2025年2月16日日曜日

2025 KANSAS CITY ROYALS TOP 15 PROSPECTS

2025 KANSAS CITY ROYALS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 カンザスシティ・ロイヤルズ プロスペクトランキング
Jac Caglianone

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.ジャック・カグリオン(1B)/Jac Caglianone:22歳
大学では投打の二刀流で活躍したが、プロでは打者としてのプレーが主になる見込み。アプローチが荒く(大学でチェイス率39%、プロでも40%)リスクはあるが、パワーはMLBトップクラス。オフのAFLでは打球速度117.3マイル(昨季のMLBで117.3マイルを越したのは7人のみ)を計測した。A+では29試合でwRC+96と不発だったが、通年でどうか?投手としてはMAX100マイル&変化球も切れるが、大学2年間で防御率4.55/与四球率15.4%と制球難で、大谷翔平のような先発兼任は厳しそうだ。リリーフとレギュラー1Bを天秤にかけたら間違いなく後者の方が優先度が高く、まずは打者としての成功を目指す。
Jac Caglianone


2.
ブレーク・ミッチェル(C)/Blake Mitchell:20歳
23年ドラフト全体8位指名の高卒攻撃型捕手。プラスのパワーと優秀な判断力(平均以上のゾーンスイング率と平均以下のボール球スイング率を両立)を有し、高卒1年目ながらAで18本塁打/wRC+141/四球率17%と結果を出した。打率.238/三振率30.5%とコンタクト能力は要改善。走塁面では、スピードは平均以下だがマイナー捕手3位の25盗塁をマーク。守備では高校時に投手としてMAX97マイルのダブルプラスの強肩が武器で、捕球面の評価も平均以上。Baseball Prospectusの出すフレーミング指標では+8.0をマークした。63試合で113許盗塁/阻止率14%と送球精度は要改善だ。
Blake Mitchell


21年ドラフト3巡目指名。パワーと選球眼に強みがあり、高卒3年目にしてA+/2Aで18本塁打/wRC+129とブレイク。2Aでの41試合/wRC+112をマーク。MLB成功ルートに乗ることができた(20歳シーズンで2AでwRC+100程度できるとおおかたMLBに定着できる)。捕手としての守備力は平均的という評価。平均以上の肩力を武器に盗塁阻止率26%をマークした。Baseball Prospectusの出すフレーミング&ブロッキング指標はややマイナスだった。
Carter Jensen


FV45

4.
ブレーク・ウォルタース(RHP)/Blake Wolters:20歳
23年ドラフト2巡目の高卒投手。オーバースロットとなる契約金280万ドルで入団した。6-4/215という立派な体格の持ち主で、高卒1年目にして速球はMAX99.4マイルに到達。スライダーも2700rpmに達するなどポテンシャルは高い。Aでは14先発を経験したが、ラスト4登板は速球の平均が96→94マイルに落ちていたので体力強化は今後の課題か。数年後のブレイクに期待。

5.ラモン・ラミレス(C)/Ramon Ramirez:20歳
23年1月にわずか契約金5.75万ドルで契約するとそこからマイナーで好成績を出し評価を上げている。パワーが武器の攻撃型捕手で、24年はRで7本塁打/wRC+115をマーク。スイング率を前年の61%から48%にトーンダウンさせるなどより選択的なアプローチをとることができるようになった。すでに上位10%打球速度105マイルはMLB平均を超している。捕手守備は発展途上で体型も一般的な捕手よりもガッシリしているため、捕手に留まれるように特訓が必要だろう。

22年ドラフト全体9位指名。大学屈指の強打者として入団したが、1年目の23年はwRC+98と不発。24年は2Aで15本塁打/30盗塁/wRC+115と復活のシーズンを送った。「20-20」が狙えるパワー&スピードを兼ね備え、RF/CFにふさわしい守備力を有する。大振りで速球への弱さが指摘されており、上位レベルの投手に対応できるか。


FV40

7.ノア・キャメロン(LHP)/Noah Cameron:25歳
速球とチェンジアップをコマンド良く投げ分けるイニングイータータイプ。24年は2A/3Aで計25先発して防御率3.08/FIP3.25/奪三振率27.8%/与四球率6.7%と好投。statcastデータが得られる3Aでの成績に着目すると、チェンジアップは空振り率46.7%/得点価値8.5をマーク。カーブ&カッターも得点価値プラスと効果的だった。

8.ベン・クドルナ(RHP)/Ben Kudrna:22歳
21年ドラフト2巡目。スロット額の倍近い契約金300万ドルで入団した。92-95マイルの速球にスライダー、チェンジアップのコンビネーション。24年はA+/2Aで22先発して防御率4.21/奪三振率24.2%/与四球率10.8%/FIP4.50と年齢を考慮すれば健闘した。4シームは質に問題があり、将来的にはツーシームを軸とした投球に適性があるとの評価。現時点ではガッシリ体型&2年連続108.2イニング以上の耐久力を売りとしたローテーション下位のイニングイーター向きだろう。

22年ドラフト4巡目。90マイル中盤で変化量大の4シームと80マイル中盤から後半に届くハードスライダーがプラスピッチ候補。プロ2年で与四球率5.9%とコントロールも安定している。大学ではリリーフ中心のキャリアも、24年はA+/2Aで計126回を投げて防御率3.64/FIP3.03/奪三振率23.8%/与四球率5.6%と2年続けて先発として結果を出した。チェンジアップの開発が先発残留の鍵。

10.
デービッド・シールズ(LHP)/David Shields:18歳
24年ドラフト2巡目の高卒左腕。アメフトのクォーターバックとしても鳴らしたアスリートで、 伸びしろを高く買われている。現時点では速球の球速は89-92マイルだが、野球に専念した環境でどれだけ伸びるか。スムーズな投球フォームも高評価。ドラフト時点で17歳と一般的な高校生選手よりも1歳若いのもポイント。

24年ドラフト3巡目。テネシー大では1年時から先発として活躍。USA代表でもプレーした実力者だが、ドラフトイヤーに成績を落とした。プラスピッチは無いが、4球種を効果的に織り交ぜるストライクスロワー。大学3年間で通算与四球率6.5%とコントロールに強みあり。

12.
ハビアー・バス(2B/OF)/Javier Vaz :24歳
小柄でパワーレス(平均打球速度85マイル)だが、卓越したバットコントロールとプラスのスピードが武器のスーパーユーティリティ候補。24年は2AでwRC+118をマークしたが、四球率14.0%/三振率11.5%、コンタクト率87%とヒットセンスはマイナーでも指折りだ。また、パワーレスではあるが、ゴロ率35%/フライ率41%とバレルゾーンに打球を集めるのが上手く、ギャップを破ることができる。

13.ヤンデル・リカルド(SS)/Yandel Ricardo:18歳
24年1月に240万ドルで契約したキューバ出身の大器。長身細身のスイッチヒッターで、20HR相当のパワーポテンシャルとSSにふさわしいツールを兼ね備える。DSLではスイング率60%という何でも振りに行くアプローチがネックとなり、打率.213/wRC+91と期待外れのパフォーマンス。しかし、8月は11試合でwRC+152と打っていたので、来季の飛躍に期待したい。

22年ドラフト20巡目。進学の可能性が高いためスリップしたが、3-4巡目相当の契約金でプロ入りした。6フィート4の長身アスリートで、現時点ではロマン枠だが、エリー・デラクルーズ(CIN)やオニール・クルーズ(PIT)のような大器になれる可能性も。24年は2年目のAでwRC+121と成長を見せたが、フリースインガーでコンタクト率66%/三振率25.8%とヒットツールは依然として荒いままだ。
平均93.5マイルの4シームとスピンレート950rpmという低回転スプリットのコンボ。長身細身の体格から速球はもう数マイル向上が見込めそうだ。24年はAで110.1回を投げて防御率2.94/奪三振率23.5%/与四球率7.3%/FIP3.89をマーク。先発として大成するには、ブレーキングボールの質を改善したい。


Notable Prospects

韓国出身。コンタクト率65%と空振りは多いが、プルサイドへのパワーと平均以上になり得る守備力が強み。18歳で渡米し、すでに通訳なしで英語のインタビューに答えられるほど英語が堪能で、投手とのコミュニケーションをより活発に行うためにスペイン語のレッスンも受けている。オフに参加したオーストラリアリーグでは38試合で10本塁打/OPS.912と大活躍だった。

プラスのスピードが武器のセンターフィールダー。打撃は現時点ではパワーレスでコンタクト重視だが、長身細身の体型からパワー向上の余地を残す。24年はRでの41試合でwRC+110をマーク。プロ通算88試合で1本塁打止まり。

24年ドラフト4巡目。大学ではリリーフとしてプレーし奪三振率39.1%をマークしたKマシーン。4シームの球速は92-95マイルと平均的だが、低リリースから浮き上がる軌道のため空振りを量産できるダブルプラスピッチ。変化球やコントロールの精度を磨いていきたい。

2025年2月15日土曜日

2025 DETROIT TIGERS TOP 15 PROSPECTS

2025 DETROIT TIGERS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 デトロイト・タイガース プロスペクトランキング
Jackson Jobe


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV60

1.ジャクソン・ジョーブ(RHP)/Jackson Jobe:22歳
21年ドラフト全体3位指名の高卒投手。マイナーNo.1の投手プロスペクトで、ほぼ完ぺきなスペックを有する。MAX101.8マイルで平均以上のホップ変化量を誇る4シームと平均2900rpm超えのスライダーがダブルプラスピッチ。シュート方向に15インチ以上フェードするチェンジアップ&プロ入り後に習得したカッターもプラスピッチ候補。まだプロでシーズン100イニングを投げたことが無く、耐久面はこれから証明していく必要がある。
Jackson Jobe


FV55

23年ドラフト全体3位指名の高卒外野手。70評価のスピード&強肩を有する5ツールポテンシャルであり、ラインドライブを量産するプラスのヒットツールと合わせて、昨季新人王を獲得したコービン・キャロル(ARI)が完成型だろう。パワー向上が今後の課題。Aで記録した上位10%打球速度102マイルは19歳の平均を上回っているが、ゴロが多いため長打につながっていない。バレル率3.4%/引っ張りフライ率5.9%はいずれも球界平均を下回る。

3.ケビン・マゴニグル(SS)/Kevin McGonigle:20歳
23年ドラフト全体37位指名。コンタクト&アプローチが洗練されたラインドライブヒッター。24年はAでwRC+150と期待以上の活躍を見せた。辛抱強いアプローチと高いコンタクト率のおかげで四球率12.9%/三振率8.9%をマーク。上位10%打球速度102.7マイルは19歳の平均を上回っており、引っ張りフライ率も10%(MLB平均7%)と高いため、将来的には本塁打増も期待できる。守備面では、ドラフト時は肩の弱さから2B向きとの評価だったが、SSに定着できるとの評価を得た。
Kevin McGonigle


FV50

4.タイロン・リランゾ(C)/Thayron Liranzo:21歳
ジャック・フラハティの見返りの1人として昨夏LADから獲得。プラスのパワーが武器のスイッチヒッター捕手で、捕手にとどまれるだけの守備能力も兼ね備える希少な存在。24年はA+で打率は.244にとどまったが、12本塁打/四球率17.5%と長打力と出塁能力を発揮。wRC+は130をマークした。守備ではプラスの肩力を有し、課題である捕球能力も改善のためにハードワークを積んでいる。
Thayron Liranzo


5.ブライス・レイナー(SS)/Bryce Rainer:19歳
24年ドラフト全体11位指名。パワーと強肩が自慢の左打ち巨体SSで、コリー・シーガー(TEX)と比較される。走力は平均以下だが、機敏なフットワークと滑らかな守備動作、ダブルプラスの強肩からSSにとどまれるだろうとの評価を得ている。ヒットツールを不安視されており、プロの投手に対応できるか。


FV45

20年ドラフト2巡目。アスレチックな守備型捕手で、低打率ながら15~20本塁打程度の一発が望める。24年は打撃力の改善に成功。3Aで打率.308/17本塁打/wRC+139をマークした。チェイス率は悪いが、平均以上のコンタクト率&打球速度&引っ張りフライ率を記録している。守備では、プロ入りからマイナーで4年連続盗塁阻止率30%超え&Baseball Prospectsの出すフレーミング指標プラスと守備力は申し分なく、ジェーク・ロジャースのバックアップ捕手には適任だろう。

7.トレイ・スウィーニー(SS)/Trey Sweeney:25歳 
堅守が武器のショートストップ。24年はフラハティのトレードでLADから加入すると、MLBでは36試合でwRC+81と打撃貢献は平均以下ながら、DRS+3/OAA+2と守備で活躍。ハビアー・バイエズからレギュラーを奪い、ポストシーズンでは7試合全試合フルイニング出場を果たした。ドラフト時に肩力不足から2B向きとされた守備が大きく成長。下位打線レギュラーもしくはユーティリティーとしてMLBに定着できるか。

22年ドラフト全体12位指名で、ジョシュ・ヤン(TEX)の弟。バットを捕手方向に大きく傾けた独特の構えからフライボールを量産し、辛抱強いアプローチで四球も稼げる。24年は3Aで出塁率.380/15本塁打/wRC+122をマークした。しかしレギュラーに定着するには、平均以下の守備力を改善していく必要がある。MLBではわずか27試合でDRS-6/OAA-3を叩き出してしまった。

高アングルのオーバースローから平均93マイルのライジングファストと縦カーブのコンボで打者を制圧する。(23年にAでプレーした際、4シームのIVB(ホップ変化量)はMLBトップクラスの20.3インチを記録している。)24年はA+で23先発して防御率2.64/奪三振率30.6%/与四球率7.8%/FIP3.09と好投。91球以上投げた試合は無く、スタミナ面は不透明。

10.
ブラント・ハーター(LHP)/Brant Hurter:25歳 
球威不足だが、平均92マイルのシンカーと高回転のスウィーパーを抜群のコマンドで投げ分ける技巧派左腕。24年はMLBに昇格すると、右打者との対戦を減らせるように第2先発として5イニング前後を投げる起用法で成功。10登板で計45.1回を投げて防御率2.58/FIP3.03をマークした。決して右打者に弱いわけではなく、右打者と対戦時にはスウィーパーを外角に出し入れし、内角高めの4シームや外角低めのチェンジアップを交えて的を絞らせない。ローテーション5番手もしくはミドルリリーフとして貢献できるだろう。

パワーとヒットツールを両立した攻撃型捕手。24年はAで40試合に出場してwRC+123をマーク。ゴロが多いため、2本塁打/ISO.099にとどまったが、上位10%打球速度104.3マイルは19歳にしてすでにMLB平均レベルで、コンタクト率&チェイス率も平均以上と打撃ポテンシャルは捕手離れしている。オフのAFLでは長打狙いのアプローチが功を奏し、25試合で10本塁打を放つ活躍で三冠王を獲得した。来季通年で長打を量産できるか。守備面は膝の故障の影響で、1Bでの出場が主だったので、捕手に残れることを証明していく必要がある。

12.ハオユー・リン(2B)/Hao-Yu Lee:22歳
台湾出身。ヒットツールプラス、パワー平均以下の攻撃型二塁手。23年夏にマイケル・ロレンゼンとの1対1トレードでPHIから移ってきた。24年はプルヒッティングに磨きをかけ、2AでwRC+141、自己最多の12本塁打/ISO.190をマークした。守備は2B専門で決して上手くはないが堅実にこなせる。肩が弱いため3BやSSを守れる守備力はないとの評価で、ユーティリティー向きではない。打撃力を磨いて2Bレギュラーを目指したい。


FV40

プラスのスピード&強肩を有するアスリートで、SSに残れる可能性あり。Rでは48試合で打率.273/6本塁打/wRC+136をマーク。細身でパワーは未発達ながらゴロ率35.6%とボールを空中に集める技術が高く、二塁打を稼げる。コンタクト率が70%を割るなどやや空振りが多く、A昇格後は20試合で打率.095/三振率31%と適応に苦しんだ。

14.オーウェン・ホール(RHP)/Owen Hall:19歳
24年ドラフト2巡目の高卒右腕。MAX98マイルで伸びのある4シームと切れのあるスライダーがプラスピッチ候補。6-3/185の体格から速球はまだ工場の余地あり。球威は良いだけに、チェンジアップの開発とコントロールの改善がプロでの課題。

15.トロイ・メルトン(RHP)/Troy Melton:24歳
22年ドラフト4巡目。90マイル中盤を計測する球威とプラスのコントロールを両立した右腕で、23年にA/A+で防御率2.74/FIP3.13とブレイク。しかし、24年は2Aで23先発して防御率5.10/FIP4.42と苦戦。奪三振率27.7%/与四球率7.0%はいずれも優秀だったが、ゾーン中心にボールが集まる傾向があり、HR/9=1.70、HR/FB=20%と被弾の多さに泣いた。スイーパー&チェンジアップも平均以上で3球種扱え、6-4/210と体格も良いため、細かいコマンドを改善できれば、ランス・リンのようなイニングイーターになり得る。

Notable Prospects

ネクストブレイクに期待したい両打ち捕手。高い運動能力と盗塁阻止率35%を記録した強肩から捕手に定着できるだろうと見られている。打撃では判断力とパワーポテンシャルを兼ね備える。Rでは四球率15.3%と強みを発揮したが、打率.242/ゴロ率52%/コンタクト率67%とコンタクト能力は要改善。実戦でパワーを発揮していきたい。

クリス・ロドリゲス(OF)/Cris Rodriguez:19歳
25年度のMLB公式国際アマチュアFAランキングで4位に入っていた逸材。16歳ですでに6-4/200と年齢離れした体格を有しており、30ホーマー級のパワーポテンシャルを秘める。現在プラスのスピードは将来的に失われるとの見込みで、CFから両翼に移ることになるか。

ホゼ・ディクソン(SS)/Jose Dickson:23歳
24年1月に39万ドルで契約した原石。現時点では細身でパワーレスだが、高いコンタクト能力と二遊間に留まれるだけの運動能力を兼ね備えている。DSLでは44試合で打率.273/0本塁打/wRC+122をマーク。6-2/158の細身の体格にどれだけ筋力をつけられるか。

タイラー・マティソン(RHP)/Carson Rucker:24歳
パワーリリーバー。24年はTJ手術で全休、25年途中に復帰予定。23年にA+/2Aで59.2回を投げて防御率2.41/奪三振率37.9%/与四球率11.7%をマーク。95マイル前後の伸びのある4シームと80マイル台のパワーカーブのコンボ。

21年ドラフト全体32位指名。平均94マイル超でホップ成分の強い4シームを高めに、切れ味鋭いハードスライダーを低めに投げ分けて空振りを稼ぐパワーピッチャー。チェンジアップやカッターもレパートリーに扱う。24年は3Aで防御率7.97と撃沈。MLBでは23回で防御率4.30/FIP3.99とまずまずだったが、プラスピッチ不足&コマンドの平凡さを改善していきたい。


2025年2月11日火曜日

2025 CLEVELAND GUARDIANS TOP 15 PROSPECTS

2025 CLEVELAND GURADIANS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 クリーブランド・ガーディアンズ プロスペクトランキング
Travis Bazzana

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。


FV55

1.トラビス・バザーナ(2B)/Travis Bazzana:22歳
24年ドラフト全体1位指名。身長6フィート0と体は大きくないが、コンパクトなスイングと上質な選球眼で長短打を量産し、打者としての欠点がない。ドラフトイヤーはパワーも伸ばし、打率.407/28本塁打/OPS1.479/四球率25.8%ととんでもない成績を収めた。プラスのスピードを武器に盗塁も稼げる。守備はあまり上手くなく、平均的との評価。2Bがダメなら俊足を生かしてCF転向の可能性も。
Travis Bazzana


FV50
昨季新人王得票3位に食い込んだジャクソン・チョーリオ(MIL)の弟。現時点ではパワーレスだが、パワー以外の4ツールがプラス候補のオールラウンドCF。特にコンタクト&アプローチが成熟している。24年はAで四球率19.9%/三振率16.0%と素晴らしいゾーン管理を見せ、出塁率.414/wRC+144をマークした。たしかに低弾道とパワーレス(MAX打球速度111マイルを計測するなど年齢考えれば優秀)は欠点だが、19歳でこれほどのヒットツールを有するプロスペクトは希少であり、今後20代を通してパワーを伸ばせれば十分だろう。
Jaison Chourio


22年ドラフト1巡目の大学生で、選手としての将来像はカイル・タッカー(CHC)。6-4/235の恵まれた体格からプラスのパワーと優れたゾーンコントロールを兼ね備え、走守の評価も平均以上。CFならこなせる程度、RFなら平均以上との評価。大学時代から故障続きで、24年も39試合の出場にとどまっており、健康に1年間プレーできるかが最大の懸念事項。また、ゴルフ風のアッパースイングで上位投手にも対応できるかを証明していく必要がある。

4.アンヘル・ヘナオ(SS)/Angel Genao:21歳
優れたバットコントロールでラインドライブ量産するスイッチヒッター。24年は20歳シーズンながらA/A+で打率.330/10本塁打/wRC+150とブレイク。積極アプローチで四球も三振も少ない。現時点ではライナー重視の打撃で、パワーをどれだけ伸ばせるか。走塁評価は平均的で、25盗塁(5失敗)をマーク。守備はSS中心に2B/3Bでもプレー。強肩でハンドリングやフットワークも軽やかなため、SSに留まれる可能性あり。
Angel Genao


5.クーパー・イングル(C)/Cooper Ingle:23歳
コンタクト&アプローチに優れる攻撃型捕手。24年はA+/2Aで打率.305/11本塁打/wRC+160とブレイク。慎重アプローチでボール球を振らず、四球率15.9%/三振率13.7%と三振数を上回る四球数を獲得した。捕手ながら平均レベルの走力を有し、運動能力は高い。捕手守備は要改善とされるも、24年は74試合で捕逸を1つに抑えるなど向上の兆し。次は78盗塁を許した送球能力を改善していきたい。

23年に契約金137.5万ドルで入団したトップアマチュア。ヒットツールに秀でたスイッチヒッターSSで、24年は18歳ながらR/Aで打率.326/7本塁打/wRC+140と素晴らしいパフォーマンス。身長5フィート11と小柄な体格でパワーをどれだけ伸ばせるか。守備ではSSに必要なハンドリングと守備範囲を有するが、肩力不足からMLBでは2B向きと見なす評価も。


FV45

23年ドラフト1巡目の高卒スラッガー。6-2/240という迫力ある体格に強靭なパワーを秘めており、コンパクトなすり足打法で対応力もOK。プロ1年目はAで10本塁打/wRC+131をマーク。やや空振りが多く、A+では19試合/wRC+54と苦戦した。アマチュアでは捕手だったが、プロでは完全に1Bへコンバート。LFでも7試合出場しているが、平均を大きく下回る走力から長期的にはやはり1Bが適任だろう。

コンタクト&アプローチに優れたスイッチヒッター。24年は3AでwRC+113をマーク。小柄で上位10%打球速度101.9マイルとパワーポテンシャルは平均以下だが、高い引っ張りフライ率のおかげで長打を稼げる。24年はマイナーで2人しかいない「20本塁打/40二塁打」を達成した。守備走塁の能力は際立っておらず、24年は主に2Bを守ったが、次に機会が多かったのは1Bだった。2B/3Bとしては守備力不足、1B/OFとしてはパワー不足で、ベンチプレーヤー向きと見なす評価もあるが、ヤンディ・ディアス(TB)のような巧打の1B/3Bとしてのブレイクもありえる。

速球は平均92マイルと球威不足だが、タイミングの取りにくいフォームからプラスのチェンジアップで打者を欺く技巧派左腕。落差の大きいカーブも効果的な球種。24年はMLBデビューすると8先発(9登板)で38.2回を投げてFIP4.07/奪三振率27%と健闘。マイナー7年で与四球率11.3%とコントロールに課題があるが、MLBでは9.2%(ラスト5登板は7.1%)と安定していた。耐久力とコントロールを改善できればローテーション4番手クラスの先発になれる。理想の完成像はタイラー・アンダーソン(LAA)か。

10.C.J. ケイファス(1B/OF)/C.J. Kayfus:23歳
洗練された左のスラッガー。パワーポテンシャルは平均的だが、高いバレル能力と成熟したゾーン理解で得点貢献を生み出す。24年はA+/2Aで打率.291/17本塁打/wRC+157をマーク。ゴロ率38%とライナー/フライを量産し、効率よく長打を稼いだ。1B守備の評価も平均以上。LFでも22試合に出場し起用の幅を広げた。

リリーフプロスペクト。大学3年間で防御率1.41/奪三振率43.6%と圧倒的な成績を残し、プロ1年目も2A/3Aで防御率2.32/奪三振率37.4%と好投。ドラフトから1年でMLBデビューを果たした。平均96マイルでホップ変化量の大きいダブルプラスのライジング4シームとプラスのスライダーで打者をねじ伏せる。


FV40

12.ジュナイカー・カセレス(OF)/Juneiker Caceres:17歳
シーズンの大半を16歳で過ごしながら、DSLで打率.340/出塁率.425をマークした左打者。5-10/168とアンダーサイズで身体能力は抜きん出ていないが、華麗なスイングで全方向に長短打を量産する打撃スキルが光る。40試合で0本塁打に終わったが、ゴロ率を33%に抑えるなどバレル感覚に優れ、ISOは.163と高水準だった。すでにMAX打球速度108マイルを計測するなどパワーもあり、本塁打増に期待したい。守備は両翼で、パワーの伸びが天井を左右するだろう。

270ポンドの迫力ある体格から「タグボード(大型船をけん引する船で、船体は小さいが馬力が大きい)」のニックネームを持つ巨漢左腕。速球の平均は90マイルを割っているが、低リリースから高めに集めるフラットアプローチにより高い空振り率を誇る。24年はA/A+で24先発して防御率1.90/奪三振率37.6%/与四球率8.0%と驚異的なパフォーマンスを見せた。プラスピッチがないため、マイナー上位の打者にどう対応するか。

14.ブレイロン・ドーティ(RHP)/Braylon Doughty:19歳
24年ドラフト全体36位指名の高卒右腕。6-1/196と体格は平均的だが、運動能力の高さが際立つアスリート。速球はすでに97マイルに達しており、カーブ&スライダーも高回転でプラスピッチ候補。特にカーブはMLBでもトップクラスとなるスピンレート3000rpmに届く。スムーズでバランスの取れた力感のないフォームからコントロールの成長も期待できる。

15.
ジョーイ・オーキー(RHP)/Joey Oakie:19歳
24年ドラフト3巡目の高卒右腕。6-3/195の恵まれた体格から力強いボールを投げ込むパワーピッチャー。サイド気味の低リリースからMAX97マイルでシュート方向に鋭く食い込むランニングファストと大きくスウィープする80マイル中盤のハードスライダーのコンボ。コントロールやチェンジアップは改善の必要があり、リリーフ転向のリスクも。

Notable Prospects

ガッシリとした体型で、耐久力に強みがあるイニングイーター候補。マイナーで2年続けて120イニング以上を消化しており、24年はA+/2Aで133.2回を投げて防御率2.83/奪三振率30.2%/与四球率8.0%をマークした。速球は平均92マイル、MAXで95-96マイルに届くなどこの手の投手の中では及第点レベルの馬力を備える。

24年ドラフト2巡目。24年ドラフトの捕手で4番目に指名された。平均以上の守備力と捕手ながら平均以上のパワーを有している点が強み。アッパースイングでヒットツールに課題があり、プロでは13試合という小サンプルながら打率.119/三振率36.7%と苦戦した。
傑出したツールは無いが、走攻守に完成度の高いオールラウンドCF。打撃はライナー重視のコンタクトヒッターで、2AでwRC+105をマーク。守備ではBaseball  Prospectusの出す守備指標DRPで4年連続+5.8以上(24年は6.3)を記録するなど鉄壁ぶりが光る。不動のレギュラーを張れるほどの打撃力はなさそうだが、下位打線レギュラーor第4、第5の外野手にフィットしそうだ。

パワーヒッター候補。R/Aでの77試合で打率.263/7本塁打/wRC+131をマーク。打球速度114マイルと18歳にしてすでにMLBトップクラスのパワーを示しており、ゴロ率34%/引っ張り率51%と引っ張りフライを量産するアプローチも身に着けている。空振りの多さが課題。



2025年2月8日土曜日

2025 CHICAGO WHITE SOX TOP 15 PROSPECTS

2025 CHICAGO WHITE SOX

TOP 15 PROSPECTS

2025年 シカゴ・ホワイトソックス プロスペクトランキング
Noah Schultz


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。


FV55

1.ノア・シュルツ(LHP)/Noah Schultz:21歳
22年ドラフト1巡目の高卒左腕。6フィート9の長身からMAX99マイルとプラスのスライダーを投げ込むポテンシャルの塊。右打者にはチェンジアップ&カッターで的を絞らせない。サイド気味のスリークォーターも含めてクリス・セールやランディ・ジョンソンを連想させる。健康面を不安視されていたが、A+/2Aで計23先発をこなし、防御率2.24/奪三振率32.1%/与四球率6.7%と好投。1試合での投球は最長でも4イニングという慎重な育成となっている。
Noah Schultz


FV50

2.
コルソン・モンゴメリー(SS)/Colson Montgomery:23歳
21年ドラフト1巡目指名。高校ではバスケ、アメフト、野球の三刀流で鳴らしたアスリート。パワーとアベレージを両立した攻撃型SSで、6-4/205の大柄な体格を含めてコリー・シーガー(TEX)と比較される。24年はコンタクトに苦戦し、3AでwRC+88と足踏み。それでも平均以上の打球速度&引っ張りフライ率を記録しており、チェイス率も悪くない。アプローチを改善していけば一気にブレイクできるはず。
Colson Montgomery


3.
ヘイゲン・スミス(LHP)/Hagen Smith:21歳
24年ドラフトで全体5位指名を受けたパワーレフティ。サイド気味の独特アングルから最速100マイルの4シームと70評価のスライダーのコンボで打者を圧倒する。ドラフトイヤーに課題のコントロールを磨いて防御率2.04、全米トップのK/9=17.3&被打率.144とブレイクを果たした。次の課題は平均以下とされるチェンジアップの質改善か。

4.エドガー・ケロ(C)/Edgar Quero:22歳
卓越したコンタクト力を有する攻撃型スイッチヒッター捕手。マイナーでは毎年安定した成績を残しており、24年は2AでwRC+145、3Aで139をマーク。引っ張り率を増やし、本塁打数を前年の6本から16本に伸ばすことに成功した。しかし3Aでの上位10%打球速度101マイルは依然として平均以下。守備力の向上が課題という点も含めてキーバート・ルイーズ(WSH)が比較対象か。
Edgar Quero


23年ドラフト全体14位指名。攻守を両立したオールラウンド捕手で、捕手ながら平均レベルのスピードを有するアスレチックさも含めてJ.T.リアルミュートのような将来像を期待。打撃は広角にライナーを量産する二塁打マシーンタイプ。フルシーズン1年目となった24年は2Aで打率.298/11本塁打/wRC+145をマーク。しかし、3AではISO.088とパワー不足を露呈した。

24年ドラフト全体12位指名。フィジカル系両打ちパワーヒッター。高校時代はヒットツールに課題があったが、大学通じてプローチ面で成長。ドラフトイヤーは27本塁打を放ちながら、三振率20.1%/四球率17.7%をマーク。外野守備では、投手としてMAX98マイルの強肩を武器にRFにふさわしい能力を有する。


FV45

7.ハイロ・イリアルテ(RHP)/Jairo Iriarte:23歳
アスレチックでハイポテンシャルな右腕。全身の力を大きく使ったメカニクスでMAX97マイル。ライズ成分の強い4シームを高めに、キレの良いスライダー&チェンジアップを低めに集めて空振りを誘う。先発に残るにはマイナー5年でBB/9=4.1のコントロールを改善したい。24年は2Aでの23登板して126回を消化。ラスト20登板のうち19回で5イニング以上を投げるなど耐久性を示した。MLBでは6試合いずれもリリーフ起用。エドウィン・ディアズのようなクローザー適性あり。

球威は申し分なし。健康を維持できればバックエンドSP、コントロールが安定すればローテーション半ば級のポテンシャルだ。平均95マイル前後の伸び上がる4シームとハードなスライダー&カーブで空振りを量産する。24年は3Aでは防御率5.14と精彩を欠いたが、MLBでは4登板で19イニングを投げて防御率1.42/奪三振率28.9%/与四球率9.2%と好投した。

フィジカル面は突出していないが、コンタクト能力が高く、広角にライナーを打ち分ける打撃職人。24年は3Aで122試合に出場して打率.293/7本塁打/wRC+132をマーク。四球率18.8%/三振率12.7%とアプローチも磨かれている。守備は派手さはないものの、SS/3B/2Bをバランスよくプレーするなどユーティリティー適性あり。

空振りの多さを改善できればレギュラー3Bポテンシャル。23年に21歳ながら2AでwRC+122をマークし評価を上げたが、24年は3AでwRC+98と足踏み。MLBでは32試合でwRC+64にとどまった。MLB昇格後は小サンプルながらも、上位10%打球速度&引っ張りフライ率いずれも上昇していたので来季どうなるか。スカウトからの守備評価は平均レベルとのことだが、OAA-3と改善の余地あり。

11.グラント・テイラー(RHP)/Grant Taylor:23歳
23年ドラフト2巡目。TJ手術から復帰すると、Aでの4先発で防御率1.13/奪三振率43.1%/与四球率1.7%と好投。オーバースローから角度のあるMAX100マイルの4シーム、スライダー、カーブのパワフルなコンビネーション。弱点だったチェンジアップも改善傾向にある。ポテンシャルは十分だが、まずは健康を維持し、マイナー上位の打者にどう対峙するかを見たい。


FV40

12.ケイレブ・ボーンマー(SS)/Caleb Bonemer:19歳
24年ドラフト全体43位指名の高卒選手。オーバースロットとなる契約金299万ドルで入団を決めた。フィジカルに恵まれており、スイングスピードは24年ドラフトの高校生ではNo.1とされる。あとは実戦でどれだけパワーを発揮できるか。守備面ではSSにふさわしい資質を有するが、体格の成長により、将来的には3Bの方が適しているかもしれない。

23年ドラフト7巡目の高卒選手。オーバースロットとなる契約金100万ドルでプロ入りを決めた。6-7/239の超大型選手で、現トッププロスペクトのジェームズ・ウッド(WSH)やスペンサー・ジョーンズ(NYY)と比較したい。ダブルプラスのパワーを秘めるが、コンタクト能力が弱点。Aでは76試合で打率.241/11本塁打/wRC+126をマークしたが、三振率は40.6%にのぼった。(ジョーイ・ギャロの1年目はAで38本塁打/三振率37%)

14.
ウィリアム・ベルゴラ(2B/SS)/William Bergolla:20歳
卓越したバットコントロールが武器の安打製造機タイプで、理想の成功例は「走守の良いルイス・アラエス」。24年はA+で打率.300/wRC+114をマーク。コンタクト率90%/三振率10.6%はエリート級だ。(ちなみに同年齢のアラエスは1Aで打率.347/wRC+146だった。)さすがにアラエスほどの打力を求めるのは酷だが、プラスのスピードを武器に27盗塁を決めた走塁能力、二遊間相応の守備力を有する点はアラエスには無い強みだろう。
22年ドラフト13位指名ながら、2Aで103.1回を投げて防御率2.44/奪三振率24.6%/与四球率4.6%と好投した。速球は平均91マイルとパワーレスだが、コントロールの良さと変化量の大きいスライダー、カーブ、チェンジアップでバットの芯を外す。来季25歳とプロスペクトとしては歳を食っており、3Aで結果を出して昇格したい。

Notable Prospects

ブレイク・ラーソン(LHP)/Blake Larson:19歳
グレゴリー・サントスをSEAに放出したトレードで得た指名権で獲得した高卒左腕。6-3/185という長身細身の体型から伸びしろを買われており、すでにMAX96マイルの速球はさらなる向上が見込める。また第2球種のスライダーも3000rpmに届くプラスピッチ候補。現時点では荒削りで、まずは投球フォームを固めてコントロールを改善していきたいところ。

6フィート6の恵まれた体格から93マイル前後の4シーム、平均以上のスライダー&チェンジアップとスペックはローテーション4番手クラス。しかしコンディションが安定せず、実力を発揮しきれない。24年は2Aでの14先発で防御率2.12と好投したが、3A/MLBでは結果を残せなかった。階級が上がるにつれ、与四球率が悪化しており、特にMLBでは奪三振以上の四球を与えてしまった。

エリック・フェッディを放出したトレードで獲得した1人。パワーやスピードは突出していないが、アプローチよく引っ張りフライを量産する打撃力が強み。24年はAで105試合に出場して12本塁打/四球率12.9%/wRC+121をマークした。守備評価はあまり高くなく、二遊間としては守備範囲不足、3Bとしては肩力不足との見立て。何とか2Bに残れるように改善が必要だろう。

ぺレスとともにトレードで獲得した1人。コンタクト&アプローチが優秀な安打製造機タイプで、スイングスピードの速さフライ率の高さからパワーナンバーも向上の可能性あり。24年はRをwRC+151と圧倒したが、Aでは76と苦戦した。守備は強肩で3B向きも、俊敏性と守備範囲に課題あり。
キーナン・ミドルトンとのトレードで23年夏にNYYから獲得したプロスペクト。NYYお得意のスライダー魔改造により、大きく横滑りするスイーパーを習得し、マネーピッチに変貌。スピンレート2400超えのシンカーと組み合わせてゾーンの内外を揺さぶる。24年はA+/2Aで23先発して防御率3.71/奪三振率25.2%とまずまずの内容。3年連続100イニング以上を消化するなど耐久力も備えるが、平均92マイル程度の球威面とマイナー5年でBB/9=4.3の制球面からブルペン転向が現実的か。


2025年1月30日木曜日

2025 TORONTO BLUE JAYS TOP 15 PROSPECTS

2025 TORONTO BLUE JAYS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 トロント・ブルージェイズ プロスペクトランキング

Arjun Nimmala


本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV50

1.アージャン・ニムラ(SS)/Arjun Nimmala:19歳
23年ドラフト1巡目の大型高卒SS。パワーと守備力に強みがあり、BALなどで活躍したJJハーディ(通算188本塁打/GG賞3回)と比較するスカウトも。24年は開幕29試合で打率.167/三振率34%と苦戦し、延長春季トレーニングで調整を行った。しかし、その後6月27日に再昇格してからはwRC+146と好調だった。上位10%打球速度102.7マイルは18歳の平均を大きく上回っており、引っ張りフライ率16.7%(MLB平均は6.8%)と空中にボールを集める技術も備えている。SS守備では、走力は平均的だが、守備本能と強肩のおかげで平均以上の守備範囲を示している。
Arjun Nimmala


24年ドラフト1巡目。大学2年シーズンにして14先発/防御率2.61と台頭し、国内有数の投手として注目を集めると、3年シーズンは全米1部リーグトップとなる防御率2.03をマーク。しかし肺の病気を患い、健康面の心配から全体20位までスリップした。投手としてはイニングイーターの働きを期待されている。長身オーバースローから93-95マイルの4シーム、80マイル後半に届く縦スライダー、80マイル前半のスプリット&カーブをコントロール良く投げ分ける。

21-23年にマイナーで3年連続28本塁打以上をマークしているパワーヒッター候補。24年は禁止薬物の使用により出場停止があったが、3Aで上位10%打球速度107マイル/引っ張りフライ率12.7%とスラッガーとしての素質は示した。コンタクト率とチェイス率が平均以下で、ヒットツールに課題がある。また、守備力も平均~平均以下との評価で、3B/2Bにとどまれることを示す必要がある。
Orelvis Martinez


FV45

エースポテンシャルの大型左腕だが、健康面の不安からキャリアに黄色信号が灯っている。昨年7月にTJ手術を受けて、25年は全休の見込み。来季を全休と仮定すると、プロ5シーズンで140イニング(年平均28イニング)止まりであり、先発投手として健康に稼働し続けられるかは疑問。23歳シーズンを全休し、25歳で先発投手として開花したギャレット・クロシェのようになれるか。
Ricky Tiedemann


菊池雄星とのトレードで獲得した1人。開幕からマイナーで好投を続け、ドラフトから1年でMLBデビューを果たした。エースというよりもローテーション4-5番手のイニングイーター向きと見られている。平均93マイルのライジングファストを軸に変化球4種をコントロール良くミックスする。6-3/223と体格も先発向き。

6.
ランデン・マルディス(RHP)/Landen Maroudis:20歳
23年ドラフト4巡目の高卒右腕で、オーバースロットとなる契約金150万ドルでプロ入りを決めた。高校ではSSとの二刀流でも有名だったアスリートであり、6-3/190の体格と合わせて伸びしろを高く買われている。平均93マイルの4シームと縦スラでカウントを整え、80マイル前後の大きく曲がるカーブで仕留める。これからの成長に期待。

7.ジョシュ・カセビッチ(SS)/Josh Kasevich :24歳 
22年ドラフト2巡目。コンタクト能力に長けた打撃と堅実なSS守備が強み。24年は2A/3Aでの128試合で打率.296/6本塁打/wRC+106をマーク。statcastデータが得られる3Aでは、ゾーン内コンタクト率95%とさすがのコンタクト能力を示した。フィールド全体にゴロ/ライナーを打ち分けるアプローチで本塁打を狙う打者ではないが、上位10%打球速度104マイルと打球速度はMLB平均並。ケビン・ニューマンのようなユーティリティーになれるか。
速球、スライダー、チェンジアップを効果的に織り交ぜる投球スキルと6~7イニングを安定して投げられるスタミナ&コントロールを兼ね備えるキューバ出身左腕。速球は平均92~93マイルほどだが、ホップ変化量18.6インチと伸びがあり、高い空振り率を誇る。24年は左肩の負傷で開幕早々に離脱してしまったが、夏場に復帰すると好投。A+で11試合に登板して防御率2.43/奪三振率27.0%/与四球率5.3%をマークした。

9.アラン・ロデン(OF)/Alan Roden:25歳
22年ドラフト3巡目。完成度の高い左打者で、コンタクト&アプローチが磨かれている。24年は2A/3Aで打率.293/16本塁打/wRC+136をマーク。四球率12.1%/三振率14.2%とゾーン管理が優秀で、3Aではゾーン内コンタクト率91.7%を計測した。平均的な走力&肩力を有し、外野コーナーを無難にこなせる。一方で両翼選手としてはパワーが平凡である点がネック。


FV40

10.RJ シュレック(OF)/RJ Schreck:24歳
23年ドラフト9巡目。アプローチの磨かれた左打者で、24年はA+/2Aで
wRC+は142をマークした。四球率15.7%/三振率16.5%と完璧にゾーンを管理し、17本塁打を放つなどプルサイドへのパンチ力もある。守備走塁の能力は平均的で、ポジションは外野コーナーであるため、どれだけ打てるかにかかっている。

11.フェルナンド・ぺレス(RHP)/Fernando Perez:21歳
ニカラグア出身。速球は平均92マイルで打者を圧倒するようなプラスピッチは持たないが、5球種をコントロール良く投げ分ける投球術が光る。24年はAで17先発して防御率4.06/奪三振率25.8%/与四球率7.2%をマーク。FIPは3.47と優秀な数値だった。6-3/170と細身の体格から球速はもう数マイル伸びるか。バックエンドSP向き。

12.
カール・ステファン(RHP)/Khal Stephen:22歳
24年ドラフト2巡目。ドラフトイヤーに防御率3.28/奪三振率 27.9%/与四球率 5.5%と安定したパフォーマンスを披露し、評価を伸ばした。プラスピッチは持たないが、速球、スライダー、チェンジアップをコントロール良く投げ分けるイニングイータータイプ。6-4/215と体格も先発投手として理想的。
23年ドラフト13巡目ながら24年は打撃好調で、A+/2Aで打率.279/17本塁打/wRC+138とブレイク。夏のトレードでTORに移った。しかし、TOR加入後は打率.185/三振率30%と調子を崩していたので、来季どうなるか。大学時代は2Bだったが、プロでは3Bに転向。守備力不足で外野向きと見るスカウトも。

14.アダム・マッコ(LHP)/Adam Macko:24歳
スロバキア出身左腕で、Youtubeでジャスティン・バーランダーやデビッド・プライスの動画を観て独学でピッチングを学んでいたが、12歳の時に家族でカナダへ移住。そこでカナダ屈指の強豪ボクスホール高へ進学したことでスカウトの目に留まりドラフト指名を受けた。キレの良い速球と多彩な変化球で打者を翻ろうする。奪三振能力は優秀で制球もまずまずなので、あとは耐久性の弱さを改善したい。

15.
ジョニー・キング(LHP)/Johnny King:18歳
24年ドラフト3巡目。ドラフト当日17歳という若さと恵まれた体格が買われている。すでにMAXで94-95マイルに達する速球、スライダー&チェンジアップが平均以上のポテンシャル。フルエフォート&癖のある独特なアームアクションを不安視する声あり。

Notable Prospects

カーソン・メッシーナ(RHP)/Carson Messina:19歳
24年ドラフト12巡目の高卒右腕。4巡目相当となる契約金でスティールに成功した。制球は荒いが、速球とスライダーのコンボはパワフル。特にスライダーは20-80スケールで70評価を得る。先発にとどまるにはコントロールを磨いていきたい。

元MLB選手ビリー・ワグナーの息子。ゾーン理解が深く、打者として洗練されている。コンタクト&アプローチに優れ、24年は3Aで77試合で打率.315/6本塁打/wRC+130/四球率16.6%/三振率10.4%をマーク。二桁打てるかどうかレベルのパワー&MLBでは1B/DHが適任とされる守備力から攻守でバリューを生み出せるかは疑問。

24年ドラフト4巡目。ヒットツールの磨かれた左打者で、Aでは22試合という小サンプルながらwRC+134と好成績を残した。上位10%打球速度102マイルは今一つだったため、ボールを空中に集めてパワーナンバーを伸ばしたい。3B守備は平均以下の評価。



2025年1月25日土曜日

2025 TAMPA BAY RAYS TOP 15 PROSPECTS

2025 TAMPA BAY RAYS

TOP 15 PROSPECTS

2025年 タンパベイ・レイズ プロスペクトランキング
Carson Williams

本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。

FV60

1.カーソン・ウィリアムズ(SS)/Carson Williams:22歳
21年ドラフト1巡目。コンタクトに課題があるが、ゴールドグラブ級のSS守備とSS離れしたパワーが強み。投手としても注目されていた逸材で、投手としてMAX95マイルの強肩&ここ3シーズンで81盗塁を決めた俊足で広大なレンジをカバーする。打撃は2Aで打率.256/20本塁打/wRC+142をマークするなど年上選手を相手にもパワフルな内容を維持。ここ3年で62本塁打はマイナーSSで最多。SS守備での貢献はすでに計算できるので、あとは打撃の成長が天井を決めるだろう。三振率28.5%のコンタクトをどれだけ改善できるか。
Carson Williams


FV50

22年ドラフト1巡目の高卒選手。6-4/240の強靭なフィジカルから凄まじい打球を繰り出し、潜在的なパワーポテンシャルは20-80スケールで80評価。24年はA+で打率.287/15本塁打/wRC+157と好成績をマークし、20歳シーズンにして2Aに昇格。一方でコンタクト能力に不安を露呈した。三振率はA+で30.1%、2A昇格後は40.6%だった。06年~24年にA+(300打席以上)で三振率が30%を超えた282人のうち、MLBに定着できているのはMJメレンデス、トレバー・ストーリー、エリー・デラクルーズの3人ぐらいであり、現状のアイザックは厳しい位置にあると言える。守備面では、平均以下と見られていた走力が平均以上に成長。外野に定着できることを示せればバリューを上げられるかもしれない。シーズンで2試合、オフのAFLで5試合RFを守った。
Xavier Isaac


23年ドラフト全体19位指名。コンタクト&選球眼に優れたピュアヒッター候補で、引っ張りフライを量産する打撃スタイルで平均レベルのパワーを最大限に発揮している。24年はA+でwRC+154をマーク。2A昇格後も30試合で6本塁打/四球率12%と強みである長打能力と出塁能力を維持したが、打率.194/三振率36.8%とコンタクト面で苦戦した。守備は平均的な評価で、現在は3B/SSをメインに守っているが、2Bが最もフィットするだろうと見られている。

4.ブレイラー・ゲレーロ(OF)/Brailer Guerrero:19歳
23年に370万ドルで契約した大器。10代にしてすでにMLB打者の平均並であるMAX打球速度109マイルを計測するなど凄まじいパワーを秘める。コンタクト&アプローチも磨かれており、パワーとアベレージを両立した強打者になり得る。しかし、肩の故障により、プロ2年で35試合/155打席しかプレーできておらず、育成が遅れ気味である点がネック。守備は現在CFを守っているが、平均的な走力とプラスの強肩から長期的にはRF向きか。

5.トレバー・ハリソン(RHP)/Trevor Harrison:19歳
高校3年の時に投手に専念すると、MAX95マイルを出すまで成長し、翌年ドラフト5巡目でプロ入りした。すると、プロ1年目の24年は、R/Aで72.2回を投げて防御率3.34/FIP3.30/奪三振率29.4%と好投。速球はMAX99マイルに到達した。現在は速球中心の配球だが、80マイル中盤のカット系スライダー、変化量大のチェンジアップはいずれもプラスピッチ候補で、6-4/225と体格も理想的。Rでは与四球率6.1%だったが、Aでは11%と悪化していたので、来季どうなるか。
Trevor Harrison


6.エイデン・スミス(OF)/Aidan Smith:20歳
ランディ・アロザレナとのトレードで昨夏にSEAから加入。身体能力が高く、ダブルプラスのCFディフェンダーになり得るとの評価。打者としては発展途上との評価だったが、高卒1年目にしてAで打率.288/11本塁打/wRC+139とブレイク。A最多の33二塁打を放ったギャップパワーを本塁打に転換できれば、走攻守揃った5ツールプレーヤーに進化できるはずだ。

コントロールに優れ、少ない球数で5~7イニングを消化できるワークホース右腕。24年はAで111.2回を投げて防御率は4.11ながら、奪三振率25.7%/与四球率4.7%/FIP3.51と投手の責任範囲の指標は良かった。プロ入り時にMAX94マイルだった速球はすでに97-98マイルに到達。キャリー成分の強い4シームとカッター&カーブ。チェンジアップの向上が今後の課題。


FV45

8.ゲーリー・ギルヒル(RHP)/Gary Gill Hill:20歳
Aで108.2回を投げて防御率3.15/奪三振率24.2%/与四球率6.2%/FIP3.55とブレイク。低めのスリークォーターから90マイル中盤の4シームと大きく曲がるスライダーで空振りを誘い、チェンジアップも上質で左打者対策もOK。長身細身でさらなる成長が見込める。滑らかでアスレチックなメカニクスをしておりコントロール面も高評価。7月以降は防御率4.81/奪三振率20.1%と失速気味だったので、1年間戦える体力をつけていきたい。(6月まで防御率2.03/奪三振率27.2%)

9.セオ・ギレン(OF)/Theo Gillen:19歳
ドラフト3年前は世代No.1選手と評判だったが、高校で右肩と膝の手術を受けるなど度重なる故障により評価下落。高校最終年は打率.415の活躍で再び評価を取り戻し、全体18位指名でプロ入りを果たした。プラスのヒットツールを有するピュアヒッタータイプで、現時点ではホームランを量産するタイプではないも、将来的には20HRも可能と見る評価も。高校時代はSSだったが、肩の手術の影響を考慮し、プロでは俊足をより生かせるCFに転向した。

10.
トレ・モーガン(1B)/Tre' Morgan:22歳
強豪ルイジアナ州立大で3年間中心選手として活躍し、同級生のポール・スキーンズ&ディラン・クルーズと共に全米制覇。80グレイドの一塁守備が最大の魅力で、一塁手としては珍しいコンタクト特化の打撃スタイル。バットを短く持ち、卓越したバットコントロールで左右にライナーを打ち分ける。24年はA/A+/2Aで打率.324/10本塁打/OPS.891をマーク。一塁手が10本塁打以下でfWAR2.0を超えたのは、ここ10シーズンで2017ジョー・マウアー、2022ルイス・アラエスの2人だけであり、長打力が求められる一塁というポジションでどれだけ貢献できるか。

24年にマイナートップの打率.355&104盗塁をマークした韋駄天。80グレイドの最高級の走力と高いコンタクト能力が武器。理想の完成型は通算614盗塁、打率3割超えシーズン4回の名選手フアン・ピエールか。ピエールのような選手になるには、発展途上とされるCF守備を改善していきたいところ(ピエールは最初の7シーズンで4.0fWAR越え2回、平均2.75を稼いでいるが、同期間にCFで通算UZR+33.7を記録している)。

ザック・エフリンのトレードで獲得した見返りの1人。MAX98マイルでホップ変化量の大きい4シームが武器で、スライダー、カーブ、チェンジアップと変化球3種もソリッド。A+では99.2回を投げて防御率2.53/奪三振率32.7%/与四球率11.6%/FIP3.06をマーク。6-4/225と体格も先発向きだが、コントロールが悪いために球数がかさみ、ほとんどの試合が3~4イニング程度の投球だった。

アロザレナのトレードでスミスと共に加入。サイド気味の低リリースから90マイル中盤の伸び上がる速球とスウィーパーを軸に、左打者には膝元へのカッター&外へ逃げるチェンジアップも扱う。24年はA/A+で115回を投げて防御率3.05/奪三振率27.2%/与四球率10.8%/FIP3.83をマーク。大学通算与四球率16.8%の制球難が改善されたことがブレイクにつながった。

14.ドミニック・キーガン(C)/Dominic Keegan:24歳
22年ドラフト4巡目。パワーとコンタクトを両立した攻撃型捕手。23年にA/A+でwRC+137、24年も2AでwRC+138と優秀な打撃成績を収めている。守備評価は平均以下ながら、Baseball  Prospectusの出すフレーミング指標では、ここ2年で+17.7をマークしている。肩が弱く、77試合で89盗塁(阻止率14%)を許した送球面を改善していきたい。

15.ディラン・レスコ(RHP)/Dylan Lesko:21歳
ドラフト最上位指名が予想されていたが、ドラフト年にTJ手術を受け、SDが全体15位で指名。しかし、復帰後は思うような投球ができておらず、昨夏にジェーソン・アダムらとのトレードでTBに移ってきた。最速98マイルの4シームとブレーキの利いたチェンジアップがプラスピッチ候補で、スライダー&カーブも平均以上のボールになる可能性あり。プロ2年で与四球率18.1%と壊滅的なコントロールを取り戻せるか。

Notable Prospects

ボールの威力だけなら傘下No.1。90マイル後半の速球と80マイル後半の高速スライダーで打者をねじ伏せる。24年はA+/2Aで119回を投げて防御率2.95/奪三振率31.5%/与四球率11.9%をマーク。課題の与四球率は前年の16.7%から大幅に改善されているが、依然としてコントロールは平均以下。2ピッチタイプの投球スタイルも併せて考えると、将来的にはリリーフに回るか。

22年ドラフト3巡目。23年は防御率3.52/奪三振率28.7%と好投。24年はA+で72回で防御率2.88/奪三振率29.6%/与四球率6.4%と好投したが、2Aでは50.1回で防御率6.62と壁にぶち当たった。ライジングファストボールを高めに集めて空振りを量産する投球が持ち味だが、昨季終盤は球速低下に悩まされた。6-5/238とガッシリした先発投手向きの体型であり、速球の質を取り戻して来季復活できるか。

アップサイドを評価されている原石。23年1月に契約金21万ドルで契約すると、DSLをすっ飛ばしていきなりRでプレーするなどチームからの期待は大きい。24年は18歳シーズンにしてAのマウンドも経験した。クリーンかつアスレチックなメカニクスからMAX97マイルの4シームとプラスのカーブ。数年後の飛躍に期待。

23年ドラフト全体31位指名。20-80スケールで70-80評価を得るスピードの持ち主で、運動選手として傑出している。守備動作も滑らかで、SSにふさわしい資質を有する。一方で、5-11/155と体が小さく現時点では非力なため、打撃でインパクトを生み出せるかは疑問。24年はAで103試合に出場して0本塁打/wRC+82だった。コンタクト率は81%と良好だった。

タイ・ジョンソン(RHP)/Ty Johnson:23歳
アイザック・パレイデスの見返りの1人として昨夏CHCから加入。23年ドラフト15巡目という下位指名の出身だが、プロ1年目となった24年はA/A+で計84回を投げて防御率2.79/奪三振率36.0%/与四球率7.8%と好投。6-6/205の巨体からMAX98マイルの速球と80マイル中盤のスライダー&チェンジアップのパワーピッチング。

23年ドラフト18巡目の高卒左腕。トミージョン手術明けだったが、R/Aで60.2回を投げて防御率3.26/奪三振率31.8%とポテンシャルを披露。90マイル中盤の速球と上質なチェンジアップがプラスピッチ候補。与四球率17.6%のコントロールを改善していきたい。