2025 NEW YORK YANKEES
TOP 15 PROSPECTS
2025年 ニューヨーク・ヤンキース プロスペクトランキング
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Jasson Dominguez |
本ランキングは各傘下の選手を現在の活躍と今後の伸びしろから総合的に判断し、作成したものである。「将来キャリアを通じてどれだけメジャーでバリューを示せるか」という点に重きを置いており、即戦力ランキングでも伸びしろランキングでもない。FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表している。当ブログのスケーリングの基準についてはこちらを参照いただきたい。ランキングについてはMLB.comやBaseball Americaといった媒体を参考にしつつ、独自の視点を加えて評価したつもりである。選手の年齢は25年6月30日見込みのもの。
FV55
1.ジェイソン・ドミンゲス(OF)/Jasson Dominguez:22歳パワーとスピードを兼ね備えた身体能力の高い選手で、「火星人」の異名を誇る。24年はTJ手術明けで出遅れた上に腹斜筋の負傷での離脱もあり、メジャー/マイナーで計76試合の出場にとどまった。3Aでは44試合でwRC+121としっかり結果を出し、上位10%打球速度はMLBトップクラスの107.5マイルを計測。バレル率や引っ張りフライ率、コンタクト率も平均以上と打撃技術の成長も見えた(依然として低弾道でゴロ/ライナーが多いが)。どっしりとした体型だが、21盗塁/1失敗とスピード&盗塁技術は優秀。一方で俊足の割に守備面は発展途上で、最終的にはLFに落ち着きそうだ。MLBでは18試合という小サンプルながらOAA-3を記録してしまった。「20-20」級のパワー&スピードとLF向きの守備力から比較対象はランディ・アロザレーナ(23年にwRC+126/23本塁打/22盗塁/LFでOAA-6/fWAR3.3)と見ている。
Jasson Dominguez
FV45
23年ドラフト1巡目の高卒SS。同名の父は元MLB選手で、現在タイガースでコーチを務める。飛び抜けたツールは無いが、走攻守に磨かれており、ドラフト時にMLB公式はマーカス・セミエンと比較していた。打撃はAでの81試合で打率.232/5本塁打/wRC+105をマーク。成熟したアプローチ(平均以上のゾーン内スイング率と平均以下のチェイス率を両立し、四球率12.8%)でバレル性の打球を量産できる。上位10%打球速度102.8マイルは同年齢の中では平均以上であり、ISO.116に終わったパワーも将来的には平均レベルに育つだろう。ゾーン内コンタクト率が74.3%と平均以下で、特に外角高めの速球に苦戦した。守備は派手さはないものの、堅実さが光り、SSに定着できるだろうとの評価。Baseball Prospectsの出す守備指標DRPでは+4.8を叩き出した。
George Lombard
22年に400万ドルで契約したドミニカ共和国出身の大型SS。荒削りだが、完成すれば「30-30」も可能なアップサイドを秘める。Aでは打率.233/三振率31%/コンタクト率63%(MLBの平均は75%)とコンタクトに苦戦したが、7月以降は三振率を24%、コンタクト率を70.8%にまで改善させ、wRC+137と適応を見せた。守備ではダブルプラスの強肩を有し、練習を積んでいけばSSに定着できるだろうとスカウトたちからは評価されている。
22年ドラフト1巡目。6-7/225の大型選手で、アーロン・ジャッジと比較される運命にある選手。パワーポテンシャルはマイナー屈指だが、昨季2Aで三振率36.8%/200三振とコンタクトに致命的な欠陥がある。リーグ平均年齢とほぼ同じ年齢ながら、2AでwRC+124と飛び抜けた成績を残せていない。守備ではCF相応のアスリート性を有するが、ジャッジ同様にRFが最もフィットしそうだ。
23年にブレイクし、傘下No.1投手プロスペクトとして台頭。A+で9先発/防御率2.68/奪三振率40.5%と支配的な投球を見せ、2Aに定着した。しかし、24年は右ひじの違和感や下半身のコンディション不良により、7試合の登板にとどまった。健康であれば、90マイル中盤でホップ変化の大きい4シームと高強度のスライダーで空振りを量産し、カーブ&カッターをカウント球として効果的に織り交ぜる。まずは健康に復帰することが目標だ。
Chase Hampton
バスケットボール選手の父、バレーボール選手の母の血を受け継いだ6フィート7の大型左腕。24年は左肩の負傷で12イニングのプレーに終わった。健康であれば、MAX97マイルの速球、大きく曲がるスライダー、落差・横変化ともに優秀なチェンジアップの3球種すべてがプラスピッチ候補。フォームの再現性も高く、コントロール面の評価も高い。
21年ドラフト3巡目の高卒左腕。4シームは平均92.5マイルながら23年に1Aで平均スピンレート2698rpms、第2球種のスライダーも2645rpmを計測しており、ボールの回転量はMLBでもトップクラスを誇る。現時点では速球とスライダーが投球のほとんどを占めており、先発に定着するにはチェンジアップを磨いていきたいところ。24年は2Aで16先発して防御率4.25/奪三振率22.4%/与四球率10.8%という内容だった。奪三振率、与四球率いずれも前年より悪化したため、来季はどうなるか。
24年ドラフト1巡目。大学1、2年シーズンは怪我で欠場があったが、ドラフトイヤーの3年シーズンは健康を維持し15先発とローテーションを守った。しかし、与四球&被弾が多く、防御率は5.80と良くなかった。6-5/225と体格に恵まれており、平均94/最速99マイルでホップ変化量大の4シームと落差の大きいカーブがプラスピッチ候補。平均的なスライダー&チェンジアップも交える。先発に定着するにはコントロールの改善と健康を維持することが課題だろう。
クレイ・ホームズと比較され、大きく横滑りするスウィーパーと平均93マイルのシンカーを武器にゾーンを揺さぶるグラウンドボーラー。22、23年とマイナーで2年続けて129イニング/防御率3点台と好投。24年は3Aで23先発してFIP4.63/奪三振率28.0%/与四球率8.0%とまずまずの内容を残し、MLBデビューも経験した。24年はシンカー&スウィーパーのコンビネーションに加え、4シーム&チェンジアップでゾーンの高低を攻めるアプローチも磨いた。打者を圧倒する球威は無く、ローテーション下位のイニングイーターorホームズ同様にリリーフが適任か。
10代にしてすでに傘下トップクラスの捕手守備と評される未来の正捕手候補。打撃はコンタクト&アプローチが優秀で、Rでの51試合で打率.283/2本塁打/wRC+138をマーク。慎重なアプローチで四球率20.8%と四球を荒稼ぎし、出塁率.444はリーグ内3位だった。課題とされるパワーでも着実に成長を見せており、リーグ平均以上となる打球速度やハードヒット率を記録した。ISO.096止まりだったパワーナンバーに反映できるか。
24年ドラフト2巡目。1、2年時はスウィングマン起用だったが、3年シーズンは強豪バンダービルト大でエースを務めた。6-5/234の恵まれた体格からMAX99マイルでエクステンション&ホップ変化に富んだ4シーム、シュート方向に大きく逃げるチェンジアップが平均以上のボール。スライダーは曲がりが小さく現時点では平均以下の評価。コマンドが甘く、HR/9=1.5と一発病持ち。4シームのコマンド向上とスライダーの質改善がプロでの課題だろう。
24年12月にカルロス・ナルバエスとのトレードでBOSから獲得したプロスペクト。23年に92-95マイルだった速球が、常時95~96マイル/MAX99マイルに上昇。評価を伸ばした。A/A+で自己最多となる89.2回を投げて防御率2.91/奪三振率27.2%/与四球率11.5%をマーク。スライダー、カーブ、チェンジアップと球種のレパートリーは豊富だが、プラスピッチ不足。変化球の質や不安定なコントロールを磨いていきたい。
Rで40試合に出場して打率.301/8本塁打/wRC+161と大活躍。Rのオールスター(1B)に選ばれた。パワーポテンシャルを期待されており、ゾーン内コンタクト率88%/ゴロ率36.6%とヒットツールも優秀。アマチュア時代は外野手だったため、捕手守備は発展途上。運動能力&肩の強さは及第点も、捕球面を磨く必要がある。
荒削りだがプラスのパワーを有する5ツールポテンシャルで、スピード&肩力も平均以上。23年は2AでwRC+145、3Aでも132をマーク。24年は右ひじの手術で40試合の出場に終わったが、3AでwRC+120と順調に結果を出している。しかし、コンタクト難が致命的で、昨季のコンタクト率59.4%/ゾーン内コンタクト率67.4%は球界最低レベル。21~24年の4シーズンにおいてMLBで規定打席に到達した選手の中で、ピレイラよりもコンタクト率が悪かった選手はおらず、MLBでさらに投手のレベルが上がることを考えると、現状ではレギュラー定着は難しいだろう。外野守備もBaseball Prospectsの出す守備指標DRPは2年連続マイナスで、23年にMLB昇格した際は全試合LFでの起用だった。
傘下トップレベルの打球速度を誇るパワーヒッター候補。24年はA+/2Aで計21本塁打を放った。wRC+はA+で57試合/149、2Aで65試合/150といずれも素晴らしい内容だった。三振率25.3%とコンタクト能力に課題があり、上位でも打率を維持できるか。捕手守備は平均以下で、MLBでは1Bに専念することになりそうだ。69試合マスクをかぶって115盗塁を許し、阻止率は16%にとどまった。
Notable Prospects
6-5/167と伸びしろ溢れる体格からMAX96マイルを投じる原石。24年はRで49回を投げて防御率2.76/奪三振率21.4%/与四球率7.8%と好投。4シーム、シンカー、チェンジアップ、スライダーを織り交ぜ、変化球はチェンジアップが最も評価されている。スライダーは80マイル前後でやや緩い部分があり、強度アップが課題。マイナーでは3年連続ゴロ率55%超えとゴロアウトの多さも特徴。
23年ドラフト6巡目。24年はA/A+で防御率3.65/奪三振率30.6%/与四球率11.1%と好投。速球と縦スライダーを武器に奪三振を量産した。statcastデータが得られるAでの成績に着目すると、4シームは平均93マイルとスピードは平凡ながらホップ変化量17.7インチ/リリース高5フィート5とフラット軌道を描く。また第2球種の縦スライダーは落差が大きく、空振り率46.9%と効果的だった。一方で、速球とスライダーが投球の8割を超えていて、チェンジアップの使用割合が5%未満なこと、先発としては球速もコマンドも不足していることから、MLBではリリーフ向きか。
元ヤンキースのセットアップ、デリン・ベタンセスと比べられる巨漢ハードボーラー。6フィート7の巨体から90マイル後半の速球とキレの良いスライダーで空振りを量産する。プロ3年で与四球率14.9%(昨季与四球率20%)とコントロールが荒れており、ベタンセス同様にリリーフ転向のリスクをかかえる。
契約金175万ドルで入団したトップアマチュア。6-4/212の強靭なフィジカルに30ホーマー級のパワーポテンシャルを秘めている。しかし、DSLでは打率.196/三振率32.9%とコンタクト面で苦戦した。走守のツールも良く、全試合CFとして起用されたが、ダブルプラスの強肩と体の大きさから将来はRF向きか。
23年に435万ドルという巨額の契約をしたキューバ出身の原石。守備と走塁の評価が高いCFで、マニュエル・マーゴやアルバート・アルモラと比較するレポートも。Rでは35試合でwRC+100とまずまずの内容も、0本塁打/三振率27.9%/ゴロ率54%と打撃ポテンシャルに不安を残した。
24年ドラフト3巡目。大学1年シーズンに防御率1.06と好投し、強豪ルイジアナ州立大に転校も、2年シーズンは防御率5.68、3年シーズンも6.55と全く結果を残せず評価を落とした。しかし球威は素晴らしく、コマンドを取り戻せれば再ブレイクの可能性あり。最速で97-98マイルに達するライジングファスト、高スピンで変化量大のスライダー&カーブと3つがプラスピッチ候補。チェンジアップは投げない。