフィットするとの見立て。スピードは平均的だが野球IQの高さで盗塁を成功させるタイプ。

15.
ボストン・バロ(SS)/Boston Baro:20歳
23年ドラフト8巡目。名門UCLAへの進学が内定していたが、3巡目相当の契約金でプロ入りした。長身細身でアスレチックな体型で、パワーは平均を大きく下回る(Aで上位10%打球速度99マイル)が、優秀なアプローチと二遊間相応の守備力を兼ね備えている点が強み。24年はAでの84試合で打率.288・4本塁打・wRC+122・四球率11.1%/三振率17.8%をマーク。守備はSS/3B/2Bを幅広くプレー。攻守に発展途上であり、数年後の開花に期待したい。

2024年11月10日日曜日

2025 MIAMI MARLINS TOP 15 PROSPECTS

2025 MIAMI MARLINS 

TOP 15 PROSPECTS

Thomas White


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV55

1.トーマス・ホワイト(LHP)/Thomas White:20歳
23年ドラフト全体35位指名の高卒左腕。200万ドル近いオーバースロットとなる契約金410万ドルで入団を決めた。24年はA/A+で21先発して防御率2.81・FIP3.23・奪三振率29.2%と素晴らしいパフォーマンス。6-5/210の恵まれた体格から平均95マイル/スピンレート2501rpmの4シームを主軸に、Aで空振り率41%のスラーブ、同38%のチェンジアップのコンビネーション。3球種プラスピッチ候補と素質は申し分なく、課題とされるコントロールも与四球率9.2%とおおむね安定していた。荒さは目立つが、フロントスターター級への成長に期待したい。
Thomas White


FV50

豪快なパワーが武器の攻撃型捕手。ジャズ・チザムの見返りの1人として夏のトレードでNYYから移ってきた。23年に自己最多の18本塁打をマークすると、24年は2Aでの58試合で16本塁打・wRC+163と大ブレイク。3A昇格当初はボール球に手を出し内野ゴロを量産していたが、徐々に適応。上位10%の打球速度106.8マイルはプラス水準で、積極アプローチながらチェイス率&コンタクト率も平均以上を維持するなど、3Aの投手相手にも穴を見せなかった。一方の守備面は要改善。肩の強さは平均以上だが俊敏性に問題があり、110許盗塁&盗塁阻止率10%。また捕球面でも10失策&11捕逸。

23年ドラフト全体10位指名の高卒右腕で、エースポテンシャルと評判。6-5/185の伸びしろあふれる体格から平均93.9マイルのシンカーと大きく曲がるスライダー中心の投球。特に決め球のスライダーはAで被wOBA.091・空振り率41%と素晴らしい内容だった。第3球種のチェンジアップは10%程度の投球比率だが、アームサイドへの変化が大きいため空振り率42%と磨けば光る可能性あり。24年はA/A+で18先発を経験するも、与四球率17%と制球難に苦しんだ。高卒1年目で着実に実戦経験を積んでステップアップできたのはポジティブな側面だが、与四球率17%はさすがに酷すぎるため、先発として大成できるかは未知。


FV45

4.ロビー・スネリング(LHP)/Robby Snelling:21歳
22年ドラフト全体39位指名。93-95マイルでホップ変化量平均以上の4シームと22年ドラフトNo.1と評されたカーブのコンビネーション。第3球種のチェンジアップはプロ入り後に向上中。23年は100イニング以上投げた投手ではマイナートップとなる防御率1.82と好投。しかし24年は2Aで開幕から16先発/防御率6.01と年上選手たちに苦戦。それでも徐々に適応を見せ、夏のトレードでSDから移ってからは8登板で防御率3.64・FIP2.92・奪三振率27.1%と復調の兆し。前半戦は相手打者のレベルアップに伴い四隅を狙って自滅していたが、後半は与四球を減らして再びゾーン内で勝負できるようになった。来季の完全復活に期待したい。

5.ジョー・マック(C)/Joe Mack:22歳
21年ドラフト全体31位指名。24年にマイナーのゴールドグラブ賞を獲得した守備型捕手。打っても大学3年生と同じ21歳のシーズンにして2Aで22本塁打・wRC+129と健闘を見せた。コンタクト力は平均以下だがフライボール率が高く、低打率ながら20HR前後が狙えるだろう。捕手守備では強肩と素早い握り替え、巧みなフレーミング、俊敏なフットワークを兼備。79試合で63盗塁に抑え、盗塁阻止率は34%をマーク。Baseball Prospectusの出す守備指標ではここ2シーズンでフレーミング指標+13.6、送球指標+4.1と大きくプラスを叩き出している。
Joe Mack



6.ルイス・コバ(OF)/Luis Cova:18歳
24年1月に契約金140万ドルで入団した原石。U-15のベネズエラ代表CFを務めた実力者で、ダブルプラスのスピードが魅力のアスリートタイプ。DSLでは55試合でOPS.723・36盗塁と上々のデビューを飾った。四球率15.3%/三振率10.0%と成熟したアプローチが光る。現時点ではギャップヒッターだが、スイングスピードの速さから筋肉がつけばパワーも向上が見込まれている。仮にパワーが向上しなくてもある程度打てれば守備走塁と出塁能力でチームに貢献できるだろう。

24年にマイナーで40HRを放ったパワーヒッター候補。上位10%の打球速度108.1マイル/MAX打球速度116マイルはMLBだとフアン・ソトやブライス・ハーパーらに匹敵し、20-80スケールで70~75相当だ。一方で超フリースインガーであり、コンタクト率も65%と平均を大きく下回っているため、MLB投手に対応できるか疑問。また守備走塁で貢献できるタイプでもなく、ミゲル・サノーやフランミル・レイエスあたりが比較対象と見ている。

8.PJ モーランド(OF)/PJ Morlando:20歳
24年ドラフト全体16位指名。高校生ホームラン競争優勝&全米オールスターゲームMVPの実力者だが、ドラフトイヤーに不調で評価下落。無駄のない華麗なスイングでコンタクト力とパワーポテンシャルを両立しているが、実戦で長打力を発揮しきれていない。プロで改善できるか。チームはCFとして買っているが、スカウト評価はそれほどではなく、将来的には外野両翼か1Bに回ると予想されている。
PJ Morlando


9.ディロン・ヘッド(OF)/Dillon Head:20歳
23年ドラフト1巡目の高卒選手。20-80スケールで80評価のスピードが武器の1番CF候補。ルイス・アラエスの見返りの1人としてSDから加入した。現時点ではコンタクト&選球眼に長けたギャップヒッターだが、最終的には15~20本塁打を打てるようになれるとチームは期待している。24年は故障により26試合の出場に終わった。身体能力は傘下トップクラス。


FV40

10.カーター・ジョンソン(SS)/Carter Johnson:19歳
24年ドラフト2巡目。高校生No.1ピュアヒッターと評判で、U-18でもプレー。スムーズな左スイングで広角にライナーを打ち分けるラインドライブヒッター。平均的とされるパワーをどれだけ伸ばせるか。走守のツールは傑出しておらず、将来的には3Bや2Bに落ち着くだろうと予想されている。ドラフト後はいきなりA配属されるも、wRC+65・三振率33%と年上選手に歯が立たず。トップアマチュア選手としてはツール不足か。

11.
キーナー・ベニテス(LHP)/Keyner Benitez:19歳
若き日のフランシスコ・リリアーノ(元PIT他)を思わせるクロスファイアー左腕。18歳ながらAでの57.2回で防御率3.12・xFIP3.87と健闘。平均93マイルのシンキングファスト、空振り率52%を記録したダブルプラス候補のチェンジアップ、平均78マイルとブレーキの利いたスライダーのコンビネーション。まだ細身で球速向上の余地があり、数マイル伸ばせれば先発候補として楽しみな存在だ。

チザムのトレード対価の1人。身長5フィート7とアンダーサイズだが、パンチ力あり。鋭いライナーで外野の間を破る。24年はA+で88試合/wRC+123、2Aで39試合/wRC+119をマーク。A+/2Aで計15本塁打&39二塁打を放った。選球眼に欠点があり、ボール球に手を出してのウィークコンタクトを減らしていきたい。守備面ではキャリア4年目にして初めてSSメインで1年間プレー。長期的には2Bや3Bの方がフィットするだろうが、ユーティリティー性に磨きをかけた。

13.アダム・メイザー(RHP)/Adam Mazur:24歳
22年ドラフト2巡目。プラスのコントロールを土台に5球種を織り交ぜるテクニカル右腕。平均94.6マイルの4シームと87マイルのハードスライダーが全投球の7割以上を占める。24年は開幕から2Aで6先発/防御率1.95・与四球率4.2%と好投。しかし、MLBデビューすると8先発で防御率7.49と打ち込まれた。4シームは及第点だが他に平均以上の球種がないため、MLBの打者を圧倒するのは厳しそうだ。現時点ではローテ下位のイニングイーターorミドルリリーフ向きと見ている。

14.エイデン・メイ(RHP)/Aiden May:22歳
24年ドラフト全体70位指名。鋭く切れるスライダーがマネーピッチ。スライダーと平均94/最速98マイルの速球を軸とした投球で打者を制圧する。ツーピッチタイプでリリーフ転向リスクを心配されている。また、速球はホップ成分が弱く、軌道に問題があるとされており、球速の割にあまり空振りが奪えていない。球威だけで見ればローテーション半ばポテンシャルだが、シーリングに達するには第3球種の習得と速球の質改善が求められる。

15.カーソン・ミルブラント(RHP)/Karson Milbrandt:21歳
22年ドラフト3巡目の高卒投手。高校ではバスケットボールとの二刀流だったため、野球に専念した環境での伸びしろが期待されている。プロ3年で防御率4.71と結果はイマイチだが、23年=23先発、24年=22先発をこなすなど着実に経験を積んでいる。平均94マイル/スピンレート2500rpm超のランニングファストを中心に、鋭いカーブ&左打者の外にフェードするチェンジアップのコンビネーション。アップサイドを期待してのランクイン。

2024年11月8日金曜日

2025 ATLANTA BRAVES TOP 15 PROSPECTS

2025 ATLANTA BRAVES 

TOP 15 PROSPECTS

Drake Baldwin

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.ドレイク・バルドウィン(C)/Drake Baldwin:24歳
22年ドラフト3巡目。パワーとゾーン管理に優れる攻撃型捕手で、24年は3AでwRC+135、四球率15.6%/三振率16.2%、上位10%の打球速度はプラス水準である106.7マイルをマーク。コンタクト率も77%と平均的で、大きな欠点は見当たらない。打撃面は明るい一方で、捕手としての守備力は平均程度の評価。23年にBaseball Prospectusのフレーミング指標で+9.1を記録していたが、24年は-1.9と不調だった。送球面や捕球面の指標も平均ややマイナスにとどまっており、守備力を改善し、捕手に残れるかどうかが選手としてのバリューを左右しそうだ。
Drake Baldwin


2.AJ スミス=ショウバー(RHP)/AJ Smith-Shawver:22歳
ポテンシャルの割に苦しんでいる印象だが、21歳シーズンにして3Aで通年ローテを回した(20先発/防御率4.86・xFIP4.61)だけで十分健闘したシーズンと言えるだろう。本来は平均95マイル/縦変化量17.6インチというライジングファストと80マイル中盤のジャイロスライダーで打者を制圧するスタイルだが、3Aではこの2球種が甘いゾーンに集まり、打ち込まれてしまった。一方で平均83.5マイルと速球よりも10マイル以上遅いチェンジアップが空振り率44.1%/被wOBA.238と効果的で、第2球種として確立する収穫もあった。HR/9=2.07、与四球率11%とコマンドに課題があるが、まだカレッジ投手と同年齢であり、そう悲観する必要はないだろう。
AJ Smith-Shawver

23年ドラフト全体24位指名。ダイナミックなフォームからMAX99マイルの4シームとプラスのスプリットチェンジで打者を圧倒するKマシーン。フルシーズン1年目となった24年は2Aでの9登板で49.1回を消化し、防御率2.92/xFIP3.52と安定したパフォーマンス。3Aでは与四球増で数字を落としたが、シーズン100イニングをクリアするなど耐久面で健闘を見せた。先発として大成できるかはコントロールと4シームの質改善が鍵を握るか。


FV45

4.キャム・キャミニティ(LHP)/Cam Caminiti:18歳
24年ドラフト全体24位指名。高校生No.1左腕と評判の大器で、MAX98マイルでキャリー成分の強い4シームが武器。また、CFとして鳴らしたアスリート性の高さも魅力で、フォームの再現性の高さも評価を得ている。多くの高校生投手と同じように、変化球や制球力の向上が今後の課題か。

5.JR リッチー(RHP)/JR Ritchie:22歳
22年ドラフト全体35位指名。TJ手術から復帰すると1Aでの32.1回で防御率1.95・奪三振率30.8%と順調な回復ぶりを見せた。滑らかなフォームから92-95マイルの速球を両コーナーに投げ分け、高スピンのスライダーで打者を仕留める。また対左打者にはチェンジアップも扱える。97-98マイルを計測していた術前の水準まで球速を戻せれば、ローテーション半ばポテンシャル。
JR Ritchie


6.
ナチョ・アルバレスJr.(SS)/Nacho Alvarez Jr.:22歳
コンタクト能力に優れ、2A/3Aでは四球率13.4%/三振率16.9%と上質なゾーン管理能力を披露。パワーポテンシャルは平凡(3Aでの上位10%打球速度101マイルはMLB平均以下)ながら、打率&出塁率の高さを売りにwRC+123をマークした。守備面では決して名手というわけではないが、SS中心に3B/2Bも守れるユーティリティー性が魅力。23年にBaseball Prospectusの出す守備指標DRPで+10.7をマークも、24年は-1.5に後退。守備だけで食っていける選手ではなさそうなので、パワーナンバーを伸ばして打撃でプラスを出せるかがレギュラー定着の鍵になりそうだ。
22年ドラフト全体20位指名。球威と制球力を両立した投球能力と投打に加えてアメフトでも活躍した運動能力の高さを評価されている。90マイル前半ながらホップ変化の大きい速球が武器。24年はA+での7先発で防御率1.54・奪三振率38.7%と好投も、TJ手術によりシーズン終了。6-1/190と小柄な体格で伸びしろを疑問視されていた上、TJ手術で耐久面のバリューを落とした。まずは健康に復帰することが目標だ。
Owen Murphy


8.
ホゼ・ぺルドモ(SS)/Jose Perdomo:18歳
24年度のMLB公式国際アマチュアFAランキングで3位につけていた大器で、契約金500万ドルでブレーブスに入団した。無駄のないスムーズなスイングでラインドライブを量産するコンタクト能力を最も評価されている。プロ1年目の24年はDSLで8試合の出場にとどまった。これからの飛躍に期待。

9.
ギャレット・バウマン(RHP)/Garrett Baumann:19歳
23年ドラフト4巡目の高卒投手。6-8/245の恵まれた体格の持ち主でアップサイドに期待。24年は高卒1年目ながらAでの92回で防御率3.42/xFIP3.38と安定したパフォーマンスを披露。最速98マイルの速球と平均的なスライダー&チェンジアップのコンビネーション。長身投手でありながら与四球率6%と制球が安定している希少な存在であり、球種の質を磨いて平均的な奪三振能力を伸ばせるとバリューが上がるだろう。


FV40

23年ドラフト2巡目。平均93マイルのシンカーと80マイル前半のスラーブを主体にカッター&チェンジアップを交え、ゴロの山を築くイニングイータータイプ。24年はA+/2A/3Aで25先発/129回を投げて防御率3.07・FIP3.21と好投。与四球率11.3%は気になるが、高いゴロ率のおかげでHR/9=0.16と被弾を許さず、好成績の要因となった。

23年ドラフト6巡目ながら、A+/2Aで計143.2回を投げて20.5K-BB%、FIP3.14と好投。特に2Aでも好投を維持した点はポイントが高い。92マイルの速球とキレの良いスライダーを軸に、4球種でストライクを稼げる。エース級の球威は無いが、ローテーション下位のイニングイーターになり得る。

12.ジャンカルロス・ララ(RHP)/Jhancarlos Lara:22歳
MAX98マイルの4シームと80マイル後半のスライダーの2球種で打者を制圧するパワーピッチャー。24年はA+での62回で防御率3.92・xFIP4.13・奪三振率26.2%をマーク。先発に残るには第3球種であるスプリットチェンジの質改善と、A+で与四球率13.1%、2Aでは20.2回で25%を喫した制球難の改善が求められる。

Aで75.2回を投げて防御率2.74・奪三振率32.1%・与四球率6.9%・xFIP2.86と好投したコロンビア出身右腕。90マイル前半でシュート方向に食い込む4シームと横滑りするスライダーでゾーンの左右を揺さぶり、第3球種としてスプリットを織り交ぜる。いずれもプラスピッチではなく、また6-0/170という体格も含めて先発投手としてはスペック不足が否めないが、このまま好投を続ければ先発としての可能性も見えてくるだろう。

14.カーター・ホルトン(LHP)/Carter Holton:22歳
24年ドラフト2巡目。強豪バンダービルト大で3年間先発を張った実力者。クロスファイアーからMAX98マイルの4シームとハードスライダーを軸に4球種扱える。アンダーサイズな体格と年々防御率が悪化している点が不安材料。

15.
ルイス・グアニパ(OF)/Luis Guanipa:19歳
23年1月に契約金250万ドルで入団の逸材。プラスのパワー、ダブルプラスのスピードを兼ね備えるポテンシャルの塊も、プロ2シーズンで打率.228・OPS.657と不発。打者として磨かれる必要がある。とはいえ、まだ高卒選手と同じ年齢であり、これからの成長に期待。



2024年6月2日日曜日

2024 TOP 20 PROSPECTS:Index By Organization

2024 TOP 20 PROSPECTS

Index By Organization

James Wood
 

MLB30球団のプロスペクトランキングトップ20を公開しています。以下の球団名リンクから閲覧することができます。傘下注目のプロスペクト上位20名をスカウティングレポートと共に紹介しています。

アメリカン・リーグ


Baltimore Orioles /ボルティモア・オリオールズ
Boston Red Sox /ボストン・レッドソックス
New York Yankees /ニューヨーク・ヤンキース
Tampa Bay Rays /タンパベイ・レイズ
Toronto Blue Jays /トロント・ブルージェイズ

Chicago White Sox /シカゴ・ホワイトソックス
Cleveland Gurdians /クリーブランド・ガーディアンズ
Detroit Tigers /デトロイト・タイガース
Kansas City Royals /カンザスシティ・ロイヤルズ
Minnesota Twins /ミネソタ・ツインズ

Houston Astros /ヒューストン・アストロズ
Los Angeles Angels /ロサンゼルス・エンゼルス
Oakland Athletics /オークランド・アスレチックス
Seattle Mariners /シアトル・マリナーズ
Texas Rangers /テキサス・レンジャース

ナショナル・リーグ


Atlanta Braves /アトランタ・ブレーブス
Miami Marlins /マイアミ・マーリンズ
New York Mets /ニューヨーク・メッツ
Philadelphia Phillies /フィラデルフィア・フィリーズ
Washington Nationals /ワシントン・ナショナルズ

Chicago Cubs /シカゴ・カブス
Cincinnati Reds /シンシナティ・レッズ
Milwaukee Brewers /ミルウォーキー・ブルワーズ
Pittsburgh Pirates /ピッツバーグ・パイレーツ
St. Louis Cardinals /セントルイス・カージナルス

Arizona Diamondbacks /アリゾナ・ダイアモンドバックス
Colorado Rockies /コロラド・ロッキーズ
Los Angeles Dodgers /ロサンゼルス・ドジャース
San Diego Padres /サンディエゴ・パドレス
San Francisco Giants /サンフランシスコ・ジャイアンツ

2024年6月1日土曜日

2024 TEXAS RANGERS TOP 20 PROSPECTS

2024 TEXAS RANGERS 

TOP 20 PROSPECTS

Evan Carter

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV60

1.エバン・カーター(OF)/Evan Carter:21歳
Baseball Americaのドラフトトップ500にも入っていなかったが、20年ドラフト2巡目でTEXが指名。スムーズなスイングで打撃の才能が抜きん出ており、攻守のポテンシャルをブランドン・ニモ(NYM)と比較される。23年は2Aで97試合/wRC+133、MLB昇格後も23試合/wRC+180と勢い止まらず。打球速度は平均的で、パワーをどれだけ伸ばせるか。24年は新人王候補に挙げられていたが、5月30日時点でwRC+79と平凡なパフォーマンスにとどまっている。
Evan Carter


23年ドラフト全体4位指名。大学屈指の強打者として入団すると、プロ入り44試合で打率.360・10本塁打・OPS1.157と打ちまくった。パワーとアベレージを両立した球界を代表するスラッガーへの成長が期待される。守備は要改善で、LFが適任との評価。24年は春季トレーニングでも打ちまくり開幕ロースター入りを果たしたが、5月30日現在でwRC+67と苦戦している。

FV50

3.
セバスチャン・ウォルコット(SS)/Sebastian Walcott:18歳
23年に契約金300万ドルで入団したバハマ出身の原石。パワーポテンシャル。23年はプロ初年度、17歳のシーズンにしてMLB平均を上回る打球速度112マイルを計測。一気にA+まで昇格を果たした。三振率29.7%とコンタクト難。オニール・クルーズ(PIT)やエリー・デラクルーズ(CIN)のようなスケールの大きい選手への成長に期待(2人ほどの爆発的なアスリート性はなさそうだが)。
24年は5月30日現在、A+で8先発して防御率1.69・奪三振率33.3%と好投中の右腕。95-96マイルの4シーム、スライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球を高めに、変化球を低めに投げ分けるコマンドも素晴らしい。2A昇格後も成績を維持できれば大きく評価を上げるだろう。

FV45

5.クマー・ロッカー(RHP)/Kumar Rocker:24歳
バンダービルト大では7位のジャック・ライターと共にWエースで活躍。21年に全体10位でメッツに指名されたが、身体検査の結果を巡って破綻。不運にもその後、肩を手術。それでも翌22年にTEXから全体3位指名を受けた。23年は開幕からA+で6先発し防御率3.86・奪三振率37.8%と好投していたが、TJ手術でシーズン終了。今季も全休が見込まれている。健康であればMAX99マイルの速球と80マイル中盤のスライダーがプラスピッチ候補。

20年ドラフト1巡目指名。22年からコンタクト重視のアプローチに切り替え、三振率が大幅に改善。昨季は3Aでゾーン内コンタクト率93.2%と優秀な数字を記録した。一方で平均87.3マイルという平均的な打球速度、GB%=55%というゴロの多さからwRC+113と打撃貢献は伸び悩んだ。また守備力もシーガー&セミエン&ヤンを追いやるほどでなく、1B/DHのレギュラーorバックアップ内野手で生きる道を探ることになるか。

21年ドラフト全体2位指名。凄まじいノビを誇るMAX99マイルの速球が武器のパワーピッチャーで変化球も切れる。しかしプロではコマンド難に苦しみ、期待外れのパフォーマンスが続ている。また先発投手としてはアンダーサイズであり、与四球の多さも含めて耐久面を証明していく必要がある。それでも24年は5月30日現在、3Aで6先発して防御率3.94と結果を出し、MLBデビューも経験した。
Jack Leiter


22年のMLBドラフトリストでは投手トップの11位にランクインしていた大器。進学の可能性からスリップしたが、4巡目としては史上最高額となる契約金370万ドルでプロ入りした。90マイル中盤の速球とブレーキの利いたチェンジアップのコンビネーション。とはいえ全体的に磨かれる必要があり、完成には時間がかかるだろう。制球難を改善したい。


FV40

9.
アレハンドロ・ロザリオ(RHP)/Alejandro Rosario:22歳
23年ドラフト5巡目。大学3年間で防御率6.47・与四球率9.8%とパッとしなかったが、5月30日現在、Aで6先発して防御率1.78・奪三振率36.5%・与四球率4.8%と支配的なパフォーマンスを見せている。平均97マイル/最速100マイルの4シーム&シンカーを軸に、2600rpm前後のスライダー、フェード軌道の良いチェンジアップでゾーンを幅広く扱う。

10.ホゼ・コルニエル(RHP)/Jose Corniell:21歳
20年にラファエル・モンテロとのトレードでSEAから獲得。23年はコントロールが改善され、A/A+で101.2回を投げて防御率2.92・奪三振率29.8%・与四球率7.8%と好投を見せた。92-95マイルの速球とプラス候補のスラーブを軸に、左打者にはカッターやチェンジアップを効果的に織り交ぜる。24年は肘の痛みにより、5月30日現在登板なし。

11.エミリアノ・テオドー(RHP)/Emiliano Teodo:23歳
ヨーダノ・ベンチュラ(元KC)と比較される小さな剛腕投手。常時90マイル後半の速球と3000rpmにも達するパワーカーブのコンビネーションは強烈。先発に残るには与四球率12.3%のコントロールの改善と耐久面の証明が求められる。最も輝けるのはクローザーか?

12.
ジョセフ・モンタルボ(RHP)/Joseph Montalvo:22歳
90マイル前半のライズ系4シーム、スイーパー系のスライダー、シュー方向にフェードするチェンジアップのコンビネーション。昨季はAで95.1回を投げて防御率2.83・奪三振率27%をマークした。24年は5月30日現在、奪三振率・与四球率ともに改善しており、今後が楽しみである。

13.ミッチ・ブラット(LHP)/Mitch Bratt:20歳
21年ドラフト5巡目。速球は90マイル前後と球威は突出していないが、18歳のシーズンにAでFIP3.26、19歳にしてA+でFIP3.50と好投した点は評価したい。速球、カーブ、チェンジアップをコマンド良く織り交ぜることができる完成度が強み。エースというよりはローテーション下位向きのポテンシャル。

14.キャメロン・カーリー(SS)/Cameron Cauley:21歳
ダブルプラスのスピードを有するアスリート。肩も強く、プラスのSSディフェンダーに成長するポテンシャルを秘めている。問題は昨季A/A+で三振率31.6%を喫した打撃能力。コンタクト能力の改善が求められる。

15.イェイソン・モロブル(OF)/Yeison Morrobel:20歳
21年1月に契約金180万ドルで入団した原石。成熟したアプローチでコンタクトを量産する打撃ポテンシャルが高評価。昨季は肩の故障により37試合の出場にとどまった。出塁率.384の一方で1本塁打・ISO.039とパワー向上が課題。守備面では、プロ入り時はCFも、すでに両翼での出場が増えており、今後体格が成熟してくればコーナーに落ち着くことになるだろう。
22年に契約金197万ドルで入団した原石。荒削りながらプラスのパワーポテンシャル&CFに残りうる走力を兼ね備える5ツール候補。Aではフリースインガーがネックとなり、2本塁打・wRC+93とパワーポテンシャルを発揮できず。完成には多くの時間を要するタイプであり、長い目で見守っていきたい。

17.エイダン・カリー(RHP)/Aidan Curry:24歳
90マイル前半ながら縦変化&スピン量が優秀な4シームと高空振り率のスライダーの2球種で打者を圧倒する右腕。23年はAで82回を投げて防御率2.03・FIP3.06と好投。6-5/205の体格から、速球がもう数マイル伸びれば面白い。24年は5月30日現在、防御率9.62・与四球率13.7%とコマンドに苦しんでいる。

23年にA+で62.1回を投げて防御率2.17・6.08K/BBと抜群のコマンドを見せた右腕。サイド気味のスリークォーターから93マイル前後のシンカー&80マイル中盤のスライダーのコンビネーション。先発としては球威不足で、ローテーション下位~ミドルリリーフ向きか。


FV40-

19.
オーウェン・ホワイト(RHP)/Owen White:24歳
18年ドラ2。22年にようやくブレイクしたが、23年は球威&コマンドを失い再びパフォーマンス低下。健康時は90マイル中盤のライジングファストボールを主体に4球種を交える。ローテーション相当の実力を秘めているが、現時点ではマイナーのデプス要員だろう。

20.アーロン・ザバラ(OF)/Aaron Zavala:24歳
21年ドラフト2巡目。コンパクトなスイングでラインドライブを量産する中距離打者で、辛抱強いアプローチで四球も稼げる。しかし昨季は2AでwRC+79・三振率37.3%と大スランプ。守備もRF/LFの両翼メインであり、走守で大きなプラスを出せる選手でもない。24歳を迎える今季が正念場となるだろう。

2024年5月13日月曜日

2024 SEATTLE MARINERS TOP 20 PROSPECTS

2024 SEATTLE MARINERS

TOP 20 PROSPECTS

Cole Young

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は24年6月30日見込みのもの。

FV50

1.コール・ヤング(SS)/Cole Young:20歳
22年ドラフト全体21位指名の高卒内野手。洗練された打撃能力が魅力で、打者としての完成像はダニエル・マーフィー(元WSH他)と比較されている。23年はAでwRC+128、A+で142と素晴らしい内容。現段階ではライナー中心だが、パワーも20本塁打レベルまで伸びる可能性あり。守備面の評価も堅実で高いが、長い目で見るとSSよりも2Bの方がフィットするとの見立てだ。SSでやっていけるぐらいに守備が成長すればJ.P.クロフォードやブライソン・ストットのような3-4WARプレーヤーに飛躍する可能性も。

2.
ハリー・フォード(C)/Harry Ford:21歳
21年ドラフト全体12位指名。傑出した運動能力の持ち主で、捕手ながら走力はプラス評価。他ポジションへの適性も見せており、ドラフト時は元名選手クレイグ・ビジオと比較する声もあった。打者としてもビジオのように優れたハンドアイコーディネーションと辛抱強いアプローチで広角にライナーを量産できる。23年はA+でwRC+135・四球率18.3%をマーク。捕手としての守備力は全体的に磨かれる必要があり、ドールトン・バーショー(TOR)のように外野手でブレイクするルートもあるだろう。
Harry Ford


23年ドラフト1巡目。ヒットツールが磨かれた攻撃型SS。ドラフト時17歳という若さにもかかわらず、R/AでOPS1.045・MLB平均以上となる上位10%の打球速度105マイルを記録するなど圧巻。守備は堅実だが、元々から平均以下の走力に加え、オフに20ポンド増量するなどすでに肥大化傾向にあり、将来的には3Bに回る可能性もあるだろう。24年の飛躍に期待。

4.ラザロ・モンテス(OF)/Lazaro Montes:19歳
キューバ出身。ヨーダン・アルバレス(HOU)を彷彿とさせる左のパワーヒッター候補。22年にDSLでOPS1.007の一方で三振率33%とコンタクト能力を疑問視されていたが、23年はR/Aで三振率を25.1%と大幅に改善させ、OPS1.001と周りを黙らせた。しかし依然としてコンタクト率は平均以下の水準で、また守備もアルバレス同様にDH専門になる可能性が高く、打ちまくるしかない。

フリオ・ロドリゲスの新人王獲得による指名権により、23年ドラフト全体29位で指名され、オーバースロットとなる契約金320万ドルでプロ入りとなった。「20-20」が狙える5ツールアスリートタイプであり、中でもスピードは70評価。辛抱強いアプローチを身に着けている一方で、スイングは荒く、打者として磨かれる必要があるとの評価。
23年度のMLB公式国際アマチュアリストで2位にランクインしていた大器で、契約金470万ドルでSEA入りを決めた。プラスのパワー&スピードを兼ね備えた大型スイッチヒッターで、守備も平均以上のSSディフェンダーになれる資質を有している。身体的な伸びしろも期待でき、今後の成長に注目だ。


FV45

大学4年間で防御率6.78、23年ドラフト12巡目でプロ入りとアマチュア時代の評価は高くなかったが、SEA加入後に覚醒の兆し。プロではR/Aで15回/1失点/15K/2BBと好投。24年は5月11日現在、いきなり2Aに配属されて6先発/防御率1.57と好投している。大学時代に93-94マイル程度だった速球は今季96マイル前後にパワーアップ。鋭いスライダーで空振りを量産し、カーブ&カッターも有効に交える。

22年ドラフト2巡目。コンタクト能力は要改善も、パワーと選球眼を兼ね備えた生粋のスラッガータイプ。23年はA+で61試合/wRC+162、2Aで22試合/wRC+114をマーク。元々3Bだったが昨季より1Bに転向。走守で貢献を稼げるタイプではないため、打ち続けることが求められる。

9.マイケル・アロイヨ(2B)/Michael Arroyo:19歳
コンタクト能力の高さと2B向きの守備力からハウィ・ケンドリック(元WSH他)と比較されている。変化球に対して一拍の間を取って柔軟に対応できたり、ゾーン理解に長けていたりと打撃技術は10代離れしている。23年は18歳ながらAでwRC+118をマークした。まだ若く、これからの成長を見守りたい。

10.タイ・ピート(SS)/Tai Peete:18歳 
23年ドラフト全体30位指名。高校では二刀流で鳴らしていたが、ドラフト年に肘を故障。野手として才能が開花し、そのまま指名された。パワーとスピードを兼ね備えたアスリートタイプで、ヒットツール向上に課題がある。将来的な守備位置も不透明で、最終的には外野に回ると見るスカウトも。


FV40

20年ドラフト全体6位指名。プロ入り後にリリース位置を下げ、92-96マイルのライジングファストボールを高めに、ツーシームやスライダー、チェンジアップを低めに落とす投球スタイルに転身。実力はローテーション4-5番手クラスだが、耐久面が懸念されている。それでも昨季は自身初の100イニング超え(2Aで98回、MLBで12回)を達成した。完成度の高さ、一桁ピック、耐久面が心配というプロフィールはカル・クアントリル(CLE)と重なる。

ブレイクに期待の18歳メキシコ出身右腕。6-4/180の伸びしろ溢れる体格からMAX97マイルの4シームにスライダー、チェンジアップ、シンカーを織り交ぜる。昨季はDSLで防御率1.72・奪三振率30.7%と素晴らしいプロデビューを飾った。

13.
エイデン・スミス(OF)/Aidan Smith:19歳
23年ドラフト4巡目の高卒選手。オーバースロットとなる契約金で合意したハイシーリングな5ツール候補。6-3/190とフィジカルに恵まれており、プラスのパワーポテンシャルを秘める。選球眼&スイングの改善がこれからの課題。守備面は発達しており、ダブルプラスディフェンダーになり得るとの評価。肩も強く、体格の成熟次第ではRF転向の未来もあるだろう。

14.ジョナタン・クラセ(OF)/Jonatan Clase:22歳
5-8/150と小柄ながら20-80スケールで70評価の走力が武器。A+をwRC+203の猛打でわずか21試合で卒業。2AではwRC+94だったが、シーズン通して20本塁打・79盗塁を記録した。四球率13.8%と選べるが、ホームランバッターでもないのに三振率27.7%とコンタクト難な点が不安材料。上位打線に据えるには打撃貢献不足か。下位打線or第4の外野手が適任との評価。

15.ウォルター・フォード(RHP)/Walter Ford:19
22年ドラフト全体74位指名の高卒右腕。野手としても注目されていたアスリートで、抜群の運動能力を生かしたエクステンション大のメカニクスからホップ変化の大きいライジングファストを投げ込む。23年は故障続きで22.2回のプレーにとどまり、アマチュア時代にMAXで96-97マイルを計測していた速球も80マイル後半に落ちてしまった。それでも今春のブルペンセッションでは94マイルを計測するなど復活の兆しがあり、今季の飛躍に期待したい。

16.ベン・ウィリアムズ(3B)/Ben Williamson:23歳
23年ドラフト2巡目。アンダースロットとなる契約金60万ドルで入団した。プラスの3B守備と成熟したアプローチで左右へ打ち分けるミドルヒッティングが強み。大学通算156試合で19本塁打というパワーの平凡さがコーナープレーヤーとしてはネック。
身長5フィート6の小柄な体格と走力を生かしたユーティリティー性からトニー・ケンプ(元OAK他)と比較される。昨季は2A/3Aで23本塁打・55盗塁・OPS.902をマークした。打球速度は平均以下の水準で、MLBでは良くても10-15本塁打程度だろう。守備は2BとSSをほぼ半々で守ったが、フルで起用するなら2Bが適任との評価。

18.
テディ・マグロウ(RHP)/Teddy McGraw:22歳
23年ドラフト3巡目。高校時代にTJ手術、そして昨年3月に自身2度目のTJ手術を受けるなど健康面に不安を抱えるパワーピッチャー。故障前の大学2年時には1巡目候補にも挙がっていた。MAX98マイルのシンカーとプラスのスライダーのコンビネーション。健康面に加えて、大学2シーズンで与四球率13.9%とコマンドも不安定。

19.テイラー・ドラード(RHP)/Taylor Dollard:24歳
プラスピッチは無く球威は平凡だが、4球種をゾーンに集めるストライクスロワー。22年は2Aで144イニングを投げてマイナー7位の防御率2.25とブレークを飾った。しかし23年は肩の故障で3試合にとどまった。万全ならばローテーション5番手~ロングリリーフ向きのポテンシャルと見られている。コリン・マクヒュー(ATL)と比較される。

FV40-

20.ルイス・スイスベル(1B/3B)/Luis Suisbel:21歳 
パワーが武器のスイッチヒッター。昨季R/Aで12本塁打・OPS.951をマーク。A昇格後もwRC+132と上手く適応した。一方で三振率29.9%と三振数の多さが問題であり、また守備も不得意で1B専門になるリスクがある。1Bに見合うだけの打撃貢献を維持していく必要がある。